様子のおかしい老人が居ることが判明し、ビクつきながらも伽凛はダンジョンの奥に進んでいく。
「見なさい伽凛さん。ダンジョンの壁が八つ裂きにされているよ」
「普通はダンジョンの壁は八つ裂きに出来ないんですよ。ダンジョンの壁って破壊するの不可能レベルなんですよ」
「これいつものことだから馴れてね。……お、喰蹴鳥の卵だ。壁に埋まってたやつかな?とりあえず回収しておこう」
そういいながら克己はサッカーボール程の大きさの卵をバックにしまう
「ダンジョンの壁よりデカイ卵のが大事なんですか!?!?」
「だって、この卵美味しいし。ラッキー2つ……3つ目発見」
・我、仙山市民、深層潜れるからすれば壁なんて定期的に崩壊してるよとここに記す
・なんで崩壊してるんだよ!?!?
・我、仙山市民、自爆するアホが散々壊してるとここに記す
・あっ(察し)
定期的に壊れている壁よりも卵な克己である。まぁ、どっかのゲームでも壁壊せたりするし……ね。
「うーむ、ウフマヨか……?それともだし巻きか……?はたまた、卵のアヒージョか?」
「あの、本気でお腹すくんで止めてくれません?」
・とりあえず料理は写真撮ってSNSにあげてくれ
・ここ数日お腹空きすぎて飯の画像をSNSにあげるのサボってるの普通に配信者として駄目からな
・仕事しろ配信者
「私に対して辛辣過ぎじゃない!?」
ここ最近、奇声ばっかの修行配信しかしていないので、リスナーは美味そうな飯の画像を欲しているのだ。
「あ、一応伏せて」
「え?」
克己の指示に従い、伽凛が伏せた瞬間だった。頭上を何かが通り過ぎたと感じた後に、ヒュンという音がした。
「は?え?」
伽凛は慌てて左右を確認するとダンジョンの壁には刃物で斬られたかの様な跡がついていた。
「避けたか」
伽凛が声のした方を見ると、刀を持った老人が佇んでいる。
「いや、若い子が居るんだからちょっかいかけないでくれないか?」
「この程度の斬撃は受け止められるだろう」
「だからってねぇ」
克己が話している間も伽凛の老人を観察していた。顔で老人というのが分かるが、かなり筋肉質で矍鑠としている。
「はぁ、伽凛さん、この人は坂根さん。ダンジョン黎明期からポン刀だけで、魔物を八つ裂きにしてきた正真正銘の剣鬼だ」
「あ、はい。私は佐山 伽凛です」
「うむ、坂根 雷電だ」
・我、仙山市民、その人は散歩気分で深層に行くマジもんの化物とここに記す。あと自爆女にマジ説教して泣かせれる貴重な人材とここに記す
・化物やん
・仙山市民的には自爆女を泣かせる事が重要やろな
チャット欄では変なの……、もとい仙山市民が伽凛の目の前にいる老人について説明している。
「あーそうだ、爺さんが回収しなかった魔物の肉とかはこっちで回収したけどいいかい?」
「既に必要分回収したゆえ好きにしろ。儂は魔物を斬れればそれでいい」
「うーん剣鬼というか魔物スレイヤーというか……」
・マジでやべぇ爺さんやん
・我、仙山市民、その爺さん100歳越えてるよとここに記す
・アラフォーでダンジョン潜り始めたの!?
ダンジョンがこの世に誕生して約60年、目の前の老人は最低でも60年は刀を振り続けた剣鬼である。
「……貴様も剣士か」
「あ、はい、一応武器は剣です」
伽凛は片手剣を、雷電に見せる。この片手剣はダンジョン産の鉱石を使用した代物で基本的に中級者以上が使う武器である。
「必要なら連絡しろ。ちょっかいをかけた程度は鍛えてやる」
「え?ありがとうございます?」
雷電は話し終えると、その場から立ち去った。
「まぁ、僕は基本的にフィジカル面を重視してるから、剣術を習いたいなら頼ってみるといいよ。さ、どうせ魔物も居なそうだし帰ろうか」
「……そういえば今日一匹も魔物狩ってない!?」
・くさ
・生きてるの一匹も居なかったもんな
・根切りにされてらぁ
特に見せ場もなく、今回の配信を終える伽凛であった。