目の前で岩竜の首落ちる光景を目にした伽凛は……
「それで、わざわざ東京からこんな田舎に来たのかい?」
「はい、個人管理のダンジョンとだけ聞いてたので……」
管理人の男と喋っていた。管理人は素早い手付きで岩竜を解体している。ちなみに岩竜は名の通り硬いので、目の前で楽々解体している男が化物であることは確定している。
「……そういえば、まだ名乗ってなかったね。僕は新道 克己、知ってる様だけど、ここの管理人をしている」
「わ、私は配信者の佐山 伽凛と申します」
克己と伽凛は互いに名乗る。
・個人で管理出来るダンジョンとは思えない
・スタンピード起こるだろ
・我、仙山市民、長いこと住んでるがスタンピードの警報すら起きたことないと記す。
・このダンジョン有るのに!?
スタンピード、何かしらの原因で大量のモンスターがダンジョン外に出てきてしまう現象のことである。この仙山ダンジョンのモンスターの強さからして、一度もスタンピードが起きてない事は寧ろ異常であろう。
「あの……、ここって本当に個人ダンジョンなんですか?明らかにモンスターの強さがおかしいと思うんですけど」
「普通は国が管理するレベルだろうね。でもまぁ、いろいろあったんだよ」
「いろいろ?」
克己は思い出す様にしゃべりだす。
「数十年前にこのダンジョン見つけて役所…ダンジョン庁に報告したんだけど……」
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『そんなダンジョンあるわけ無いじゃないですか。迷惑電話なら切りますよ。え、土地の管理人から権利買い取っていいか?好きにしてください』
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「って電話ガチャ切りされたんだよね。買い取った後に色々あって把握したらしく、当時のトップと担当が謝りに来たけど、普通に管理出来てるからお帰り頂いたよ」
「そんな事が……」
克己は運悪く質の悪い担当者に繋がってしまい、そのまま流れでここを管理しているのだ。
駄弁っているうちに克己は岩竜の解体を終え、解体したアイテムをささっとバックに詰めていく。
克己はささっと詰め終えると
「さて、僕は帰るけど君はどうする?」
と伽凛に確認する。
「あ、帰ります。というか着いて行きます。ここ怖いんで」
・生き残り優先
・なんかもう危険な事なさそう
2人は帰路につくのであった。
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「お帰りなさーい」
「ただいま」
ダンジョンから戻った2人を響子が出迎える。
「今日はどうだった?」
「ぼちぼちかな。取り敢えずアイテムの換金と管理は任せるよ」
「はーい!マジックバッグは預かるねー」
「はいよろしく」
克己はバッグから箱の様な物を取り出し、響子に渡す。
・やっぱマジックバッグか!
・やけに物が入ると思ったわ
マジックバッグ…要するに希少なモンスターの素材で作られる特殊な鞄である。ゲームとかにあるバカみたいに道具の入るバッグと同じ様なものだ。
「マ、マジックバッグ持ってるんですね」
「この辺は結構持ってる人も多いよ」
・なわけないだろ
・修羅の国かな?
・我、仙山市民……我も持ってるーとここに記す
・持ってるーじゃねーよ!?オマエはなんだよ!?
「えぇ……?」
チャットの変なヤツに伽凛は困惑する。なんでそんな希少品持ってるんだよ
「いや師匠が一人立ちする弟子に剣とかを渡すヤツあるだろ?あれみたいな感じになっていてね」
・どんな世界線?
・そんな剣を渡すみたいなノリで渡す物じゃなくない?
「ていうか配信切らなくていいのかい?普通に僕と話してるだけになってるよ」
「あー、それもそうですね。にしても色々あったなぁ…」
・色々ヤバかったしな
・我、仙山市民、……そのぐらい序の口だよとここに記す
・オマエは何を見たんだ仙山市民!?
「というわけで!今日の配信はここまで!見てくれてありがとう!またね!」
・割りとごり押しで締めやがった
・くさ
・そうはならんやろ
伽凛は無理矢理締めの挨拶をし、配信を切るのであった。
「……そんな雑でいいの?」
「普段はもう少し会話挟んでいい感じの所で締めるんですけど……今日は無理です」
いろいろと起こり過ぎてキャパオーバーな伽凛は早く何処かで休みたいのでる。
「まぁ、大丈夫だと思うけど気をつけて帰りなよ」
「はい、ありがとうございます」
伽凛はトボトボと家に……帰る気力も無いため、近くの民宿を調べ、予約を取るのであった。
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翌日
「弟子にしてくだい」
「急すぎやしないかい?」
伽凛は克己の弟子になるために頭を下げるのであった。