〔1〕
夜、とある美術館。多くの警官達が厳重警備に当たっていた。
「ん〜......」
厳重警備に当たっている理由は「今宵、ローズヒップ・ルビーを頂戴します」と怪盗ラパンからの予告状が届いたからである。
「ふんっ。例えラパンと言えど、この警備を掻い潜れる訳が———」
その刹那、ローズヒップ・ルビーから突然花吹雪と煙が噴射された。
「なっ!?」
煙が晴れると、宝石がカードにすり替わってしまった。
「っ!?」
廊下から走る足音が響いた。
「外だ!」
美術館を出ると。
「お待たせしたわね!みなさん!」
美術館の屋根の上にライトを照らした。月をバックに現れた怪盗ラパンが立っていた。
「怪盗ラパン参上!ローズヒップ・ルビーは頂いたわ!」
「くぅ......!捕まえろ!」
「ロイヤルストレートフラッシュ!」
トランプのカードを警官達に投げた。すると警官達が一気にメロメロに陥ってしまった。
「これで警部さんたちのハートは私のもの。私に盗めない物はないのよ!みなさん、ごきげんよう!」
「待てぇぇぇぇぇ!ラパーーーーーン!」
『見事、我々の心を盗んだラパン。あぁ、美しき怪盗よ。明日は何処に現れる?』
〜See You〜
「今週も面白かったね!怪盗ラパン!」
「なかなか興味深いものがあるね」
僕とココアとチノが観ていたのは「怪盗ラパン」と言うアニメだった。
「盗むのって、物だけじゃないんですね」
「宿題忘れてた!」
「僕はもう終わっているぞー」
「おのれラパン!私の時間を盗むとは!」
ココアは急いで宿題しに走った。
「「自業自得だよ(です)」」
Side Sharo
私は怪盗ラパンのBlu-rayディスクを持ってベッドの上で仰向けになっていた。
「借りて来たのは良いけど......テレビが無かった......」
私の家はテレビが無かったのだ。そこに千夜が入って来た。
「シャロちゃーん。ホラー映画でも観て涼みましょ?」
「ウチじゃ観れないわよ」
「百物語やりましょ?」
「気分じゃないわ」
「肝試ししましょ?」
「毎日毎日しつこいわよ」
「臆病になったものね」
「ずっと断ってるけど!」
とりあえず千夜を家にあげる。
「そもそも何なのよ?その格好は?」
「フフッ。甘兎庵は今、ホラー週間なの。うらめしや〜」
「そ、そんなもので怖がる訳......」
「「きゃあぁぁぁぁぁ!」」
「「ん?」」
外では。
「まさか!甘兎庵の隣にあったなんて!」
「兎小屋......壁のつた......特徴が一致し過ぎてるよ!」
「街で噂の幽霊小屋だ!」
マヤちゃん!? メグちゃん!?
