『あなたの転生』~一般通過宝具持ち転生者の人生~   作:砂漠谷

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まさかの日間22位になってました。
みなさんありがとうございます。


少年前期シナリオ・成長パート4

 『あなた』は――。

 

選択:ラッキーアイテム

朱色の仮面

 

 数多の思い出と記憶が染みついた品々の中から、あなたの指がそっと触れたのは、朱色の仮面だった。

 あの日、エラが被るはずだった、村祭りのための面。もう血の匂いはしない。ただ、乾いた木と漆の匂いが、静かにあなたの罪を突き付けてくる。

 

 それを、壊れ物を扱うように、そっと胸に抱きしめた。

 

「――」

 

 仮面は、ものを言わない。当たり前だ。けれど、あなたの瞼の裏には、声なき声を発せずにいる、汚れてしまったあの唇が過ってしまう。血と泥にまみれたエラの顔が、絶望に濡れた瞳が、あなたを射貫く。

 

 どうして、と。

 

 もっと、伝えたいことがあったはずなのに。それももう思い出せない。ただ、謝罪の言葉だけが、エラに向けられていた。

 言葉にならない嗚咽が漏れる。死んだ人間に謝罪しても意味がないと、頭ではわかっているのに。涙は停まらない。

 あなたは狐面を抱きしめたまま、ただひたすらに謝り続け……やがて泣きつかれた心身が、意識を深い眠りの底へと沈めていった。

 

 

 

 翌日、カーテンの隙間から差し込む朝日が、あなたの瞼をこじ開ける。隣では、師であるウェルスががまだ寝ぼけまなこをこっすている。

 デュマが運転する車に揺られること半日、カキン南部の荒涼とした大地とは全く異なる風景が、窓の外を流れていく。整然と区画された都市、天を突く摩天楼、そして行き交う人々の多様さ。

 サヘルタ合衆国本国から少し離れた"飛び地"――ハンター協会自治特区、スワルダニシティ。そのあまりに壮大な光景によってか、罪の意識で凝り固まったあなたの心に、わずかに光が差し込めた。

 

 車は、ひときわ巨大なビルの前で停まる。ウェルスは「着いたか」とつぶやくと、勝手知ったる様子でそのビル、ハンター協会本部へと足を踏み入れようとする。あなたは無言でそれに続こうとした瞬間、デュマが慌てたように、しかし強い力でウェルスの腕を掴んだ。

 

「お待ちください、ノーウェル閣下は、地下の方でお待ちです」

「地下? 新しくできたのかの、そんな施設……まあ、ここも何度か改築しておるからのう」

 

 ウェルスは特に疑う様子もなく頷き、デュマが指し示す地下へと続く階段へ向かう。あなたも、ウェルスの後を追って、その薄暗い通路へと足を踏み入れた。

 

 しかし。

 地下階段の踊り場で、一人の男が壁に寄りかかるようにして立っていた。

 

「ぬ……?」

 

 ウェルスが鋭く警戒を強める。男はこちらにゆっくりと顔を向けた。

 仕立ての良いスーツに、つばの小さな帽子。だが、その生地は奇妙なことに、白地に墨汁を零したような、牛柄とも言うべきものだった。

 

「その片目のシミ……もしや、ナナ坊か? ずいぶん珍妙な格好になったのう」

 

 ウェルスは、男の顔を凝視する。ナナと呼ばれた男の左目は、たしかに痣のような黒ずんだ大きなシミで覆われていた。

 

「残念です、ウェルス翁。あなたが、この混乱の元凶だなんて。――ああ、動かないでください」

 

 男は、本心から残念そうに言うと、胸ポケットからカードを一枚取り出して見せた。トランプほどの大きさで、青地に黒い『!』マークが描かれている。

 

「おぬしの"発"か。そういえば知らんかったの。ここで()る気か」

 ウェルスの全身から、練り上げられたオーラが静かに立ち上る。

「いえ。私の仕事は、送迎ですので――『入廷』!」

 

 男はカードを裏返す。そこに刻まれた記号は、ドアの内側に誘導するような上矢印マーク。青のカードから放たれた念能力は、ウェルスがその念手でカードをはたき落とすよりも僅かに早く、あなたとウェルスの体を淡い光で包み込んだ。

 

「すみません、ウェルスさん。ごめんね、__ちゃん」

 空間が歪む寸前、デュマの悲しげな声だけが、あなたの耳にかすかに届いた。

 

