ご注文は名人ですか?   作:神近 舞

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久しぶりに1万字越えです。長過ぎる......。


第35羽 にっこりカフェと七色の魔法使いと紅き魔術師と———

 

〔1〕

 

 ある日のラビットハウス。ここでは行列が出来ていた。

 

「ここが雑誌に載っていたお店ね?」

「うさぎの看板可愛い〜!」

「噂のお姉さまに会えるかしら?」

「きっと会えるわよ!」

 

 店内でもお客さまで賑わっていた。

 

『お姉さま〜!』

 

 僕はファンサとしてウィンクをする。

 

『美しいぃぃぃ!』

「あはは......今日も賑やかだなぁ......真手さんには感謝だね、チノ。......チノ?」

 

 チノが何かを考えている。今日は千夜とシャロが助っ人に来てくれる。しかし———

 

「千夜とシャロ遅いなぁ......何しているんだか」

 

 すると丁度そこに。

 

「チノちゃん!レイくん!お待たせ!」

「ど、どうかしら......?」

 

 ラビットハウスの制服姿の2人が登場した。何故か千夜はあんこを、シャロはワイルドギースを頭に乗せていた。

 

「良いね!似合っているよ!」

「よ......良く似合ってます!」

「良かったぁ〜!」

「ほっ......」

「というか、シャロ。なんでワイルドギースを後ろ向きにしてるの?」

「えっと......恥ずかしくて......」

「成る程?」

「はぁ〜......」

 

 あんことワイルドギースに戯れられてるティッピーが落ち込んでいた。

 

「看板うさぎが増えました」

「3羽もいるね」

「仲良くて微笑ま〜」

「それにしても、大きなツリーね」

 

 ホールの隅に巨大なクリスマスツリーがある。

 

「リゼさんのお父さんからのプレゼントです」

「特注品なんだってさ」

「飾りが無くて寂しいわね」

「急だったので用意してなくて......」

「飾り!」

 

 千夜は甘兎庵の宣伝用グッズで飾り付けした。

 

「これでよしっと!宣伝のためにグッズ持って来ておいて良かったわぁ〜!」

「何が良いのよ!」

「お客さまを混乱させてどうするの!」

「甘兎に支配されて行く......」

「ワシの店が......」

 

 午後3時。絶え間無くお客さまが来店してくださる。

 

「シャロちゃん!お願い!」

「3番テーブルのオーダーね?任せて!2番テーブルの片付け!」

「分かってる!それから!」

「予約の確認ね!」

「2人とも、息ピッタリだね」

「これが幼馴染コンビネーションと言うやつですね?」

「でしょ〜?」

「そんなのない!」

「「息が合ってるような合ってないような......」」

 

 夕方。店も大分落ち着いた頃。

 

「ふんふんふ〜ん♪」

「シャロさん楽しそうです」

「だね」

「私も同じ気持ちよ?」

「千夜さん......」

「だって、私たちがこの制服を着るなんてありえなかったことだもの」

「そうですね」

「それにしても、チノのお母さまが2色の制服を残していたなんて思ってなかったね」

「それにしても、ウキウキし過ぎかしら?」

 

 今日のシャロはウキウキ全開。

 

「まさか、コーヒーの匂いでカフェイン酔いしたなんてことは———」

「酔ってましぇ〜ん!」

「Oh......」

「酔ってるわ!?」

 

 なんと匂いだけでシャロが酔ってしまった。

 

「フルール流ハーブティー花の滝よぉ〜!」

 

 シャロは滝の軌道を描きながらコーヒーを入れた。

 

「わぁ!湯気がお花みたい!」

「過剰なサービスが始まってる!?」

「なんか変なの導入されてる!?」

「負けてられない!」

「こっちの闘志にも火が点いた!?」

「千夜!? ちょっと待って!」

 

 千夜は唐突に新メニューを開発。

 

「あの遠い日に封じめられし禁断のコラボ!『コーヒーあんみつ』!どうですか!?」

「待て待てー!甘兎庵とフルールに店が乗っ取られとる!止めるのじゃチノー!......ん?」

 

