スティル「喰らわせて?」幼馴染み「ええで」 作:狸より狐派 ハル
ご勝手になりますが、長くても1週間の間、お休みさせていただきます。
頑張って二日後に書けるよう努力はするから、許して。
…さすがに去年を最後に半年も休むことはしません。信じて。
深夜の公園。そこにいたのは、二人の少女だった。
一人は白いベールをかぶり、先に走っている。
もう一人は暗い紅色と言うべきか、似たようなベールをかぶっている。
そして二人ともほぼ顔が同じだ。おそらく双子なのだろう。
前を走る子は必至そうな一方、後ろの子は楽しそうだ。
「あっはははははは!!もっと味あわせてぇ!!」
「っ!!」
ずいぶん独特な楽しみ方をするなぁ、と少年は思う。
しばらくすると、後ろの子が追い抜き、直線を走り切ってようやく止まった。
「うっふふふ、ねぇ。まだ行けるでしょう?」
「ぜぇ…ぜぇ…」
「あら、もうおしまい?なら…」
そういうと、もう一人の子は、少年の方を向いた。
「アナタが、相手をしてくれる?」
「!?」
そういかれた少年は、普通に二の返事した。
「え…?」
「あっははは!!いいわアナタ!さあ、走りましょう!!」
そして少年は走る。それもこの双子と
「うそ……」
「あっはははは!!すごい!!もっと喰らわせてぇ!!」
まさに鬼気迫る状態で少年を追い回すもう一人の子。だが今の少年の表情を見て、白ベールの子はさらに驚く。
「全然怖がっていない…、むしろ楽しそう……どうして……?」
どれだけ追い掛け回されても、少年は臆することなく走り続け、ついには一度も抜かれることなく紅ベールの子を置いて行ってしまった。
今度は彼が先に止まり、後でようやく紅ベールの子は追いついた。
「はぁっ!はぁっ!…アナタ…さ、最高よ…。アナタのような人……初めて…
もっと……もっと味わせて…!!」
少年はまた、肯定した。まさか、あのような…彼女、を受け入れる存在がいるだなんて…
そう思っていると、彼はこちらに向いた。
一緒に走らない?
これが白いベールの少女《スティル》と紅ベールの子《インラブ》の、少年との出会いだった。
―――――――――――
「それが彼との出会いなの。今思い出しただけでも…ああ、またあの時の彼を……!!」
「イ、インラブ…!変なふうに言わないで!」
「あっはは~。いや~よかったよ~。うちの子があなたたちの様な、一緒に走れる友達ができて」
「ええ、本当に…よかったわぁ…」
「あ、はい…その、私も、よかったと思っています…」
初めて会ってから、しばらく時間が経ち、彼の実家でそんな会話をしていると、当の本人こと少年が風呂から戻ってきた。
「あ、上がったなら、もう寝ようか」
「ええ、もちろん私たちが寝るとことは…」
「いや~、実は空いてる部屋が――――のとこしかなくて…?楽しみにしてた?」
「ええ、彼と同じ部屋で寝れるだなんて、とっても…!」
「~~~…っ」
と、言うわけで三人は少年の部屋で寝ることになった。
配置としては、少年が真ん中で、スティルとインラブが挟む形である。
彼の母親がおやすみ、と言って部屋を出ていくと、インラブが早速行動を起こす。
「ふふふ、それじゃあ温めあいましょう?」
「ちょ、ちょっと!インラブ…!」
インラブが彼の布団の中に入ってきた。そのまま少年の身体に密着して、顔を少し上げ、スティルを見る。
「だ、だめよ…!そ、そんなはしたない…!」
「あら?でもアナタも入りたいんでしょう?この彼の中に…?」
「~~~!」
顔を真っ赤にしてひるむスティル。自然と自身の今敷いている毛布に掴む手が強くなる。
「さあ、きなさい?早く素直になって…?」
しばらくじっとしていたが、観念したのか、スティルも彼の布団の中に入ってきた。
「あっはは。ねえアナタ。今どんな気持ち?こうして私たちに挟まれて…」
「~~~…」
コメントに困った彼は、なにかと言おうとしたが、それよりも眠気が勝ってしまった。
「あら?もう眠たいの?いいわ、そのままおやすみなさい」
「えっ…もう寝てしまうのですか?」
スティルがまだ起きたそうにしているが、彼のまぶたは限界だった。
どんどんとふさがっていくその間から、二人の表情が見える。
「おやすみなさい…また明日…」
「…おやすみなさい」
そう言う声を最後に、彼は眠りについた。
―――――――――――
その朝、彼が起きるとスティルしかいなかった。
…いや、そもそも彼女に姉妹はいない。
彼女の名はスティルインラブ。あの時、自分が走っている最中、突如と現れた悩み持つウマ娘。
そして今は、別の何かに悩んでいる。
まだ寝ている、彼女の頭をそっとなでる。
「ん…」
起きそうにない様子で自身の反対を見る。
誰もいない。当然なハズなのに、彼の心は、ぽっかりと、穴があるような感覚だった。
ジャパンカップ当日の、皆が寝静まった時間のお話。