「私の家ーーー!」
「えっ?シャロ?」
「シ、シャロさん後ろ!幽霊が!」
「ん?」
後ろに振り向くと。
「ギャアアアアア!」
正体は千夜だった。驚かせるな!私は2人を招き入れた。ワイルドギースはマヤちゃんに撫でられてる。
「いつの間にか......家が街の心霊スポットになっていたなんて......」
「学校で噂になってるよ?辺りに漂う、獣とハーブの匂い。夜、そのオンボロ小屋の前を通ると......中から女の子の啜り泣く声が聞こえると言う......」
『止めて......止めて......そのハーブだけは......止めてぇぇぇ!』
「そんな噂が......」
「それと、私たち2人を誘いに来たんだよ?」
「「えっ?」」
「2人と同じで、私とマヤちゃん幼馴染なの。この4人で遊びたいな〜って」
「そうそう!幼馴染ペア同士、冒険に行こうよ!」
「ぼ、冒険?」
「まぁ!楽しそう!どう?シャロちゃん」
「今から?ん〜......しょうがないわね。良いわよ」
「本当!?嬉しい!」
「その話、聞かせてもらった!」
私の家のドアを開けたその正体は———
「レイ!?」
なんとレイだった。
「興味が湧いたから僕も参加させてもらおうか」
「レイがいるなら百人力ね!」
「むぅー......シャロちゃんのおバカ......」
何か千夜が言ってたような気がしたが、私の耳には入らなかった。
Side Out
冒険の舞台は山。その山は不気味を醸し出しており、真っ暗で何が出るか分からない場所。マヤちゃん&メグちゃん組が先導する。
「うぅぅぅ......」
「......」
「何とか上手く誘えたね」
「うん。良かった」
「そう言えばマヤちゃん、メグちゃん」
「「ひゃっ!?」」
「な、何!?」
「......2人って双子みたいに仲良しさんね」
「確かにね」
「双子......?」
「真逆のタイプだよ!千夜とシャロだって、真逆のタイプだよね?」
「「ん?」」
「ホラ!髪型とか!千夜とメグはロングだけど、私とシャロはミディアムレアだし!」
「お肉の焼き加減?」
「人を焼くのは趣味じゃないなぁ......」
「大きさも全然違うじゃん!」
「っ!?」
「確かにそうだね」
「レイ!?」
2人は互いに身長が違うコンビだ。それでも仲の良さはトップクラスだろう。
「マヤちゃん!ハートが大きければ良いのよ!」
「ん?うん!ハートはでかく行こうね!シャロ!」
「よく分からないけど楽しそう!」
「ね〜」
「......?」
シャロは何か勘違いをしていないだろうか?しばらく進むと、看板があった。
「それじゃあ!肝試しの説明するよ!」
「ん?」
「えっ!? 肝試し!?」
「この先に小屋があるから、一周して帰って来よう!」
「肝試しって言った!?」
「私たちが先に出発するから、レイお兄ちゃんたちは少し待ってスタートしてね!」
「は〜い!」
「今肝試しって言ったよね!?」
「......間違いなく言ったね」
少ししてからマヤちゃん&メグちゃん組が出発した。そして、千夜&シャロ組(with 僕)がスタートした。
「肝試しじゃない......これは冒険......私たちを待っているのは夢とロマン......」
「まぁまぁ、何かあったら僕が守るから......」
「あははははは!」
遠くからマヤちゃんの笑い声が聞こえ、シャロが元気になった。
「あっ!マヤちゃん楽しそう!」
「あの子は恐怖を手懐けているだけよ?腹を括りなさい。シャロちゃん」
木陰にリゼが水鉄砲を持って隠れている。なんで知ってるかって?僕もグルだからだ。
「よし、作戦通りだな」
僕の視線を合図に、リゼは水鉄砲を僕たちに照準を合わせる。
「3人とも覚悟しろ」
水鉄砲を発射。
「クシュン!」
しかしタイミング良く千夜がくしゃみをし、水がシャロの顔に直撃した。
「ん?」
再度リゼが発射。だが千夜がカラスの鳴き声を聞いて止まり、今度は僕に水が直撃した。連射するが、千夜の頭に木の葉が落ち、更に三角巾が解けて止まってしまい、全て僕とシャロに命中するばかり。最終的に僕が隠し持っていた水鉄砲で後ろから瞬時に発射したものの、奇跡的に千夜が避け、シャロにヒットしてしまった。
「千夜だけ全然当たらない......」
......どうして?