 当のチノは3Dラテアートを提供していた。なんだか呪われそうなラテアートである。

 

「今なら3Dラテアート、サービス中です!」

「お、お客さまを呪うつもりかい......?」

「レイー!3人を止めてくれー!」

「いや......僕がラテワードをしたところで無理がありますよ......」

「聖夜が悪夢じゃ......」

「甘兎フルールラビットハウスの看板娘隊〜♪」

「私たち看板娘隊がいっちば〜ん!」

「また新しい部隊が誕生した......」

「僕も巻き込まないで!?」

「悪夢が......」

 

 僕たちは何故か電車ごっこをしていた。どうしてこうなった。夜になり、バイトの時間が終わった。

 

「それじゃ、お疲れ様〜!」

「明日は来れないけど、またお手伝いに来るから!」

「いつでも大丈夫だよ」

「あんことワイルドギースは置いていくから使ってあげてね?」

「何の役に立つのよ!?」

「それはそう」

「本当にありがとうございます」

「また来てね!」

「じゃ!」

「おやすみなさ〜い!」

「あ、あの!」

「「ん?」」

「今日は凄く楽しかったです。お2人も困った事があったら......私も絶対駆け付けます!」

「僕もだよ。何か困ったことがあったら絶対駆けつけるからね!」

 

 千夜とシャロは笑顔で応え、家へ帰って行った。

 

「さて、看板を片付けて———」

 

 後ろに振り向くとそこには———

 

「何とかなったみたいだな」

「「リゼ(さん)!?」」

 

 何故かツリーの後ろにリゼが隠れていた。

 

「スニーキング......!?」

「何しているのさ」

「気にするな!」

「気にするよ!」

「でも、あの2人が来れない日はどうするんだ?」

「そのときは父と私とお兄ちゃんで頑張れます!」

「実は......」

「えっ?」

「ん?」

「私なりに援軍を用意したんだ」

「援軍......?」

「リゼの言う援軍......?......まさか———」

「もしかして......リゼさんのお父......い、いえ!リゼさん関係の援軍は怖がられるので!」

「そうじゃそうじゃ!」

「大丈夫!別の援軍だから!」

 

 唐突に店の陰からココアが出て来た。

 

「ココアも隠れてた!?」

「いつからそこに居たんですか!?」

「ん?別の援軍ってことはもしや———もごっ」

 

 唐突にココアが僕の口を手で塞ぐ。なんでさ。

 

「それはそのときのお楽しみ!ねっ?」

「うん!」

「はぁ......」

「......腑に落ちないけど、分かったよ」

「お店大丈夫だった?千夜ちゃんとシャロちゃんと上手く連携取れた?」

「そうですねぇ......心無しか、いつもより絶好調だったような」

「取れたって言うか、取られたね」

「嘘ぉ!? ラビットハウス4姉妹が一番だよね!?」

「地味に僕を姉妹に組み込むな」

「う〜ん......どうでしょう?」

「お、おいチノ!?」

「レイちゃんもラビットハウス4姉妹が一番だよね!?」

「ふふっ、どうだろうね?信じるか信じないかは君たち次第だよ」

「「レイ(ちゃん)!?」」

「「ふふっ!」」

 

 君たちと一緒が一番に決まっているでしょうが。翌日のラビットハウスにて。僕とチノはキッチンでパンケーキの生地を作っている。僕は生クリームを作っている。

 

「今日は誰も助っ人が来られない日じゃな......大丈夫か?チノ、レイ」

「午後からはタカヒロさんが手伝ってくれるから大丈夫だと思いますが......」

「それに、あんことワイルドギースもお泊まりさせてくれたので、寂しくありません。早くモフモフしたいです!」

「それって僕がいなくても寂しくないってことかな?かな?」

「お兄ちゃんがいないと絶望します。ココアさんとリゼさんも同じ反応をしてました」

「どういうことなのさ」

 

 僕不在時は何が起こっていたんだ......。ホールに戻ると、樽の上に居たあんことワイルドギースの姿がなかった。

 

