スティル「喰らわせて?」幼馴染み「ええで」 作:狸より狐派 ハル
レトロゲームを今使ってる最新のディスクトップパソコンで遊びたい
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前まで使ってた旧パソコンにそのデータがある。
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そのパソコン使えばいいじゃん?できるけど、コードの再接続がめんどい。
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ならコピペすれば?
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どこにどのデータを置いたかわかんなくなった。
というめんどいことになってる。
こんなことしてる暇があったら、書けってね。
六人がスタートライン並ぶ。真横、コート外のアストンマーチャンは手を上げる。
「準備ととのいましたか~?行きま~す」
全員構える。その中でスティルインラブは二つ右隣のメジロラモーヌを、見る。
彼女の真っ直ぐとした視線は、なぜか他のものを見ているように感じる。
「よーい」
自分も前を向く。少しだけ身体を縮め、そして―――
「ドン!」
複数の足音が強く響かれる。フェンス外では盛り上がる声が出ているが、それは彼女らの耳には遠い。
スティルインラブの左横にいた少年は真っ先に、前へ
一番右端にいたダイワスカーレットも彼の背中を追うとする。
だが、自身の
(やはりこの方の狙いは彼!ならば後ろについて揺さぶるのが得策でしょうか)
徐々に縦並びになっていき、コーナー直前では縦の列ができた。
始めに曲がったのは少年、次にダイワスカーレット、メジロラモーヌ、スティルインラブ、ウオッカ、そして後方で足を温存する《追込み型》のスイープトウショウ。
その状態のまま全員コーナリングをする。ダイワスカーレットは彼の走りを見ながら、確認する。
(普通に考えて今の出すぎてるスピードだと、途中で
今季の合宿とかで、この人とスティルが走ってるところを見てて、気づくことがあるとすれば、やはり底なしのスタミナ。スティルが目前までに近づいたかと思えば、距離を離す。後ろを
一方のウオッカも前を見ながら、同室の
(そんな走り方は格好のマトなはずだがな。普通じゃないヤツに普通にやりあうのはダメだ。どうするか…)
直線を少年は、速いペースを維持して駆ける。全体的に縦並び、かつ縮まっているその中、ダイワスカーレットは真後ろにつく。
そうすることでスリップストリームを起こし、自身にかかる空気抵抗を少しでも下げ、体力の温存を図る。
そのさらに真後ろにメジロラモーヌ、スティルインラブが順で付いて来ていた。遠慮のない追跡に、ダイワスカーレットは冷や汗をかいてしまう。
(チーム戦自体皆初めてとはいえ、私は考えなさすぎたかしら。スリップストリームは数が多いほど効果が増す。そして後ろの人ほど、その
「ペースを上げて!!」
ダイワスカーレットは、わざわざ声を張って少年を
彼も従って足を速めていく。すると少年は僅かながらも、自身の想定より速く走れたことに気づいた。
スイープトウショウはいつかだったか、実は知り合いであるアグネスタキオンから聞いた知識を思い出す。
(そうえばスリップストリームは前を走る人にも、効果が出てるんだったわ!
確か《バンプドラフト》っていって、ふつう一人で走ると背後には空気の渦ができるんだけど、それが負圧になって前へ進もうとする走者に、後ろから引っ張る力が発生してしまう。
だけど、二人以上が並ぶと空気の流れが整地されて、後ろの走者が前の走者を押してるんだわ!
まさかスカーレットのヤツ!!)
現状慌て始めたスイープトウショウの知識を補足すると、バンプドリフトは本来モータースポーツに使われる用語である。
同じレースとはいえ、実際にかかっている恩恵は実際には余りにも微々たるもの。
が、単純な脳構造をする少年にとっては、あたかも本当に起こっているように感じた。
そしてそれは現実となり、見たこともないスピードへ突入していく。
「あんなの…!あまりにも速いせいで、彼はともかく、後ろの走者がもたない!」
「…まさかスカーレットのヤツ、それを前提で…?」
(らしくない考えだけどハッキリ言って今の私は彼、ましてやラモーヌさんに勝てるほどの実力はない。だけどこれはチーム戦。明石トレーナーが教えてくれたこの作戦で、私たちが勝つ!!)