「あ......雨かしら......?」
「どうしてこんな目に......」
「ん?」
「ま......待ってぇ......」
リゼの呻き声に2人が怯えた。僕も怯えるフリをする。
「......っ!」
「きゃっ!何か、女性の泣き声聞こえない!?」
「聞こえないぃぃぃ!」
「で、でも!」
怯える千夜の手を、シャロが握ってくれた。
「っ!」
「ほら早く!」
「手がビショビショ......」
「全部気のせいよ!急いで!」
「フフッ」
「ん?」
「昔と逆になっちゃったわね。昔は、怖がるシャロちゃんを私が引っ張ってたのに。もう昔のシャロちゃんじゃないんだなぁ〜って」
「当たり前でしょ!私だって少しは成長してるのよ!ワイルドギースとだって暮らしてるし、昔よりちょっとだけうさぎが怖くなくなったし......」
懐中電灯を落として、千夜の両手を握った。すんでのところで僕が懐中電灯を掴む。
「怖がるアンタの手を引っ張って行く事だって出来るんだから!」
「......シャロちゃん......そうね!頼もしいわ!」
「当然よ!」
『立ち去れ〜立ち去れ〜』
「ギャアァァァァァ!」
シャロは怖がって、僕と千夜に抱き付いた。
「シャロ?」
「シャロちゃん、手......」
「怖いー!幽霊ーーー!」
「ん?あれ!」
前方にぬいぐるみに囲まれてるティッピーがいた。
「な〜んだ。ただのぬいぐるみだったのね」
「うさぎ怖いぃぃぃぃぃ!」
「シャロ!?」
シャロは逃げ出してしまった。ティッピーは嬉しそうに頬を赤らめた。......楽しそうですね、マスター。
「イヤアァァァァァ!」
「ま、待ってぇぇぇぇぇ!」
走ってる最中にシャロが石に躓いた。
「シャロちゃん!」
同じく千夜も石に躓いた。そして、2人は目の前の泥の水溜りに転んでしまった。
「うらめしや〜!」
幽霊の姿をしたココアが驚かそうとしたが———
「......?」
泥まみれで恐ろしい姿になった千夜に背筋が凍った。
「「ギャアアアァァァァァ!」」
「......ん?ギャアアアァァァァァ!」
泥まみれで幽霊の2人を見てシャロも絶叫した。
「お、お化け!」
ココアは逃げ出したが、転んでしまった。
「何この状況......」
「おーい!」
「大丈夫ですか!? ココアさ......ん?」
その後、僕たちは2人に訳を話した。
「内緒にしててごめんなさい!」
「全部ココアが仕組んだ事だったの」
「ココアが元凶!?」
「イエーイ!サプラーイズ!」
「イエーイじゃないわよ......もう、レイにリゼ先輩もグルだったなんて......」
「待ってる方も怖かったから、おあいこだ!」
「あはは......」
まぁ、あの山は怖かったよね......。
「そう言えば、チノは何処にいたの?」
「姿が見えなかったけど......」
「私はティッピーに『ここは任せろ』と言われたんです」
「逃げたな?」
「逃げてないです」
「怖かったんだね!? お姉ちゃんが来たからもう大丈夫だよ〜?」
「むしろ今のココアさんの方が怖いです」
「チノ、怖かったなら僕と一緒にいたら良かったのに」
「その手がありました!」
「そんなぁ......」
ナイスアイデアとばかりに目を光らせたチノ。......ちょっとココアが不憫に見えて来た。
「でも、どうして急に肝試ししようと思ったの?」
「最近シャロちゃんが遊んでくれないって、千夜ちゃんが悩んでたから」
「「あっ!」」
「私とシャロちゃんのために......」