「あれ?居ない!?」

「なんでさ!?」

「何処へ......!?」

「俺たちはここだぜ?」

「「「!?」」」

 

 カウンターを見ると、あんことワイルドギースがいた。

 

「取り敢えずモーニングセット貰おうか?」

「僕は和定食!」

「喋ってるぅぅぅ!? ......って、あれ?」

「お、おおおお米はまだ炊けてなくて......と言うか遂に喋れるように!?」

「いやチノ、この声は———」

「見てー!この制服!ココアとレイ兄と!」

「リゼさんが作ってくれたんだよ〜!」

 

 ラビットハウスの制服姿のマヤちゃんとメグちゃんが現れた。

 

「マヤさん!? メグさん!?」

「やはり君たちか!」

「どうして......!?」

「どう?どう?ビックリした?」

「ココアとリゼの言っていた援軍とは2人のことだったんだね」

「そうだよ〜!」

「ねぇ。マヤちゃんの制服、チノちゃんと被ってない?」

「被ってないよー!チノのはコバルトブルー!私はスカイブルーだし!メグこそ!ココアとピンク被ってる!」

「私はサーモンピンクだもん!」

「や〜い!鮭ピンク鮭ピンク〜!」

「サーモンだもん!ねっ?チノちゃん?レイお兄ちゃん?」

「まぁ、確かに差別化されてはいるね、スカイブルーとサーモンピンク」

「......」

「「ん?」」

 

 一方チノは、制服を着た2人に固まっている。

 

「あれ?固まってる?」

「どうしちゃった?」

「チノちゃん?」

 

 するとチノが突然、涙を流した。

 

「「涙ー!?」」

「チ、チノ!? どうしたのさ!?」

「泣いてません!誘っても大変かなって思ってたからビックリして......」

「大変なのはチノもレイ兄もでしょ?」

「そうだよ〜!」

「その制服、今回のためだけに?」

「だって来年も着るし!」

「高校生になったら正式にバイト始められるもん!」

「......!」

「2人とも......チノやみんなのために......」

「うぅぅぅ......」

 

 チノはその言葉に抑え切れず、嬉し泣きした。

 

「チノ......」

 

 僕は泣いてるチノの頭を優しく撫でる。

 

「嬉しいね。チノ」

「マヤちゃんが泣かせた〜!」

「嬉し泣きならメグも同罪じゃん?」

「ホラ。泣かないで?」

 

 メグちゃんがポケットからハンカチを出した。チノはハンカチで涙を拭き、マヤちゃんがティッピーを撫でる。

 

「よしよし」

「チノちゃ〜ん」

「2人ともチノのためにありがとうね」

「良いって!」

「だって私たちチマメ隊だもん!」

「......そっか」

 

 ホールの隅にあるクリスマスツリー。

 

「和風のクリスマスツリーだね!」

「リゼのお父さまからの手土産だよ」

「てっぺんが寂しいよ?」

「飾りが無いもんね」

「何か飾りを探さなきゃですね......」

「やっぱりお星さまが良いかな?」

「買って来る?」

「ん〜......」

「お爺ちゃん、お兄ちゃん」

「ん?」

「何だい?」

「私、沢山の人に助けられています。この気持ちを、いつか返せる人になりたいです」

「そうじゃな」

「いつか出来るときが来るよ」

「やっぱティッピーをてっぺんに刺すしかないよね!」

「What's!?」

「刺す!?」

「じゃあ刺そっか!」

「いつの間にそんな話に!?」

 

 さすがに本物のティッピーではなく、ティッピーのぬいぐるみを刺すことに。マヤちゃんとメグちゃんが四つん這いになり、背中にチノが乗る。

 

「行け!チノ!」

「これがチマメ隊の力ー!」

「みんな、頑張って!」

「とりゃぁぁぁ!」

 

 チノがティッピーのぬいぐるみを投げた。するとぬいぐるみが見事てっぺんに刺さった。

 

