〔1〕
リゼの招待で山に出掛けた僕たち。山に到着し、川が流れてる岩場を見渡す。
「す......凄いです......まさに自然の脅威です!」
「綺麗だね......」
デジカメで撮影するチノとスマホで撮影する僕。
「大自然だー!この雰囲気実家に帰って来たみたい!」
「えっ!? 実家ってこんな山奥だったの!?」
「へぇー!」
「「素敵な所にあるんだね(ですね)」」
「うん!レイちゃんもチノちゃんもいつか連れて行ってあげる!お母さんもお姉ちゃんも大喜びだよ!」
「是非とも連れてってほしいな」
「あ......ありがとうございます......」
チノはうつむいて顔を赤くした。
「おーい行くぞー!」
「あっ!うん!行こうレイちゃん!チノちゃん!」
ココアは僕とチノに手を差し伸べる。
「うん、行こう」
「......はい」
ココアの手を握る僕とチノ。そして目的地のコテージに到着した僕たち。コテージの中はとても広かった。
「素敵なコテージねー!」
「親父が好きに使って良いって」
「映画みたい!」
「お人形さんの家のよう!」
「早く探検しに行こうぜ!」
「たくさん遊びたいし、バーベキューも楽しみだね!」
「良いね。やる気になって来たよ!」
「食料とかは、親父が用意したって言ってたから」
早速リゼが食料が入ったクーラーボックスを開ける。その刹那———
「のわあぁぁぁぁぁ!?」
「What!? どうしたのリゼ!」
「大変だ!いきなりとんだハプニングだ!」
「どうしたの?」
「クーラーボックスが空だ!」
「「「「「「「えぇぇぇぇぇ!?」」」」」」」
なんと、クーラーボックスの中は何も入って無かった。
「携帯は圏外だし、近くの街までは20kmはあるし......」
「僕が走ったとしても往復で6時間は余裕でかかるね......。僕の体力を考慮しなければ」
流石に僕もそれはキツい。楽しみにしてたチノがガッカリした。
「だ、大丈夫だ!食糧は我々で調達しよう!」
「急にサバイバルに!?」
「心配いらないよ!実家で大自然に鍛えられた私と!」
「しょ......食糧のやりくりに......!」
「「鍛えられた私たちがいればね!」」
「なんとかなるよ!」
......大丈夫だろうか。
「チノー!釣りしよう釣り!」
「あ、はい」
「私は山菜採りに行ってみたいなー!」
「じゃあお供させてもらおうかしら?カゴか何か探しましょ?」
「はーい!」
「よーし!大物釣るよ!」
「僕にお任せあれ」
「たくましい小隊を持てて嬉しいよ......!」
涙を拭くリゼ。
「「いつ小隊になったの!?」」
「リゼちゃーん!チェーンソー見つけたんだけど、持って行った方が良いかしら?」
「何を狩るつもりだ!?」
「千夜は某大量殺人鬼になるつもりかい!?」
こうしてそれぞれ分かれて食料を調達する事に。山菜採り組は千夜とメグちゃんの2人。
「あまり遠くに行くなよー?」
「心配かけないようにしなきゃ」
「ねー」
「昔よくやんちゃしてお姉ちゃんに心配かけて怒られたなぁ」
「そうなんですか?」
「三輪車で山越えしようとしたりして。あの頃は若かった......」
......今とあまり変わらない気がする。
「今日はモカさんの代わりに僕と」
「私が怒りますね」
「怒られる前提なの!? レイちゃん、チノちゃん待ってー!」
釣り組も早速出発した。山の中にある川に到着した。
「よーし。この中で釣りの経験者は?」
「はーい」
「「「「......」」」」
僕が手を上げた。しかし、ココアたち4人は未経験者だった。
「レイはまだしも、お前ら任せろって言ったじゃないか!」
「何とかなるって!」
「魚をさばくくらいなら......」
「何だ、レイ兄以外素人集団かよ」
「先が思いやられます」
「お前らも初めてだろ......」
「まぁ、何かあったら僕がついてるから......」
釣り開始。ウキを川に投げ込む。
「どっちがいっぱい釣れるか勝負だよ!」
「なんでよ......あっ!かかった!」
「私も!」
2人同時にかかった。魚は抵抗するかのように暴れる。そして———
「「同時!?」」
