スティル「喰らわせて?」幼馴染み「ええで」   作:狸より狐派 ハル

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 最近思っている、どうでもいいこと。

 レトロゲームを今使ってる最新のディスクトップパソコンで遊びたい
 ↓
 前まで使ってた旧パソコンにそのデータがある。
 ↓
 そのパソコン使えばいいじゃん?できるけど、コードの再接続がめんどい。
 ↓
 ならコピペすれば?
 ↓
 どこにどのデータを置いたかわかんなくなった。

 というめんどいことになってる。

 こんなことしてる暇があったら、書けってね。


ACT8《オニキス・ブロック》

 六人がスタートライン並ぶ。真横、コート外のアストンマーチャンは手を上げる。

 

 「準備ととのいましたか~?行きま~す」

 

 全員構える。その中でスティルインラブは二つ右隣のメジロラモーヌを、見る。

 

 彼女の真っ直ぐとした視線は、なぜか他のものを見ているように感じる。

 

 「よーい」

 

 自分も前を向く。少しだけ身体を縮め、そして―――

 

 「ドン!」

 

 複数の足音が強く響かれる。フェンス外では盛り上がる声が出ているが、それは彼女らの耳には遠い。

 

 スティルインラブの左横にいた少年は真っ先に、前へ(おど)り出る。

 

 一番右端にいたダイワスカーレットも彼の背中を追うとする。

 

 だが、自身の左二人分(ひだりふたりぶん)の位置に、メジロラモーヌが並んで来る。彼女も彼を狙っているのか。

 

 (やはりこの方の狙いは彼!ならば後ろについて揺さぶるのが得策でしょうか)

 

 徐々に縦並びになっていき、コーナー直前では縦の列ができた。

 

 始めに曲がったのは少年、次にダイワスカーレット、メジロラモーヌ、スティルインラブ、ウオッカ、そして後方で足を温存する《追込み型》のスイープトウショウ。

 

 その状態のまま全員コーナリングをする。ダイワスカーレットは彼の走りを見ながら、確認する。

 

 (普通に考えて今の出すぎてるスピードだと、途中で落ち(ダレ)る…。けど、この人なら大丈夫なハズ。

 今季の合宿とかで、この人とスティルが走ってるところを見てて、気づくことがあるとすれば、やはり底なしのスタミナ。スティルが目前までに近づいたかと思えば、距離を離す。後ろを千切(ちぎ)るまで、それを繰り返す。それがこの人の、強さの秘訣)

 

 一方のウオッカも前を見ながら、同室の彼女(ライバル)と同じことを考えていた。

 

 (そんな走り方は格好のマトなはずだがな。普通じゃないヤツに普通にやりあうのはダメだ。どうするか…)

 

 直線を少年は、速いペースを維持して駆ける。全体的に縦並び、かつ縮まっているその中、ダイワスカーレットは真後ろにつく。

 

 そうすることでスリップストリームを起こし、自身にかかる空気抵抗を少しでも下げ、体力の温存を図る。

 

 そのさらに真後ろにメジロラモーヌ、スティルインラブが順で付いて来ていた。遠慮のない追跡に、ダイワスカーレットは冷や汗をかいてしまう。

 

 (チーム戦自体皆初めてとはいえ、私は考えなさすぎたかしら。スリップストリームは数が多いほど効果が増す。そして後ろの人ほど、その恩恵(おんけい)が大きい…。相手はあのラモーヌさん。大人しくしてくれるハズもない。でもこのまま上げていくしかない!)

 

 「ペースを上げて!!」

 

 ダイワスカーレットは、わざわざ声を張って少年を()かす。

 

 彼も従って足を速めていく。すると少年は僅かながらも、自身の想定より速く走れたことに気づいた。

 

 スイープトウショウはいつかだったか、実は知り合いであるアグネスタキオンから聞いた知識を思い出す。

 

 (そうえばスリップストリームは前を走る人にも、効果が出てるんだったわ!

 確か《バンプドラフト》っていって、ふつう一人で走ると背後には空気の渦ができるんだけど、それが負圧になって前へ進もうとする走者に、後ろから引っ張る力が発生してしまう。

 だけど、二人以上が並ぶと空気の流れが整地されて、後ろの走者が前の走者を押してるんだわ!

 まさかスカーレットのヤツ!!)

 

 現状慌て始めたスイープトウショウの知識を補足すると、バンプドリフトは本来モータースポーツに使われる用語である。

 

 同じレースとはいえ、実際にかかっている恩恵は実際には余りにも微々たるもの。

 

 が、単純な脳構造をする少年にとっては、あたかも本当に起こっているように感じた。

 

 そしてそれは現実となり、見たこともないスピードへ突入していく。

 

 「あんなの…!あまりにも速いせいで、彼はともかく、後ろの走者がもたない!」

 

 「…まさかスカーレットのヤツ、それを前提で…?」

 

 (らしくない考えだけどハッキリ言って今の私は彼、ましてやラモーヌさんに勝てるほどの実力はない。だけどこれはチーム戦。明石トレーナーが教えてくれたこの作戦で、私たちが勝つ!!)

