〔1〕
Side Chino
「はい、香です。よろしくお願いします。本日は叡帝戦第四局、伯方名人対後藤叡帝の対局を解説致します」
私は叡帝戦第四局の解説をしていた。結果としてはお兄ちゃんが勝利し、3勝1敗で叡帝を奪取。遂に五冠となった。
「決め手となったのは113手目の伯方名人の4三桂不成からの連続王手でしたね。これは限定合駒を要求するもので、後藤叡帝は限定合駒に失敗。その結果、伯方名人勝勢となり、投了止むなしという状況になりました」
収録を終わらせてアップロードを完了させる。......お兄ちゃんが五冠か。
「......どんどん遠くなってしまいますね。......行かないでよ......お兄ちゃん......」
Side Out
〔2〕
Side Sharo
ある日の私の通う学校の体育館では、バスケ部の助っ人に来てたリゼ先輩が華麗なドリブルを披露してる。
「リゼ先輩の蹂躙走行よ!」
「私も蹴散らしてー!」
そして高くジャンプして、見事ダンクシュートを決めた。それを見てた生徒たちはリゼ先輩に黄色い声援を送った。照れながら手を振るリゼ先輩。
「せ、先輩ー!」
生徒たちに押しつぶされながらリゼ先輩に叫ぶ私。
「シャロ?」
次はテニス部の助っ人にリゼ先輩が参戦。パトリオットスマッシュを放つ。
「パトリオットスマッシュ炸裂よー!」
そしてボールが速くなり、リゼ先輩にポイントが入った。またもや黄色い声援を受けたリゼ先輩は、照れながら手を振った。
「せ!先輩ー!」
生徒たちの後ろからジャンプしてリゼ先輩に叫ぶ私。
「ん?」
Side Out
その後のラビットハウスにて。
「絶対、シャロちゃんも部活で青春で汗を流したかったんだよ!ねっ!千夜ちゃん!」
「えっ!? あっ、そうね......」
シャロはリゼを見ていただけな気がするが......。
「やっぱりか......バイトばっかりだもんな......」
「シャロちゃんを誘ってあげたらどうかしら?きっと喜ぶわ」
「いいと思うよ。絶対乗ってくれるさ」
「そうだな、誘ってみるか!」
「私も部活入ってみたかったな〜」
「ココアはバドとバレーがろくに出来なかった記憶しか無いんだけど......」
「ほ、他のやつなら出来るもん!」
本当だろうか?僕が怪訝な表情を浮かべながらじーっとココアを見るが、ココアは冷や汗をかいている。......嘘だな。
「ラビットハウスで部活動を始めてはどうでしょう?」
「そうかー!」
ココアは麺棒をバット代わりにして構える。
「「仕事してくれ(ください)」」
「部活、懐かしい響きですね」
「もしかして文芸部だったとか?」
「ピンポンです!締め切りを守れ守れって、厳しい後輩がいたんですよ」
その頃から締め切り破ってたのか......。
「文芸部と吹き矢部と、どっちにしようか随分悩みました」
「「吹き矢!?」」
「どんな2択ですか......」
「吹き矢!お婆ちゃんが名人で昔一緒に遊んだわ。シャロちゃんが凄く上手だったの!」
「へぇー。あっ!ダーツ喫茶があるなら、吹き矢喫茶があっても良いじゃない!」
「な......成る程!」
「「せめてダーツにして!」」
珍しくマスターとシンクロした。
「どうせならレイ、お前も来るか?」
「えっ?」
この言葉が、僕の悲劇の始まりだった。翌日、解説の仕事が終わった僕はリゼとシャロの通うお嬢様学校に来ていた。......女装して。白いワンピースを着た状態でリゼとシャロに出迎えられていた。
「どうしてこんな目に......」
「似合ってるわよレイ!」
「どう見ても完璧な女性だな!」
「泣きたい」
このときのために偽名として
「はい、冷泉 瑠衣さんですね。天々座さんと桐間さんからの招待ということですね」
「はい、そうです」
「可愛い......本日は学校の見学ということでよろしいでしょうか?」
「その通りです」
「承知致しました。ようこそ、○○学園へ」
僕がリゼとシャロの通う学校の門戸を開いた。男の身で女子校に潜入することになるなんて......。
「体操着は大丈夫か?」
「うちは男女兼用だから『兄姉のお下がり』とか言っとけばどうにかなるよ」
「うちはブルマなのよね」
「そうなんだ......。うちは男女ともに短パンだからなぁ」
更衣室の中に誰もいないことを確認してもらい、先に体操着に着替えさせてもらった。その後、体操着に着替えたリゼとシャロが出て来た。リゼは何故かポニテになっていた。
「リゼはポニテなんだね。似合ってるよ」
「そ、そうか......ありがとう」
「むっ......レイ!行くわよ!」