「おぉー!」
2人同時に魚を釣り上げた。そして釣れた魚をバケツに入れる。
「大きいなぁ......チノ!負けてらんないよ!」
「はい!」
「一緒に釣れるなんて私たち息が合い過ぎだよ!」
「偶然よ!あっ、また!」
「また!」
またもや同時に掛かった。そして———
「「同時!? あだっ!」」
またもや同時に釣り上げた。そして今度は同時に釣り上げた魚が2人の顔に直撃した。
「さっきから仲が良いのか悪いのやら」
「ねー」
余裕で魚を釣り上げた僕とリゼ。
「わ!かかった!リゼ、レイ兄どうしよう!ヤバーイ!」
「落ち着け。慌てずにそう、ゆっくり引き上げて」
リゼに教えられた通りにマヤちゃんが竿を引く。そして釣れた。
「やった!人生で初めて釣った魚だよ!レイ兄、こいつと一緒に写真撮って!」
「おっけー」
僕はスマホでマヤちゃんと魚を撮る。釣れた魚をバケツに入れる。
「ふふーん!」
するとマヤちゃんが木陰に座った。
「はぁ~......大満足......もう釣りは良いや」
「おい!」
「飽きちゃったよ......」
「マヤちゃんリゼ先輩に怒られるから......」
「撮ってあげたんだから次は私も撮れよ!」
「そこなんですか!?」
「しかも撮るの僕だし」
その頃、チノは苦悩していた。
「チノ、どんな感じ?」
「お兄ちゃん......私だけ釣れません......」
「ふむ......何か良い方法は無いのかなぁ?」
「良い案があるよ!」
「ココアさん?」
「何するんだい?」
するとココアが後ろから僕とチノに抱き付く。
「こうするの!私のパワーを分けてあげる!」
「意味ないと思いますが......」
「なんで僕まで......」
「レイちゃん、チノちゃんモフモフ~!」
「それどころでは......」
「ココア〜?」
するとチノの竿が引っ張られた。
「来たよチノ!」
「せーのっ!」
竿を上げると、魚が釣れた。
「釣れたー!」
「まさか過ぎる!」
「楽しい?楽しい?」
「納得いきませんね......」
「あはは......」
恐らく独力で釣りたかったのだろう。チノは粘ってる。
「私たちは釣り場を変えるけど、チノちゃんはどうする?」
「ここで粘ります!」
「じゃあ後でね」
「僕はここにいるよ」
「お兄ちゃんがいれば百人力です!」
「上流の方が釣れるかしら?」
ココアとシャロは上流へ向かう。僕とチノは粘る。しかし、数分経ってもチノの竿に反応は無い。
「チノ......」
「お兄ちゃん......全然反応がありません......」
「なんでだろう?僕は釣れてるのに......」
段々暑くなってくる。せめて日陰に移動した方が良かっただろうか。チノが額の汗を拭くと、被ってた帽子が落ちた。
「あっ!」
チノが被っていたココアの帽子は川に流された。帽子を追い掛けるチノ。それに気付いた僕がチノを追い掛ける。そしてチノは川に入った。
「チノ!?」
川に入ったチノが帽子に近付く。僕も川に入る。
「待って!待って!待って!」
「危ないよっ!あぐッ!」
僕は躓いて足を怪我した。そして、チノが帽子を取った。
「やりました!う、うわっ!」
帽子を取れたチノ。だがしかし、川に流されていく。
「岸に......!」
「チノ!僕の手を!」
「お兄ちゃん!」
チノは僕の腕を掴んだ。僕とチノは近くの岸に上がった。
「チノ!大丈夫!?......んぐッ!」
「はい......ココアさんの帽子が取れました......」
「良かった......ッ!」
「だ、大丈夫ですか......?」
「大丈夫、ちょっと足を怪我しただけだから......」
「よいしょ......お兄ちゃん、戻りましょう」
「......ねぇチノ、僕たち、かなりマズい場所に来てしまったみたい......」
「えっ?」
それを聞いたチノが周りを見回すと、僕の言葉を理解したかのようにガクガク震えた。
「な、中州!?」
なんと僕とチノは中州に上がってしまったのだった。
「チノを背負って戻ろうとしても、今の僕の足じゃ不安だ......」
遠くにリゼとマヤちゃんの姿が見えた。......そうだ!