「「「やったー!刺さったー!」」」

「ナイスだよ!」

「星の代わりに手作り綿ティッピー!素敵!」

「これでツリーらしくなりました!」

「チマメ隊サイコー!」

「「「サイコー!」」」

 

 改めてチマメ隊の絆の強さを再確認したのだった。

 

 

 

 

 

〔2〕

 

 Side Yoshiharu

 

 とある日。私と娘の銀華はある場所に向かう特急電車に乗っていた。

 

「ねぇ、父さん。アイツの驚く顔が楽しみね」

「そうだな」

「アイツへのクリスマスプレゼント、しっかり考えたでしょうね?」

「勿論だとも。しっかり考えたぞ」

「前みたいに宣戦布告の手紙とかじゃないでしょうね?」

「むっ......」

 

 あれは棋士としての私なりのプレゼントなのだから問題無い。

 

「そういう銀華はちゃんと考えてきたのか?」

「当たり前じゃない。アタシなりのモノを考えてきたわ」

「そうか......」

「......ねぇ、父さん」

「なんだ?」

「今はこうして当たり前に会話出来ているけれど、1年前じゃ考えられなかった光景よね」

「そうだな。お前の言う『お姉さま』には感謝してもし切れないな」

「そうね......今度、玲と一緒にお姉さまに会いに行きましょ?お姉さまの素晴らしさを存分に語ってあげるわ!」

「そ、そうか......」

 

 銀華は大丈夫なのだろうか......?私は一抹の不安を抱え、銀華と共に電車を降りた。

 

「改めて見ると良い街ね」

「たまに玲のいないタイミングで来ることがあるんだがな」

 

 やはりこの街は何度見ても幻想的だ。東京の喧騒とコンクリートとは程遠い世界だ。斜陽がまた美しさに拍車をかけている。

 

「さぁ、早く行きましょ!」

「そうだな。早速行こうか」

「「ラビットハウスに!」」

 

 

 

 

 

〔3〕

 

 ラビットハウスにて。今日も長い行列が出来ている。今日の夜はいつメン+マヤちゃん・メグちゃんでクリスマスパーティーを開く予定だ。

 

「メリークリスマス!ラビットハウスへようこそー!」

「ご予約のお客さま!こちらへどうぞー!」

「2番3番6番テーブルお願〜い!」

「そんな一気に無理ー!」

「チノ。1番にキリマンジャロ2つ———ん?」

「ほへ〜......」

 

 今チノはボケーっとしていた。

 

「魂抜けてる!?」

 

 僕はボケーっとしてるチノを揺さぶる。

 

「チノ!しっかりして!」

「みなさんの制服が夢みたいで......」

「ここは天国か......?」

「現実だよ!」

『キャアァァァお姉さまーーー!』

「......僕も現実逃避している場合じゃないな......」

 

 僕は頑張って接客する。

 

「お待たせ致しました。カフェラテ・ラテワードオプション、『鞭』と『躾』でございます」

「お姉さまに鞭打たれちゃった......♡」

「お姉さまに躾られちゃったわ......♡」

 

 セクハラで訴えて良いかな......?夕方になっても、ココアは帰って来ない。

 

「ココアさん、パーティーまでに帰るって言ってたのに遅いな......焼き栗屋さんも忙しいのかな......?」

「うーん......僕が見に行こうか?」

「はい。お願いします」

 

 その刹那、バンッ!と大きな音をドアが立てた。

 

「「!?」」

「サンタさんだよー!ホーッホッホッ!」

 

 ココア(サンタクロースの姿)が登場。

 

「コ、ココアさん!?」

「サンタの姿で来ちゃった!?」

「ホーッホッホッ。良い子には出来立ての焼き栗だよ〜」

 

 子どもたちに焼き栗を与えている。

 

「美味しいよ〜。ホーッホッホッ」

「わぁ〜!」

「サンタさーん!わーい!ありがとう!」

「焼き栗屋さんの格好のままで来るなんて......」

「予想外の結果だなぁ......」

「バイト代栗に消えてそう」

「あり得る!あり得るよ〜!」

「ホーッホッホッ!みんなの分もあるからね!栗〜!」

「なりきってる!?」

「おーい、戻ってこーい」

「なーんて!」

 

