〔1〕
今期の帝位戦は、4勝1敗で僕が勝利し新帝位となり、僕のタイトル数は四冠となった(名人・帝位・棋帝・玉将)。11月のある日、今日は新帝位就位式の日だ。会長である師匠から就位状が渡される。
「就位状、伯方 玲殿。貴殿ハ今期帝位戦ニ優勝セラレマシタ。依テ茲ニ第六十六期帝位就位ヲ認メマス。令和七年———日、日本将棋連盟会長春生 芳治」
僕は師匠から就位状を授与される。ちなみに1ヶ月後、玉座戦の就位式があるが、なんと師匠が白井玉座から3勝2敗でタイトル奪還に成功し、累計獲得タイトル期数が100に到達した。今回、会長である師匠がタイトルを獲得したため、授与者が揉めにもめた結果現状の棋界の最上位者かつ名人である僕が代理で授与するという形になった。
「今回帝位を獲得した伯方です。白井前帝位との対局は非常に難解な部分も多く、いつ負けてもおかしくないような状況でしたが『負けたくない』という思いを常に持ち続けて戦ったシリーズになりました。しかし、自分を信じている方々を裏切れないと思った結果、自分でも思った以上の力を発揮出来たと思います」
僕の言葉を、僕の晴れ姿をカメラが拾う。みんな、見ていてくれてるかな?
Side Chiya
「カッコいいよレイちゃあぁぁぁぁぁん!」
「レイさんの就位式は何度見てもカッコいいです......」
「「レイ......キレイ(だ)......」」
「レイくん素敵ねー」
私たちはレイくんの帝位就位式を観ていた。8月終わりに行われた帝位戦第五局にて快勝し、白井帝位から帝位を奪取。レイくん自身初となる四冠となった。
「このまま行ったら八冠独占までいっちゃうわねー」
「「「......」」」
「......出来そうなのが怖いです」
八冠独占なんてことがあったら......私たちは彼のことをどう見れば良いのだろうか?レイくんをレイくんとして見てい続けられるだろうか?
「......自信が無くなってきたわね」
「......大丈夫だよ!」
......えっ?急にココアちゃんが立ち上がる。
「たとえ八冠独占したとしても、レイちゃんはレイちゃんだよ!レイちゃんが変わる訳じゃないんだから!私たちはレイちゃんのありのままを知っているんだよ?だからこそ、レイちゃんとありのままでぶつかり合おうよ!」
......そうね。レイくんはレイくんだものね。私の悩みが晴れた気がした。それはそれとして———
「ココアさん、ぶつかり合ってレイさんを轢き潰さないでくださいね?」
「私がそんなことしそうに見える!?」
「「「「見える(わ)」」」」
「ヴェェェェェ!」
ココアちゃんは面白いわねー♪
Side Out
〔2〕
後日、ラビットハウスで皿洗いをしてる僕たち。不意にリゼさんが口を開く。
「あっ!そうだ!私またバイト休むかも」
「えっ?」
「何か用事なの?」
「部活の助っ人頼まれたんだ、演劇部の」
「そうなんですね」
「演劇部!凄い!」
「時々助っ人してる部活って演劇部だったんですね」
「リゼちゃんって声が通るし暗記も得意だし役者さん向きだよ!」
「そ......そうかな?」
リゼさんは褒められて嬉しいのか、赤面した。
「演劇......童話とか良いですよね」
「赤ずきんやシンデレラなんか良いよね」
「今度やるのはそんな可愛い物じゃないけど......」
「どんなダークメルヘンやるの?」
ココアの想像。赤ずきん姿のリゼさんが銃を構える。
『食らえー!』
発砲するリゼさん。
「何故赤ずきんが銃を持っているのか」
「どうしてそうなる!? 普通の奴だ普通の!」
「何を演じるのか教えて下さい」
「教えて教えて!」
「わ、笑うなよ?」
リゼさんは一拍置いて続ける。
「......オペラ座の怪人のヒロイン、クリスティーヌだ」
「オペラ座の怪人......名作ですね。ところで、助っ人がヒロインをやるものなんですかね?」
「......」
「嬉しそうですね」
「そんな訳あるか!」
リゼさんが皿を持ってプルプル震える。
「力み過ぎてお皿割れそうだよ!落ち着いてクリスティーヌ!」
「日常でその名前で呼ぶな!」
「私も犬の役ならやったことあるよ、ワンワン!」
「犬じゃない!優雅でお淑やかな若いオペラ歌手の役だ!」
その刹那、皿がバキッと真っ二つに割れてしまった。
「Oh......」
「あっ」
「優雅で......お淑やか......」
怖がりながら震えるチノちゃん。