「チノ、手を振ろう!向こうの2人に知らせるんだ!」
どうやら2人は気づいたみたいだ。
「あ!チノとレイ兄があんな所に!」
僕とチノは2人に助けを求めて手を振ってるが———
「やっほー!チノー!レイ兄ー!」
「レイとチノが中州まで行くなんて珍しくアクティブだな」
「そうだね!」
「自然には人を大胆にさせる力があるんだな!」
「それは違うよ!」
2人は助けを求めてるのに気付いてない。どうやら僕の声は2人に届いていないらしい。今度はチノがジャンプしながら手を振る。
「私も来いって?しょうがないなぁ!」
「なんでさ!?」
何故かリゼが服を脱いで2人の所まで泳ぐ。その後、リゼがチノを引っ張って助けた。僕も苦労しながらチノを後ろから押して向こう岸に着いた。
「チノー!大丈夫!?」
「はい......」
「まさか戻れなくて困ってたとは......」
「あ、ありがとうございました......リゼさん......」
「ごめんねリゼ。僕が足を負傷していたから......」
そのタイミングでココアとシャロが戻って来た。
「釣り対決は私の勝ちだね!」
「だから勝負とかしてないし......ん?」
2人が岸に僕たちがいる所を見た。
「服のまま泳ぐなんてはしゃぎ過ぎです!」
「完全には否定出来ない......」
「川に入った!? どうして泳げないのにそんなこと......」
「ココアさんの帽子が川に流されてしまって......あっ、でもやりました!どうです?さっきのより大きいんですよ?それにこんなに元気です!」
帽子の中には魚が入ってた。その魚はさっき釣れたのより大きかった。するとココアがチノの額にチョップした。
「痛っ!?」
「帽子よりも魚よりもチノちゃん大事!」
「は......はい......」
「それはそう」
「無茶な事しちゃ駄目」
心の底から反省するチノ。だがしかし———
「でも一番駄目なのは一瞬でもチノちゃんから目を離してしまった私!」
「私、赤ちゃんじゃないんですから......そこまでじゃないですから!」
自分の頭に何回もチョップするココア。
「おい、自称姉、何してるのさ」
「お兄ちゃんなレイちゃんには分からないよ!」
「その理論は色々おかしい」
すると今度はマヤちゃんが川に溺れていた。
「「マヤ(ちゃん)!?」」
「私が!」
今度はシャロがマヤちゃんを助けた。
「マヤちゃん大丈夫!?」
「水着、下に着てたから泳いでたの」
「なぁ!?」
「この裏切り者ー!」
マヤちゃんは溺れてたのではなく、泳いでただけだった。
「何だとー!?」
リゼがバケツに水を入れてマヤちゃんにかける。
「1人だけちゃっかりした裏切り者め!シャロも怒ってやれー!」
「私も下に水着着てるんです......何かあったらと......」
「「君(お前)もか!」」
実はシャロも水着を着ていた。そこに山菜採り組が戻って来た。
「あそこー!」
川で遊んでる僕たちを見つけた。
「私からもお仕置きだよー!」
だがマヤちゃんはチノでガードした。
「巻き添い!?」
「チノー!?」
今度はやり返された。
「やり返された!」
「もう!マヤちゃんったら......ってチノちゃん!?」
「うにゃー!?」
マヤちゃんではなく、チノがやり返した。......主に僕に。
「あっ......つい勢いでお返しを......」
「やんちゃチノちゃん!どんと来ーい!」
「遠慮しなくて良いのよー!」
「もっとやれー!」
「「やれー!」」
「いや、被害者僕だからー!」
「......」
だがチノは引いていた。
「引いてるぞー」
「「私たちも!」」
「突撃~!」
「まぜて~!」
「あっ!おかえりー!」
「どうだ?きのこ採れたか?」
「大量よ~!」
カゴの中は毒きのこだらけだった。
「Oh......」
「それ毒きのこ~!」
「正しいツッコミありがとう~!」
「全然ありがたくないわよ!」
