スティル「喰らわせて?」幼馴染み「ええで」 作:狸より狐派 ハル
浜辺、様々なウマ娘がトレーニングしている。
そこを走る者、海で泳ぐ者、小屋より大きなタイヤを引きずる者、なぜかクイズ大会をする者。とにかくそこでしか出来ないトレーニングを行っていた。
その中でもまず見れないであろう光景がある。
ご存じスティルインラブと、少年の姿である。スティルインラブはトレーニングのために、トレセン指定のスクール水着。そして少年はシンプルに半袖半ズボンの恰好である。
やることはもちろん並走。二人は全力で走る。
「.........にしても、あの人速くない.........?」
「うん.........さっきからスティルさん、ほんの少しだけど...追いついてない.........」
「.........その、スティルトレーナーさん。彼、ホントに何者なんですか?トリプルティアラ王手にかけてるウマ娘に互角以上とか.........」
「見ての通り、スティルとずっと走ってるバケモンですよ」
「.........なんでスティルインラブと走ってるのに、あんな楽しそうなんです?今は恐ろしさが、ないですが、そういう時も走ってるんでしょう?」
「あの子、頭のネジ生まれつき合ってないやつハメてるから、考え方が違うのよ。あとついでに言えば、そっちのスティルも好きだから」
「.........えぇぇ?」
そんな感じに、嫌でも目立つこのコンビ。さすがに気になった少年は。スティルインラブに話しかける。
「ええ、気にならないといえばウソになりますが。ただあなたを独り占めしているって考えると、正直悪くないって思ってるんです.........やだ、私なにを.........」
気温以外で顔を熱くする彼女。少年もここで走れることを喜んだ。
すると彼は汗拭くために、服の
そこで顔を拭くが、その際に腹がしっかり出てしまう。
そしてその腹筋は見事なものだった。
スティルインラブとひたすらに走り、彼女のトレーニングに追いつけるよう、自分なり筋力トレーニングを行ってきた結果、アスリートレベルの肉体美を手に入れた。
そんなものを見てしまった、ほかのウマ娘たちは黄色い悲鳴を上げた。
「うおっ.........男の人の腹筋、やっば.........」
「やだぁ.........私もあんな人欲しかった.........」
なんだか、変な盛り上がりが発生した。女性というのは、腹筋がそんなに好きなのか。
スティルインラブに聞いてみることにする。
そんな彼女は、本能が開花したかのように、目を
「.........どこ見ているの?」
黄色い悲鳴は、いっきに青ざめた。少年は彼女に、本能が飛び出てることを指摘する。
「.........!?私、一体.........!?」
「スティル!大丈夫!?今、本能が出てなかった!?」
トレーナーが急いで駆け寄り、彼女の様子を確かめる。
「今まで引き出せなかったのに急に.........何がきっかけなの?」
そんな質問をされ、スティルインラブはバツが悪そうな顔をし、顔を伏せてしまう。
代わりに少年に聞くことになった。彼は事の経緯を説明する。するとトレーナーは
「.........つまりスティルは、嫉妬して、ついうっかり切れちゃって出た.........てこと!?」
「ち、違うんです.........あの子がぁ.........あの子が勝手にぃ.........」
「あーなんだ、今日はもうやめようか。人が多くなりすぎてるからね?」
「は、はい.........」
と、いうことで切り上げ、荷物を持って両方面に行こうとする。
砂浜から道路に入るコンクールの階段に向かっていると。上る手前、あるウマ娘と出会う。
「あっ.........」
「アドマイヤグルーヴさん.........?もう大丈夫なんですか.........?」
「.........別に」
排他的な雰囲気はある。しかし覇気がまるでなかった。いってしまえば、しょぼくれた状態である。
彼女は先に階段を上り始めた。しかし半分ほど、上った時だった。
アドマイヤグルーヴの片足が踏み外した。
「っ!?」
「あっ!?」
態勢を崩してしまい、そのせいで後ろに倒れる。いくら丈夫なウマ娘といえど、不慮の事故で重症を負うのは不思議ではない。
アドマイヤグルーヴは目を強くつぶり、衝撃になすすべなく落ちていく。
そしてその衝撃が.........
来ることはなかった。
「.........?」
ゆっくりと目を開ける。目の前にはなんと少年の顔があった。
「.........!?」
結論を書こう。アドマイヤグルーヴは、お姫様抱っこをされていた。
落ちた彼女を見た少年はすぐさま駆け出た。そしてとっさにとった行動が、これである。
彼はアドマイヤグルーヴに声をかけた。しかし返事が返ってこない。もしかして落ちた時点でなにか起こったのかをきいた。
「.........そ、の.........だい、じょうぶ.........」
(なに.........?こ、この温もり.........?)
彼女の中で、今までに感じたことのない何かが目覚めた。
そしてそれが出たのはアドマイヤグルーヴだけでなかった。
「.........は?」
スティルインラブの中にも、今までよりも紅いなにか起きた。