「す......すまない、弁償する」
「リゼさん......さすがに普段通りのままですとクリスティーヌ役は難しいかもしれませんよ?」
「確かに、私にはお淑やかな演技は難しいかもしれない......」
「僕は女性特有のお淑やかさは教えられませんよ?」
「あっ!お淑やかさなら、千夜ちゃんとシャロちゃんがアドバイスしてくれるかも」
そう言って千夜にメールするココア。バイト終了後、甘兎庵にリゼさんとともに僕が行くことになった。なんでさ。
「と言う訳で、千夜に学びに来たんだ」
「僕はその付き添い」
「せっかく頼ってくれたんだから、本腰入れて指導しなきゃね」
リゼさんと何故か僕の肩に手を乗せる。
「任せて!2人を魑魅魍魎も恥じらう乙女にしてあげる!」
「ま......任せた!」
「僕はやらないが?」
部屋を出て登場したのは白いワンピースを着たリゼさん。いつもと違うイメージになった。
「完成!これなら何処から見ても立派な淑女よ」
「ロゼさんのときのやつじゃん」
「き、気付いていたのか!?」
「気付きますよ......余程鈍感じゃない限りは」
それは、あの日に僕たちとすれ違って会った時と同じだった。
「さて、レイくん」
「は?」
千夜は女性用の和服を持ってきた。
「これに着てちょうだい♪」
「やらないって言ったよね僕!?」
「これ以上拒否するなら剥くわよ?」
「是非ともやらせていただきます」
「レイ......」
僕は紫色の着物を着る。そして部屋を出たが......。
「「......」」
「......なんか言ってよ」
「いや......想像以上に似合っていてな......」
「私の目は間違って無かったわね!」
何がだよ。その後、花の鉢を持って早速練習開始。
「さあ早速練習よ。まずは小手調べにこの花を愛でてみましょう」
「イエッサー!ところでこの格好に意味あるのか?」
「勿論、形から入るのは大事よ。と言う訳で......」
メガネを掛けた千夜。そして———
「ダメですわ!クリスティーヌさん!全然腰が入ってなくてよ!」
「お前も役に入るのか!? これで殴って人格変えた方が早くないか!?」
「その考え自体がよろしくなくてよ!」
「何この状況」
「玲子さん!他人事だと思って逃げようとしない」
「ハァ......」
何故か千夜も役作りする。というか玲子って......。
「素晴らしいです。物事に全力でぶつかるその姿、とても花ざかりの乙女です」
団子とお茶を堪能している、あの日の女性。
「誰?」
「青山ブルーマウンテンと申します」
「何故日本語と英語で二度繰り返したのか」
「ほら、この間皆で観に行ったうさぎになったバリスタの作者さん」
「「あぁ!」」
「青山さんにはメニュー名を考えるのを時々手伝ってもらってるの」
「「共犯者か」」
「苦悩の果てに素敵なメニュー名を思いついた瞬間、笑顔を咲かせる千夜さんもまた素敵な乙女です」
「「詩人だ」」
「そう言う青山さんは?」
「私はまだ苦悩してます」
「人の事励ましてる場合か?」
「何してるんですか」
テーブルを見ると、原稿はまだ真っ白なままだった。
Side Sharo
私は駆け足で甘兎庵に向かっていた。
「リゼ先輩、甘兎で用事あるって何だろう?」
どうやらレイもいるらしいけれど......。甘兎に到着した私。しかし入口前に止まる。あんこがいたからだ。あいつは怖いけど......このくらいの困難......!勇気を出してドアを開ける。
「こんにちはー!」
ドアを開けると、怖いお面を着けた化け物が目の前に立っていた。
「ヒィィィィィ!」
Side Out
トラウマがまた増えて端っこで縮こまるシャロ。頭にあんこが乗ってる。......なんかもう......シャロが不憫だ。
「何で......何で......」
「ごめんねシャロちゃん。リゼちゃんの役作りのためにオペラ座の怪人のファントム役になりきっていたの。やっぱりこっちの方がファントムっぽいかしら?」
「そもそも代用品としておかしい......」
何故か般若のお面も用意してあった。
「シャロちゃん、リゼちゃんはシャロちゃんの意見を参考にしたいらしいの。レイくんの貴重な女装姿も見せてあげる」
「返せよ、僕の意思」
その言葉を聞くと、突然シャロがやる気になった。
「分かりました!それを使い鬼と仏の気持ちになって先輩に指導しろと言う事ですね!」
「それは違うよ」
「お面は関係ないぞ」
