『あなたの転生』~一般通過宝具持ち転生者の人生~   作:砂漠谷

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幼少期シナリオ・成長パート2

 数多の興味の入り口から、『あなた』が、最初に興味を持ったもの。それは、枕元に置かれた自分の目覚まし時計だった。

 

なぜかよく壊れる自分の目覚まし時計

第一宝具『太歳頭上動土(タイソエイ・アウェイクン)』に対応

 

 それは、毎朝あなたを起こしてくれる、一番身近な機械。しかし、あなたの目覚まし時計は、なぜかすぐにおかしくなった。

 ある朝は、けたたましいベルの代わりに、まるで苦しむような「ギ、ギギ……」といううめき声を上げる。またある時は、長針と短針がぐるぐると狂ったように逆回転をする。落としたり、強くたたいたりした覚えは全くない。

 親に買ってもらった新しい時計も、一か月もすれば決まって同じように壊れてしまう。これはきっと、自分だけに起きる、何か特別なことだ。そう思ったあなたは、一番信頼している母に、この不思議を打ち明けてみることにした。

 リビングで紅茶を飲んでいた母の膝に、こてん、と頭をのせてみる。母は読んでいた本から顔を上げ、あなたの髪を優しく撫でた。おっとりした性格だが、あなたの言葉を決して子供の戯言だと笑ったりしない、聡明な女性だ。

 

「あら? どうしたの、__ちゃん」

 あなたの拙い説明を、母は真剣な眼差しで聞いてくれる。

「……そう。なんで__の時計だけ、すぐに壊れるちゃうのはどうして、ってことね。そうねぇ……」

 

 母は美しい眉を寄せ、しばらく考え込むと、一つの答えにたどり着いたように、ポンと手を打った。

 

ランダム分岐

1.「時計屋さんに行って確かめてみましょう」 コネ『謎の時計屋』獲得

2.「お父さんに分解してもらって中を覗いてみましょう」 父の職業分岐で確率変動

3.「一緒に分解してみましょう」 ボーナス、無料技能獲得(『道具作成C』による)

1d3=1 コネ『謎の時計屋』獲得

 

「時計屋さんに行って確かめてみましょう」

 

 母のその一言で、あなたの初めての遠出が決まった。

 最初に誕生日プレゼントとして贈られた高級時計は、すぐに壊れてしまったものの、まだ大切に保管されていた。まずは、それを購入した歴史ある時計店に持ち込んで、専門家に見てもらうことになったのだ。

 

 物心ついてから始めて、あなたは家の外の広い世界を、はっきりと認識することになる。

 

ランダム選択・世代分岐

1でゴン世代 5でジン世代 10でネテロ世代

1d10=2 クラピカと同世代 1982年前後誕生

 

 今は西暦で1986年。父が雇った運転手がハンドルを握る、黒塗りの高級車の後部座席。母の膝の上から見る景色は、驚きの連続だった。

 角張ったデザインの車が、少し甘い匂いのする排気ガスを吐き出しながら道路を行きかっている。空には電線が蜘蛛の巣のように張り巡らされ、道端には時折、緑色やピンク色の箱――公衆電話が置かれていた。すべてが新鮮で、あなたの目をくぎ付けにした。

 車が止まったのは、石造りに重厚な店構えをした時計店だった。カラン、とドアベルが鳴り、中へ入ると、古い木の匂いと、無数の時計が経てる「チクタク」という合唱があなたたちを迎えた。

 店の奥から現れた仕立ての良いスーツの店員は、母の姿を見るや、深く恭しいお辞儀をした。

 

「ご来店、ありがとうございます」

 

 母が要件を伝えると、店員はにこやかに、しかしどこか慎重な面持ちで頷いた。

 

「分かりました。時計の故障の原因ですね。ちょうど、腕利きの時計技師が参っておりますので、見てもらうのはいかがでしょうか」

「ええ、それでお願いしますわ」

「では、お時計をお預かりします」

 

 母から時計を受け取ろうとした店員は、一瞬ためらうように動きを止めると、白い手袋をはめ直した。

 まるで得体のしれないものに触れるかのように、慎重な手つきで。

 その指が時計に触れた、まさにその瞬間。

 ジリリリリリリ!

 けたたましいベルの音が、静かな店内に響き渡る。誰も触れていない、時間も設定していないはずのアラームが、狂ったように鳴り響いていた。

 

「こ、これは……!」

「ええ、そうなの。奇妙でしょう?」

「と、ともかく、お預かりいたします!」

 

 店員は小走りで、鳴り続ける時計を抱えて店の奥へと消えていく。

 そうして数分後。店の静寂を破るように、どたどたと大きな足音が近づいてきた。

 現れたのは、油で汚れた作業服を纏い、片眼鏡(ルーペ)を付けた髭面の老人だった。

 

「ま、待ってください『ウェルス』さん! お客様の前にその恰好で――」

「素人はだぁってろ!」

 

 一喝して若い店員を黙らせると、老人はギロリ、とあなたに視線を向けた。母は咄嗟にあなたを抱き寄せ、庇うようにその視線を受け止める。

 しかし、老人の興味は母にはなかった。そのルーペ越しの瞳が、真っ直ぐにあなたを射貫く。

「――嬢ちゃん、アンタか。この時計の持ち主は」

 

 声色こそ子供に語りかけるように穏やかだったが、あなたは全身の肌が粟立つのを感じた。その瞳は、小さな子供を見る目ではない。未知の生物を観察し、危険性を推し量るような、鋭く、冷徹な光を宿していた。

 

