〔1〕
Side Cocoa
玉座戦第三局。その結果はレイちゃんの勝利であり、あと1勝でレイちゃんは春生玉座からタイトルを奪取出来る。それは春生時代の終焉が近づこうとしていると共に、レイちゃんの時代が到来しようとしていることを示していた。
「今回の動画はここまで、高評価、チャンネル登録、コメント等よろしくお願いします」
「最後まで見てくれてありがとうございましたっ!」
私はチノちゃんのチャンネルで、カオリの姉のケイリとして出演している。カオリに無い独自の観点からの解説が評価されているらしく、チャンネル登録者増加の要因となってるらしく、登録者は30万人に到達しようとしている。
「そういえばこのチャンネルの収益ってどうしてるの?」
「私が成人するまでは父が厳重に管理しています。成人したら自由に使って良いとのことです」
「それじゃあ、チノちゃんのお父さんはカオリとしての活動を知っているってことだよね?」
「そうですね。バータイムではたまにチャンネルを宣伝しているとか......」
「何してるの!?」
いくら娘が愛しいからって!
「それにしても、レイちゃんが玉座獲ったら史上3人目の六冠かぁ......」
1人目は春生現玉座。2人目は白井現竜皇。凄まじい記録となる。
「私が棋界にいたら、レイちゃんにもっと近づけるのかな......?」
「......!それは......」
「冗談だよ。でも、時々思うんだ———」
レイちゃんに近づきたいって。
「......。気持ちは分かります。私も、お兄ちゃんともっと近づきたい、って何度も思いました」
「そうだよね......でも、憧れてばっかじゃいけないんだよね」
憧れは理解から最も遠いモノ。そんなこと解ってる。
「私はレイちゃんが好き。でも、同時にレイちゃんを支えたい。何があってもレイちゃんの居場所になれるような、そんな存在になりたい」
「......」
「だからこそ、私たちがレイちゃんの居場所になるんだ。レイちゃんが当たり前に笑って、泣いて、楽しんで、苦しんで、その楽しみと苦しみを分かち合えるような、そんな居場所に」
それこそが、レイちゃんに報いることの出来る、最大の恩返しだから。
Side Out
〔2〕
ある日のラビットハウスにて。
「みんな!盃は持ったね?」
「盃......」
「なんで私まで......?」
僕とココア、チノ、リゼは千夜と一緒に盃をともにすることになっている。
「盃って、何するつもりなのさ?」
「
極道かな?
「まだ願書すら出してないです」
「気が早すぎる......」
「それでは!我ら再びあの校舎で会おうぞ!」
「おー!」
「おー......」
「お、おー」
「「「「「かんぱーい!」」」」」
「コーヒー、頂けますか?」
「「「「「っ!?」」」」」」
「青山さん!?」
「いつの間に現れたんですか貴女!」
バァン!と音を立て、誰かが入って来た。
「青山先生はここですか!?」
それは、青山先生の担当の真手さんだった。
「真手さん?」
「先生ー!」
「青山さんにはいつも甘兎庵をご贔屓にして頂いて」
「えっ!? あっ!いえ、こちらこそ!い、い、今名刺を!」
「お気遣いなく〜」
「いや、それどころじゃないんだけど......」
「あ、あの......青山さんなら......」
「「ん?」」
「もう外にいますよ?」
窓の外から手を振ってる青山先生を発見した。
「あぁぁぁ!先生!待ちなさーい!」
真手さんは店を出て青山先生を追う。
「忙しい人達だな......」
「まるで嵐だね......1日中走り回っているのかな......?」
「マラソンみたいです」
「あっ!そう言えば今月、ウチの学校マラソン大会だよ?」
「そうだね」
○○高校のマラソン大会はこの街の区域を1周するものだ。男子は2周の8.4km, 女子は1周の4.2kmだ。制限時間は男子60分、女子40分である。
