ご注文は名人ですか?   作:神近 舞

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ストックなんてありません。毎日投稿はしません。怠惰に投稿できる状態になったら投稿します。


第4羽 ラッキーアイテムは桂馬と罪と罰

 

〔1〕

 

「......負けました」

「ありがとうございました」

 

 棋匠戦挑戦者決定戦。師匠との久しぶりの公式戦となったが、春生マジックとしての桂馬が絶妙手となり、僕は負けた。これにより、棋匠戦の挑戦者は2年連続で師匠たる春生 芳治九段に決まった。

 

「春生九段おめでとうございます。今回再度タイトル100期のかかった挑戦となりますが、意気込みのほどはいかがでしょうか」

「ありがとうございます。そうですね......相手の白井棋匠とのタイトル戦は2度目になりますので、楽しめたら良いなと思います」

「伯方名人お疲れ様でした。今回師弟対決となりましたが、感想のほどお願いします」

「師匠の壁はやはり高いと感じました。尊敬する師であると同時にシノギをけずるライバルでもありますので、その認識を再確認した一局であると痛感しました」

「両対局者ありがとうございました」

 

 インタビューを終えた後、僕は師匠に声をかけた。

 

「お疲れ様でした師匠。楽しい一局でした」

「お疲れ様。私も楽しかったよ」

「白井さんははっきり言って強敵です。ですが師匠なら......」

「君も今苦戦してるからね......名人戦で」

「なんとか1勝出来てますが、ギリギリのモノでした......師匠、頑張ってください」

「あぁ、君もね」

 

 ハッキリ言ってあの対局は辛勝でしかなかった。白井竜皇には絶対に我々には見えていないナニかが見えている気がする。僕はこれからの対局に憂いを浮かべ、ホテルに泊まる(今日の対局は千日手等も挟んで時間がかかりすぎて22時になったため終電が無くなった)。

 

「......名人戦が終わったら、次は帝位戦挑戦者決定戦か」

 

 帝位戦に出られても戦うのはあの人だ。頭が痛い。その後、僕は早朝の特急で街に帰ってきた。その後ラビットハウスに直行したのだが———

 

「レイちゃん!セロリ食べられない方がダメだよね!?」

「レイさん、トマトジュースを飲めない方がダメですよね?」

 

 何、この状況。

 

「......言いたいことは分からんでもないけれど、どっちもどっちだよ」

「「うぅっ......」」

 

 好き嫌いは無くしましょう。僕は師匠によって矯正済みなので、特に嫌いなモノは無い。

 

「こういうときにレイちゃんが羨ましいよー......」

「レイさん、どうにか出来ないんですか?」

「師匠の矯正受けるかい?もれなく地獄行きが確定するけど」

「「遠慮させていただきます」」

 

 それが賢明だ。師匠の矯正は本当に地獄だった。もう二度と思い出したくないぐらいには。そして朝食を食べ終わったので———

 

「さて、僕は明日から札幌に行くから研究を始めるよ」

「名人戦第三局ですか」

「札幌で対局なんだね......お土産期待してるね!」

「僕観光のために北海道行く訳じゃないんだけど」

「ん?札幌って沖縄じゃなかったっけ?」

「正反対です」

 

 南北逆転してるぞココア。そんなこんなで時は流れ、名人戦第三局。戦型は相矢倉で進んでいった。

 

「......」

「......」

 

 1日目は矢倉の構築と攻め駒の用意で終わり、48手で終了。封じ手は白井竜皇が書いた。残り持ち時間は僕が4時間56分、白井竜皇が4時間33分だ。自分の部屋でくつろぎ、これからの一局の展望を考えているときだった。

 

『ん?札幌って沖縄じゃなかったっけ?』

『正反対です』

 

 南北逆転してるぞ......って何故急にこの光景を思い出したのだろうか。

 

「何か意味があるのか......?」

 

 2日目。僕は苦しい状況に立たされていた。お互いの矢倉は既に崩壊しており、どちらが先に玉を詰ませるかという状況。現在は白井竜皇の手番となっており、猛攻撃をとにかくさばいているが、いつミスしてもおかしくない状況だ。次の攻撃から王手ラッシュになる。何か......策は———

 

『ん?札幌って沖縄じゃなかったっけ?』

『正反対です』

 

 南北逆転......逆転?......見つけた。白井玉を詰ます唯一の道が。そこに間違いは———無い。これしかない!