「誰ですの、貴方。ウチの__に話しかけないでくださる?」

 母の凛とした声が、老人を牽制する。老人は芝居がかった仕草で方をすくめた。

 

「おっと、これは失敬。ワシはウェルス。時計屋じゃよ。超一流の、な。ほら、そうじゃろう?」

 先ほど怒鳴りつけた店員の肩に、ウェルスは手をやる。店員はため息をつきながら、その言葉を肯定せざるを得なかった。

「……お客様、申し訳ありません。技術者というのはどうも偏屈な人種が多く……ですが、腕は確かでして」

 店員が慌てて入れたフォローに、母は訝しげに眉を寄せた。

 

「……結構ですわ。ですが、その一流の技術者様がわざわざ表に出てこられた。それほどのことなのですね?」

「えぇ、そりゃあもちろん! お母さま、信じるかどうかは貴女次第じゃが……御令嬢には、呪いが掛かっておる」

 

 その言葉を聞いた瞬間、母の纏う空気が氷のように冷たくなった。

 

「はぁ、時計屋の領分を外れて、することは霊感商法ですか。随分と見くびられたものね。お話はここまで――」

 

 侮辱されたと感じたのだろう、彼女はあなたを抱き直し、静かに席を立とうとした。その言葉を遮るように、老人が無言で掌を差し出した。

 母の視線が、その掌の上で釘付けになる。息を呑む音が、すぐ隣で聞こえた。

 そこにあったのは、一つの歯車。いや、歯車だったものだ。銀色の金属であるはずのそれは、まるで生き物のように、ぬらり、ぬらりと蠢いていた。

 

「――っ、これは何ですの!? 悪質な玩具では……」

「いんや、"本物"じゃよ。歯車が呪いによって変質した果てじゃ。疑うなら、他の時計も見てみるか?」

「……『イヴァン』、車から残りを」

 

 運転手のイヴァンと呼ばれた男性が、蒼白な顔で頷き、急いで車から他の時計を持ってくる。ウェルスはそれらを受け取ると、まるで手品のように、瞬く間に部品レベルまで分解していく。

 そして、全ての時計の中から、あの蠢く金属片が取り出された。

 

「……すり替え、ではないのね。本当に……」

「そうじゃろう。御令嬢から溢れ出た呪いが、常に身近にある道具を侵食しておるのじゃ」

「……どうすれば、いいのですか」

 母の声が、不安に震えていた。

 

「ふむ、本来なら除念師に頼むしかないが……これがまた法外に高い。ま、お宅さんなら金には困らんようじゃが」

「ええ、いくらでも払いますわ」

「威勢がいいのう。よかろう、ワシのホームコードを渡しておく。決して他言は無用じゃ。すぐに決めることでもあるまい。旦那ともよう相談しなされ。ワシが保証する、"本物"の除念師を紹介してやろう」

 

 その会話を聞いて、あなたは考える。

 『呪い』。老人の言葉が、あなたの頭の中でぐるぐると回る。

 違う。これは呪いなんかじゃない。本当は――自分のせいだ。

 あなたには、わかっていた。あの時計の異常は、朝、目が覚めた時に自分の中から溢れそうになる『変な力』と関係があることを。

 本当のことを、今ここで言うべきだろうか?

 それとも、お家に帰ってから、お母さんとお父さんにだけ話すべき?

 あるいは、ずっと黙って、この力を自分でどうにかするべき?

 除念師、そんな人の力がこれに通用するとは思えない。

 目の前の髭のおじいさんは、少し怖いけれど、本当のことを知っているみたいだ。この人になら、相談してもいいのかもしれない。

 

 小さな胸の中で、いくつもの考えが渦巻く。

 あなたは、人生で最初の、重大な選択を迫られていた。

 

①無意識で自分が侵食したことをこの場で告白する。

呪いではなく、自分の能力が原因であることを開示する。

能力が一部『ウェルス』『高級時計店』『イヴァン』『母』に開示される。

 『ウェルス』に強い興味を持たれる。

tips:金持ちが使うような店は、人に噂を広めにくいから使われている。

  もっとも、"にくい"だけだが……

 

②無意識で自分が侵食したことを帰宅後に告白する。

呪いではなく、自分の能力が原因であることを開示する。

能力が一部『母』『父』に開示される。

tips:父母だけに開示しても、理解が得られる可能性は低い。

  もっとも、それだけで亀裂の入る関係性ではないだろう……

 

③場をうやむやにして、呪いを抑え込む訓練をする。

完全に独学である。

リザルトで『精神技能点』をさらに少し加算する。

tips:呪いを掛けられている、という疑惑は晴らせない。

  また、独学での訓練は、得てして効率が悪いものだ……

 

④黙って、除念師にお金を払ってお祓いをしてもらう。

お祓いは必ず失敗する(宝具は失われない)。

家の裕福度が18からマイナス1~4される。

tips:除念師によって、価格や実力は左右されるが、どれも"本物"である。

  もっとも、あなたのソレは『呪い』であっても『呪われ』ではない。

  お祓い自体に意味はないだろう……

 

⑤家に帰ってから、親に隠れてこっそり一人で『ウェルス』に電話を掛けて相談する。

行動そのものに低難易度の成功判定がある。(最低限の技能点は得られる)

tips:一人で児童が行動することは、必ずしも安全とは限らない。

  一人で電話ができる賢しい幼児に一体どれだけ価値があるのか。

  ホームコードに盗聴防止の機能はないことに気を付けたい。

キャラクター1 幼少期シナリオ・成長パート1-2

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