「えっ!? マラソンってことは......走るのよね......!?」
「「当たり前でしょ(だろ)!」」
「お姉さん兼先輩として良い所見せなきゃ!ねっ?」
「はっ!お姉ちゃん兼先輩......!必ず完走してみせるわ!義姉妹の盃に誓って!」
「「「「おぉぉぉ!」」」」
翌日。夜明け前に僕とリゼがランニングをしている。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「夜明け前に汗を流すのは気持ちが良いね」
「そうだな!」
途中、橋の下から声が聞こえた。その声の主は———
「うわっ!千夜!」
「何してんの?」
ダンベルを持ってタイヤを引っ張っている千夜だった。
「あ、リゼちゃん!レイくん!爽やかな......朝......ねぇ......」
「何してるんだ!?」
「マラソン大会の特訓!」
「山岳地帯でも走るのか!?」
「負荷を与えすぎだよ......」
特訓を中断させ、僕とリゼが千夜に巻かれてるロープを解く。
「ったくもう......」
「ココアちゃんと一緒に完走したくてトレーニングしてたの」
「「これはやり過ぎ(だ)」」
「2人は毎朝走ってるの?」
「僕は普段から走ってるよ。将棋での体力維持に役立つからね」
「いやぁ、私は今朝からなんだ。実は最近甘い物食べ過ぎて体重が......」
途中聞こえなかった部分があるが、追及するのはやめておく。僕の勘が「やめろ」と言っている。
「そうだ!今日から一緒に走らないか!?」
「えっ!? でも私、走るの凄く遅くて......」
「大丈夫!千夜に合わせるから!」
「僕も合わせるよ」
「......あっ!」
「ん?」
ある事を思い付いた千夜は———ロープを僕とリゼと一緒に結んで離れないようにさせた。
「「......」」
「これなら置いて行かれないわ!リゼちゃん、レイくんGOー!」
「犬の散歩かよ!」
「何のための特訓なのか」
僕たちはこのまま街中を走る。
「空気が清々しくて気持ちが良いな〜!」
「はぁ......はぁ......そうね......!」
「早朝の街って、いつもと違って見えるよねー」
「はぁ......はぁ......どのお店も......まだ開いてないし......」
「静かな街って、何だか新鮮だ〜!」
「......」
徐々に千夜のペースが落ちていく。
「それにしても、ココアと完走したいが為に特訓まで始めるなんて!友情のために己と戦う決意をしたお前を尊敬ぃぃぃ!? 千夜!?」
「千夜!? 大丈夫!?」
離れていないが、千夜がバテてしまった。
「......もう......無理......」
「まだ走り始めたばかりだぞ?」
「グルルルルル......」
「散歩を嫌がる犬かな?」
その日の○○高校の昼休みにて。
「いたた......ふくらはぎが......筋肉痛かしら......?」
「そりゃあ、あれだけ無理したらね......」
「筋肉痛?珍しいね」
千夜は早朝で無理に走ったせいで筋肉痛が生じてしまった。
「実は今朝から大会に向けて特訓を始めたの!」
「凄〜い!」
「当日は!甘兎庵旋風を吹かせてやるんだから!そしてココアちゃんと絶対ゴールする!」
マラソン大会に向けて千夜が燃え始めた。
「わぁ!この気迫......!1位を目指すためなら私すら容赦無く切り捨てる覚悟を感じる!」
その後のラビットハウスにて。
「と言う訳で!千夜ちゃんに置いて行かれないように、朝ジョギングを始めます!」
「良い心がけだね」
「レイちゃん!リゼちゃん!付き合って!」
「早起き出来るのか?」
「いつも僕かチノに起こされているのに?」
「私を誰だと思ってるの!? 早起きと言えばパン屋さん!パン屋さんの娘と言えばこの私!ココアだよ!」
モカさんを都合良く忘れているな?
