鎮守府決斗録   作:石田零

1 / 52
初めまして、石田零と申します。別所では少し小説を書いていますが、ここでは初めての投稿です。

あらすじの通り、本作は艦娘たちが\(`д´)ゝデュエッ!する話です。
既に何番煎じか分からないネタですが、どうしても書きたい衝動に駆られて投稿しました。先発の方々をリスペクトしつつ、自分なりの艦これ架空デュエルを描いていこうと思います。
気に入って頂ければ幸いです。

それでは、前置きはこのくらいにして。デュエル・スタンバイ!


1 すべての始まり

 それは、夏のある日のことだった。

 ここは、中部太平洋のトラック諸島。周囲を環礁に囲まれたこの地には、同方面で最大の艦隊根拠地が築かれている。「深海棲艦(しんかいせいかん)」――人類を脅かす未知の敵を戦うための、前線基地である。

 このトラック泊地には、深海棲艦と戦う少女たち――「艦娘(かんむす)」を指揮する「提督」の司令部が集まる「鎮守府」が置かれている。数多の提督たちの司令室が集結する建物の一角で、それは始まった。

 

「司令官さん。遠征艦隊が帰投したのです」

 

 司令室の扉を開き、この司令部の秘書官を務める(いなづま)が入室する。その後ろから、数名の少女が顔を出す。

 

「ただいま、司令官。近海の警備任務、無事に完了したよ」

 

「お疲れ。何か異常はあったか?」

 

「何もなかったわ。水中も水上にも敵の気配はなし」

 

「司令官、次の任務はなに? 雷、頑張っちゃうんだから!」

 

 白髪、黒髪、茶髪の少女――電の姉妹である(ひびき)(あかつき)(いかづち)が口々に報告をする。この部屋の主――名を、春瀬という――は、報告を聞くと一つ頷き、彼女らに労いの言葉をかけた。

 

「みんな、ご苦労。補給を済ませたら、各自休んでくれ。……雷、嫌そうな顔をするな。休養も任務のうちだ」

 

「はーい……。あれ? ねえ、司令官。それはなに?」

 

「ん?」

 

「これよ、これ。机の上にある、カードの束。私、初めて見たわ」

 

 雷が指しているのは、執務机に置かれたカードだった。枚数はピッタリ40枚。その周りにも、何枚か散らばっている。

 

「ああ、これか? これはデュエルモンスターズだ」

 

「デュエルモンスターズ……?」

 

 疑問符を頭上に浮かべて首を傾げる雷。春瀬は、カードの束を手に取ると机の上に広げてみせた。

 

「二人のプレイヤーが、40枚から60枚のデッキを使って相手と戦う。いわゆる、カードゲームってやつだ」

 

「ゲーム!?」

 

 雷の隣でカードを見ていた暁が、「ゲーム」の一言に目を光らせる。が、すぐにわざとらしい澄まし顔を作り、つんと横を向く。

 

「お、大人になってカードゲームだなんて、司令官も子供ね! 暁は一人前のレディだから、そんなのぜ……ぜ、全然、興味ないわ!」

 

「そう? 私は面白そうだと思ったけど。響は?」

 

「うん。私も少し気になる」

 

「…………」

 

「暁、どうしたの?」

 

「な、なんでもないわ。暁も少しやってみたいとか、全然思ってないんだから!」

 

「あらそう。じゃあ、私と響だけで司令官に教えてもらうことにしようかしら」

 

「……!?」

 

 雷の言葉に、暁が焦りの色を浮かべる。そんな姉の横顔――暁は、四姉妹の長女である――を見ながら、雷は分かりやすいなぁと心中で苦笑する。

 

「ねえ司令官。私と響に、このカードゲームを教えてくれないかしら?」

 

「ああ。俺も、娯楽用にと家から持ってきたのはいいが対戦相手がいなくて困っていたところだ。カードならまだ山ほどあるし、大歓迎だ」

 

「やった! ありがと、司令官!」 

 

 その場で飛び上がり、喜びをあらわにする雷。しかし、「でも……」とその直後に表情を曇らせる。

 

「二人だけで教えてもらうのもなんか寂しいわね。誰か、他にもやってくれる人はいないかしら?」

 

「……っ!」

 

「カードゲームは頭を使うし、まだまだ子供の雷には難しいかも。誰か、知的なゲームもできる大人な艦娘はいないかしら?」

 

 いかにも棒読みといった調子の雷の言葉。普通なら引っかかる者はまずいない言葉だが、この場には確実に釣られる者が一人、いた。

 

「しょ、しょうがないわね! それなら、暁が一緒に教わってあげるわ!」

 

「いいの、暁?」

 

「もちろんよ! かわいい妹の頼みだし、それに、知的なカードゲームは一人前のレディにもぴったりの遊びだわ!」

 

「決まりね! ねえ、電も一緒にやりましょ。姉妹みんなの方が絶対に楽しいわ!」

 

「え、あ、えっと……」

 

