スティル「喰らわせて?」幼馴染み「ええで」   作:狸より狐派 ハル

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第七話《愛と思いのカタチ》

 「あースティルインラブ。今日の昼前、海で見かけたんだが・・・」

 

 夜、寮の外にてエアグルーヴはスティルインラブを呼び出す。誰もいないことを確認して、ひとまず今日見たことをなるだけオブラートに聞く。

 

 「見間違えでなければ・・・確か同年代の男性と・・・一緒にいたような気がするが・・・気のせいか・・・?」

 

 「い、・・・いえ・・・その・・・同じ年代の・・・お方です・・・。で、ですが彼とは、あくまでも小学生のころからの、幼馴染みだというのであって、決してはしたない関係ではありません!!別にふしだらなことは断じて行っていません!!」

 

 「わっわかった!!わかったから落ち着け!!幼馴染みとわかれば十分だ!」

 

 「す、すみません。つい慌てて・・・」

 

 「き、気にする・・・まあ・・・一人の人間として、こういうことはとやかく言うべきことではないのだが・・・その・・・幼馴染みというのは、あんなにくっついているものか・・・?」

 

 「え・・・?そんなに近かったですか・・・?」

 

 「ああ、常に肩がくっついていたからな・・・そういうものなのか・・・?」 

 

 「・・・・ち、違うんです・・・彼とは・・・彼とはそんな関係でわ・・・」 

 

 「・・・あっ(察し)、ま、まあ・・・なんだ。お前は今話題のウマ娘だ。だからその・・・弁わきまえた行動を・・・できるだけするように、な・・・」 

 

 「ひゃ、ひゃい・・・」 

 

 顔を真っ赤にするスティルインラブ。エアグルーヴはこほん、と一呼吸おき、話題を変える。 

 

 「そ、それでだ・・・話は変わるが・・・アルヴについてなんだが・・・」

 

 「え?アルヴさんについて、ですか・・・?」

 

 顔色が戻り、改めてエアグルーヴのほうを見る。 

 

 「ああ、お前とはまさに、同期のライバルとして見ているからな・・・それで、お前から見て、なにか疑問とか、何か気にかかることはないか?」 

 

 「・・・そのアルヴさんに、こんなことを言われました・・・《愛》なんて必要ない。そんなものがなくても、証明して見せる、と・・・」 

 

 「ふむ・・・確かにアイツは、なにかと他者を強く避けているが・・・愛、か・・・おそらく、それだな」 

 

 「それ・・・?」 

 

 「ああ、色々思うところもあるだろうが・・・アイツを余り責めてやらないでくれ。恐らくアイツが憎んでいるのは、お前ではなく、その《愛》そのものなのだろう」

 

 「それは・・・なぜ・・・?」

 

 「わからないし、かなりプライベートなことだから、知る由はないだろう。ただまぁ、お前がやっていいことは変わらん。レースがある限り、全力を出すんだ・・・それがアルヴのためにもなる。いいな」

 

 

 ――――――――――――

 

 

 後日、浜辺にて、下手なことしていないか監視している時のこと、エアグルーヴに慌てて知らせてきた一人のウマ娘がいた。  

 

 何事かと聞いても、とにかく来てほしいと急せかしてくるため、しょうがなく誘導してもらうことに。

 

 そこはトレセンで管理しているレースコートである。そしてそこを走る二つの存在がいた。 

 

 「・・・っ!?あれは・・・?!」 

 

 それはスティルインラブ。 

 

 そして少年だ。スティルインラブやトレーナーにとっていつもの光景なのだが、さすがにエアグルーヴたちにとっては衝撃以外何者でもないだろう。 

 

 「あーまあこうなるよねー・・・むしろいままで気づかれなかったのが意外かもしれない」 

 

 「お、おい!スティルインラブのトレーナー!あれは一体どういうことだ!?」 

 

 「見ての通りだよ、エアグルーヴ。彼はウマ娘と同じ速度で走ることができるの。あっ丁度終わるところだから、行ってくる」 

 

 サラッと言ってさっさと彼らのもとに行くトレーナー。エアグルーヴは動けずにいた。 

 

 一方のスティルインラブたち、今回も上手く引き出すことができず、ただ疑問を募のらせている。 

 

 「お疲れ。・・・上手くいかないわね」

 

 「ええ、・・・それよりもトレーナーさん。集まってきましたね・・・」

 

 「まーここじゃさすがにね」 

 

 集まっているウマ娘を眺める。合宿にきている大半の生徒たちが集まっているのではなかろうか。なかには他トレーナーも確認できる。

 

 「・・・どう?緊張感で、本能でてこない・・・?」

 

 「・・・いえ、やはり完全には出てきません。相変わらずです・・・。もう一度いいですか・・・?」

 

 「私はいいけど・・・にしても予想以上に増えてるなぁ・・・あっ」

 

 ギャラリーの中に、アドマイヤグルーヴの存在も確認できた。彼女も今回の光景に驚いているように見える。

 

 「ふ~ん・・・ねえ、少し考え方を変えてみない・・・?」

 

 「変える?どのように・・・?」 

 

 「逆に考えるの。本能のあの子でないなら、無理に引っ張るんじゃなく、もうほっといてあなたたちだけで、走ってみたら?」

 

 「私たちだけで・・・?つまり・・・」

 

 「うん。本能を無理に引き出すんじゃなく、ありのままの走りをしてみてよ。なにか新しい発見があるかもしれない」

 

 「・・・なるほど、一度やってみましょう」

 

 

 ――――――――――――

 

 

 「な、なに・・・あれ・・・」

 

 アドマイヤグルーヴは受け入れられなかった。目の敵にしている同期がヒトである少年と同じ速度で走っている光景が。

 

 百歩譲ってそれまでならば、あとは見切りをつけてとりあえず分析しかしなかったのだろう。 

 

 しかし問題はそこではない。 

 

 「なんで・・・なんでそんなに楽しそうなの・・・?」

 

 そう、スティルインラブも少年も、すごく楽しそうに走っている。

 

 始めは軽く走り始め、少しずつ速くなっていく。

 

 ただなにも考えず、頭を空にして走っているようで、二人の走りは中身がない。 

 

 だがそれがより重荷を解いて、自由に羽ばたくような走り。先ほどまでとは違いなにも使命だとかではなく、ただ走りに対する純粋な喜びを感じている。 

 

 周りのウマ娘たちは、楽しそうだと微笑んでいる。それが孤高を信じるアドマイヤグルーヴは無性に憤り感じた。 

 

 「ちがう・・・あんなの・・・あんなの認めない・・・!」

 

 彼女は動いた。《愛》を否定するために。

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