「ちょっ、引っ張らないでよ!」
シャロは僕の手を引っ張る。僕たちは早速ソフトボール部の助っ人として参戦する。
「行くぞレイ!シャロ!」
「おっけー!」
「はい先輩!」
次は演劇部。今回の演題は『シャーロック・ホームズ』で、リゼがホームズで、シャロがワトソン、僕が犯人の役を演じる。
「行くぞレイー!シャロー!」
「僕がキラだ!」
「はい先輩ー!」
次に僕たちはある部活をこっそり見ていた。それは庶民研究部。部室には、昭和時代のテレビや、棚が置かれており、畳が敷かれてた。
「特売と言うのは、特別なあなたに売ると言う意味で」
「素晴らしい響きですわ。特売!」
「行けるかレイ、シャロ?」
「それは違うよ......それは違うよ!」
「先輩、庶民研究部の奴らは履き違えてまーす!」
その後、リゼの助っ人のスケジュールを確認する。
「部活の助っ人詰め込み過ぎー!私が管理しまーす!」
「悪いな!シャロ!」
「行くよジョセフィーヌ!」
今度は乗馬部。僕とリゼは華麗な飛び越えを見せた。
「乗馬部の次は被服部。30分後に吹き矢部......」
「詰め込みすぎだよ......」
僕は休憩していた。すると僕とシャロは、乗馬部の部員たちからこんな話を耳にした。
「リゼ先輩素敵だわー!」
「リゼ先輩が連れて来た瑠衣さんも美しいわね......」
「色んな部活を助っ人して、まるで伝説のあの方みたい!」
「あっ!それ聞いた事ある!」
「「ん?」」
夕方、シャロはリゼにタオルを差し出す。
「どうぞ」
「ありがとう」
「お疲れ様」
タオルで汗を拭く。
「それであの方って?」
「聞いてみたんですけど、神出鬼没、過去に多くの部活を適当なアドバイスで勝利に導いたと言う、その名も『ミス・エメラルド』!」
「エ、エメ!?」
「部活の助っ人ついでに、その人の情報も集めてみない?きっと楽しいよ」
「そうか、レイとシャロが楽しめるなら良いよ」
「うん」
「はい!」
次に助っ人に向かったのは、被服部。部長と刺繍する2人は、部長にミス・エメラルドについて話す。
「ミス・エメラルド?」
「聞いた事ありませんか?」
「あるけど、ただで教えても面白くないわね」
「えっ?」
「どちらが冷泉さんに相応しい服をコーディネート出来るか勝負よ!」
「勝負!?」
「なんで僕なのさ!?」
突然の勝負宣言。シャロは顔を赤くした。
「レイに似合う服......」
「やる気になってる!?」
「なんで......?」
「負けたらあなたにこれを着てもらうわ!」
そこには、白い布で被せてある衣装があった。
「こ、こんなの着られないわ!」
「お母さまに怒られちゃう!」
「い、一体どんな服を......?」
「と......とても私たちには着ることが出来ない、過激な衣装よ......」
「どんな......?」
そして布を取るとそこにある衣装は———
「これよ!」
「あっ......フルールと大差無い......」
それは、「不思議の国のアリス」のアリスのエプロンドレスだった。リゼは目をキラキラさせていた。そして赤いカーテンの向こうで衣装に着替えた僕が待機している。
「まずは被服部の作った衣装から......行くわよ。3, 2, 1, ジャン!」
カーテンを開くと、十二単姿の僕が立っていた。
「瑠衣さん素敵!」
「大和撫子降臨だわ!」
「恥ずかしすぎるんだけど......」
そして、何故かシャロが崩れた。
「ディ、ディテールに差がありすぎる......戦う前に負けました......」
「不戦敗!?」
「投了が早いよ!」
「では勝負に負けたシャロちゃん......どうぞ!」
カーテンを開くと、シャロがアリスの服を着ていた。
「可愛らしいわー!」
「お人形さんだわー!」
「まあ、こういうの慣れてますし!」
「シャロ、似合ってるよ」
「レイ!照れるから褒めるの禁止!」
「なんでさ」
すると僕とリゼは、後ろのテーブルに置かれてある衣装に目を付けた。こっちも可愛らしいんだけどなぁ......僕が着ることを考えなければ。最後に向かったのは、吹き矢部。またミス・エメラルドについて話す。
「ミス・エメラルドの話?ゲームに勝ったら教えようかな?」
「みなさん勝負お好きですね!」
「リゼ。その代わりうちらが勝ったら入部してよ。ハンデはつけるよー」
「分かった!」
「「軽い(ね)!」」
リゼの軽い返答。
「良いんですか!?そんな安請け合いして......」
「的を撃つのは射撃で慣れてるし、私が点数を引き離すから大丈夫」
勝負開始。リゼが構える。
「よーし!やるぞー!」
