ダンジョン管理人(酒カス)は弟子を取る   作:ものため

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1.エンカウント管理人

 ダンジョンが世界各地に誕生し、人類に魔力という力が備わってから60年が過ぎた頃、黒髪の女性がダンジョンに向かっていた。

 

「ここが仙山市のダンジョン」

 

 彼女の名前は佐山 伽凛、ダンジョン攻略者であり、動画配信者である。この世はダンジョン配信ブーム……というわけではなく、少し前から終息し初めてしまっているのが現状だ。ブームだの流行というのは時間が過ぎると終息してしまうのが世の常である。

 

「まぁ切羽詰まってるわけじゃないけど……」

 

 伽凛はダンジョンのモンスターを狩って稼ぐことも出来るが、比較的安全な稼ぎ口が減るのは避けたいのであった。大学も行かずに攻略者の道に進んだ伽凛からしたら貯金なんてどれだけあってもいいのだ。

 

「【個人経営ダンジョンを攻略してみる】よし配信の準備は出来た。電話で許可も取ったし受付行かなきゃ」

 

~~~

 

 伽凛がダンジョンの前にある入場口に行くと栗毛の職員がいる。見たところ20代ほどだろうか?

 

「あ、すいません。配信許可を頂いた佐山です」

 

「はーい、私は受付の新道 響子です。よろしくー」

 

 伽凛は響子をおっとりした人物と認識した。

 

「えーと、すいません。配信してもいい大丈夫ですか?」

 

「いいよー私みたいなおばちゃんは気にしないでいいからねー」

 

 おばちゃんって……あなたがおばちゃんなら世間の人間全部おばちゃんと伽凛は思う。

 

 伽凛はドローンの電源を入れるとスマホを操作し、配信を始められる手前までの準備を終える。

 

「じゃあ開始します。…………どうも!ダンジョン配信者の伽凛です!今日は個人ダンジョンを攻略してくよ!」

 

・始まった!

・個人ダンジョンって珍しいな

・どこのダンジョンだろ?

 

 配信のチャット欄はこんな感じである。

 

「今日は仙山市にある山並町ダンジョンに潜っていきます」

 

・本当にどこだよ!?

・都内じゃないな

・静岡の田舎の方にあったような

 

 知ってる人は少ない様だ。

 

「まぁ、田舎だしねー」

 

「な、何かすいません」

 

・美人だ

・デッ!!

・ぶっちゃけ伽凛より……

 

「美人ってもー、私もうすぐ60歳だよー。ここに引っ越して35年目だしー」

 

「うそじゃん」

 

・うそでしょ!?

・マジ!?

 

 どっからどう見ても20代の彼女は、なんとアラウンド還暦の様だ。

 

「あ、そうだ。ここの管理人してる旦那がダンジョンに潜ってるから」

 

「結婚……まぁ、もうすぐ60代らしいし……うん」

 

・う、受け入れられねぇ

・いや、本当にそうだと決まったわけじゃない

・我、仙山市民、その人は我が子供の頃にはそこで受付嬢してたと記す

・マジかよ!?

 

 チャット欄を見る限り事実の可能性が出てくる。……そもそも嘘をつくメリットが無いが。

 

「と、とりあえず行こうか」

 

 伽凛はどうにか平成を保ち、ダンジョンに向かうのであった。

 

~~~

 

「こ、ここおかしくない!?」

 

・なんでこんな浅い階層にコボルトソルジャー居るの!?

・レッドタウルスまで居るし!?

・普通そいつら中層の後半だぞ出るの!?

 

 田舎にある個人管理のダンジョンはどうやらそうとう難易度の高いダンジョンだったらしい。

 

「ここ個人で管理出来るのおかしいでしょ!?」

 

・我、仙山市民、化物見たいなジジイにババアにその弟子が強いから問題ないという特殊な地域だとここに記す

・早よ言えや!?

・なんでその情報を早く言わない!?

 

 とはいえ、彼女も7年はダンジョンに潜る攻略者、なんとか攻撃を捌き、剣で敵を倒す。

 

「無理!これ無理!!撤退!!!」

 

・なんて的確な判断なんだ。

・とっとと帰るべ

・我、仙山市民、そこ割りと浅い所でも竜種が居るからマジで的確な判断だとここに記す

・だから早よ言えや!?記すじゃねーよ!?

 

 なんかチャット欄に変なのが居るが気にしないでおこう。

 

「なんか奥からヤバい音というか気配が来てる気が……」

 

 伽凛が音が方向を見かけると岩を纏った巨大な爬虫類の様の生物がこちらに這いずってくる。

 

「岩竜!?」

 

・我、仙山市民、そいつ基本的に中層に居るけど、たま上層に顔を出すと記す。

・だから、早よ言えや!?そんな重要な情報!?

・全力で走って逃げろ!?

 

 伽凛はマズイと思った次の瞬間、岩竜の上に人影降ってきてることに気づく。

 

「は?」

 

 目の前光景に伽凛は固まる。人影と岩竜が接触した瞬間、岩竜は頭がポロリと落ちる。

 

「ん……?」

 

 人影の正体は大剣を肩に担いだ男性だ。20第後半ほどだろうか?

 

「君が響子の言っていた子かな?」

 

・だれぇ

・強者の匂いがプンプンする

・我、仙山市民、その人、そこの管理してるクソ強ジジイだとここに記す

・ジジイなの!?

 

「え?」

 

 チラッとチャットを見た伽凛は嫌でも目の前の男がここの管理人であることに気づくのであった。

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