「ふぅ〜ん、分かった」
「絶対起きてよね?」
「うん!目覚ましよろしくねレイちゃん!チノちゃん!」
「なんでさ」
「嫌ですよ」
「自分で起きろよ!」
「みんなでジョギング頑張ろー!」
「は〜あ......」
翌日の早朝。いつも通り5時に起きた僕はココアを起こす。
「ココア、起きて」
「妹天国だぁ〜」
ココアはまだ寝言を言っている。
「ココア、一緒に特訓するんじゃなかったの?」
「レイちゃん......おっぱい揉まないの......えっちぃ......」
なんでさ。どんな夢を見ているんだココアは。
「全く......早く起きなよ?」
僕は5分後にアラームを設定する。その後、先にリゼと合流した僕がチノに電話する。スピーカーをONにする。
『もしもし、チノです』
「チノ、ココアは?」
『ココアさん、起きません』
「「知ってた」」
案の定ココアは未だ爆睡中。
「ごめんねチノ。ココアが起きたらまた連絡して。説教するから」
『はい』
僕は電話を切った。
「遅れてごめんなさ〜〜〜い......!」
頑張って走って来た千夜に、僕とリゼが頭を撫でた。
「千夜は偉い!」
「素晴らしい!」
「えっ?」
僕たち3人で朝のジョギング。
「はぁ......はぁ......はぁ......もう限界......」
「あと少しだ!頑張れ!」
「千夜!君はやれば出来る子だ!」
「つ......疲れを誤魔化すために......掛け声を出しても良いかしら......?」
「じゃあしりとりしよう!あー、あー、アップルパイ!」
「いー、いー、インターハイ」
「い......い......磯辺焼き......!」
「きー、きー、キャンディ!」
「いー、いー、依頼行為」
「苺......大......福......黒......豆......寒......天......白......玉......餡......蜜......抹......茶パフェ......甘味は是非甘兎庵へぇぇぇぇぇ!」
「「宣伝カーか!」」
陽が昇り、休憩を挟んだ。
「はぁ......」
「やっぱりやれば出来るじゃん」
「よく頑張ったな」
するとリゼがポケットから何かを出した。
「ほら、これ!」
「スタンプカード......?」
「こう言うのがあると達成感があるだろ?」
「ナイスアイデアだよリゼ!」
「......リゼちゃん!レイくん!私、頑張るわ!」
「その意気だ!ココアに追い付け追い越せの精神で行くぞー!」
「行くぞー!」
「......」
「ん?どうした?」
「甘兎庵でもスタンプカード導入しようかしら?」
「全部溜まったらどうなるんだ?」
「90分熱々お汁粉飲み放題!」
無限お汁粉編かな?
「嬉しいかどうか、微妙な線だな......まぁとにかく、明日も頑張ろう!」
「僕も協力するよ!」
「はい!」
後日。フルール・ド・ラパンにて。
「えー!? 千夜が特訓!?」
「そうなの!」
「あぁ、そう言えば......毎朝ジョギングしてるって......運動苦手なのに、毎日続いているみたいね」
「本当に頑張っているよ、千夜は」
「なんか最近目付きが、レイちゃんやリゼちゃんっぽくなって来てるんだよ!」
「何それ知らない」
初耳なんだけど。
「私、このままじゃ置いて行かれちゃう!」
「千夜と一緒にジョギングすれば良いじゃない」
「千夜ちゃんに隠れて特訓したいの!」
「千夜を驚かせたいのかい?」
「そうなの!」
「面倒臭いわねぇ......」
「シャロちゃん!一緒にジョギングしよ?レイちゃんは内緒にしてね?」
「まぁ、良いけどさ」
「嫌よ」
「お願いシャロちゃん!お願ーい!」
「......ココア、本当にちゃんと起きるんでしょうね?」
「勿論だよ!」
「......レイ、頼んだわよ」
「今度こそ叩き起こすよ」
「私そんなに早起きに信頼ない!?」
翌日の早朝。僕がココアを叩き起こす。
「ココアー!時間だー!起きろー!」
「ふぇ!? レイちゃん!?」
「今日からシャロと特訓するんでしょ?早く行きな?」
「はぁい......」
眠そうだったが大丈夫だろうか。その後、僕とリゼが待っていると。
「お待たせーーー!」
今日も千夜が時間通りに来た。今日の千夜はツインテールになってる。
「おっ!その髪型!」
「似合ってるよ」
「ウフフ♪走る時の願掛けよ!名教官みたいに走れるようにね!」
「あっ!」
「さぁ!今日も地獄の果てまで進軍だぁぁぁ!」
「それ私のつもりじゃないよな!?」
「リゼをなんだと思っているのか」
僕たちは丘の上へ向かってジョギングする。ちなみに途中でシャロから連絡があったが、ココアは来なかったらしい。全く......。
「もう少しで坂道に登り切りだ!」
「ファイトだよ千夜!もう少しだよ!」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ!」
そして、坂道を登り切り頂上へ到達。
「やったな千夜!」
「よく頑張ったね!」
「はぁ......はぁ......はぁ......自分が......こんなに......走れるなんて......!知らなかった〜......!」
「ん?」
「あっ!」
陽が昇った。
「綺麗だなぁ〜!」
「本当〜!」
「いやぁ、陽の光が眩しいね!」
「リゼちゃんとレイくんとの特訓で、色んな発見が出来たわ!」
「大会が終わっても続けてみるか?」
「ううん。私、目標が無いと頑張れないの」
「じゃあトライアスロンは興味無いか?」
「響きだけで死ぬ自信はあるわ」
「多分僕たちの中でトライアスロン走破出来るの僕とリゼだけだよ」
「今のお前とココアなら、完走出来るはずだ!」
「ありがと〜!リゼちゃんとレイくんと一緒だったから、毎朝頑張れたの!本番、楽しんで来るわね!」
「私たちは戦友だ!」
「一緒に頑張ろう!」
僕たち3人がお互いに敬礼し合った。
「これ、今までのお礼に」
僕とリゼに渡したのは、甘兎庵の和菓子食べ放題券。
「甘兎庵のスタンプカード!もう出来たのか?」
「いや......これは......」
「和菓子の食べ放題券よ〜!」
「私がジョギングを始めた理由、言ったよな!?」
あぁ、そういうことだったんだね......。そして、マラソン大会当日。街中を全校生徒が走る。僕は男子生徒どころか全生徒の中で1位の記録を獲った。僕が生徒の待機場所で待っていると———
「千夜......頑張ったね!」
千夜が現れた。ココアは千夜のツインテールを掴みながら走ってる。何やってんの?