「私はサバイバルゲームを提案したんだけどな」
「僕はみんなで将棋トーナメント戦を提案したんだけどなぁ」
「ココアちゃんはソウルメイトよ!」
「良いって事よ!」
ココアと千夜がお互いの手を取り合う。
「それだけでこの肝試しを企画したの!? その行動力は率直に尊敬するわ......まぁ、千夜も楽しめたみたいだし、いっか。私もそれなりに楽しかったし」
「ん?」
「シャロちゃんも楽しかった?」
「ち、千夜も楽しめて良かったって言ったのよ!ほら、暗くなったし帰るわよ」
「はぁ〜い♪」
「今回の作戦、成功なのかな?」
「ん〜......多分、大成功だよ!」
「あれで良かったのさ」
あれが2人のカタチなんだから。
〔2〕
ある日のラビットハウス。
「怪盗ラパン、参上!私に盗めない物は無いのよー!」
「似てる似てるー!」
「あっ!ラパンだ!」
お客さまである少女がココアのラパンのモノマネに反応した。
「狙った獲物は逃がさない!」
「逃がさない!」
「ココアさん、仕事中に遊ぶのは......」
「今は仕事中なんだから我慢しないと」
「あっ!ごめんごめん。レイちゃんもチノちゃんも後で遊んであげるからね」
「それは違うよ」
「そ、そう言う意味じゃないです!」
「その怪盗ラパンって流行ってるのか?」
「大人気です」
「アクションも多いから、リゼちゃんも楽しめると思うよ?」
「原作は青山さんなんですよ?」
本当に青山先生はヒット———
「へぇ〜!青山さんはヒットマンだな!」
「ヒットマンだと狙撃手になるよ......ヒットメーカーでしょ?」
「そう言えば、怪盗ラパンって、何処かシャロちゃんに似てない?」
「外見はシャロさんがモデルだったり......」
「そうだね。僕も最初に観たときはシャロかな?って思ったし」
「ん?あっ!」
「どうしたんですか?あっ!」
窓の外から店内を覗いてる怪盗ラパンの姿が。
「怪盗ラパン!!」
「ヒエェェェェェ!え、ええっとその......わ!私にぬ、ぬ、盗めない物は無いのよぉぉぉぉぉ!」
「シャロ?何してるのさ」
「えっ!? そ、その......」
「何か事情があるみたいだね?良かったらお話聞くよ?」
「僕にも相談してくれると嬉しいな」
「レイ......ココア......」
「ちょっと待って!そのマスク何処で手に入れたの!?私も欲しい!」
「おいこら」
「私の話は!?」
僕たちはシャロを招き入れ、事情を聞いた。
「実は今......フルール・ド・ラパンが怪盗ラパンとコラボしてるの」
シャロは回想する。
『怪盗ラパン!華麗に参上!』
『警部ー!』
『ふわふわ〜!』
『私の営業スマイルが通用しない!?』
回想終了。
「警部、どれだけ人気なのさ......」
「ラパンが主役なのに人気が無いなんて......その、ちょっと責任感じちゃって......」
「ラ、ラ、ラパンとラパンがコラボ!?ラパンとラパンが!ラパンなラパンでパパンとパン!?」
「落ち着いて下さーい!」
ココアがバグった......。まぁ、放っておいても問題ないだろう。
「それで、何でさっきウチを覗いてたのさ?」
「ラビットハウスを覗いてたのは、ココアを観察するためだったの......」
「私を?」
「子どもとも、すぐ仲良くなれるでしょ?」
「あぁ。確かに」
「とにかく人とすぐに仲良くなれるよね」
「普通にしてるだけなんだけどなぁ〜」
「まさかの自覚無し?」
嘘でしょ......?