「ねぇ、ここでスピンしたら竜巻起こせるのかな?」
「えっ?」
「失敗したら水かけ総攻撃ね」
「えー!?」
「待て待て待て待て待て待て」
「......大自然よ!私に力をー!ナチュラルリバーモーメントー!」
「ほにゃあぁぁぁぁぁ!?」
高速スピンするメグちゃん。水が周りに飛んだ。水遊びをした後、服を乾かす。シートの上で寝るココアたち。
「焼き魚美味しかったねー」
「私のおにぎりはどうだった?」
「持って来てたって言うの遅過ぎ......」
「でも美味しかったよー!」
「倉庫に保存食もあったしー。夕食もどうにかなりそうだな」
「食後に横になるなんて、だらしないかしら?」
「レイ以外だーれも見てないし。たまには良いだろう」
するとココアが起き上がり、カメラで撮った。
「だらしないみんなの姿いただき!さらば!」
「こらー!」
「消せー!」
ココアを追いかけるシャロとリゼを撮る千夜。
「何してんのさ」
「うふふ♪」
「ハプニングいっぱいだね~」
「食料が無かったり水遊びになったり」
「ココアさんに怒られたり」
「えー!? 何か悪い事したの!?」
「チノ、泳げないのに川に入っちゃってさー」
「怒られたっていつもみたいに『も~。ぷんぷん』って感じじゃなくて?」
「そんな感じじゃなかったです......でも......あったかい感じでした」
〔2〕
Side Chino
その夜、唐突に非現実的な出来事が起こった。なんとコテージにゾンビが大量発生したのだ。
「これでも喰らえー!」
ハンドガンでゾンビを倒すリゼさん。
「シャロ!」
「はい!」
リゼさんから受け取った銃でシャロさんがゾンビの頭部を撃ち抜く。
「容赦しないわよ!」
チェーンソーでゾンビを脅す千夜さん。
「うりゃ!とりゃ!全くキリが無いな!」
プラ将棋盤でゾンビを殴り殺すお兄ちゃん。マヤさんとメグさんを守るココアさん。バットを持ってる。
「ここは私が!チノちゃんを頼んだよ!」
「は、はい!」
するとゾンビがココアさんに襲いかかる。そしてココアさんの首に噛み付いた。
「「ココアー(ちゃーん)!」」
噛み付かれたココアさんはそのまま感染された。それを聞いた私は恐怖した。
「って事になってるんだ」
「レイお兄ちゃんたちがゾンビ軍団に応戦してるけど時間の問題だよ......」
「ゾ......ゾンビ!?」
「早く逃げないと!」
「......身動きが取れない......」
逃げようとしても動けない。
「あれ......寝袋......?確か私木陰で横になってたはずじゃ......」
身動きが取れない理由は寝袋に入ってたためである。
「うぅ......」
するとメグさんが苦しむ。
「まさかさっきゾンビにやられた傷で感染!?」
「く......食っちまうぞ~!」
寝袋に入ったままテントから逃げる私。しかし、お兄ちゃんたちは平然とバーベキューをしていた。
「あっ!チノちゃんが起きたわー」
「ぐっすり寝てたから寝袋に移動させてやったぞ」
「こっちおいでよチノ。バーベキューしようよ!」
「あの......」
「ん?どうしたの?」
「ゾンビが......」
「「ゾンビって?」」
「みんなゾンビに......」
「何言ってるのチノちゃん。私たちがゾンビになる訳ないよ~」
振り向いたココアさんの顔には、赤い物が付いてた。血だ!私はその恐ろしさに思わず気絶してしまった。
Side Out
チノへの誤解が解かれてバーベキューを始める。
「ごめんチノちゃん!焼きマシュマロで許して!」
「いただきます」
「さささっ!」
「どうしてコテージを使わないんですか?」
「それが、電気が点かない上にベッドが足りなくて......」
「テントと寝袋があったからもうこっちで良いや、って」
「お兄ちゃん、足は大丈夫ですか?」
「うん。もう完治したから走れるようにもなったよ」