だがしかし、3本とも全部外れてしまった。
「意外と難しい!!」
「リゼー!」
「先輩ー!」
どうやらリゼにとって、射撃と吹き矢は別のようだ。
「はい。シャロちゃんの番」
「あっ、はい!」
次はシャロが前に立つ。さっきのリゼを見たせいでプレッシャーに取り憑かれてしまっているようだ。
「ごめんなシャロ!」
「早くー」
「緊張しないで!」
「早く早くー」
煽る吹き矢部長。そしてシャロが吹き矢を飛ばす。飛ばした矢は、なんと的のど真ん中にヒットした。
「!?」
「「おぉ!」」
「やるねー」
2本目を飛ばす。またど真ん中にヒット。
「「おぉぉ!」」
「的、小さいのに替えるね」
大きいサイズの的を小さいサイズの的に取り替える。そして3本目。なんと小さい的のど真ん中にまたヒットした。
「「おぉぉぉぉぉ!」」
余裕だった吹き矢部長が笑顔を崩して驚いた。
「カ......カフェインも摂ってないのに......私にこんな力が......」
「「凄いぞシャロ!」」
「あ、ありがとうございます!」
「特殊部隊に推薦できる腕前だー!」
「嬉しいけど遠慮しておきまーす!」
「「「イエーイ!」」」
「ところで何を勝負したんだっけ!?」
「忘れました!」
「ミス・エメラルドについてでしょ!?」
完全にど忘れして勝負したこの2人。そのとき、吹き矢部長が話した。
「翠さんについてでしょ?」
「翠さん?誰だ?」
「もしかしてミス・エメラルドの本名!?」
成る程。翠だからミス・エメラルドか。
「実は私も良く知らないんだ。文芸部だったとかは聞いてるけど」
「文芸部ねー」
「あちこちの部活を渡り歩いてたらしいけど、そんな彼女を連れ戻せる後輩が居たそうだよ」
「ふーん」
「そんな人が」
......ん?文芸部?連れ戻せる後輩?この学校に存在する吹き矢部......何か引っかかる。
「それよりもう一吹きして行かない?」
「よし!リベンジだ!」
「また勧誘!?」
「もういいよ!」
またもや勝負に乗ったリゼを強制に引っ張る僕とシャロ。
「得るべき情報は得ました!これ以上の戦闘は無意味です!」
「シ、シャロ!?」
「もう時間無いんだから、これでおしまい!」
「レ、レイ!?」
その後、リゼとシャロに誰もいないことを確認してもらい、更衣室に入って僕は白ワンピースに着替える。
「......何か引っかかるんだよな......はっ!」
まさか......ミス・エメラルドの正体は———
「いやいや......イメージとかなり乖離しているし......いや、だからこそ......そういうことなのか......?」
どうなんですか?......青山先生。僕が着替え終わり、その後リゼとシャロも制服に着替え終わった。下校中に、リゼはポストに大量の手紙を投函した。
「悪いな」
「構わないよ」
「良いんですよ。リゼ先輩のお手伝いなんて嬉しいです!」
「助かったよ。おかげで可愛く出来た。ココアを見てたら、私もあんな風にみんなを楽しませられたらなって」
「はい!」
「分かるよその気持ち」
「それに......レイに笑顔になってほしかったから......」
「分かります先輩!」
「ん?2人とも何か言ったかい?」
「「な、何でも無い!」」
「そ、そうかい......」
後日、僕———というより冷泉 瑠衣はあの学校で1日だけ現れた伝説の存在「ミス・ルビーダイヤモンド」として語り継がれていることを、後にリゼとシャロから聞いた。......どうしてこうなった。
〔3〕
数日後。今日のラビットハウスは休み。
「とっておきのボトルシップ......お休みの今日に相応しい相手ですね......」
「楽しそうだね」
「はい!」
ボトルシップに勝負を申し込むチノ。それを眺めている僕。だがそこにココアが元気良く入って来た。
「レーイーちゃん!チーノーちゃん!あーそーぼー!良い天気だよー!外に出て遊ぼうよー!虫取りなんてどうかな?せっかくのお休みに2人じゃ寂しいよ?」
するとチノはココアの頭にティッピーを乗せ、僕をココアに近づける。
「「ん?」」
そして僕とココアを部屋から追い出した。
「「僕(わし)を身代わりに!?」」
そしてチノはドアを閉めた。
「チノちゃん!?」
「なんでさ!?」
「うぅっ......レイちゃん......」
「......分かったよ。一緒に行こう?」
「やったぁ!」
こうして僕はココアに着いていくことになった。そして僕たちは、シャロの家に向かってる。シャロはベッドに倒れてる。
「疲れた......流石にバイト詰め込み過ぎた......明日に備えて休まないと......」