「違うんですか?」
あんこがシャロの手を優しくかじってる。
「シャロに習いたいのは上品さなんだ、コツを教えてくれ」
「コツと言われても......これは生き抜くために無意識に身についた処世術のようなもので」
「そんな過酷なものだったのか!?」
「大変だったんだね......」
「なるほど。最近のウェイトレスさんは世渡りするのも大変なんですね」
団子を食べながら語る青山先生。
「この前公園で会った変な人!」
「小説家の青山さんよ」
「えっ?この人が?」
「ウェイトレスさんって、ホールを舞うアイドルみたいなものですね」
「そんな風に見えてるんですか?」
「同時に、ホールで戦うファイターでもありますよね」
「イメージが主に私じゃないですか!?」
「アイドルで......ファイター......」
「満更でもなさそう」
「あはは......」
そんな話をしていると、突然ドアが開かれる。
「リゼちゃんの本心を聞きに来たよー!」
現れたのはココアとチノちゃんだった。
「「ロゼちゃん(さん)!」」
「お、お久し振りです!魑魅魍魎も恥じらう乙女です!」
えっ、何この状況。
「ロゼさん、うちの喫茶店に来てくれるの待ってたんです!」
「ごめんなさい......まさか覚えててもらえたなんて思わなくて......」
「そっか......チノちゃんは私より、ロゼちゃんみたいな人に憧れてるんだね———って!?」
「レイさん!? なんで女装しているんですか!? お似合いです!」
なんで僕には気付くんだよ。というかお似合いってなんだよ。
「レ......レ......」
「ん?」
「レイちゃんの女装姿、可愛いすぎ......ブハッ!」
ココアは突然鼻血を吹き出して倒れた。えぇ......。
「ココアさーん!気持ちは分かりますが耐えてください!帰りますよ!」
チノちゃんは倒れたココアを背負って帰って行った。......何しに来たんだあの2人。
「こんな店二度と近付かん!」
マスターも何しているんですか。
「やっぱこんなの柄じゃないよな。クリスティーヌは断るよ」
「そ......そんな......やり———」
「やりたいことを諦める必要が何処にあるんでしょう」
「あ......青山さんの言う通りです!その格好すごく似合ってます!」
「こんなに可愛いのに勿体無いわ」
「やってみる価値はあると思いますよ?」
「......ありがとう、私、頑張ってみるよ。あと勢いで来てしまったけど、こういうのって人に聞くもんじゃないな」
「聞く相手が悪かったのよ」
「「自分で言う?」」
後日、演劇の写真をココア達に見せるリゼさん。
「わー!これがリゼちゃんの演じたクリスティーヌかぁ」
「銃を持って怪人と戦ってますね......」
手榴弾や銃を持ってるリゼさんが写されていた。
「最初から脚本を私のキャラに合わせたかったみたいだ。せっかくお淑やかさのコツが分かってきたのに......悔しいから別の役でリベンジしてやる!」
「頑張ってください!」
「そんなのダメー!」
しかし、ココアとチノちゃんに止められた。
「似合わない役はやるなと!?」
「やらせてあげなよ」
〔3〕
数日後のある日、ラビットハウスでは帰宅したココアが焦ってた。
「ごめーん!また遅刻しちゃった!私の制服洗濯中だっけ!?」
そこでココアが見たのは、ココアの制服を着てる青山先生だった。
「おかえりなさいませ。ココアさん、このお店で働いてたんですね」
するとココアが崩れた。
「今度こそリストラだー!」
「失職ですか?実は私もさっきまで......」
「制服間違えてます!青山さん!」
その後、制服を着替えたココアと青山先生。
「青山さん小説家辞めちゃったの!?」
「チノちゃんが拾ったんだよね......」
「就職先に困ってたので、とりあえずうちに来て貰いました」
「凄くピッタリです。まるでこの仕事が天職かのような」
「本当にそれで良いのか?」
「あのところで、白いお髭のマスターは?私ずっとお会いしたくて」
「あっ......」
「知らなかったんですか?」
「えっ?」
「チノちゃんのおじいちゃんはもう亡くなられてるの」
「えっ?でもこの前お声を聞きましたよ?」
それは、青山先生が甘兎庵にいたとき。
『こんな店二度と近付かん!』
マスターとティッピーの声が一緒だったので、まだ居ると思ってた青山先生なのだった。完全に聞かれてるじゃないですか!