「ココアは何やっているんだか......」
「リゼちゃーーーん!レイくーーーん!」
「何ー?」
「ツインテール役に立ってるわーーーーー!」
「何してんの?」
僕の呟きの後「嬉しくない!」というリゼの声が聞こえた気がした。
「千夜ちゃん......もう......ダメ......」
「諦め......ないで......!ココアちゃん......!一緒に......完走するの!」
ゴールまであと少し。
「あぁ......」
そして遂に———
「あはははは♪」
千夜とココアは無事2人で完走を果たした。記録は36分だった。マラソン大会終了後。
「お疲れー!」
「凄かったよー!」
「まさか千夜が完走出来るなんて〜」
「信じてたよ!千夜ちゃんなら絶対やり遂げるって!」
「私だけの力じゃないわ。毎朝一緒に走ってくれたリゼちゃんとレイくんとココアちゃんのおかげよ!」
「えへへ〜」
「むぅ......私もレイや先輩と一緒に走りたかったなぁ......」
「シャロ?」
「おっ!? じゃあ一緒にやるか!? 早速明日から特訓だぁ!目指せトライアスローーーン!」
「はいー!......って、今最後何て言いました!?」
「みんなで頑張ろー!」
「おぉぉぉ!」
「ココアは来ないでしょーーー!」
「確かに」
「「「「「「あははははは!」」」」」」
ちなみに僕は最優秀賞どころか歴代記録を更新し、全校生徒の前で表彰された。
〔3〕
Side Cocoa
ある日の公園。私は千夜ちゃんと散歩していた。
「ん〜〜〜!はぁ〜〜!良い天気だねぇ〜」
「ねぇ〜」
「あっ!青山さん!」
「あら!こんにちは〜」
青空を眺めている青山さんと出会った。
「そんなにおめかししてどうしたの?」
「どうしましょう......」
「「ん?」」
「オフを頂いたのですが、何をすれば良いのか分からなくて......」
「「えっ?」」
「青山さんはいつも原稿に向かってるものね」
うーん、そうだ!
「じゃあ!私たちと遊ぼうよ!」
「えっ?良いんですか!?」
「勿論!青山さんは何がしたい?」
「えっと......では、童心に帰って......『鬼ごっこ』とかどうでしょう!」
「良いね!」
「では、早速鬼役に電話しますね」
「誰だろうね?」
ドキドキが止まらないよ!