 

「......」

「......!」

 

 僕が指した唯一の活路。桂馬と角を活かした攻防一体の一手。ここからあと32手で詰ませられる!

 

「......負けました」

「ありがとうございました」

 

 そこから14手後、白井竜皇は投了した。あの日の思い出が生み出した———友人とともに切り開いた———勝利であった。もうインタビューの内容は覚えていない。一つだけ確かなのは、僕は良い友に恵まれたということだろう。

 

 

 

 

 

〔2〕

 

 名人戦第四局を目前に控えたある日、ラビットハウスではあることが行われていた。

 

「明日の恋愛運は上々です。水玉模様を身に着けた年下の方に誘惑されるでしょう」

「ありがとう」

「チノちゃんお客さんと何話しているのかな?」

 

 コーヒーカップを見つめお客さんと何か話しているチノちゃんに疑問を持つココア。その質問に対しリゼさんはああ、と頷いた。

 

「あれはコーヒー占いだよ。頼まれたらやっているらしいんだけど、チノの占いは良く当たるんだ」

「お天気占いが良く当たる私と張り合うとはなかなかだね!」

「何で勝負になっているんだ」

「僕も人がランダムで取り出した将棋の駒で占うことが出来るよ」

「どんな占いだよ」

 

 実は将棋棋士や女流棋士の間では僕の「駒占い」は話題になっている。的中率は80%以上と高く「伯方の駒占いに従って対局したら勝った」という声が後を絶たなかったため、あれ以降駒占いに禁止令が出されてしまった。ショボン......。

 

「さっきのコーヒー占いってどうやるの?」

「やり方自体は簡単ですよ。まずコーヒーを飲み干します。次にカップを逆さにしてソーサーに被せます。そうやってカップの底に出来たコーヒーの模様で、運勢を占うんです。これがコーヒー占いこと『カフェ・ド・マンシー』です。おじいちゃんのカフェ・ド・マンシーは当たり過ぎて怖いって有名でした」

 

 私はカプチーノしか当たりませんが......と締めくくるチノちゃん。

 

「それでもチノちゃん十分凄い気がするけれど」

「うぅ......私もやってみたい!」

 

 と言う訳でココア達も挑戦する事に。何故かティッピーもコーヒーを飲んでる。ティッピー、コーヒー飲めるんだ......。飲み干した後ココアがカップの底を見る。ジャンプしてチノちゃんの頭に乗るティッピー。

 

「チノちゃんは......空からうさぎが降ってくる模様が浮かんで来たよ!」

「そうは見えませんが......本当だったら素敵ですね」

「リゼちゃんは......コインが沢山見える!金運がアップするのかな?」

「おー!欲しかった物が買えるのかな?」

「レイちゃんは......たくさんの女の子が見えるよ!明日の対局後は気をつけて!」

「連盟会館にファンでも来るのかな?」

「ティッピーは......セクシーな格好で、皆の視線を釘付けだよ!」

 

 するとティッピーが突然やる気に。やっぱり人間レベルの意思あるよなティッピー......。

 

「あれ?ティッピーどうしたの?」

「ティッピーも占いたいみたいです」

「おお!どっちが当たるか勝負だね!」

 

 そしてティッピーもカフェ・ド・マンシーで占う事になった。

 

「ココアの明日の運勢は......雨模様!と言うより、水玉模様!正直外出しないのが吉じゃ」

「———だって!」

「いや、お前の運勢だから」

「では、リゼの運勢も。おー!リゼは将来器量のある良き嫁になるじゃろう!」

「私が?まさかー!」

「昨日は夕食後ティラミス一つじゃ足りず、キッチンに侵入した」

 

 何故バレた!?とでも言いたげな表情でびっくりしたリゼさん。

 

「実は甘えたがり、褒めると調子に乗りよる。適当に流すのがぶな———ギャアァァァ!」

 

 我慢出来ずにティッピーに強い一発をチョップしたリゼさん。

 

「この毛玉めー!ただの性格診断じゃないかー!」

「当たってるんだ......」

「アイタタタ......次はレイの運勢も。どれどれ......次の対局は桂馬が鍵になりそうじゃ。居飛車穴熊をすると尚更吉」

「ちょうど明日の対局で居飛車穴熊やろうと思ってたな......その方針で行こうかな」

 

 明日は桂馬に注目して対局してみよう。

 

「......負けました」

「ありがとうございました」

 

 勝てちゃったよ。言われた通り居飛車穴熊して桂馬に注意していたら相手の攻撃をすべて潰せちゃったよ。逆に取った桂馬で相手を必至に持っていけちゃったよ。やっぱりティッピーって......そういうことだよね?