「心の中に土足で入り込んで馴染んじゃう......その才能が羨ましい......」
「私はお話するのが好きなだけだよ!」
「立派な才能よ!」
「大袈裟だって〜」
「人の心を盗む怪盗ココアだわ!」
「シャロちゃんがこんなに褒めてくれるなんて何か企んでるのぉぉぉぉぉ!?」
「素直に褒めてるの!」
「ココアはシャロをなんだと思っているのか」
落ち込むシャロの両手をココアが握った。
「でもシャロちゃん。無理して私の真似しなくたって良いんだよ?」
「えっ?」
「私には分かる。子どもたちが求めてるのは、ラパンの服を着たお姉さんじゃない!ラパンそのものなんだよ!」
「それは確かに」
「ラパンそのもの!? そんな......どうしたら良いの......!?」
「なるんだよ!シャロちゃんが、怪盗ラパンに!」
その夜。ラビットハウスにて。
「怪盗ラパン鑑賞会!始まるよ〜!」
「鑑賞会?」
「ラパンを研究して、ラパンになりきることが出来たら、子どもにも大人気だよ!」
「ラパンと言うキャラクターを、その魂をシャロちゃんの身体に刻み込むのよ!」
「わ、分かったわ!」
「初めて観るんだけど、楽しめるかな?」
「私も少ししか観た事なくて......分かる範囲で良ければ説明しますね!」
「任せた!」
「ココアー準備出来たよー」
「うん!それじゃあ始めるよー!」
ココアが再生ボタンを押した。始まったのは、何故か時代劇だった。
『血と硝煙の香水を纏いながら、鉄の獣を駆ける男たちがいた』
「ふん!」
男が拳銃を向けた。
「1話は随分と硬派なんですね......」
「好きだなぁ〜、こう言うの」
「ココアさん、違う番組再生してます」
「えへへ〜」
「今度こそ怪盗ラパンを再生するよー」
物語はクライマックスへ。海岸の上の墓に花を手向けてる警部。
「子どもには、本当に寂しい思いをさせてしまっているよ。だが、俺は必ずラパンを捕まえてみせる!君が守ろうとした宝石、マローブルーの涙。ラパンは、その秘密を握っているはずだ」
視聴していると、リゼとシャロに変化が。
「うえぇ〜〜〜ん!」
「くっ......!」
「シャロちゃん!?」
「リゼちゃんまで!?」
「あはは......」
2人が泣いてしまった。
「2人とも、大丈夫ですか!?」
「警部に、こんな過去が......私......奥さんと子供を大事にします......!」
「感情移入し過ぎよ?」
「私、ラパンの事よく分かってなかったわ......決めポーズだって全然決まってなかったし、決めポーズの所だけ、もう一回観ても良い?」
「勿論だよ」
「巻き戻すよー」
「でもシャロさん、そこまで頑張らなくても......」
「ううん。子どもたちは、本物のラパンに会いに来てるんだもの。だから、完璧なラパンを演じて、絶対に喜ばせてみせる!」
「シャロさん......」
「こうなったらシャロちゃんは止められないわね。昔から凄く頑張り屋さんだもの」
「頑張れ、シャロ!」
視聴完了後。僕がスマホで撮影し、シャロがカードを投げた。投げたカードは僕がキャッチした。
「カードの投げ方はこう!」
「良いよシャロ!完璧だね!」
「肘の角度は60度前後。手は第10話の角度!これが理想ね!怪盗ラパン!」
「参上!」
何故かココアもポーズ取ってる。
「私に盗めない物はないのよ!」
「よし、OKだよ!」
「完璧よ!シャロちゃん!」
「あぁ!凄く良くなったな!」
「ココアさんのは盆踊りですか?」
「違うよー!」
「腕の角度を確認すべきね」
「シャロさんのラパン、凄く格好良いです!きっと子どもたちにも分かってもらえます!」
「チノちゃん......」
励ましてくれたチノを抱き締めた。
「うん!私、頑張る!」
「あぁ!チノちゃんのハートが盗まれた!」
翌朝。
「ん〜!朝日が目に染みるわ〜」
「華やかな怪盗稼業の裏に、あんな過去があったなんてな!怪盗ラパン、彼女の生き様には心惹かれる物がある!」
「やっぱりアニメは面白いなぁ」
「ココア!」
「ん?」
「はい、これ」
シャロがココアに差し出したのは、ラパンのマスクだった。
「ラパンのマスク!貰っちゃって良いの!?」
「はしゃぎ過ぎ。お店にたくさんあるから大丈夫よ」
「わあぁ〜!ありがとうシャロちゃん!」
「お礼を言うのは私の方。助かったわ。本当にありがとう!」
「っ!もしかして......」