 瞬き一つほどの時間。次に目を開けた時、あなたの目の前には、体育館ほどもあるだだっ広い空間が広がっていた。

 天井も、壁も、床も、全てが冷たいコンクリートで覆われている。音は奇妙に反響し、自分たちの息遣いすら大きく聞こえた。

 視線を正面に向けると、巨大な鉄の扉があり、その前をしつらえた裁判官席に、一人の老人が座していた。ウェルスよりもさらに小柄な、福耳と見事な白髭を蓄えた老人。

 

 どこか、テレビで見たことがあるような――その思考は、ウェルスの呟きによって確信に変わる。

 

「――アイザック=ネテロ殿か」

「よう、シングルハンター、ウェルス=ノスタルジア殿。ジジイにはジジイを当てよ、ということで重い腰を上げさせてもらったわ」

 ハンター協会会長、アイザック=ネテロは、楽しげに目を細めた。

 

「"念"には"念"を入れて、デュマとミザイに入室係を任せたが、許してやってくれ」

「……はぁ、流石に会長殿に直に言われたら、しゃあないの。確かに、自首してきた爺をふん縛って檻に叩き込むよりは、幾分かスマートなやり方じゃ。……で、他のメンツは?」

 

 ネテロの周りには、既に何人かの姿があった。

 三頭身ほどの、薄緑色の肌に、まん丸とした顔の奇妙な人型生物。

 龍の双角のように髪を結い上げた、岩のような壮年の巨漢。

 肌が黒く、知的な眼鏡をかけた、一見すると普通に見える男性。

 そして、顔に深い皺と古傷が刻まれた老人、ノーウェルだ。

 

「えー、ビーンズと申します。本来はネテロ会長の秘書なのですが……今回の仕事は書記官です」

「テロリストハンター、ボトバイ=ギガンテ。貴様の罪を追求する検事だ」

「ロストハンター、ルーペ=ハイランドです。カキンから失われた宝剣『吉兆丸』の専門家として招聘されました。もっとも、呪物の専門家であるウェルス翁の方が詳しいのですが……肝心の本人が被疑者ですので」

「なんたらハンターという呼称は好かんが ……ライセンスは持っている。ノーウェル=ビーマだ。参考人として、ここにいる」

 

 一人一人が名乗りを上げる度、場の空気が重くなっていく。どうやら、ウェルスは、国王暗殺の容疑で裁かれるらしい。

 真犯人は、あなたである。それを知るものは、ウェルスとあなたの他にはここにいない。

 告白すべきか。いや、ここで自分が名乗り出れば、ウェルスやノーウェルの計画が全て無駄になる。あなたの逡巡を見透かしたように、ウェルスが大きな手であなたの頭を優しく撫で、二コリと笑った。その瞳が「全て自分に任せろ」と、強く語っていた。

 

 そこへ、牛柄スーツの男が音もなく現れる。

 

「そして、ウェルス氏の弁護人は、このオレ、ミザイストム=ナナが務める」

「ワシを強制的に飛ばしてきた張本人が弁護人とは。公正とはいえぬのではないか、のう」

 

 あなたを守ろうとして放たれる、ウェルスの露悪げな皮肉にも、ミザイストムは表情を変えない。

 

「この場にいる全員、ウェルス氏の人柄を知っています。それに――オレの司法正義に対する信念も、御存じのはずだ、ウェルス翁」

「……まあな。ハンターになる前も、金にならぬ国選弁護人ばかり引き受けておったおぬしの経歴は、よう知っとる」

「カキンの司法機関に委ねれば、あなたは裁判もそこそこに、スピード死刑が執行されるでしょう。それを回避するため、このスワルダニシティ委任裁判所――すなわち、ハンター協会自治特区法に基づく特殊法廷が設置されたのです」

 検事役のボトバイが、重々しく頷く。

「そうだ。判決は非公開。カキンやその他大国の如何なる政治的干渉も、我々が弾く。この法廷は、あなたを護るためのものだ」

「まあ、そういうことじゃ」と、ネテロ会長が爪を磨きながら言った。「裁判長はワシがやるが、判決を読み上げるだけの声優じゃよ。……じゃあ、始めようかの」

 