「みんなごめんな、食料が無かったり、電気が点かなかったり、ハプニングだらけで......誰の仕業か心当たりはあるけど......もっとのんびりした休日を想像してただろ?」
「「「もっとハードなの想像してたから大丈夫!」」」
『ワニを捕獲したぞー!』
ワニを捕まえたリゼを想像する3人。なんだろう、僕もそんな予感はあった。
「そうなのか!?」
「まぁ、こうしてサバイバル体験が出来たし良いんじゃない?」
するとメグちゃんが眠たそうにあくびをした。
「そろそろ寝ましょうか」
「待ってよー!寝るの早すぎ!」
「マシュマロもこんなに残ってるぞ!」
「その通り」
ココアは懐からタカヒロさんから受け取ったコーヒーメーカーを出した。
「コーヒーメーカー!」
「ここで使うの!?」
「寝かさない気だな!」
チノは安心したかのようにホッと言った。そしてコーヒーをみんなで飲む。
「お店から持って来たのか?」
「うん!リゼちゃんもどうぞー!」
「うちのコーヒーの味......」
「美味しいー!」
「タカヒロさん......予見していたのか......?」
「一番最初に寝た人は罰ゲームだよ!」
「罰ゲームって......」
「罰ゲーム!? 楽しそう~!」
「Oh......」
既にカフェイン酔いしてるシャロ。
「もうカフェイン酔いしてるわ」
「シャロが可哀想だよ......」
「火を囲んで踊るわよ!ヘイカモン!ほらみんな、マイムマイムするわよ!」
そして全員火の周りに立って手を繋ぐ。
「マイムマイムってどんなだっけ?」
「さぁ......」
「知らないのかい」
「適当に回れば良いんだよ!」
「レッツゴー!」
そして全員高速でスピンするかのように回る。
「どう?チノちゃん楽しい?」
「凄くバカみたいです!」
「間違い無い」
「それが良いんだよ~!」
そして千夜はクラクラしていた。
「千夜がやばい!」
「大丈夫......みんなのためにも死んでもこの手を......!」
「既に死にそうです!」
「目が回るよぉ!」
「じゃあ一斉に手を離すよ~。せーの!」
同時にみんなの手が離れて、飛ばされた。千夜は後ろに飛ばされたが見事に立った。僕も危ないところだった。
「クルクルクルー......」
ただメグちゃん1人だけが回っていた。
「勝者メグー!」
何に勝ったのか分からないがメグちゃんの勝ち。
「あっははははは!この休日凄く楽しいよ!レイー!」
シャロがいきなり僕に抱き付いた。
「ちょっ、シャロ......」
「私もです!」
「リゼちゃんのお陰だわ」
「ありがとう!」
「そうだね。リゼ、今日は本当にありがとう」
するとリゼが嬉しそうに泣いた。
「良かった......」
「嬉し泣きだー!」
その夜もみんなで楽しむ。
「よく考えると高校生組と遊べるって不思議な感じ」
「私たちに合わせてくれてるんだよ~!」
「出来た~!二刀流マシュマロで最強モード!」
「こっちは2倍刺しだぞ~!」
「わ......私は理想の焼き加減」
「僕はさっきの全部てんこ盛り」
「「「ズルい!」」」
それぞれのマシュマロを見せる。
「そろそろ男爵の金脈が食べ頃ね」
アルミホイルの中からじゃがバターが出て来た。
「じゃがバター!?」
「そんな兵器が!」
「お恵みをー!」
「本当に年上なのかなぁ?」
「はしゃぎ過ぎです」
「そんなところも憧れるよ~」
すると夜空に流星群が降って来た。
「あっ!流星群!」
「願い事......!またみんなで......みんなで遊べますように!」
願い事を言ったチノに微笑むマヤちゃんとメグちゃん。
「あの......願い事言えたら叶うって本で読んだ事が......私だけ......?」
「ううん。そうじゃなくて」
「また一緒に遊びたいね!」
「......はい!」
流星群は止まらない。
「お姉ちゃんを超えられますように!」
「甘兎庵世界進出~!」
「お腹いっぱいメロンパン!」
