戦争が起きました。
人がいっぱい死にました。肉が沢山転がってました。
だから、食べました。残さずに。もったいないので。
もし、誰かに止められたら、見つかったら、そこで僕は何もしなかったかもしれません。
でも、運命の骰子の出目は……僕に誰にも見つからず食事をさせてくれました。
なるようになりました。
■■■■を食べました。とても強い人だと聞いてたので、なるほど筋肉の噛み応えがそれを証明してくれます。しかしきっと、彼の息子であるアシュヴァッターマンが悲しむことだろうと思えば、息子さんとも交流のある僕としてはやはり悲しくなる話でした。
■■■■■を食べました。彼は偉い神様から加護を受けていた人だそうです、ああ道理で味が濃い。どれほど強い加護を受けていても、高潔でも、死ぬときは死ぬ……やはり、戦場とは不条理なものなのです。
■■■を食べました。ポカポカするような、酒似たカッとするようなあったかい味がしました。彼もまた神の血筋を引く子だからか、味が濃くてとても美味しかったです。喉が焼けるような味でした。彼の人生はとても波乱万丈で、その口のせいでいらない厄災を呼びよせていたようですが、最後の最後には望みは叶ったのでしょうか。それだけが気がかりです。
■■■■■■■■を食べました。なんだか甘かったです。彼もまた、魔性の者。■■の化身の弟であるという事でしょうか、神から何かしらを受け継いだ者とは違った方向で濃密な味がありました。しかし、兄弟であればやはり肉質は似る。他のところに転がっていた■■■■■や■■■■■■達と味がとても似てました、兄弟である以前にやはり元が一つの肉塊だったといつかの時に聞いていたので、やっぱり味がとても似てるのはそのせいなのでしょう。
■■■■■を食べました。
■■■■■■■を食べました。
■■■■を食べました。
食べました。
食べました。
食べました。
食べました。
他にも、いっぱい、いっぱい、いっぱい、カウラヴァもパーンダヴァも、関係なくたくさんの戦場の肉を食べました。
人だけじゃなく羅刹等僕と同じ魔の者の死体も転がってましたが、関係なく全て食べました。その中にはどこかで見たような僕の父も居たような気がしましたが食べました
残すのはもったいないので。
食べているうちに、成長してしまったみたいで羅刹なら持っている化ける能力を僕も使えるようになりました。
沢山の鳥や獣に化けて、より多くの肉を食べました。
死んだらみんな、ただの肉なので食べました。
そうしているうちに、僕の初めての友達が……ドゥリーヨダナがその宿敵に太腿を砕かれて、死ぬ寸前になってしまいました。
僕は彼を介抱しているうちに、アシュヴァッターマンから旦那を頼むと任された。
彼は夜襲をするつもりです。僕にそれを止める力も無ければ、応援するだけの精神の強さもありません。
僕は黙ってドゥリーヨダナの手当をしていた。
僕の初めての友達が死んでいく、そして僕にはそれをどうこうする力が無い。
ドゥリーヨダナがこうなってるのは彼の自業自得であり強欲の末であるのは僕も分かってはいるけど、それでも辛いものは辛い。
泣きたいような叫びたいような、初めての気持ちだった。
今までの戦争だって大概大量の人が死んだわけなのだけども、彼が死ぬのだと現実に差し迫ってようやく単なる悲しみだけではない痛みを感じる僕は不義理な者なのだろうか。
何か声をかけたほうがいいのは分かる、だけどどうすればいいのかが分からない。
何か、ドゥリーヨダナが少しでも楽になるような言葉をかけたいのに、どんな言葉がいいのかすら分からない。
口を開こうとしては閉じ、開こうとしては閉じ。
それはドゥリーヨダナ側も同じようで、何か話したそうだったけど傷の痛みがいよいよ酷くなっているのかどうにも声はひゅぅひゅぅと隙間を通り抜けるような風のような音しか出ない。
……ああ、彼が死ぬ。
でも、彼は最後には笑っていた。きっと、アシュヴァッターマンが自分の願いを叶えてくれるのだと信じているんだろう。
死んだ者はただの肉なので、ドゥ■■ヨ■ナも食べました。
残したらもったいないし食べ物は粗末にしてはいけないからね