 ココア(サンタクロースの姿)がココア(ラビットハウスの姿)に戻った。

 

「じゃーん!正体はココアでした!フッフン!」

「「みんな(みなさん)知ってるよ(ます)」」

 

 夜もクリスマスシーズン真っ盛り。

 

「ココアさん。お兄ちゃんとリゼさんと3人で作り掛けの制服を完成させてたなんてビックリしましたよ」

「サプライズだったでしょ?」

「黙っててごめんね?」

「本当ですよ。リゼさんも手伝っていたなんて」

「裁縫は苦手じゃないし」

「リゼの裁縫は上手かったなぁ」

「レイも上手だったし、見習いたい部分もあったぞ」

「でも、こうしてカラフルな服が揃うと、チノちゃんのお母さんがやりたかったことが分かるよ」

「えっ!? 母は何を!?」

「せーの!」

「「「「「「「「ラビレンジャー爆誕!」」」」」」」」

 

 新たな部隊、ラビレンジャー。お客さまたちが拍手した。

 

「ぼ、僕は何を......」

「ば、爆誕!?」

「ワシの喫茶店が......」

「絶対違うでしょ......」

 

 このタイミングでお客さまが来店する。

 

「いらっしゃいま......せ......!?」

 

 そこにいたのは師匠と銀華さんだった。

 

「し......と......春生九段、銀華さん、どうしてここに!?」

「なに、気にすることは無い。息子の晴れ姿を見に来ただけさ」

「アタシも......弟の働いている姿を見に来ただけよ」

「ちょ......」

『えぇー!? お姉さまって伯方名人!?』

「言わんこっちゃない......」

「おや、余計なお節介を働いたかな?」

「僕が隠していた秘密を完全にバラしましたよ、父さんたちが」

 

 騒めきが治らない中で、僕は2人に接客する。

 

「ご注文は何になさいますか?」

「コロンビアとブルーマウンテンを1杯ずつお願いするわ」

「かしこまりました」

 

 僕はいつも通りにサイフォンでコーヒーを作る。身内に振る舞うということもあって少々緊張したが、特に問題無く作ることが出来た。

 

「お待たせ致しました。コロンビアとブルーマウンテンでございます」

 

 僕は2人がコーヒーを啜るのを眺めている。そして沈黙が走る......。

 

「「美味しい!」」

「......!」

「玲!こんなに美味しいコーヒーは初めてよ!」

「今度家に帰ってきたら家族みんなに振る舞ってほしいな」

「ありがとうございます!」

 

 そしてラビットハウスが閉店し、いよいよクリスマスパーティーが始まった。テーブルの上に豪華なご馳走が並べられた。僕は無理を言って師匠と銀華さんを一緒に参加させてもらった。

 

「じゃあ!シークレットサンタの正体、明かして行こうぜー!」

「私のサンタさん誰かな誰かな?」

「誰だと思う?」

「———ねぇみんな!」

「私よぉぉぉ!」

「おっ!シャロちゃんだったのぉぉぉ!」

 

 ココアはシークレットサンタのシャロに頬ずりした。

 

「くっ付くなー!」

 

 ココアは早速シャロから貰ったプレゼントを開けてみる。

 

「わぁ〜!可愛い貯金箱!大切にする!絶対割らない!」

「うふっ。その顔が見たかったのよ」

「ねぇ!みんな見てー!これ見てー!」

「落ち着きなさい!」

「あはは......」

「シャロ」

「はい?」

「シャロのサンタ......私なんだ」

「えぇ!? リゼ先輩ーーー!?」

 

 シャロがプレゼントを開けると、シュガーポットが入っていた。

 

「シュガーポット!?」

「本当に欲しい物をあげたかったけど......尾行して調べる訳にもいかなかったから」

「いえ!嬉しいです!ありがとうございます!それに!」

「ん?」

「先輩のストーキング!どんと来ーい!」

「乗り気!?」

「なんでさ」

「......ん!?」

 

