『あなたの転生』~一般通過宝具持ち転生者の人生~   作:砂漠谷

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難産でした
原作キャラが登場します(強弁)


少年前期シナリオ・成長パート1

 『あなた』は――。

 

選択:念能力構想

『星屑の螺旋(スターダスト・スパイラル)』を構想

 

 車の中で、あなたは師であるウェルスに自身初の念能力の構想を伝える。

 螺旋状にオーラを変質・圧縮させ、放出する。それによって、高威力の念槍射撃、高精度の走査念波の二つを同時に実現できる念能力をあなたは考案した。それに、師ウェルスは大きく頷いた。

 

「ほう、放出系を主軸に、純粋なオーラだけでは圧縮率に限度があるから、と変化系のエッセンスも加える。なるほど特質系にしかできぬ贅沢じゃなぁ。螺旋というありふれたイメージなら、大きく容量(メモリ)を喰うこともなさそうじゃし。ま、容量なぞ努力と工夫でいくらでも覆せる、真っ当な師がおるならそこまで気にせんでよいよ」

 

 師に認められたことに、あなたは小さく安堵の息をつく。

 

 だが、その安堵はすぐに霧散した。もうすぐ、国境の関所だ。ウェルスの額には、緊張の汗が浮かんでいる。もし、この瞬間にカキンで戒厳令が発令されれば、この車は蜂の巣になる。

 

「次。金は持ってきたか?」

「ああ。これじゃ」

 

 国境警備隊の男が、小銃を肩にかけたまま、無感情な目で車を覗き込む。ウェルスは慣れた手つきで、窓越しに分厚い札束を渡した。

 男はそれを無言で受け取ると、偽札でないことを確かめるように、一枚一枚指で擦り、光に透かした。その指の動きがやけに遅く感じられ、あなたの心臓が早鐘を打つ。あなたは目立たないように、俯いて小さくなっていた。

 

 しかし、男の視線が後部座席にいるあなたに気づく。

 

「――親戚か?」

「ああ、孫娘じゃ」

「……大事にしろよ」

 男はそれだけをぼそりと呟くと、顎で前を指した。「通れ」と。

 ウェルスは静かにアクセルを踏み、車はゆっくりと国境を越えていく。

 あなたがおそるおそる後ろを振り返ると、男はもう次の車の応対を始めていた。彼の顔は、もう見えなかった。

 関所が徐々に遠ざかり、やがて木々の間に見えなくなる。視界には、ただタイヤの轍だけが残されていた。

 

「……これで、おぬしはもうカキンの民ではない。カキンにとって、おぬしは出国記録のない『行方不明者』。国王暗殺の重要参考人としてのな」

 

 それはもう、逃れようのない事実だった。

 

「ま、そう重く考えるな。後悔するのは、全てが終わった後でよいわ」

 ウェルスは努めて明るく言った。

「さて、日が暮れる前にカキンから離れるぞ。ちょうどこの先に、ワシの知人が隠居しておる。食料くらいは譲ってもらえるじゃろう」

 

 その知人について尋ねると、師はわずかに顔をしかめた。

 

「……ん、まあ。ノーウェルという名の、隠居した老兵じゃよ。いいか、決しておぬしがやったことは漏らすな。あの男の心には部屋が二つある。一つは弱者を匿う暖かい暖炉の部屋。もう一つは、危機を処理するための冷たい武器庫だ。自分がどちらの部屋に通されるか、決して見誤るな」

 

 あなたの罪は、開示すれば最後、間違いなく『武器庫』に通される類のものだろう。あなたは固く頷いた。

 

 夕暮れ時、山々を下った先に、その村はあった。人口は千人ほどだろうか。あなたが呪ったあの村を思い出し、あなたは思わず目をそむける。ウェルスは、その横顔を穏やかな目で見つめていた。

 村は、古代の城郭を利用し、要塞化の処置が施されていた。村は空堀で囲われ、櫓の上には旧式の銃を持った民兵が立ち、固く閉ざされた城門の前にはバリケードが築かれている。傭兵らしき門番の、こちらを射抜くような視線が痛い。

 

「おや……、かなり警戒中の模様じゃ。ちょっち話付けてくるから、車で大人しくしときなさい」

 

 ウェルスは車を停めると、一人で門へと向かった。

 あなたは鞄の中にある拳銃を指で触り、位置を確かめておく。

 

 少しして、ウェルスが戻ってきた。「入れてくれるそうだ」。

 その言葉に、あなたは張り詰めていた息を吐く。

 

 城門が軋みながら開き、車は中へ。しかし、門の内側すぐで停車を命じられる。「ここで降りろ」と。

 