 

 もう一度コーナーに入っていき、少年は横Gなんて考えないように駆け抜ける。

 

 ダイワスカーレットは既にほとんどのスタミナを消費してしまい、後ろを走るのも限界が近づいてきた。

 

 そこをメジロラモーヌは見逃さない。徐々に横へ列から出ていき、今までタメた脚を使い始める。

 

 当然スティルインラブもだ。もう少し、メジロラモーヌの背後につこうと、彼女もそれ始めようとした。

 

 が―――

 

 「悪いな、これはチーム戦だからな」

 

 「っ!!?」

 

 真横には既にウオッカがいた。これ以上膨らめば、ウオッカを押す形になり反則、それもあるが何よりも大変な危険に晒す行為になる。

 

 良心を持つスティルインラブは反射的に、横滑りを止めてしまった。

 

 (あっダメ―――)

 

 前を見ると、彼が遠ざかっていく。そのあとをメジロラモーヌが追っている。

 

 (いかないで―――)

 

 もし…もしこの時、内なる紅がいたら、強引に前へ行けたかもしれない。

 

 だが横にはウオッカ、前には壁になってしまったダイワスカーレット。

 

 理性が裏目に出る。

 

 (そこは…私の…)

 

 直線に入り、さらにペースが上がる。

 

 ウオッカが少しでもスピードを上げるために、出口付近でわざと膨らんだため、できた隙間に入る。

 

 だが既に、手遅れだった。

 

 (いや―――)

 

 彼が行ってしまう。そのそばには存在してはならない者がいる。

 

 まるで彼が彼女の手を引っ張るように――――――

 

 ―――――――――――

 

 「ゴォォォォオオオル!!」

 

 「うおおお!!どっち!?どっちが勝ったの!!?」

 

 「くそっダメだわからない!!カメラ持ってくればよかった!!」

 

 ゴールラインを通り過ぎ、少年はそのまま真っ直ぐ走る。

 

 スピードこそ落としているが、まだまだ走りたそうに動かす。

 

 楽しかったのだ。みんなと共に走れたことが。

 

 こんなにも高揚するとは、思わなかった。これがレース。これが勝負―――!

 

 コーナー手前でようやく止まり、上を(あお)ぐ。

 

 気持ちがいい。勝ったかどうかは正直どうでもよかった。皆で走れるという、一体化。

 

 本当に新鮮だった。

 

 一息つくと後ろを見る。他の四人は芝に座り込んでいるか、倒れ切っていた。

 

 前者になっているスティルインラブの元へフラフラになりなが、歩いていく。

 

 顔を下げており、表情が見えない。そんな彼女の感情をつゆ知らず、すれ違うような向きのまま、真横に座る。

 

 後ろへのけぞる形でスティルインラブを見る。まだ顔を上げていない。

 

 疲れたんだろうと、そのままじっとする彼。

 

 そして少しして、ようやく気付く。

 

 スティルインラブが震えている。

 

 少年は身体ごと彼女へ向ける。

 

 声を掛けながら手を伸ばし、肩へ触れようとすると…

 

 「っ!!」

 

 「なんだ!?」

 

 エアグルーヴとアドマイヤグルーヴが驚く。いや、他のウマ娘たちもそうだ。

 

 スティルインラブが彼に覆いかぶさるように抱き着いてきた。

 

 後ろに倒される少年。芝の衝撃はほとんど感じない。だが、抱き着く力が強い。

 

 しかも締め付けるような、痛さを生んでいる。何かがおかしい。

 

 少年は彼女の背中を軽く、しかし何度も叩く。だが反応しない。

 

 「っ!マズいかも!!」

 

 トレーナーが飛び出す。彼女だけでなく、エアグルーヴとアドマイヤグルーヴも二人の元へ走っていく。

 

 そして彼女らの元へ着き、トレーナーもスティルに触れた。

 

 「スティル!どうしたの!?ちょっ、ここじゃマズいから一旦起きて!ねぇったら!!」

 

 「お、おい!!はしたないぞ!!離れろ!!」

 

 エアグルーヴがスティルインラブを離そうとするが、全くびくともしない。アドマイヤグルーヴも手伝うが、少年と共に持ち上がるのがオチだった。

 

 「ええい、やむをえん!!アルヴ!このまま持っていくぞ!!」

 

 「こ、このままですか!?」

 

 「そうするほかない!!明石トレーナーも手伝ってくれ!」

 

 「いい!?わ、わかった!!」

 

 「あっ…いやいい!アルヴとだけのほうが速い!このまま付いてこい!!」

 

 「ちょっとおおお!?」

 

 重なった彼女らを挟んで運ぶ形になって、そのままここを後にしていった。

 

 そんな光景を、メジロラモーヌはまた呆れたような目で見送る。

 

 「…せめて、初めからそうすればいいのに」

 

 ―――――――――――

 

 「あれ…スティルとアイツは?」

 

 「なんか重なった状態で運ばれたって…」

 

 「え…どういうこと?」

 

 「ゼェェっ…ゼェェっ…な、なんも掴めなかった…」




何度目だろうね、運搬オチ。
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