羅刹がカルデアに召喚された日
「はじめまして。僕はエラッタ、羅刹のエラッタ。あなたがカルデアの……僕のマスターさん?」
俺はカルデアの一職員、名前は名乗るほどの者でもない。
人理修復という大仕事をてんやわんやですることになったこのカルデアという組織に、また新たなサーヴァントが召喚された。
オルレアンに確認された第一特異点の修復に行く前に戦力の強化と準備をしようとしたところに彼……もとい、彼女は召喚された。
真名、エラッタ。
マハーバーラタに出てくる羅刹。
本来は男性の羅刹のはずだがどうして女性として出てきてるのか……は、エラッタは女性に化けた逸話があるためそのあたりが反映された結果、どうにも当人も意図せぬ形で女性の肉体として召喚を受けているらしい。
「あれ?なんで女性に化けた時の姿に……まあいいか!」と言っていたし。いいのか、それで。
……まあ、それはいい。性別が違う等大した問題ではない。
実際他のサーヴァントも伝承に残る姿と性別が違う奴も結構いたし。始皇帝を暗殺しようとした荊軻とか、アーサー王とか。
よくよく考えたら引っかかるところもあるが、戦力として変化がある訳でもないからそれは一旦置いておこう。
問題は性別が違う何てことよりも、エラッタは中々にぶっ飛んだ逸話を持っている人食いの魔性である点だ。
一応人を殺して食べるようなタイプではないが、だからと言って安心できるかというとそれはまた違う。
どう考えても人とは相いれない感性だ。
勿論、召喚に応じて契約をしている時点である一定のラインでの安全性は担保されているから今すぐどうこうなるとは思えないが……。
そんな風に警戒しつつもカルデアの特異点修復は進む、懸念したような事故は今のところ起きていない。
マスターである藤丸立香との関係性も良好だ。
思ったよりも大分穏やかで温厚というか、むしろ他のサーヴァントの方が色々やらかしてないか?なんだよハロウィンって!!!
まあ、問題が無いなら無いでよかった。
なんなら俺らみたいなカルデア職員にも割とフレンドリーだエラッタは。
どうしてあんな物騒な逸話を持っているのか分からないくらいには。
往々にして伝承は捻じ曲がる事もあるから……俺らの知る逸話とエラッタの経験した生前の話はまた何か違うところがあるのかもしれない。
あるいは事情があったのか?今更確認のしようはないが……。
しかし、少しばかり心配なのはマハーバーラタ系列の他のサーヴァントが召喚されたらどうなるかという点だ。
実際にどういう関係性なのかは召喚されてみないと分からないが、何か因縁はあってもおかしくない。
はてさてどうなることやら……。