 その言葉に肩をすくめてウェルスは車から降り、後部座席のドアを開けてる。それに従い、あなたも車から降りた。

 

 村の中から、一人の老人が出てきた。顔には皺が刻まれているが、背筋は真っ直ぐに伸びており、その眼光は猛禽類を思わせる鋭さだ。他の民兵とは違い、最新式の軽機関銃を備えている。

 

「よう! ノーウェル殿! 一泊、泊まらせてくれんかの? 宿代は支払う」

「宿代は不要だ。――少し、聞きたいことがある。なぜここに来た」

 

「そりゃ、カキンの空気は肌に合わんと分かったからの。弟子連れて出てきたわ」

「……お前のようなプロハンターが、弟子に密出国者の前科を持たせてか……いったいどういう了見だ、耄碌したか」

「いや、のう。これは秘密の話じゃが……どうやら、特殊戒厳令が発令されるらしい噂があって――」

 

「――なぜ、お前如きがそれを知っている」

 ノーウェルの声の温度が、数度下がった。

「"オレの"基金の秘密情報網で、一時間半前に流れてきた情報だぞ。傭兵でもハッカーでもないお前が、なぜ、それを、知って、いる?」

 あなたがいたからか、先ほどまでは新春を思わせる、厳しくも優しい声色だった。それが、わずかな変化で氷点下を思わせる、尋問者の声音となる。

 

「いや~そりゃ、あれじゃあれ。ワシにも独自の……ほれ、ここに証拠が」

 

 そう言って車に戻ろうとするウェルス。あなたの脳裏に、ダッシュボードに隠した『吉兆丸』のイメージが閃き、血の気が引いた。

 

「動くな! 両手を挙げて、ゆっくりと車から離れろ。子供もだ!」

 

「ッチ」ウェルスが鋭く舌打ちする。

 あなたは、言われるがままに両手を挙げた。民兵の一人が、あなたの背中に冷たい銃口を突きつける。

 

「すまんな嬢ちゃん、大人しくしてくれ」

 

 その小声に恐怖は和らいだ。あの惨劇と比べれば、ということもあり、震えることはなかった。

 

 ノーウェル自らが車内を改め、トランク、座席の下――そして、ダッシュボードを開く。彼の動きが、止まった。

 

「――これか。お前、とんでもないことをしでかしたな……!」

 

 老兵の手に、宝剣『吉兆丸』が、誤魔化しようもなくあった。

 彼の顔が、怒りと失望に歪む。

 

「国王暗殺だと!? 事実上の独裁国家とはいえ、因習村の村長とは話が違うんだぞ!? なぜ殺した、どうして殺した! これでカキンの統制は崩れる! ベンジャミンはそれを無理に締め付ける! これから、お前のせいで、何千の死人と、何十万の難民が出る! 一体、どうして責任を取るつもりだ! お前がそんなことをするやつとは思っていなかった! お前が、そんなことを……」

 

 そして、ノーウェルの視線はあなたに移る。

 

ノーウェル疑惑判定

1ほどウェルスのせい 10ほどあなたの犯行だと確信

1d10 = 2 「いや、まさかな……」

 

 その視線が、あなたへの疑惑に変わった瞬間、ウェルスは大きく吼える。

 嘘の自白だった。

 

「ああそうじゃ、ワシが殺した! 初弟子ベルの仇、ナスビをな! 取り巻き諸共ぶち殺してやったわ! ガハハ!」

 

 ウェルスが、身体に宿るオーラを爆発させる。ノーウェルは即座に軽機関銃を彼に向けた。

 

「動くんじゃない! 子供がどうなってもいいのか!」

 

「あん?」

 ウェルスは、まるで意に介さないように、呆れた表情を浮かべる。

 見殺しにされるという思考が、あなたの脳裏に流れる隙はなかった。

「んぐっ、ぐぅうう!」

 あなたの背後の民兵が、見えない力に首を締め上げられ、つま先立ちになった。"凝"で見れば、手のひら型のオーラが、彼の喉を握り潰さんとしていた。

 

「『メトロポリタン美術館(ノック・ノック)』、知っとるじゃろ?」

「自在に手のひら型のオーラを操作する、お前の十八番か。だが――」

 

 ノーウェルは、機関銃の照準をそのままに、自らが纏うオーラは球状に拡張していく。"円"、広域の物体を感知するオーラ操作の応用技。その"円"は、周囲を薄く広く覆っていき、ウェルスの"手"を半径に入れた瞬間、その"手"は揺らいで、背後の民兵の首を絞めている手が僅かに緩んだ。

 