「ん?」
「このマスクには......相応の見返りが必要なんじゃ......!?」
「どうして私の言葉を素直に受け取らないのぉぉぉぉぉ!」
「あはは......」
フルール・ド・ラパン。怪盗ラパン絶賛コラボ開催中。
「お待たせしたわね!皆さん!」
『わぁ〜!』
「怪盗ラパン参上!」
完璧な怪盗ラパンになったシャロが現れた。
「私に盗めない物は無いのよ!」
『ラパーーーン!』
「そ、そうよ!ラパンよ!」
僕は店内にいた。どうやらしっかりラパンになりきれているらしい。
「僕が出るまでも無かったみたいだね......」
コレは使わなくても良さそうだ。安心していたその刹那、誰かが現れた。
「シャロちゃん!応援に来たよ!」
「えっ!?」
「みんなー!そいつは偽物よー!」
「本物のラパンは私だー!」
子どもたちがココアに集まった。
「ぐぬぬぬ......営業妨害だわぁぁぁぁぁ!」
......仕方ない。僕はお手洗いに移動し、ある衣装に着替える。そして店内に戻り———
「何だと!? ラパンが2人いる!?」
警部になりきった。
『警部だー!』
子どもたちが僕に寄って来る。
「本物のラパンは1人しかいないはず......どっちが本物だ......?」
僕はシャロにアイコンタクトを送る。
『僕がそっちを本物と誘導するから、少し演技して』
『レイ!分かったわ!』
アイコンタクト終了。
「俺の長年の勘が言っている......本物は......」
『本物はー?』
「あっちだ!」
僕はシャロの方向を指差す。
「ふっふっふ......偽物を用意することで攪乱しようと思ったけれど......貴方には通じないみたいね!そうよ、私が本物よ!さらば!」
シャロは事前に許可をもらったのか、外に逃げ出す。
「待てー!ラパーン!みんな!ラパンを捕まえよう!」
『おー!』
僕は子どもたちと一緒にラパンに扮するシャロを追いかけた。その後、僕はココアと千夜に説教した。
〔3〕
僕は諸事情で東京に来ている。師匠に会いに行くためだ。
「......玉座戦で戦うことが決まったけども、緊張が勝つな」
僕は7月の末に白井竜皇を破り、玉座戦挑戦を決めた。現在の玉座位保持者は師匠たる春生 芳治玉座。今回はタイトルホルダーの師弟がタイトルを奪い合うという構図になる。
「おかえり、玲」
「ただいま、父さん。......遂にここまで来たよ」
「玲ならやってくれると信じていた。私を越えてみせろ」
「......勿論だよ。貴方から玉座を奪って見せる」
僕は師匠に夕食を振る舞い、近況を報告する。
「それであのときは本当に大変だったよ......」
「......玲」
「ん?」
「素敵な友だちに恵まれたな。大事にするんだよ」
「当たり前だよ。大切な人たちだからね」
「ところで玲、弟子をとるつもりは無いのかね?」
「弟子......?自分にはまだ早いような気がするんだけど......」
そもそも僕の弟子になりたいと思うような人間が珍しいと思うのだが。
「まぁ、いつか玲にもこの気持ちが分かるときが来るさ」
「うーん......そうかな......?」
「話は変わるが......久しぶりに銀華が来た」
「......!」
「『絶縁なんて言ってゴメン』『もう一度やり直したい』と言っていたよ。玲にも伝えておいてほしいってね」
「そう......ですか......」
銀華さん......ちゃんと和解出来たんだな。
「何があったのかは分からないが......ありがとう。銀華を救ってくれて」
「いえ......僕だけでは無理でした。いつか、恩人のもとに連れて行きますよ」
モカさん......本当にありがとう......。その後、僕は4勝1敗で帝位を防衛し、帝位2期目に突入した。
伯方 玲の意外な特技2「コスプレ」
一度見たキャラクターの情報は完全に記憶し、本物とそっくりの衣装を作り、本物同然の台詞を表現出来る。キャラクターへの理解度が高い程その精度は高まり、情報がある程本物に近づく。
レイの弟子になるのは誰?
-
ココア
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チノ
-
リゼ
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千夜
-
シャロ
-
その他
-
誰も取らない