 リゼが後ろに振り向くと、ココアが立っていた。

 

「リゼちゃん」

「私のサンタはお前か!?」

 

 ココアからのプレゼントの中は、教師セットだった。

 

「教師の威厳が増したよ!実用的!」

「素敵でーす!」

「これは......」

「ネタに走っただろぉぉぉ!」

 

 そして千夜は、シークレットサンタのメグからプレゼントを貰った。

 

「帯留めだわ!素敵ー!」

「可愛いから私もお揃いの買っちゃった!」

「メグちゃん着物着るの?」

「その......来年甘兎でもバイトして、お着物着られたらって思ってたから......」

「メグちゃん......!」

「聞いてない!」

「ウチと掛け持ちですか!?」

「私に憧れてたんじゃなかったの!?」

「とんでもないね......」

「フフーン!なら私だってフルールで働いちゃうもんねぇ〜!」

「ちょっと待ったー!」

「ん?」

「マヤちゃんのサンタは私。新作ゲーム『ラビットクロニクル』よ?」

「やっぱ働くのは甘兎にするー!」

「あらあら」

「ちょっと千夜ー!」

「おいおい......」

「メグさん」

「チノちゃん?」

「メグさんのこと、沢山考えて選びました。アロマポットです」

 

 チノはプレゼントのアロマホットをメグに与えた。

 

「是非当店を本業としてご贔屓に」

「恐れ入ります」

「お歳暮かな?」

「おーい!あっちこっちで買収が始まってるぞー!」

「チノのサンタは私!ミニチュア将棋セット!今度勝負しようね!」

「あ、ありがとうございます!でも、これ高くなかったですか?」

「実はメグにも出してもらったんだ」

「いつもお世話になってるからね。えへへ」

「そんな......それは私の方なのに......お返しし切れないくらい......」

「じゃあ、乾杯しましょう!」

「か、乾杯!?」

 

 そうすると、チノが乾杯を始めた。

 

「み、みなさんに乾杯です!」

「おぉ!チノが率先した!」

「チノちゃんカンパーイ!」

「「「「「「カンパーイ!」」」」」」

「さぁ!チノさんとレイさんが頑張って焼いたケーキですよ!」

「凛ちゃんさん!?」

「何でここで働いてるの!?」

「くっ!私がこのお店を雑誌に載せてしまったせいで......みなさんが大変になったので......罪滅ぼしです!」

「それはありがたいことなんですよ!? 寧ろ真手さんは救世主です!」

「そ、そうですよ!お客さんが沢山来てくれてありがたかったですが!」

「あれを見てくれ!」

「「「ん?」」」

 

 アフタヌーンティーセットを頬張ってる青山先生を発見した。

 

「青山先生!?」

「なんか平然といるし、頬張ってるし......」

「美味しいですぅ〜」

「あの図太さを見習うべきだ!」

「本当にいつの間に......」

「さぁみんな!注目!」

「「「「「「「ん?」」」」」」」

「よーく見ててね?One!Two!Three!」

 

 マジシャンハットから紙吹雪が舞った。

 

「っ!」

「「「「「「「わぁ〜!」」」」」」」

「おぉー」

「ココアサンタからの、みんなへのクリスマスプレゼントだよー!」

 

 テーブルを杖で叩くと、プレゼントが出て来た。

 

「「「「「「「おぉ〜!」」」」」」」

「全員に!?」

「ココアちゃん......!」

「「ありがとー!」」

「ありがとう!」

「ココアサンタさん......!」

「ココア......僕たちのためにここまで......!」

「ううん、こちらこそありがとうだよ。その顔を見せてくれて......そして......私のお店を守ってくれて!」

「父の店です」

「玲。私たちからもプレゼントだ」

「はい、みんなで聴いてちょうだい」

 

 師匠は僕にルビーダイヤモンドのネックレスを、銀華さんはARGENT(自分)のサイン入りCDをくれた。

 