そしてココアはシャロの家のドアの前に立つ。
「シャーローちゃーん。あーそーぼー」
「小学生かな?」
「し......死んでしまう!」
「私と遊ぶと!?」
疲労困憊なんだな......。今度は隣の甘兎庵に来店した。
「ココアちゃん、レイくんいらっしゃい。どう?似合うかしら?甘兎庵浴衣週間!」
花柄の浴衣を着ている千夜。
「似合ってるよ」
「うん!とっても可愛い!」
「ココアちゃんも夏スタイルはまり過ぎ!」
「千夜ちゃんは遊べないよね?」
「ごめんね。でも、ちょっと気が早いんじゃ......あら?」
まぁ、気が早いとは思う。千夜はココアが持ってる虫取りカゴに何かある事に気付いた。
「それって......」
「虫取りカゴだよ!」
「それは分かるけど......あら~楽しそう」
虫取りカゴにティッピーが入ってる。ティッピーは鼻歌を歌いながら楽しそうな表情をしてる。苦しくないのだろうか?次に向かった場所は、リゼのお屋敷だった。
「リゼちゃんなら私の気持ち分かってくれるよね」
「まぁ......うん」
インターホンを押すココア。
「リーゼーちゃん」
インターホンを押したが、反応は無し。
「あーそーぼー!」
「待て待て待て待て待て待て!」
今度はインターホンを連打する。すると使用人の声が聞こえた。
「ちょちょちょおやめ下せぇ!お嬢は明日の準備で大忙しで......」
まぁ、リゼは忙しいだろうなぁ。
「準備って何?戦争?良いよ!付き合うよ!」
「それは違うよ」
「いやひでぇ誤解だ......とにかく今日は無理ですのでお引き取りを......」
その後、道を歩く僕たち。
「兵士を育てるのは戦場なのに......」
「訓練が最も基礎を作るんだよ?」
すると目の前に青山先生が走って来た。
「あらーココアさんにレイさん!丁度良かった......少し付き合ってくれますか?」
「青山さんも暇なの!?」
「いや......そうじゃなさそう」
「こらー!」
後ろから担当さんが走って来た。
「見つけましたよ先生!」
「あのー、僕伯方です~。ぶつかった拍子に魂が入れ替わ———」
しかし、そんな言い訳は効かなかった。担当さんは青山先生の腕を引っ張って連れて行った。
「あの......まだセリフが......」
「締め切り2週間と3日も過ぎてますよ!」
「17日も過ぎてるんかい」
夕方になり、僕たちはラビットハウスに帰って来た。
「ただいまー......」
「ただいま帰りました」
ホールにタカヒロさんがいた。
「おかえり。そうだココアくん」
「ん?」
するとタカヒロさんは、ココアにコーヒーメーカーを差し出した。
「これを持って行きなさい」
「コーヒーメーカー?」
ココアはコーヒーメーカーを受け取る。
「これで、チノを支えてやってくれ」
「わ、私に出来るでしょうか!?」
「笑顔にさせるのは、君の仕事さ」
「はい!」
「レイくんも、チノを支えてやってくれるか?」
「無論です。あの子は僕にとって、妹のような存在ですから」
夜が過ぎて、翌朝。朝に目が覚めたココアは、ある声を耳にした。
「おっはよー!」
「おはようございます!」
それは、みんなが挨拶してる声だった。ココアが外を見るとみんなが集まっており、外に出た。
「この集まりは何かな......?」
「ココアちゃんまだパジャマなの!?」
「早く着替えてらっしゃいよ!」
「今日から泊りがけで!」
「山に遊びに行くんでしょ!」
「そうなの!? 私の気持ちがみんなに通じたんだ~!」
「何のこと?」
「えっ?」
「今日と明日、みんなで山に遊びに行こうってリゼちゃんが誘ってくれたでしょ?」
「リゼちゃんのお誘い?」
「招待状が来たでしょ?」
「招待状?」
「これだよー!」
みんながココアに見せたのは招待状が入った1枚の封筒だった。僕とリゼとシャロがあのときポストに投函したのは招待状だったのだ。しかし———
「招待状なんて来てない......」
「えっ!?」
「私が誘っても誰も......なのにリゼちゃんの一声でこんな......!もー!何なのみんなー!もー!もー!」
牛みたいにココアが怒った。
「ココアちゃんが牛みたいに!」
「引き籠っちゃうからー!」
「グレたー!?」
部屋に猛ダッシュするココア。僕とチノを通り過ぎて。
「「ココア(さん)!?」」
丁度外では、リゼがジープに乗って来た。
「お待たせー!」
「リゼー!助けてほしいんだけどー!」
「レイ?どうした?」
ココアの部屋の前に僕たちが集まってココアを説得する。
「おーい、もう行くぞー!」
