わし様と友達な羅刹の物語、なお戦争後   作:メイシュトロ

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登場人物ごとに見るマハーバーラタ【羅刹エラッタ編】③

登場人物ごとに見るマハーバーラタ【羅刹エラッタ編】③

 

 

 

羅刹エラッタはクルクシェートラの戦死者の遺体を悉く食べ、最早骨も残らなかった。

 

現代人視点で見ても色々と問題は多いのだが、前回の記事で話したようにこのマハーバーラタ当時の価値観で言うと更に大きな問題がエラッタの行動には潜んでいる。

骨も残らぬ程全てを食い尽くしたエラッタの行いの何がマズイかと言うと、弔いができないという点が大きい。

 

 

当時は火葬し弔われない遺体の魂は天に上れぬという価値観だった。だから弔いはとても重要だった。

 

 

つまり、エラッタの行いは平たく言うと……死者の死後の安寧をことごとく食い潰す行為だった。

しかも、個人的には恨みが無いにしても陣営としてみれば敵対側だったパーンダヴァの遺骸を食らうならともかくカウラヴァ側も容赦なく食っている。

ひたすらエラッタが食った遺体の名前を挙げるシーンがあるが、当然ドローナやドゥリーヨダナ等の名前も出ている。

友だと言った口で、友やその師匠の遺体を食らい尽くし弔えぬようにしてしまったのだ。

 

 

 

ちなみにだが一説にはこの行いをクリシュナが知り、夜襲の後アシュヴァッターマンに呪いをかける際それを教えるシーンが版によってはある。

 

 

クリシュナ自身がいつからエラッタのとんでもない行いを知っていたのか、あるいはそれを知っていて何故止めなかったのかについては描かれていないがアシュヴァッターマンに対してこのような発言をしている。

 

「貴様の旗頭が招き入れた羅刹が、貴様の父親であるドローナの遺体を食い尽くした。ドゥリーヨダナの遺体もアイツは食らったぞ。貴様が夜襲などして、アイツの目の前にドゥリーヨダナを置いておいたせいだ」

 

……当然、このような事を知らされたアシュヴァッターマンは混乱し、それが嘘ではない事を知れば信頼していたエラッタに対する怒りだの絶望だのが吹きだす。

こんなとんでもない精神状態のまま、人間社会から隔離される呪いのせいでエラッタを討ち仇を打つという事もできず、本当にそうなのかと追及することもできず、彼は三千年の放浪の旅に出されるという……。

よくよく考えなくてもかなりキツイ罰をアシュヴァッターマンは受ける事になる。

 

 

閑話休題。

 

 

ともかく、エラッタの行いは当時の価値観で言うとかなりとんでもない大事件であり、非常に大規模かつ冒涜的な行いであったとだけ分かっていただければ幸いだ。

それゆえ、戦後の後処理で戦死者の遺体が全く見つからないというのは相当な波紋を呼んだ。

 

 

このことがキッカケとなり、エラッタは神にさえ激怒されている。

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