「父さん......銀華さん......ありがとうございます!」

「良かったね!レイちゃん!」

「あっ、そうだ。ココア、ちょっと杖貸して」

「ん?良いよ」

 

 僕はココアから杖を借りた。

 

「実はみんなにはもう1人サンタがいる......」

「「「「「「「......!まさか!」」」」」」」

「さぁ、杖をご覧あれ!」

 

 僕は大きく杖を上に振り上げた。何も起こらないことに全員困惑している。

 

「「「「「「「......?」」」」」」」

「みなさま、手元をご覧あれ」

「「「「「「「......あっ!」」」」」」」

 

 ココアたち7人の手には小さなプレゼントボックスがあった。

 

「中身を見てごらん?」

「「「「「「「......おぉー!」」」」」」」

 

 僕が悩みに悩んで選んだのは自作の指輪だ。ココアにはルベライト、チノにはターコイズ、リゼにはアメジスト、千夜には翡翠、シャロにはシトリン、マヤちゃんにはラピスラズリ、メグちゃんにはガーネットの宝石がついた指輪をプレゼントした。みんなのイメージカラーにピッタリだと思ってこの宝石を選んだ。

 

「......どうかな、みんな気に入ってくれたかな?」

 

 そう言った刹那、みんなは僕特製の指輪を何故か左手の薬指にはめる。

 

「......みんな、なんでそこにはめるの?」

「えっ?これってレイくんから私たちへのハーレム宣言ってことでしょ?」

「それは違うよっ!」

「「「「「「「あはは!」」」」」」」

「「玲ー、嫁は1人にしてねー」」

「父さんも銀華さんも茶化さないでください!」

「「「「「「「あははははは!」」」」」」」

 

 翌朝。ココアはラビットハウスのカウンターにスノードームを置いた。えっ?僕のサプライズサンタ?勿論したさ、2人が確実に寝ている午前5時を狙って。ココアにはうさぎ型にカットしたルビーのネックレスを、チノにはココアと同じくうさぎ型にカットしたサファイアのネックレスをプレゼントしている。

 

「ココア!」

「おはよう」

「おはようレイちゃん!リゼちゃん!昨日は楽しかったね!」

「そうだね」

「ん?チノは?」

「さっき覗いてたらまだ寝てたよ?」

「寝坊か?珍しい」

「後で起こしに行くよ」

「えへへ。遅くまで起きててくれてたもんね」

『おっはよー!朝だよー!お姉ちゃんと一緒にレッツダンース!』

「うわあああぁぁぁぁぁ!」

「何の音!?」

 

 突然チノが目覚まし時計を持って出て来た。

 

「このうるさい音の止め方を教えて下さい!」

「早速使ってくれてる!」

「何さ、その目覚まし音!? ココアの声!?」

「止まらないんです!」

「止めなくていいのに」

「もう、うるさいですーーー!」

「あー。止め方はそうじゃなくて、このボタンをね」

 

 ココアは蝶ネクタイのボタンを押したが、鳴り止まない。

 

「あ、あれ?おかしいなぁ......」

「ココアさーーーん!」

「お前らうるさーーーい!」

「この騒々しいのも、想像以上じゃのう。きっと」

「ちょっと貸して!」

 

 目覚まし時計を借りた。

 

「この......止まりなさーーーい!」

 

 僕は蝶ネクタイのボタンを強く押した。すると音が鳴り止んだ。

 

「と、止まった......」

「良かったぁ......」

「ココアさぁ......もうちょっとマシな目覚まし音作りなよ!」

「えへへ〜。ごめんね〜」

 

 今年のクリスマスもまた騒々しかったのであった。




伯方 玲の意外な特技11「裁縫・料理等の家事スキル」
一般的な主婦顔負けレベル。自分のモノだったら自分で全てリカバー出来る程度には出来る。料理はレストランで提供出来るレベルに上手であり、裁縫は店を構えられるレベルに上手である。

レイの弟子になるのは誰?

  • ココア
  • チノ
  • リゼ
  • 千夜
  • シャロ
  • その他
  • 誰も取らない
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