「会いたすぎて幻聴を聞いてるんだ!代わりにこっち白いお髭をモフモフして心を癒してください!」
「ココア!勝手なことを!」
ティッピーを持って眺める青山先生。ティッピーの顔はチノちゃんの祖父にそっくりだった。
「青山さん......」
「この子気に入りました。特に目を隠してるところがとても共感できます」
「よく見たら毛が凄い!」
「いつの間に老けたのか......」
「ちょい悪な感じが気に入ってるみたいです」
青山先生の背中はなんだか悲しげだった。翌日、僕とココアが千夜と下校しているときのこと。
「青山さん、最近来ないと思ったらラビットハウスで働いていたのね」
「小説の方はスランプみたいなんだ」
「そうなの?」
「昼間も時々手伝ってくれてるよ」
ラビットハウスに帰ってきた僕たちとお邪魔してる千夜。何故か人生相談窓口をやってる青山先生。
「この受付よく出来てるでしょ!」
「あの......これは一体......」
「このお店に貢献するために自分しか出来ない事をやろうと思いまして。人のお話を聞くのが好きなので、タカヒロさんがお客さんの愚痴を聞いているのを参考にしました」
「タカヒロさん、そんな事もしてたのですか?」
「タカヒロさん?」
「父です」
「素敵!とても良い考えだと思うわ」
「千夜ちゃんのためにこんなのも作ってみたよ」
それは、手相占いの看板だった。
「特技は活かしてなんぼだよねー」
「ねー」
「「......」」
早速、青山先生に相談してみる事に。
「特技を活かせると良いのですけど、何故か皆さん愚痴って下さらないんです」
「青山さんってミステリアスだから、皆一歩引いちゃうのかもね」
そう言う問題じゃないでしょ。
「マスターは人のお話を聞くのがとてもお上手でした。私もそんなマスターのように一息つける存在になれたら」
「そっか」
「ファンシーさがもっと出たら学生の子も話しやすいかしら」
「ぬいぐるみも配置してみましょう」
早速、ぬいぐるみを置いてみる事に。
「こ......こんな可愛い物に見つめられたら、呪われる!」
「「「呪われる!?」」」
何をどうしたらそうなるのか。
「とにかく、数をこなせば相談しやすいオーラが出るんじゃないかしら」
夕方になって、シャロもラビットハウスに来た。
「と言う訳で、日々思い悩んでいそうな子を連れて来たわ」
「日頃の鬱憤発散しろって言われても......」
青山先生がコーヒーをシャロに差し出した。
「よくいらっしゃいました。おもてなしのコーヒーです」
「あ、でもこの後バイトが......」
「ああ、それ僕がブレンドしたんだ」
「えぇ!?」
僕のブレンドコーヒーをゴクゴクと飲むシャロ。
「おいシャロ!またコーヒー酔いが目覚めるぞ!?」
またコーヒー酔いしてしまうのかと思いきや、シャロの目から涙が出て来た。
「あれ?何か涙出てきた......」
「まさかブレンドの具合によって酔い方が変わる!?」
「そんなバカな!」
「まあ、酔わなくて良かったけど......」
すると泣きながら悔しがるシャロ。
「やってらんないですよー!また今月も厳しくてうさぎにも噛まれて......!」
「まあ落ち着きなよ」
僕はシャロの頭を優しく撫でる。
「私もこう言うのがやりたかったんです!」
するとココアが一通の手紙を差し出した。
「悩める相談者さんからお手紙が届いたよ」
「だんだんご意見ボックスみたいになってきたわね」
「妹が野菜を食べてくれません。このままじゃいつまでたっても小っちゃい妹のままです。お返事を書かなくてはいけませんね」
チノちゃんがその手紙の内容を見る。すると、手紙を見て怒ったのか、自分が書いた手紙を差し出すチノちゃん。
「私もお手紙貰って来ました!自称姉が自分も嫌いなのに野菜を押し付けてきて困ってます!」
お互い直接言えよ!