 

「伯方名人おめでとうございます。本対局の結果を以って、帝位戦挑戦者決定戦に進出することが決まりましたが、意気込み等はありますか?」

「ここまで来た以上、帝位戦に挑戦する気持ちで対局に望みたいと思います」

「相手は後藤 匠(ごとう たくみ)叡帝(えいてい)もしくは春生 芳治九段ですが、何か対策等はありますか?」

「どちらが対局相手になったとしても、研究と実戦あるのみです」

 

 名人戦が終わってないのに今度は帝位戦......考えるだけで頭が痛いな......。今日はなんと15時で終わってしまったため、街に着いたのは17時と相当早い時間になってしまった。ラビットハウスに戻った僕は、ココアたちに言った。

 

「ティッピーの言った通りにやったら勝ったんだけど......」

「「「「えっ」」」」

 

 おいティッピー。想定外だったのかよ。その後震えた声でココアが言う。

 

「ちなみに、私の占いは......?」

「いやぁ......特に何も」

「ガーーーン!」

 

 ココアが突っ伏した。どうやら占い対決はティッピーの勝ちのようだ。

 

「それとチノちゃん。ティッピー連れて少しだけ裏に来てほしいんだけど」

「はぁ......分かりました」

 

 僕はチノちゃんとティッピーを呼び出した。ある「確信」を持って。

 

「という訳で、ここでなら存分に話せますね———チノちゃんのおじいさま」

「「ッ———!?」」

 

 これまでの疑惑が完全に確信に変わった。これまでの発言と行動をすべて説明するには「ティッピー=チノちゃんのおじいさま」でなければ説明がつかなかったからである。自分でも馬鹿馬鹿しい推論だと思ったが、この様子だとどうやら当たりのようだ。

 

「......いつじゃ。レイはいつ気付いた」

「確信したのはついさっきですよ。ですが気付く材料は2人がたくさん教えてくれた———こう見えても耳が良いんですよ?僕は」

「......そうか。このことは秘密にしてもらえんか」

「僕には話す理由がありませんので。ですが2つだけ」

「「......ゴクリ」」

「1つ、たまにで良いので一緒に話しましょう?その方が楽しいですし、おじいさまにも興味が湧きました。2つ、これもたまにで良いのでお手合わせ願います。棋士としてはやっぱり将棋が一番対話するのに丁度良い」

「......そんなことで良いんですか?」

「逆に僕が何を要求すると思ったのさ......」

「......私を妹にするとか?」

 

 ココアじゃあるまいし。というか逆になりにきているでしょうが。

 

「まぁ、それだけです。僕のモヤモヤが晴れてよかった......」

「なんじゃ、ずっと気になっとったんか」

「そうですね......どうしても拭えない違和感みたいなのがあったので、出来れば早く解消したいなぁ、って思っただけです」

 

 僕はコホンと咳払いし、締めくくる。

 

「改めて、チノちゃん、マスター、よろしくお願いします」

「......はい!」

「......わかったわい」

「......ところでマスター、僕は自分の実力で勝ちたいので、これから対局関係の占い結果が出ても言わないでくれると助かります」

「......それもそうじゃな」

 

 後日、僕は名人戦を4勝1敗で防衛し、名人2期目に突入した。

 

 

 

 

 

〔3〕

 

 6月のある日、リゼさんを除く僕たちいつメンは、市立図書館に来ていた。目的?一学期末考査の勉強のためだ。特に僕は対局もある関係で、こうして勉強に集中出来る時間は滅多に無いからありがたい。

 

「わー!この図書館大きいねー!」

「どこに連れて行かれるのかと思ったら」

「市立図書館だったね」

「あの辺で良いかしら」

「うんうん!眺めも良いし!」

 

 景色が見える窓際のテーブルに座る僕たち。

 

「勉強しに来たんじゃないんですか?」

「期末テストの勉強にね......」

「チノちゃんはどうして図書館に?」

「小さい頃に読んだ本をもう一度読みたくて。でもタイトルが思い出せないんです」

「内容は?もしかしたらヒントになるかもしれない」

「えっと......正義のヒーローになりたかったうさぎが、悪いうさぎを懲らしめるんですが、関係ないうさぎまで巻き込んで大変な事になってしまうんです。更に主人公を追ううさぎまで現れて、途中も戦ったりもするんですけど———」

 