もう一度コーナーに入っていき、少年は横Gなんて考えないように駆け抜ける。
ダイワスカーレットは既にほとんどのスタミナを消費してしまい、後ろを走るのも限界が近づいてきた。
そこをメジロラモーヌは見逃さない。徐々に横へ列から出ていき、今までタメた脚を使い始める。
当然スティルインラブもだ。もう少し、メジロラモーヌの背後につこうと、彼女もそれ始めようとした。
が―――
「悪いな、これはチーム戦だからな」
「っ!!?」
真横には既にウオッカがいた。これ以上膨らめば、ウオッカを押す形になり反則、それもあるが何よりも大変な危険に晒す行為になる。
良心を持つスティルインラブは反射的に、横滑りを止めてしまった。
(あっダメ―――)
前を見ると、彼が遠ざかっていく。そのあとをメジロラモーヌが追っている。
(いかないで―――)
もし…もしこの時、内なる紅がいたら、強引に前へ行けたかもしれない。
だが横にはウオッカ、前には壁になってしまったダイワスカーレット。
理性が裏目に出る。
(そこは…私の…)
直線に入り、さらにペースが上がる。
ウオッカが少しでもスピードを上げるために、出口付近でわざと膨らんだため、できた隙間に入る。
だが既に、手遅れだった。
(いや―――)
彼が行ってしまう。そのそばには存在してはならない者がいる。
まるで彼が彼女の手を引っ張るように――――――
―――――――――――
「ゴォォォォオオオル!!」
「うおおお!!どっち!?どっちが勝ったの!!?」
「くそっダメだわからない!!カメラ持ってくればよかった!!」
ゴールラインを通り過ぎ、少年はそのまま真っ直ぐ走る。
スピードこそ落としているが、まだまだ走りたそうに動かす。
楽しかったのだ。みんなと共に走れたことが。
こんなにも高揚するとは、思わなかった。これがレース。これが勝負―――!
コーナー手前でようやく止まり、上を
気持ちがいい。勝ったかどうかは正直どうでもよかった。皆で走れるという、一体化。
本当に新鮮だった。
一息つくと後ろを見る。他の四人は芝に座り込んでいるか、倒れ切っていた。
前者になっているスティルインラブの元へフラフラになりなが、歩いていく。
顔を下げており、表情が見えない。そんな彼女の感情をつゆ知らず、すれ違うような向きのまま、真横に座る。
後ろへのけぞる形でスティルインラブを見る。まだ顔を上げていない。
疲れたんだろうと、そのままじっとする彼。
そして少しして、ようやく気付く。
スティルインラブが震えている。
少年は身体ごと彼女へ向ける。
声を掛けながら手を伸ばし、肩へ触れようとすると…
「っ!!」
「なんだ!?」
エアグルーヴとアドマイヤグルーヴが驚く。いや、他のウマ娘たちもそうだ。
スティルインラブが彼に覆いかぶさるように抱き着いてきた。
後ろに倒される少年。芝の衝撃はほとんど感じない。だが、抱き着く力が強い。
しかも締め付けるような、痛さを生んでいる。何かがおかしい。
少年は彼女の背中を軽く、しかし何度も叩く。だが反応しない。
「っ!マズいかも!!」
トレーナーが飛び出す。彼女だけでなく、エアグルーヴとアドマイヤグルーヴも二人の元へ走っていく。
そして彼女らの元へ着き、トレーナーもスティルに触れた。
「スティル!どうしたの!?ちょっ、ここじゃマズいから一旦起きて!ねぇったら!!」
「お、おい!!はしたないぞ!!離れろ!!」
エアグルーヴがスティルインラブを離そうとするが、全くびくともしない。アドマイヤグルーヴも手伝うが、少年と共に持ち上がるのがオチだった。
「ええい、やむをえん!!アルヴ!このまま持っていくぞ!!」
「こ、このままですか!?」
「そうするほかない!!明石トレーナーも手伝ってくれ!」
「いい!?わ、わかった!!」
「あっ…いやいい!アルヴとだけのほうが速い!このまま付いてこい!!」
「ちょっとおおお!?」
重なった彼女らを挟んで運ぶ形になって、そのままここを後にしていった。
そんな光景を、メジロラモーヌはまた呆れたような目で見送る。
「…せめて、初めからそうすればいいのに」
―――――――――――
「あれ…スティルとアイツは?」
「なんか重なった状態で運ばれたって…」
「え…どういうこと?」
「ゼェェっ…ゼェェっ…な、なんも掴めなかった…」
何度目だろうね、運搬オチ。