 かくして、本来はあなたのものである、ウェルスの罪を問うための、奇妙な裁判が始まった。

 まず、ルーペが専門家として『吉兆丸』の文化的・国家的価値を説明し、次にノーウェルが、これまで国際社会から秘匿されてきたカキンの蛮習『謝肉祭』の実態を淡々と証言する。

 その後は、検事ボトバイと弁護人ミザイストムによる、法の正義を巡る弁論が繰り広げられた。

 

 ミザイストムは、国家そのものが国民の尊厳を踏みにじる犯罪行為を行う時、それに抵抗するための実力による対抗行為は、正当防衛に該当し得ると主張した。

 対してボトバイは、たとえ悪法であろうと、国内法で肯定されている以上、それを個人の武力で覆すことは許されない、それは国際政治で解決すべき問題だと反論する。

 彼らの言葉の一つ一つが、あなたに突き刺さる。あなたの行いが、これほどまでに複雑で、重い結果を招いたのだと、改めて思い知らされた。

 

 その間、被疑者であるウェルスは、完全に沈黙を保っていた。

 

 長い議論の末、ミザイストムが妥協案を提示した。

「……ハンター協会の宿泊施設を改造した特別監房にて、二十年間の軟禁刑。ただし、監視付きで月に一度の外出を許可する。これが、こちらの最大限の譲歩です、ボトバイさん」

「……異論はない。それが、法治と正義の妥協点だろう。ウェルス氏も、文句はないな」

 

「ああ、文句なし。……そうじゃ、一つだけ。ウチの愛弟子について、預け先を指定してもよいかのぉ」

「問題ない」「ありません」

 ウェルスの申し出に、ボトバイとミザイストムが即答する。ウェルスは満足げに頷くと、眼鏡の男性を真っ直ぐに見据えた。

「では……ルーペ=ハイランド。おぬしを、この子の保護者兼後見人として指名する」

 

「ふ……やはり私ですか。――え? 私!? 他に適任がいるでしょう、ほら、ミザイ君とか……」

 突然の指名に、ルーペは素っ頓狂な声を上げて眼鏡をずり上げる。

「おぬしは呪物をただの『失われたモノ』としてではなく、そこに込められた『人の想い』ごと探求する男じゃ。この子に必要なのは、そういう視点じゃろうて。それに――おぬし、弱そうじゃからの。最悪、脱獄してこの子を奪還するのも容易かろう」

「えぇ……最後の本音は聞き捨てなりませんが。……分かりました。謹んでお引き受けします、あなたのお弟子さんを」

「あ、指導は通信教育でワシがやるから。余計な口、出すなよ」

「……承知しました。あなたのお弟子さんですからね」

 

 こうしてあなたは、ロストハンター、ルーペ=ハイランドの家に預けられることになった。

 彼の家は、スワルダニシティの喧騒から少し離れた静かな地区にあった。古書と出所不明の遺物で埋め尽くされた書斎で、あなたは自らの力を披露した。開発途上の“発”である『星屑の螺旋』と、『太歳頭上動土』――そのものでは無論なく、その応用技『時計壊し』。

 ルーペは最初、あなたを師匠に押し付けられたただの小娘と見ていたようだったが、その異質な念の片鱗を目の当たりにし、息をのんだ。

 特に、『時計壊し』にはひどく瞠目し、驚愕を露わにしていた。

「これは……単なる念能力の応用ではない。もっと根源的な……呪いそのものへの、あまりに深い理解がある。ウェルス翁、あなたはこの子に一体何を……」

 

 あなたの能力に時折驚きつつも、生活の面倒を見るルーペ。時折、様子を見にやってくるデュマ。そして月に一度、大量の教材と小言を抱えてやってきて、ルーペから面倒がられるウェルス。

 カキンの実家が第一の家、イヴァンと過ごした別荘が第二の家だとしたら、この少し散らかった研究者の家が、あなたの第三の家となった。血と罪から始まった逃亡生活は、こうして奇妙に穏やかな、新たな日常へと姿を変えたのだった。

 

「職業柄、失せ人を探すことがよくあるのですが……今の君は、随分と深く道に迷っているように見える。あなたのようなタイプは、放っておけば霧のようにふと消え失せてしまいそうで、どうにも見ていられない」

