「休みが開けたらどうなるか……修行です」
「お休みが恋しい……」
・また奇声配信か
・また山か
・深層攻略者の道は険しいな……
休みが終わり、修行の日々が再び始まる。
「まぁ、今回は僕が追い続けるやつじゃないから」
「本当ですか!!!!!?????」
・マジで嬉しそう
・まぁ、ずっとあれ撮されてもな
そりゃ、延々に奇声を発しながら逃げる配信とか誰だって勘弁して欲しいだろう。
「というわけで、はいこれ」
「木刀ですか?……って重ッ!?」
伽凛は克己から手渡された木刀を受け取ろうとすると重さで落としそうになってしまう。
「こ、この木刀?で何をするんですか?」
どうにか落とさずに耐えた伽凛は既に嫌な予感がしつつも克己に尋ねる。
「なにするって……時間が有る限り僕と打ち込み稽古するんだよ。もちろん魔法で強化しながらね」
「ですよねー」
・せやろな
・察してはいた
・これアカンやつや
「……克己さんは何を使うんですか?」
「僕はこれ」
「罰ゲームのやつ!?!?」
「じゃあやろうか」
克己が取り出したのは罰ゲームなどに使われるウレタンの棒である。
「ど、どうなってもしりませんからね!?」
流石に舐めすぎだろうと思った伽凛は木刀を打ち込むが、
「ほれ防御からのカウンター」
「いったぁぁぁぁあああああ!?!?!?」
・うわぁ脛から凄い音が
・なんでウレタンで木刀受け止められんんの?
・我、仙山市民、あれ防御時の一瞬だけ魔力でガチガチに固めてるとここに記す
・こんなしょうもないのに絶技を見るとは……
目の前の何ともいえない光景にチャット欄は困惑する。
「からの背中」
「いっ……ッ!!??」
大分フィジカルが鍛えられている伽凛が落としかけた木刀で時間が有る限りの打ち込み稽古……それが意味する事とは……
~~~
数時間後
「…………」
伽凛は死にかけていた。だろうな。そらそうだろうな。
「動かなくなってしまった……ほれ回復魔法&魔力回復ポーション」
克己は動かなくなった伽凛に回復魔法をかけつつ、魔力回復効果のあるポーションをびしゃびしゃとかける。
「うぅ……」
「続きやろうか」
「ぎ、ギブ「続きやろうか!!」うばぁ」
・む、むごい
・人のやることか???
・人の心 is どこ?
「ここで立ち上がり続ける根性がないと、ダンジョンで死ぬ可能性が高くなるからね」
「ぐぬぬぬぬ……しゃあ!!続きお願いします!!」
「よくいったね……からの毛細血管いっぱい詰まってるとこ!!」
「脇やめて!!!???」
・一瞬なんか良い感じの雰囲気出てたのに……
・急にどっかでみたことあるやつ始まってくさ
・てか次の夕飯の話しよーぜ
伽凛が修業している間チャット欄では、次の夕飯配信の献立がどのようなものかの話を始めるのであった。
~~~
さらに数時間後
「ま、今日はこんなもんかね」
「うゔぁ」
伽凛はくたくたになりながらもどうにか立ち上がる。
「ほ、本日も配信見てくれてありがとう…」
・シンプルにステーキとか見たいな
・岩竜のステーキ……確かに気になるな
・岩竜はもうないでしょ
・前の配信でいっぱい拾ってやつ使うんじゃない?
・あ、修行終わってる
「ア、アンタたち……まさかずっとご飯の話してたの?」
・うん
・だって……ねぇ
・そういうわけだから夕飯配信しろよ
「えぇ……」
伽凛がベシベシと叩かれ奇声をあげているなか、視聴者たちはずっと飯配信の話をしていたのだった。
「まぁ、いいか……次もまた視聴よろしくお願いします……」
・お疲れー
・次もがんばれー
・食事配信は忘れるな
チャットを見つつ、ドローンの配信機能をオフにすると、伽凛は
「……」
寝落ちした。
克己はやれやれと思いつつ伽凛を肩に背負い帰路に着くのであった。