「それと兄が妹である私を認知してくれません!」
それは君が本当の妹じゃないからです。
「急に忙しくなってきましたね」
お返事を書く青山先生。
「あの......そんな簡単に小説家辞めちゃって良かったんですか?」
「本当は続けていたかったんですが......」
「やりたい事諦めるなって私に言ったのは誰だよ!?」
「おー!リゼちゃんが熱い!」
リゼさんが青山先生に激励を送った。
「実は......マスターに頂いた万年筆を無くしてしまって以来、さっぱり筆が乗らなくて......他の万年筆じゃダメなんです......」
「確かに......手に馴染んだ物じゃないとなぁ......」
僕も、研究用の駒と盤は慣れ親しんだモノじゃないと違和感を抱く。
「あの、何処で無くしたのか分からないんですか?」
「ココアさんと初めて会ったあの日までは確かに持っていたんですけど......」
その言葉を頼りに、僕たちは公園で無くした万年筆を探す。
「私と初めて会った日に無くしたなら、ここに落ちてるんじゃないかな?」
「あっ!チノちゃん。どう?見つかった?」
ベンチの真下を探す僕とココア。そこにチノちゃんが来た。
「見つかりません、本当にここなんですか?」
すると、ココアは一羽のうさぎを見付けた。
「わーい!うさぎだー!」
ココアはうさぎを見付けて追い掛ける。
「探す気あるの!?」
僕とチノちゃんは茂みの中も探す。
「ピンポイントでここに落ちてるなんて思えません。ね、ティッピー......」
「ティッピー?」
しかし、ティッピーは、一本の万年筆を見ていた。チノちゃんがティッピーの前でしゃがむ。ティッピーの頭に万年筆が乗ってる。
「もしかしてこれですか?」
すると渡して欲しいと言ってるのか、ティッピーがジャンプする。
「えっ?私が渡すんですか?それでも良いですけど......えっと......お爺ちゃんとティッピーがこうなった理由は良く分かりませんが、内緒にするって窮屈じゃないですか?お爺ちゃんとしか話そうとしない私のことを思って内緒にする必要はもうないんですよ。だから励ましてあげて下さい」
「マスター、チノちゃんの言う通りです。青山先生を励ませるのは貴方だけなんですから」
その夜、チノちゃんの部屋では僕とココアとチノちゃんが各々本を読んでた。そのとき、ドアが開かれる。
「た......大変ですー!このぬいぐるみからマスターのお声が!」
青山先生はティッピーではなく違うぬいぐるみを持って来た。
「えー!?」
「「それじゃない!」」
こうして万年筆が戻って来た青山先生は、小説家に戻った。どうやらバーテンダーもハマったらしく、時々手伝ってくれる。そしてシャロに新作を見せた。シャロは驚いてた。タイトルは「カフェインファイター」だった。なんと主人公のモデルはシャロ自身だった。
「私もチノちゃんのおじいちゃんに会ってみたかったなー」
「僕もだよ」
嘘をつく。
「私が来た頃はもう居なかったからな」
「マスターはいつも見守ってますよ。困った時はひょっこり出て来て、私たちを助けて下さるんです。次はティッピーさんの身体を借りて話し出すかもしれません」
「ちょっと怖いな......」
「そう言うの止めてくれよ......」
「あはは......」
既にティッピーに乗り移っているけどね......。こうして小説家に完全復帰した青山先生であった。
この世界の将棋界の事情9
第9羽時点でのタイトルホルダー
①伯方 玲名人(帝位・棋帝・玉将): タイトル獲得12期
②白井 創太竜皇(棋匠): タイトル獲得22期
③後藤 匠叡帝: タイトル獲得2期
④春生 芳治玉座: タイトル獲得100期
レイの弟子になるのは誰?
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ココア
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チノ
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リゼ
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千夜
-
シャロ
-
その他
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誰も取らない