 彼はそう言うと、悪戯っぽく片目をつぶった。

「ですので、あなたに『仕事』を与えましょう。この仕事が終わるまでは、どこへも消えてはいけない。あなたは随分責任感が強いようですからね……『仕事の責任』を、あなたが生きるための一時的な錨にすればいい。なに、私に与えられた仕事をこなしていくうちに、生きる本当の意味も、そのうち見つかるはずです。もちろん、給料も払いますよ、プロハンターの助手です、子供の小遣いとは比較になりません」

 

 「責任」という言葉に、あなたは父の顔を思い出し、俯いた。果たせなかった約束の重みが、また胸にのしかかる。そんなあなたの様子を見て、ルーペは優しく付け加えた。

「過去の責任ではありません。未来の責任です。単純な契約関係ですよ。気楽に行きましょう」

 

 そうして、あなたの“職業訓練”が始まった。

 最初の仕事は、近所の富豪から依頼された、行方不明の家猫の捜索だった。あなたはルーペの指導の下、"凝"で足跡に残る微弱なオーラを追った。開発途上の『星屑の螺旋』を応用し、周囲の気配を探ろうともした。

 

 結果――。

 

家猫捜索判定

1ほど不貢献 100ほど貢献 気配遮断・オーラ視・広域探査なし(補正0)

1d100 = 2 ほぼ無貢献

 

 しかし、結果は惨憺たるものだった。

 焦れば焦るほど感覚は鈍り、あなたはまるで手がかりを見つけられない。結局、ルーペが経験と勘で路地裏の物置に隠れているのを発見し、あなたは依頼主に頭を下げる彼の後ろで、ただ拳を握りしめることしかできなかった。

 こういった探しごとは苦手なのだろうか。マンチカンを抱きしめるルーペにあなたは相談すると、彼は穏やかに首を振った。

 

「いえ、そんなことはないでしょう。ただ、コツを知らないだけです。モノを分析する感覚、対象に深く潜る『深度』の力は、あなたは非常に鋭い。あとは、それを遠くまで広げる『距離』の感覚を掴めばいい」

 

 ――つまり、"円"を修得せよ、ということだろうか。今のあなたは、"円"を十分な精度で広げることができない(広域探査Lv0)。

 

「そうとは限りません。たとえば、君が開発中の『星屑の螺旋』。あれは念槍であり、念波でもある。その性質は、遠隔の走査にも応用できるはずです。面を制圧する“円”とは違い、一点を穿つ“線”の探査。高速で走る車内に囚われた被害者を見つけ出したり、遺跡の深奥に眠る秘宝を非破壊検査したり……使い道は無限にありますよ」

 

 その後も、あなたはルーペからいくつもの仕事を割り振られた。古文書の解読補助、発掘された遺物の初期鑑定。失敗も多かったが、ルーペのアドバイスを元に『星屑の螺旋』のオーラ波長を調整し、地下水道に逃げ込んだ希少トカゲの生体反応を探り当てるなど、少しずつ成功体験を重ねていった。

 月に一度の面会日に、ウェルスは「ワシの弟子に余計なことを教えるな!」と文句を言ったが、ルーペは「これは修行ではなく職業訓練(OJT)ですので」と涼しい顔で受け流す。二人の大人に挟まれながらも、そのやり取りは、あなたの心を少しだけ軽くした。

 

 そして、数か月が過ぎた頃。

 

感覚技能点獲得判定(ボーナス)

敏捷E 一流のロストハンターの指導、都会でのOJT、

数か月の期間、ボーナスであることなどを総合的に考慮。

獲得判定C-

1~6:普通に(3点) 7~9:そこそこ(4点) 10:かなり(5点)

1d10 = 3 普通に

 

現在技能点

運動技能点24

白兵技能点2

移動技能点0

生存技能点8 (視肉1 防弾1 単独6)

精神技能点12 (太歳の禍5)

感覚技能点5

製作技能点7 (剣製6)

交渉技能点2

 

メッセージ

少年前期成長パート・中間成長

技能を新規に取得しています……

 

メッセージ

あなたは『オーラ出力Lv1』([運動5])を習得した。

あなたは『オーラ出力Lv2』([運動10][精神5]【オーラ出力Lv1】)を習得した。

あなたは『星屑の螺旋Lv1』([運動5][感覚5][精神5]【前提条件略】)を習得した!

