登場人物ごとに見るマハーバーラタ【羅刹エラッタ編】⑤
最終的にその囮作戦にひっかかりエラッタは捉えられた、片目を潰され動けなくなったところを捉え、どうして友でもあるドゥリーヨダナ達の死体を食べたのかアルジュナは問う。
「死んだらただの肉だ、後も何も、無い。骰子の目の運命はそれを己に許した」
現代風に要約するとこんな感じの言葉をエラッタは残している。
死んだらただの骨。
という言い回しは当世ではそれなりに現実主義の派生として聞くだろうがあの時代のあの価値観の真っただ中にそれを言い出すのは、今風にして言えば社会性が高い癖に共感性等に欠如したサイコパスやソシオパスと言った属性だ。
しかも、骰子任せの、要はいきあたりばったりでしたみたいなことも告白してる。
とんでもない。
人食いのサイコパスが人間社会に適応して潜り込んでたと思えば、五王子たちのそら恐ろしさも伝わるだろう。
ラーヴァナを筆頭に羅刹は伝承における悪役として目立つが、エラッタよりも強い羅刹はいるだろうが、タチの悪い奴は中々居ない。
戦後に最悪の引っ掻き回し方をしたエラッタはこうして捉えられ、生きたまま火葬され焼き殺されそれと共に食われた者達も弔われ……これで事態は終わった。
というのがメジャーな逸話なのだが版によってはこの後に追加の話があり、焼け残った骨から一羽の小鳥が飛び出して飛んで逃げていったという話もある。
アレもエラッタに違いないと五王子は捉えようとしたが小鳥の体が小さい故にうまく捉えられず、小鳥は雷に討たれ尾羽こそ焼けたが逃げおおせた……。
今もなお、エラッタは小鳥として姿を変え今も生きている、という流れだ。
つまり、アシュヴァッターマンと同様に今もなお生きているかもね?と言った神話時代からの生存者のような逸話である。よりにもよってこんなやつが生き残ったかと思うと恐ろしい話だ。
その話に付随してか、放浪するアシュヴァッターマンに小鳥が何かしらの施しをした……みたいな民話もある。
これはカウラヴァ陣営時代に同胞だったアシュヴァッターマンを憐れんでエラッタは施しをしたのだ、という逸話も一部地域では語られている。
死と弔いへの共感性の極端な欠如がありつつ生きる者には比較的まともな対応をしている二面性は、悪党に事欠かないマハーバーラタにおいても類を見ない異様さだ。
だからこそ、"羅刹ではあるが、羅刹よりも悍ましい"……戦争において直接の関与はしなかったにもかかわらず、マハーバーラタ内ではこのように悪名をエラッタは残している。
生前パート終わり!閉廷!次回以降カルデアパートになります