 そんなに覚えてるのに、また読みたいんだ......。

 

「そう言えばチノちゃんもテスト近いって言ってたよね?」

「それなら、レイくんとシャロちゃんに教えて貰ったら?」

「僕も勉強したいんだけど......というかシャロも?」

「ええ!特待生で、学費が免除されているくらい優秀なの」

「わーお......」

「へぇー!凄い!美人で頭まで良いなんて......!」

「非の打ち所がないです!」

「眩しー!」

 

 シャロに対して両目を隠すココアとチノちゃん。

 

「そ、そんな......」

「おまけにお嬢様だなんて完璧すぎるわ。眩しー」

 

 千夜はシャロを煽るように目を見せたり隠したりした。さすがにひどいぞ。そんなこんなで勉強会が始まった。

 

「それじゃあココアちゃん、今日はよろしくね」

「うん!」

「え?千夜が教えてあげるんじゃないの?」

「違う違う。私が教えて貰うの」

「嘘でしょ!?」

「私数学と物理が得意なんだぁ」

「それならココアがチノちゃんに教えてあげれば良い気もするんだけど」

「......レイちゃん、分かって言ってる?私、総合順位で言えば平均くらいだよ?」

「そんなに足を引っ張ってる科目があるの?」

「これ......」

 

 するとココアが僕たちに見せたのは、英語と国語と歴史の文系の中間考査の点数だった。英語が12点、国語が8点、歴史が23点、とまぁ散々な結果である。

 

「文系が絶望過ぎる!」

「改めて見ると本当に酷いなコレ......」

「むっ、じゃあレイちゃんはどうなのさ!」

「僕?ほらよ」

「「「「!?」」」」

 

 僕の中間考査の成績は国語97点、数学100点、英語100点、物理98点、化学97点、歴史(世界史)98点、地理95点の合計700点中685点。一教科当たり平均約98点である。これでも一応勉学には自信があるんだ。

 

「そうだった、レイくん学年1位だったわね......」

「ほ、本はいっぱい読むんだけどねー」

 

 おい、現実から目をそらすな。

 

「ココアさんは教え方がアレなので頼りになれません」

「アレ!?」

「そうなの?分かりやすいのにー」

「多分千夜は波長が合うんでしょ?」

「仲良しだもんねー!」

「ねー!」

「放っておいて勉強しましょ?チノちゃん」

「はい」

 

 その後、僕とシャロがチノちゃんに勉強を教える。

 

「この問題は、さっきの答えをここに当てはめて」

「こっちの問題は、あの解を使えば完璧だね」

「おー!シャロさんの教え方、レイさんと同じく凄く分かりやすいです」

「嬉しい!チノちゃんみたいな妹が居たら毎日だって教えるのに」

「はうわ!?」

 

 ショックを受けるココア。

 

「私もシャロさんみたいな姉や、レイさんみたいな兄が欲しかったです」

「シャロ、一緒にチノちゃんの勉強教えてあげようよ」

「ええ!」

「私いらない子だぁぁぁ!」

 

 テーブルに突っ伏して大声で叫ぶココア。

 

「図書館では静かに!」

 

 ココアよ、周囲に迷惑をかけるのはやめなさい。

 

「チノちゃんは将来、私達の学校とシャロちゃんの学校、どっちに行きたい?」

「チノちゃんにはセーラー服が似合うよ!」

「ブレザーの方が絶対可愛いわよ!」

「私は袴姿が良いと思うの」

「いつの時代よ?」

「大正時代かな?」

「レイちゃん!この3つのどれが良いと思う?」

 

 何故に僕に聞くんだ。チノちゃんに聞きなよ。

 

「袴はともかく、そろそろ決めないといけませんよね。悩みます......」

「将来の事を決めるのは難しいわよね」

「僕は既に確定しているけどね」

「なんなら名人よね、レイは」

「防衛したばっかで少し気楽だよ」

「将来かぁ......私はパン屋さんか、弁護士さんになりたいなぁ」

 

 将来を想像するココア。

 

『私ココア!街の国際弁護士!』

 

 今の頭身のココアがスーツを着て、法廷に出ている。

 

「なんか違和感!」

「あっ、最近はレイちゃんと同じ将棋棋士もいいなぁと思ってて」

「......ほえ?」

 

『私ココア。街の国際将棋棋士よ』

 

 成長したココアが十二単みたいな服を着て、将棋を指している。

 