Side Out
ココアのいないラビットハウスにて。
「青山先生はここですか!?」
「わぁ!真手さん!?」
「き、今日は来られてませんが......」
「青山さんの担当さん?」
「はい!真手 凛と申します!」
真手さんは僕たちに名刺を渡した。
「ご丁寧にどうも、日本将棋連盟正会員の伯方 玲です」
僕も真手さんに名刺を渡す。
「ご丁寧にありがとうございます!いつも先生がお世話になっております!」
「原稿の催促ですか?」
「いえ!今日はオフなので!」
「では何を?」
「どうしてラビットハウスへ?」
「青山先生と鬼ごっこです!」
「「いつもと変わらない!」」
仕事を終えて、真手さんと一緒に青山先生を探すことに。
「先生の戯れに付き合って貰って良いんですか?」
「ココアさんたちも協力してると連絡が来たので」
「あの2人も何やってんだか......」
「この4人で捕まえよう!」
僕たち4人が手を重ねる。
「チーム振り回され隊!結成だな!」
「青山先生を見つけましょう!」
「「「「エイ!エイ!オー!」」」」
いつものやつである。
「あぁ......何だか、学生時代を思い出します」
「あっ!真手さん!」
「後ろ!」
「えっ!? えっ!?」
「あそこです!」
「あー!」
向こう側から手を振ってる青山先生を発見。
「待てー!」
「逃すなー!追えー!」
住宅街にて。
「はぁ......はぁ......はぁ......」
「見失ったか!」
「あっ!後ろです!」
後ろの道を通り過ぎる3人を発見。
「あっ!」
「先生!」
「待てーーー!」
「逃すものか!」
商店街にて。
「何処に隠れた!?」
「ここは一旦作戦を立てて———」
「真手さん!カフェに3人を発見!」
カフェでゆったりしてる3人を発見。
「待てーーーーー!」
「「「あははははは♪」」」
公園にて。
「あっ!噴水にいた!」
噴水に座ってる3人を発見。また逃げられた。商店街の石階段にて。
「あっ!後ろ!」
ベンチにて。
「むむむ......」
地図を見てる真手さんの後ろから青山先生が見てる。
「後ろです」
石橋の上。また逃げられてしまった。
「全然捕まりませんね......」
「ちょっと休憩するか」
「チノ、リゼ、ジュース買って来たよ」
「ありがとうございます......」
「ありがとう」
2人はジュースを受け取った。
「真手さんもどうぞ」
「あ、ありがとうございます......」
真手さんはジュースを貰った。
「私、肝心な時に間が悪くて......」
「ん?」
「あっ!」
川を見ると、ゴンドラに乗ってるココアたちを発見した。
「い、いました!」
「うわーーーーー!」
「ティ、ティッピーーー!」
体を起こした反動でティッピーが落ちてしまった。しかし、ココアが見事キャッチ。
「キャッチ!」
「ここはやっぱり4人で手分けして......」
「凛さん!青山さんが!」
「えっ!?」
見に行くが———
「あぁ!いやそっちに!」
反対側へ行ってしまった。
「あれ?」
「しっかりしろーーー!」
「う〜〜〜ん......!」
「貴女は犬か何かですか......?」
Side Cocoa
ゴンドラにて。
「凛ちゃん、すっかりチノさん、リゼさん、レイさんと打ち解けたみたいですね」
「私も早く仲良くなって、凛ちゃんさんもラビットハウスの常連さんに!」
「でも捕まらないとお話出来ないわ」
「では、頃合いを見て捕まりましょう!」
「3人でね!」
「捕まる時は一緒だよ!」
「小説なら、ここで裏切り者が出たら盛り上がりますね!」
「あははは!青山さんったら〜!」
ゴンドラを降りた後。
「ココアー!」
「ん?」
「ココアーーー!」
遠くからレイちゃんがこちらに向かって走って来てる。
「レ、レイちゃん!?」
「他の3人はどうしたのかしら?」
「これは罠です!」
「え?」
「あんな風に手を振りながら走って来るなんて、レイさんらしくないと思いませんか?」
「早く来てほしいなー!ココアー!」
「レイちゃんが呼んでる〜〜〜!」
私はレイちゃんに飛び込もうとしたが、千夜ちゃんと青山さんに腕を掴まれた。
「騙されてはなりません!」
「レイくんはもう、ココアちゃんが知ってるレイくんじゃない!彼は鬼なのよ!」
「ココアーーーーー!」
レイちゃんは満面の笑みで両手を広げた。
「レイちゃん!たとえレイちゃんが鬼だとしても、乙女としてレイちゃんとのハグチャンスを逃す訳には行かなーーーい!」
私は自分の腕を掴んでる2人を振り解いてレイちゃんへダイブする。
「ココアちゃーーーーーん!」
「レイちゃーーーーーん!今私が行くからねーーーーー!」
そして、レイちゃんとのハグに成功したが———
「ココア、確保」
「よくやったレイ!」
「ナイスですお兄ちゃん!」