 

現在取得技能

オーラ総量Lv1

オーラ出力Lv2

オーラ精度Lv1

肉体強化Lv1

構造分析Lv1

物質加工Lv1

演技Lv1

太歳頭上動土Lv1

無限の剣製Lv1

星屑の螺旋Lv1

幸運Lv3

 

残存技能点

運動技能点4

白兵技能点2

移動技能点0

生存技能点8 (視肉1 防弾1 単独6)

精神技能点2(太歳の禍2)

感覚技能点0

製作技能点7 (剣製6)

交渉技能点2

 

 あなたの構想していた念能力、『星屑の螺旋(スターダスト・スパイラル)』が、解析と探査の能力も含めて、ようやく一つの完成を見た。

 

 そんな折、ニュースが街を騒がせた。とある呪物収集家が惨殺され、コレクションの大部分が奪われた、という。

 

「事件の犯人捜しは、クライムハンターであるミザイ君たちの仕事だ。我々の仕事は、裏市場に流れたと思われる呪物の捜索と奪還」

 ルーペは、あなたを伴って現場へ向かう車中で言った。

「十歳にも満たない君に、犯人との戦闘はさせられません。しかし、現場検証くらいはできるでしょう。君の“発”による物質解析能力は、極めて希少だ。活躍を期待していますよ」

 

 ルーペの監督の下、あなたは事件現場へと足を踏み入れた。

 そこは、成金の趣味としか言いようのない、ギラギラとした豪奢な調度品で埋め尽くされた客間だった。しかし、今はその全てが死の気配に覆われている。鼻をつく鉄錆のような血の匂いに、思わずあなたは口元を覆った。

 遺体は撤去されていたが、部屋の中央に置かれた豪奢な椅子と、その周囲の絨毯に飛び散ったおびただしい血痕が、ここで何が起きたかを雄弁に物語っていた。

「被害者が最期に座っていた椅子だ。何かわかるかもしれない」

 ルーペに促され、あなたは血で汚れた椅子にそっと指を触れ、深く集中する。

 

遺品分析判定

『星屑の螺旋Lv1』により、接触距離での『構造解析』Lvが1上昇。Lv2として扱う。

50 - 20 難度30 1~29で失敗。30~59で成功。60~89で大成功 90~100で極大成功。

1d100 = 8 失敗

 

 だが、指先に、凝固した血のざらめきを感じ取った瞬間、あなたの脳裏に、血と泥に汚れたエラの顔がフラッシュバックした。

 込み上げる吐き気と罪悪感に、集中が霧散する。あなたは力なく首を振り、何も分からなかったとルーペに伝えた。彼は少し残念そうな顔をしたが、「無理もない」と慰めるようにあなたの頭を撫でた。

 

「問題ありません。ここは、私の念能力を使いましょう。君の力が『深度』なら、私の力は『緯度と経度』。役割が違います」

 ルーペは床に世界地図を模したマットを広げ、奪われずに残っていた呪物の一つをその中心に置いた。彼は静かに目を閉じ、呪物と精神を同調させていく。

 

「『百年の孤独(アルファアンドオメガ)』――歴代の保有者を示せ」

 

 彼のオーラに呼応し、マットが淡く輝く。呪物から立ち上った霧のようなオーラが、地図上の複数の地点で人の顔を形作った。

 

「これは……いや、まだ確信は持てない。__、この場所をメモしてください」

 あなたは言われるがまま、顔が表示された地点をメモ帳に書き記していく。

 

 ルーペは次々と遺品を取り替え、能力を発動させていく。あなたはそれをひたすらメモに写し取った。

 数十回ほどそれを繰り返した頃だろうか。オーラを消耗しきったルーペは、荒い息をつきながらあなたのメモ帳を覗き込み、そして戦慄に目を見開いた。

 メモに記された無数の点は、明らかに偏っていた。カキン帝国とその周辺国"以外"に。

 

「やはり……。どの呪物も、三代前までの保有者に『カキン帝国民』がいない。そして、盗まれた呪物のリストと照合すると……犯人は、カキン帝国にまつわる呪物だけを、意図的に盗んでいったんだ」

 あなたは、その言葉の意味を悟り、息をのんだ。これは単なる強盗殺人ではない。

 

「まずいな……」

 ルーペは険しい顔で携帯端末を取り出すと、ミザイストムに連絡を入れた。

「これは、カキンの関係者が……もしかすると、だぞ」

 

 それが、スワルダニシティ全土を巻き込む大きな事件の始まりになるとは、今のあなたは想像だにしていなかった。




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