「頭身の問題じゃないでしょ!」

「街の国際将棋棋士ってなんだよ」

「立派な夢ね!ココアちゃん!」

「えへへ〜。千夜ちゃんの夢は?」

「私は、自分の力で、甘兎をもっと繁盛させるのが夢」

「私も、家の仕事を継いで立派なバリスタになりたいです」

「バリスタも格好良いね!」

「チノちゃんならなれるわよ」

「みんなの道を応援するよ」

「決めた!私、街の国際バリスタ将棋棋士になるよ!」

「街の国際から離れて下さい」

 

 今のココアは迷走しているように思える。大丈夫だろうか......。そんなこんなで時間が過ぎて、あっと言う間に夕方になった。僕とココアは、チノちゃんが読みたい本を探し回っていた。

 

「どこかなー?チノちゃんの本」

「これだけ本が多いと、探すのは大変そうです」

「一冊ずつ探すのは疲れるね」

「正義......悪......あ!本のタイトル分かったかも!」

「ほ、本当ですか!?」

「内容だけで分かるもんなの?」

「今まで気付かなかったけど、私達、本の趣味が合うのかもしれないね!」

 

 手を伸ばすココアとその手に伸ばそうとするチノちゃん。そしてチノちゃんの手を掴んでその本がある場所へ走り出す。ココア、図書館では走るんじゃありません。

 

 

 

 

 

 Side Sharo

 

 私はテーブルに突っ伏していた。千夜も一緒だ。レイたちはチノちゃんの本探しに行ってしまった。あぁ......レイのキレイな顔が......。

 

「わたしが千夜たちと同じ学校だったらどうなってたんだろう.......」

「今の学校、後悔してるの?」

「だってレイと違う学校だし......せめて......せめてリゼ先輩と同じ学年だったら......」

「あはは......正直窮屈よね。学費免除が理由でエリート学校に入れても。私なら周りがお嬢様だらけで気を使って疲れちゃう。でも待って、もしシャロちゃんが私達と同じ学校だったら」

「だったら?」

「人数合わせ的に私とレイくんとココアちゃんが違うクラスになってたかも!そんなの困るわ!」

「嘘!?」

「なんて冗談」

「い、いい加減からかうのは止めてよ!」

「シャロちゃんだってホントは分かってるんでしょ?学校以外だってこうして会えるんだもの。私達大人になってもずっと一緒」

 

 私は嬉しかった。千夜からその言葉が聞けたことに。千夜だけじゃなくて、レイやリゼ先輩、ココアやチノちゃんと一緒にいられたら———

 

「それは......素敵なことなんだろうな......」

 

 Side Out

 

 

 

 

 

「確か、ここに!」

 

 脚立を使って、本を探すココア。本当にどこなのか。

 

「あ!あったよー!」

 

 遂に本を見付けたココア。お手柄だ。

 

「やりましたね!」

「えっへへー。ちょっとは頼れるお姉さんになれたかな?」

 

 本をチノちゃんに差し出すココア。

 

「ココアさん......」

 

 本を受け取るチノちゃん。

 

「見付かって良かったねー!」

「ねっ!ん?チノちゃん?」

「ココアさん———これじゃない!」

 

 本のタイトルは「罪と罰」だった。......ドストエフスキー?

 

「合ってること読者の正義観を問うことだけじゃん」

 

 チノちゃんは僕のその言葉に深く同意していた。




この世界の将棋界の事情4
前々期順位戦結果(スコア)→前期A級順位戦結果(スコア)
 名人: 白井 創太名人(A: 7-2)→名人失冠(2-4)
 1位: 真辺 明九段(前期名人)→4位(5-4)
 2位: 時瀬 顕人九段(A: 7-2)→9位(2-7)→A級陥落
 3位: 広島 雅之九段(A: 6-3)→2位(6-3)
 4位: 皆瀬 琢也九段(A: 6-3)→3位(6-3)
 5位: 進藤 晋太郎八段(A: 5-4)→10位(1-8)→A級陥落
 6位: 永井 達也八段(A: 5-4)→5位(5-4)
 7位: 秋葉 陽八段(A: 4-5)→6位(4-5)
 8位: 加藤 甘彦九段(A: 4-5)→7位(4-5)
 9位: 伯方 玲二冠(B1: 12-0)→1位(9-0)→名人奪取(4-2)
10位: 鏑木 元気八段(B1: 9-3)→8位(3-6)

レイの弟子になるのは誰?

  • ココア
  • チノ
  • リゼ
  • 千夜
  • シャロ
  • その他
  • 誰も取らない
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