【悲報】ワイ転生者、皇帝の子として生まれたのに立場が終わっている 作:名無しの皇帝
俺は今、死の淵にいる。
なんて濃密な魔力量。
圧だ。信じられない。その覇気だけで俺の膝をつかせようとするなんて人間がやれることか?
「ふむ……魔力空間濃度を弄られて尚、私を見上げるとはね」
「良いでしょう。親子水入らず、話をしようではありませんか。」
執務室とは違う、皇帝の自室か?手で目隠しされ、抱き上げられて来たもののあの位置に階段があるはずがない。
「第9王子、として話をしようか。マルス皇帝陛下」
瞬間、アレクサンドロスから発せられる圧は消えたが、強い本人からの視線を感じるし、興味を感じる。
「正直、私のことを何だと思っていらっしゃいますか?」
「私もあなたの子供ですし、帝国を1代で築き上げたその手腕には感嘆の声しか出ません。」
「歴史書にあなたの名前は絶対に乗るでしょうね。」
「汚職役人の一掃、歴史的に見ても比べることが不可能な速度での国土の急速拡張」
「──ですがね。」
「納得のいかないところがあるのですよ。」
「あなたは国の全権を握っていますし、王位継承権者に対して剥奪権を持ち、そして……」
「他国の王家への外交権から戦略的要地での交渉」
「気づかないわけが無いでしょう。なぜ他人を頼らないのですか?」
「帝国は確かに議会制でもなく共和政でもなく、君主制です」
「──しかしもっと他人を頼っても良いのでは?」
「ふむ、面白い。実に面白い疑問だね。皇帝の、私の協力体制不足ねえ……」
「しかし、理想論は常に把握しておくべきではあるが必ずしも実現できるとは限らない。」
「権力あるところに腐敗あり、ケインにそう話していたよね。」
「私の無謬性を盲信せず、そして同時に君は私に完璧に近い歯車的存在であれ、と言わずに万が一の時の停止レバーを取り付けようとしている。」
「ケインはね、私の直々の部下なんだ。」
「ルイン王子に付けておいた皇帝の目、それがケイン。」
「このことは君は薄々感じている──ああ、分かっていなかったのか」
──諦念?いや違う。失望とも違う感情を俺に抱いた。
「離宮勤めの侍女が君の装飾品を盗み、売ろうとしたらしいね?」
「あの時君は5歳で、権力についての理解が浅かった。」
「何があったのかな。ルイン王子は当初の予定では円滑に交渉に挑めるように従属国に婚姻させるつもりだった。」
「そこでルイン王子という人生は終わり、ルイジェバルという称号は無くなり、プルピース国かパサウィン国で婿として生きる」
「ルイン、君の母……オリビアも同じ人生を歩んだ。」
「王族でありながら宗主国に嫁ぎ、王族の証である修飾名が消えるんだ。」
一拍置いて、目付きが変わった。
「明らかに成熟するまでに早すぎる。」
「タレント……ああ、きみの王族教育に神学論はまだだったかな」
「ギフト、神からの贈り物とされる何らかの才能がこの世界に生きる限り、数は少ないがまだ眠っているタレントを宿している可能性がある。」
「早熟、あるいはそれに関連するタレントがあるように思う。」
「……まあ、そんな未来についての話は置いておいて、選んで欲しい項目があるんだ。」
俺は思わず目を見開いた。
1つ目として差し出されたのは地図。
当然かのように詳細な支配領域を示す色付けもされており、主要な交易路や炭鉱、金鉱、鉄鉱まで……盗まれたら大変やばそうなものが置いてあった。
いくらでもこれは利用できうる。富の独占だ。鉄、金、貴重な鉱物資源の所在地を知ることは、それをいち早く採掘し、独占することを可能にする。 そしてこれは交易の支配にも使える。
重要な交易路…特に陸路と海路の要衝を知ることは貿易の流れを支配し関税や通行料を徴収することで経済的優位性を確立する上で不可欠だった。地球の奴だと有名な「シルクロード」や「琥珀の道」といった交易路がその例か……?
この地図には圧倒的な戦略的価値がある。鉄鉱石や銅といった鉱物資源は、武器や防具、建設資材の製造に不可欠で、この資源の産地を把握することは、強力な軍隊を維持し、拡大するための基礎となる。
外交と交渉の武器にも使えるな。 資源の豊富な地域や重要な交易路を示す地図は、他国との外交交渉において強力なカードとなりうる。資源の供給をコントロールすることで、同盟関係を築いたり、敵対国を牽制したりすることが可能だ。逆に虚偽の地図をばらまいて混乱させたりもできるな。
この情報は国家の命運を左右する。地図自体が最高度の機密として扱われている可能性しかない。それを俺に見せるということは……まさか。
「熟考するのはいいね」
「思索は深めても深めても底のない湖ように広がっていくもの」
「まあ、2つ目はこれだね」
壁に向かって手を伸ばしたかと思うと、皇帝はそのまま貫通させた。
「本当は身内でも見せちゃいけないんだけども、見せてあげよう」
「別の国から奪ってきた、物体の偽装魔法ですか?」
「聡いね、そうだよ。うちは宗主国だから奪うというより勝手にくれたみたいなものかな」
壁に偽装されていたところから飛び出したのは、1枚の紙だった。
「紙?」 だが何か質感が羊皮紙とも高級白紙とも違う。
「うーん、魔力を流してみて」
「魔法スクロール、ですか。」
魔法スクロール。どんなにその魔法に適性がなかろうがスクロールを通して発動させるなら魔力を流すだけでいい。
その価値は計り知れないが……地図と比べたらなあ。
「そのスクロールはね、自己蘇生の魔法が込められているんだ。」
「肉体を修復し、死から免れる死者蘇生という領域に達した魔法。」
困った時に使うといいよ、と笑いながら言っていたが気が気でしようがなかった。
死者蘇生、額面通りに受け取るなら自分自身を蘇生する魔法?
どんな刺客だろうと跳ね飛ばす力も、恐れない精神も俺にはない。
いわゆるこれは試練だろう。
多大な富を生み出しうる地図と、自己蘇生という究極の保険。
だから俺は自己蘇生を選ぶね
「自己蘇生を選びます」
「おお、良い選択かどうかはすぐに分かるだろう。」
「私の権力が弱まった時、ルイン。」
「ルインは国を守るんだ。」
「どのような手を使っても構わない。」
「本来は第一位王位継承者以外には言ってはいけない言葉だけども、領土は君に託そうと思う。」
Tips 皇帝は実子であろうとも情を国のためなら切り捨てられる精神性を持たなければ務まらない
設定集っぽいやつ……いりますか?多分活動報告に書きます
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いる!
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いらない!
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超ほしい
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超いらない