「そう。他人の『円』の中じゃ、ワシの"発"は出力が落ちる。だからまあ、こうして――」

 

 次の瞬間、ウェルスの“手”は他の民兵たちが持つ銃器を次々とはたき落とし、それらを掴み取ると、銃口をノーウェルへと向けた。数十の銃が宙に浮かぶ、異様な光景。

 

「――あんたが用意してくれた、鉄砲に頼るわけじゃ。どぅゆぅあんだすたん(わかりましたか)?」

「……舐められたものだ」

 ノーウェルは怯まず、腰の拳銃を抜き、あなたへと構えた。視線はウェルスに固定したまま。

 その達人技に、あなたの肌が粟立つ。ノールックでもあなたの額を撃ち抜く技量をそこには感じさせた。

 

「っち、卑怯者めが、子供を狙うか」

「どっちがだ。銃を捨てろ」

「こっちの台詞じゃよ」ウェルスは、宙に浮かせた銃を民兵たちに向ける。

「これでお互い人質持ちじゃな」

 

「――っち」ノーウェルが舌打ちする。

 あなたは、ノーウェルが狙う急所を守るように、オーラの攻防力を移動させる。"流"による素早い"凝"。拳銃であれば死にはしないだろう。

 

 それを視界の端に捉えたノーウェルは一瞬瞠目する。

 

「その歳で、"流"まで使うだと? やはり耄碌したかウェルス、ダブルの称号のために、幼児をそこまで追い込むか!」

 

「誤解じゃの、この子が早熟なだけじゃよ。さて、ノーウェル殿。ウチの__は拳銃程度では死なん。お主が拳銃から機関銃に持ち変えるより、ワシがこの民兵共を皆殺しにするのが速い。さて、言わせてもらうぞ。『銃を降ろせ』」

 

 その時、銃を突きつけられた民兵の一人が叫んだ。

 

「俺たちは気にしないでください! ノーウェルさん、あんたは英雄だ! アンタさえ生きていれば、なんとかなる!」

「そ……そうだ! 俺たちの命と、ノーウェルさんの命は違う!」

「こんな暗殺者に屈するな!」「あなたならなんとかできるだろ!?」

 

「……随分、愛されとるなぁ」

 軽口をたたくウェルスだが、その内心は、彼らの忠誠心に冷や汗でいっぱいだった。

(まずい、このままだと__が本当に蜂の巣にされる!)

 

「提案がある」ノーウェルが言った。「銃は捨てろ。念使いなら、素手だ」

「いっせーのーせで銃を捨てるなら乗る。ただしこっちは放出系じゃぞ。もし撃てば、全力の念弾で迎撃する」

「分かってる。行くぞ」

 

「「いっ、せー、のー、せ!」」

 

 そうして、二人が持つ銃器は全て、地面へと放り投げられた。

 どさり、と土煙が舞う。

 恐怖から解放され、ズボンを濡らす民兵の横で、張り詰めた空気が一瞬和らぎ、そして、より原始的な殺気へと変貌した。

 ウェルスはゴキリと首を回し、ノーウェルは手の指を鳴らす。

 

「さて、拳じゃったか? ワシが耄碌しとらんことを、その身で証明してやろう」

「手刀でもいいぞ。貴様の首を抉り落とし、ベンジャミンに送りつければ、多少は混乱も治まるだろう」

 

 老人二人。双方、老練の念能力者。あなたと民兵たちは、二人の衝突を目撃する。

 彼らは、距離を計らない。同時に地面を蹴り、拳を握りしめ。

 互いの急所を狙い、生涯を掛けて練り上げたオーラを叩き込んだ。

 


ウェルス=ノスタルジア VS ノーウェル=ビーマ

EXHIBITION MATCH


 

優位先取制

ウェルスの勝利条件:優位3

ノーウェルの勝利条件:優位3

 

ウェルスの戦闘基礎値 90

『オーラ総量Lv2』『オーラ出力Lv3』『オーラ精度Lv3』『肉体強化Lv1』により +90

『メトロポリタン美術館Lv3』【体掴み】("円"によって弱体化)によって、一度でも優位を取れれば+15

『メトロポリタン美術館Lv3』【武器強奪】【武器使用】【投擲】などは弱体化・戦闘距離・レギュレーションなどにより使用不可。

 

ノーウェルの戦闘基礎値 100

『オーラ総量Lv3』『オーラ出力Lv2』『オーラ精度Lv2』『肉体強化Lv3』により +100

『??????Lv3』はレギュレーションにより使用不可。




老兵ノーウェルは「ノーウェル基金」のノーウェルです。生死は明言されていなかったので、本作では存命中の設定としています。
今回はアンケートはありません。
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