「えへへへ〜〜〜♡」
「まさかこんなあっさり成功するなんて......」
「......逃げる気は無いようだな」
「ココアさん......私たちを裏切って、レイさんに着くんですね......」
「ココアちゃんは愛に生まれて愛に生きたのよ......」
「ココアさん......貴女の事は......忘れません......」
「じゃあ青山さん、次に行きましょうか!」
「そうですね!」
レイちゃんモフモフ〜♡
Side Out
Side Rize
夕方になっても鬼ごっこは続く。
「待てーーーーー!」
住宅街の分かれ道で千夜と青山さんが二手に分かれて逃げた。
「二手に分かれた!」
「千夜は任せろ!」
「お願いします!」
「頼んだよ、リゼ!」
「任された!」
逃げる千夜を私が追う。
「速くなったな!特訓した成果か!」
「皮肉なものね。その教官に追いかけられるなんて。でも、もう誰も私を止め———」
「あっ、行き止まり」
走る先は行き止まりだった。観念した千夜がその場に座り込み。
「さぁ!煮るなり焼くなり好きになさい!」
「潔い......」
もう少し抵抗しろよ......壁を蹴るとか......。千夜、確保。
Side Out
マーケット会場にて。
「先生......一体何処へ......?」
「青山先生......何処に消えたんだ......?」
すると、僕たち2人の足元にカードが突き刺さった。
「きゃあ!?」
「何事!?」
「皆さん!怪盗ラパン!参上!」
「なんだ、シャロか」
怪盗ラパンに扮したシャロがいた。
「フルール・ド・ラパンでは、怪盗ラパンとのコラボ開催中でーす!」
「「怪盗ラパンだーーー!」」
「「シャロ(さん)だよ(です)」」
「も、もっと近くに来ても良いかな......?」
「ただのファンです」
「担当さんが作家さんの1番のファンってやつだね」
「あ、あの......よ、良かったら、写真を......おっ?」
すぐそこにシャロをローアングルから眺めてる青山先生がいた。
「つい癖で、シャロさんを覗き込んでしまいました〜」
「「えっ!?」」
「では〜」
「あっ!待てーーー!青山セクハラマウンテーーーン!」
再び逃げ出した青山先生を真手さんが追う。
「トォ!」
「わーお怪盗らしいジャンプ」
「私たちも行くぞ!」
「僕も日頃の恨みー!」
何故か僕もセクハラ受けるからな。たまに。逃げる青山先生を追った先には———
「わーーー!」
広場の真ん中にメリーゴーランドがあった。
「凄ーい!何これ!? 可愛いー!」
「うさぎのカルーセルですね!」
「みんな乗ろうよー!」
「青山さん捜すのが先だろ!?」
「優先順位を間違えちゃダメだよ」
「あっ!」
「凛ちゃーん!こっちですよー!」
メリーゴーランドに乗ってる青山先生を発見した。
「乗ってる!?」
「私たちも突撃だよー!」
「ようやく捕まえられるわね!」
「早く乗らないとー!」
「「そっち!?」」
「私達も乗るぞー!」
「ウフフ♪」
「「「えー!?」」」
目的はどこに行った!
「もぉー......ん?」
メリーゴーランドに真手さんが見惚れた。
「綺麗......!」
すっかり夜になり、僕たちはメリーゴーランドを楽しんでいる。
「カルーセルに乗るなんて子供の時以来......」
「確かに」
「......フフフ」
「ウフフ♪こうしていると思い出しますね〜。高校時代のこと。どんな手を使っても凛ちゃんが追いかけて来てくれるから。どんどんエスカレートしちゃって。こんなにはしゃいでいる私をマスターが見たら......何て言うかな?」
「学生の頃と変わらん」
「ん?天の声が!マスター!? マスター!」
メリーゴーランドが止まった。
「青山先生」
「はい」
「どれだけ間が悪くても、捕まえるまで絶対諦めません!それにしても......お休みの日まで翠ちゃんを追いかけるなんて思わなかったよ」
「楽しかったですよ?本当に。それに、私たちらしいじゃないですか」
「ウフフ♪そうだね!」
「はい」
青山先生が手を真手さんに伸ばした。
「翠ちゃん!捕まえた!」
真手さんが伸ばした手を握った。
「捕まっちゃいました」
「えへっ」
「あはっ!」
ココアと真手さんがピースで交わした。青山先生、確保。
伯方 玲の意外な特技5「実は高い身体能力」
ごちうさキャラで例えるならリゼ以上の身体能力。100m走の記録は12秒台であり、平らな10kmを20分で走破する。第23羽で往復合計約40〜50kmを6時間かかると言ったのは、運動向けの服装で無いことや復路で大量の荷物がかさばること、地形が悪く走りにくいこと等が要因として存在したため。
レイの弟子になるのは誰?
-
ココア
-
チノ
-
リゼ
-
千夜
-
シャロ
-
その他
-
誰も取らない