わし様と友達な羅刹の物語、なお戦争後   作:メイシュトロ

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無敵の貧者の見識でなんとかしてくださいカルナさん


羅刹とカルナが遭遇した日

僕はこうしてドゥリーヨダナの友達になった訳だけど、他の宮殿の人間には流石に仮にも羅刹という種族故に怖がられたり嫌がられることは多かった。

 

 

それはもう仕方ない。羅刹だしね、一応。

 

 

だけど、あんまりに俺が羅刹らしくないせいか段々とその態度は柔らかくなっていった……ともすれば、乱暴な言い方で言えばナメられてる状態だったのかも。

でも、僕としては嫌がられたり避けられたりするよりはそっちのが全然マシだったから喜んだ。

 

ドゥフシャーサナ、ドゥリーヨダナの弟にはアイツ人を食べる目をしてる!って散々騒がれて警戒されて、ちょっと大変だったっけ。

でも、ドゥフシャーサナが怪我した時に僕が手当したのをきっかけにちょっとは仲良くなれたかも?

安心して、友達の弟なんだから生きてるあなたを食べる訳がないよ。

 

ああ後、ユユツ……という、ドゥリーヨダナの異母兄にもなんだこいつという目で見られてた。

でも、その子も段々と訝しむ目はそのままだけど当たりは少しはマシになってたし、やっぱ時間が解決することもあるよね。

 

優しくしてくれたのはアシュヴァッターマン……ドゥリーヨダナの友達の一人、ドゥリーヨダナのお師匠さんの息子さん。

彼は僕に対してお前も旦那の我儘に振り回されて大変だなと、労うような言葉をかけてくれた。

ここに居て、僕は羅刹の中に居た時よりもずっと多くの関係性を構築しているような気がする。

 

 

……ああ、そうだ、カルナに何とも言えない目で見られた事もあった。

 

 

カルナ。

 

武芸達者な人。ドゥリーヨダナの友達の一人。金の鎧をまとった人。

とてもあけすけな物言いで、だけど人の本質をよく見ている人。

そんな感じだからか周囲との衝突も多かったようだけど……。

 

彼にこう言われた。

 

 

「骨の髄までお前は人ではないというのに人に紛れるその分厚い化けの皮、どのようにして繕った?」

「んぇ……?」

「無意識か。お前は何を思い、何を考え、どう生きている?なんたる無軌道な男だ。お前には目指すべき場所も、人も無いのか」

 

 

色々言われた気がするけど、正直よく僕の事を見ているなと思った。

彼は中々波乱万丈な人生を歩んでいるようだったから、それで人を見る目が養われているのだろうか?でもその結果人と溝を産む傾向があるというのだから中々ままならないものだ。

……ともかく、彼の見識は確かだろう。

 

 

何を思い、何を考え、どう生きているのか?無軌道、目指す場所も、人もない。

それは事実だったからだ。

 

 

僕は自分が何故他の羅刹と違う風に生まれついたのか……一時期ずっと考えていた頃があった。

 

どうして他の羅刹と比べてこんなに弱いのか、どうして他の羅刹のような見た目じゃなく人間のようなのか、どうしてその癖完全な人間にはなれないような人肉への食欲を持っているのか。

この時代は神秘が色濃く残り、神々や魔は人の世にも時折顔を出す。

そんな世の中だったし、実際何某の神の加護を受けたりだとか、そもそもどこぞの神の転生体だとか、あるいは化身、神の血筋……ともかく、そういった存在がそれなりに居た。

 

だから、僕もそういった何かしらの背景があってそうなっているのだろうか?だなんて一時期考えたりもした。

 

ただ、いくら考えても何か理由があってそうなっている証拠はなかったしそう思えなかった。どうしてこんな……変な風に生まれついてしまったのか……。

そうやって考え続けていたら、ようやく分かった。

 

 

 

僕がこんな風に生まれついた事に特に理由なんてない。

ただ、骰子を振った結果の出目がちょっと他の羅刹とは違っただけ……ただ、そんな話なんだって。

 

 

 

ただの偶然。

 

 

 

 

神や魔の何の意図もなく、例えば冬になり散る木の葉が枝に一枚だけ残るように、あるいは流れる川に沈んだ石ころが何かのはずみでどこかの岸辺に流れ着くように、あるいは骰子の出目が三つ振って全て同じ数字になるように、ちょっとした偶然が重なってただこうなっただけ……そこに何の理由なんて無いんだ。

 

だから僕は思った、この世は偶然ただそうなっただけの事は多くて、だからすべての事はなるようにしかならない。

そう思って生きるのなら、きっと僕もまたどんな出目が出てどんな人生を歩もうが……想像通りだったと満足して生きられるだろうと。

 

だから、カルナの言う事は正しい。

 

目指す場所も人もない。

何故なら、僕はどこかで振られた骰子の出目に従って流されるように生きているだけだから。

 

僕は他の羅刹より弱く、強い者がより多くの選択肢を持ち、自分の運命を決められる世界においては自分で行く末を決められない立場だ。

例えるのなら他の誰かは自分で骰子を振るし、振る場所やタイミングを選べる、運命を選べる。

なんなら、振った骰子の出目すら自分で決める事ができる人もいる。

でも、僕にはそもそも手元に振るべき骰子が手元に無かった。

だから、僕は誰かの出した出目に……今回の話で言うのなら、ドゥリーヨダナの出した出目に沿って運命に流されて生きていた。

 

 

そうして今、ドゥリーヨダナという初めての友達を得たのならきっと悪くない出目だった。

 

 

 

 

 

 

 

「なんと返事したらいいのか、分からないけど……でも、どこへたどり着いても満足できるように、僕は生きているよカルナ。現に僕は今、ドゥリーヨダナと出会えて楽しいから」

 

 

 

 

 

 

 

もうすぐ戦争が起きる。

 

ドゥリーヨダナが戦争を起こす。

きっと沢山人が死ぬ、それは多分ドゥリーヨダナ当人でさえ例外ではないのかもしれない。

ドゥリーヨダナがどんな人間であれ、あなたが死ぬまで僕は友達だから。

せめてその時までは沢山思い出を作ろう、沢山楽しもう。

 

 

どんな結末でも、出目が出ても、なるようになるために。




人生なるようにしかならねえよ!
TRPGでキャラシ作る時、たまにすごい偏ったステータスのキャラができる。要はそういうアレ
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