ノックするが出て来る気配は無い。
「今日のこと知らなかったみたい」
「まさか!? ココアにだけ招待状届いてなかったのか!?手紙って届いて当たり前だと......」
「何処かで郵送ミスでも起こったのかな?」
「いや、そんなはずは......」
するとチノは、1枚の手紙を持って来た。
「いいえ届いてます。ココアさんの制服のポケットに入れっぱなしに......」
「見てないだけか......」
「自業自得じゃないか」
ココアがただ招待状を読んでなかっただけだった。
「でもどうしてあんなに怒ったのかしら?」
「昨日ココアが誘いに来てたような......」
「あっ!私もボトルシップに夢中になり過ぎて、あまり構ってあげられませんでした......」
罪悪感が芽生えてしまったチノ。
「ココアちゃんココアちゃん。どうか気を静めて出てきて下さい......」
「やっぱ生贄が必要なんじゃね?」
「生贄!?」
「生贄......じゃ......じゃあ私を好きなだけモフモフして良いから......」
するとドアが少し開いた。
「よ~し、1人ずつ入っておいで」
「全員かよ!」
「僕も!?」
「じゃ......じゃあ私が!」
「待てメグ!お前には荷が重すぎる!」
「ほ......本当に出て来てよ!ココアがいないと逆に落ち着かないわ!」
「私だってココアがいなければこんな計画思いつかなかった!」
「でも私が一番ココアちゃんだーい好き!」
「「なぁ!?」」
「千夜!裏切ったな!?」
「私もみんながだーい好き」
「なら出て来い!」
「いい加減にしてください!」
「私たちは何する?」
「漫才とか?」
......仕方ない。僕がドアの前に立った。
「「レイ?」」
「レイくん......」
「お兄ちゃん......」
「レイ兄......」
「レイお兄ちゃん......」
そして勇気を出した僕はココアを説得する。
「コ......ココアー!あーそーぼー......」
「良いよー!」
突然着替えたココアが部屋から出て来た。
「......全く」
こうして元気になったココアとみんなが外に出た。
「私がみんなに本気で怒る訳無いよ!」
「えぇ!?」
「しょうがないやつめ......」
本当だろうか?そこにチノが、クロスワードの本を持って出て来た。
「あー、チノー!アウトドアなのにインドアなことを!」
するとココアがクロスワードの本を取り上げた。
「だーめ!没収だよー!」
「そ、そうですよね......」
軍用車に乗る僕たち。ジープが出発した。タカヒロさんはみんなに手を振って見送る。
「行ってらっしゃい!」
「気を付けてなぁ......」
タカヒロさんとティッピーの声を後に、車は街を出た。
「コテージってどんなかな?」
「楽しみだねー!」
チノはこの街を離れるのは初めてだと言う。チノが自分の頭に手を当てる。
「私、アウトドアなんて楽しめるのかな?」
するとココアが、チノの頭に麦わら帽子を被せた。
「ココアさん?」
「えへへー」
「ありがと———」
「クロスワード解けたよ!」
没収したクロスワードをやってるココア。
「あー!また解けた!」
「......」
何やってんだか。それにしても———
「こんなときでも将棋盤と駒を持って来ているのは、僕が将棋を捨てきれない証拠か......」
愛用の盤と駒ではないが、プラの盤と駒を持って来ているのは根っこまで将棋に支配されている証拠だな......。
伯方 玲の語られざる過去10
2020年12月24日、竜皇戦七番勝負3勝4敗により挑戦失敗。竜皇戦1組昇級。
2021年2月15日、公共杯初優勝。
同年3月7日、棋帝戦五番勝負3勝0敗により棋帝奪取。棋帝初獲得。
レイの弟子になるのは誰?
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ココア
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チノ
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リゼ
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千夜
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シャロ
-
その他
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誰も取らない