「玉座戦挑戦して打倒、師匠!」
僕たちの願い事を聞いて呆れたチノたち。
「今回ハプニングを仕掛けた犯人にちょっと罰が当たりますように!」
「根に持ってる!」
「当然!」
「でもコテージにいたらこの星空は見られなかったよ」
「それもそうか!」
翌朝、太陽が昇って来た。僕たちの顔にケチャップが付いてた。
「朝日が綺麗ー!」
「マメちゃんたち(マヤちゃん・メグちゃんコンビ)はまだ寝てるわね」
「たくさんはしゃいだもの。何か顔にケチャップって笑えるわねー」
「同じゾンビのドッキリなんて効くかしら?」
「ココアなら驚くだろう。まぁ一番早く寝た奴が罰ゲームって約束だからな」
「僕が一番リアルに加工されてるんだけど」
ココア以外全員顔にケチャップを付けていた。先に寝たココアへのドッキリだと言う。寝てるココアの横には、顔にケチャップが付いてクロスワードを読んでいるチノが座っていた。しばらくして、寝ていたココアが目を覚ました。
「チノちゃん、おは———」
「がお〜!食っちまうぞ〜!」
ゾンビになりきってるチノにココアが怯える。
「「「ココアァァァァァ!」」」
今度は3人がココアに襲い掛かる。
「きゃあああああぁぁぁぁぁ!」
ココアが超高音(hihiF)で叫んで外に逃げる。ココアは1人佇んでいる僕の背中を視界におさめる。
「レイちゃん!助け———」
「オマエヲコロス......」
「レイちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!?」
今度は顔にケチャップが付いてる僕が振り返ってココアに襲い掛かる。ココアは超高音(hihihiA)で叫んでパニックになりながらその場を逃げ惑う。全員が笑う。こうして楽しいキャンプを満喫した僕たちであった。
〔3〕
帝位戦第一局。今回の対局相手は鏑木八段。戦型は相掛かりとなり、乱戦模様になるも千日手発生。元々僕が先手だったが今度は僕が後手になり、鏑木八段が先手となる。戦型は雁木となり、防御陣を組んだところで1日目が終了。残り持ち時間は僕が4時間33分、鏑木八段が5時間12分だ。
「あの日の体験をどこかで活かせないかな......そうだ!」
封じ手を書く際に僕はあることを思いついた。翌日、2日目開始。
「封じ手は4五桂です」
先にこちらから奇襲する作戦を構築した。これが鏑木八段にクリーンヒットし、鏑木八段の雁木が崩壊。あとは23手詰めの状況を作り出し、終わりだ。
「......負けました」
「ありがとうございました」
そこから数手後、鏑木八段は投了。これで帝位戦は僕の1勝で幕を開けた。
「お疲れ様でした、鏑木さん。良い一局が指せました」
「お疲れ様。......名人様には遠く及ばないな」
「そんなことは。僕自身にも反省の多い一局でしたから」
「......君は白井すらも軽く超えてしまいそうだな」
......そうだろうか。正直言って彼に勝てたのは運が良かったからだ。実力は未だ彼には遠く及んでいない。彼の領域に至るには......まだ......。
「......た君、伯方君?大丈夫か?」
「あっ、すみません。少々考えごとを」
「いやー白井をぼくが永世竜皇にしちゃったし、そろそろ二十世名人も誕生しそうだな」
「......それが自分であれたらどれだけ名誉なことでしょうか」
......残り2期で永世名人か......考えたことも無かったな。永世八冠への道は未だ遠い......。
伯方 玲の語られざる過去11
2021年11月21日、金冠杯初優勝
2022年2月12日、玉将戦七番勝負4勝0敗により、玉将初獲得。
同日、タイトル通算2期獲得により、八段昇段。
同年3月30日、タイトル通算3期獲得により、九段昇段。
レイの弟子になるのは誰?
-
ココア
-
チノ
-
リゼ
-
千夜
-
シャロ
-
その他
-
誰も取らない