「司令官。やっぱり四人で教わることにしたわ! いい?」

 

「もちろん。二人も四人も同じことだ。けどその前に、みんな一旦休んでこい」

 

「大丈夫よ! 今すぐ教えて!」

 

「分かった、分かった。それじゃ、まずは基本的なルールから始めるぞ。デュエルモンスターズのカードは、大きく分けてモンスター、魔法、トラップの三つに分類されて……」

 

 

 数時間後…………

 

 

 

「もうっ! どうして破壊しただけじゃ効果を無効にできないのよ!」

 

「落ち着いて、暁! 敵艦が砲撃した直後に撃沈しても、その敵が撃った砲弾は消えないのと同じ理屈よ。敵艦がカード、砲弾が効果だと思うのよ!」

 

「『時』と『場合』は、どう違うのですか……? 分からないのです……」

 

「ポールポジション……さすがにこれは、難しいな……」

 

 意気込んで春瀬に教えを請うていた雷たちは、カードの山とルールブックを前に憔悴しきっていた。全員、予想外に難解なルールに手こずっており、暁などは知恵熱を出しそうな勢いだ。

 

「……いや、響。そこまで覚える必要はないから。他のみんなも、細かいルールはおいおい覚えればいいから、とりあえず頭を休めて、それからまずは一回デュエルしてみよう」

 

 春瀬の言葉に、電が「でも」と答える。

 

「まだ私たち、デッキを作ってないのです……」

 

「そうだったな……。なら、そこからだ。デッキの作り方はもう教えたから、それぞれ自由にデッキを作ってみろ」

 

「自由にと言われても……どうやって選べばいいか、見当がつかないのです」

 

「自分が気に入ったカードを選べばいいさ。絵柄でも効果でも、好きなカードを一つ見つけて、それを軸にしていくんだ。気になるカードを持ってきてくれれば、アドバイスする」

 

「分かりました。やってみるのです」

 

 頷いて、カードの山に向かう電。ほどなくして、「これなのです!」という彼女の明るい声が響く。

 

「司令官さん、見つけました! 電はこのカードを使いたいのです!」

 

「ほう。どれどれ?」

 

 電が持ってきたカード。それは――

 

 

《ゴヨウ・ガーディアン》

シンクロ・効果モンスター

星6/地属性/戦士族/攻2800/守2000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、そのモンスターを自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚できる。

 

 

 

「あー……。電。悪いがこれは、使うことができないカードだ」

 

「ど、どうしてなのです!?」

 

「彼は前に、悪さをしてしまったんだよ。いろいろとね……」

 

「そんな!? このゴヨウさんは、倒した敵も助けるとっても優しい人なのです! 悪い人じゃないのです!」

 

「うん、まあ、そういう考え方もできるな、確かに。……それがいけなかったんだけど。なんて言えばいいのか……」

 

「司令官。デッキができたよ」

 

 春瀬が純粋な瞳で訴えかける電の対応に苦慮しているところに、響がデッキを持ってくる。渡りに船とばかり、春瀬はそれに飛びつく。

 

「そうか! じゃあ早速デュエルだ。電、ゴヨウさんの話はまた後でしよう。暁、雷もこっちで観戦してみないか」

 

 ちゃぶ台の上を即席のデュエルスペースとし、春瀬と響が向かい合う。その周囲に、電たちが座る。

 

「初めてのデュエルだからな。先攻後攻は好きな方を選んでいいぞ」

 

「それじゃあ、お言葉に甘えて。後攻を選ばせてもらうよ」

 

「いいだろう。では、いくぞ!」

 

「お手柔らかにね、司令官」

 

電たちが見守る中、鎮守府最初のデュエルの幕が切って落とされる。

 

 

「「デュエル!!」」

 




(’14.11.22追記。最終追記'15.1.16)
本作の設定などについて簡単にまとめました。
以下をお読みのうえ、作品をお楽しみください。

《作品全体について》
・本作は、「艦隊これくしょん~艦これ~」のキャラクターが遊戯王でデュエルする架空デュエル小説です。
・艦娘の性格などに関しては基本的に原作を尊重して準拠していきますが、解釈の個人差などによる違和感があるかもしれません。ご了承ください。

《デュエルの進行について》
・ルールは「マスタールール3」準拠です。ただし、試合形式のみ「ライフポイント4000のシングル戦」としておこないます。その他、タッグデュエルなど特殊な対戦方式が発生した場合は適宜ルールを設定します。
・禁止制限リストは、各話の初投稿日時の内容を参照します。
・本作品では、デュエル中の相手プレイヤーに対するテキスト確認はできないものとします。アニメのように、相手が効果を説明するか、既に自分が知っている場合のみ効果を把握できます。

《本文中の表記について》
・本文中でのカード名の表記などは以下のようにおこないます。
 カード名:《》でくくる。
 (例:《ゴヨウ・ガーディアン》)
 チェーン順序の表記:【】でくくる。
 (例:【Chain1:サンダー・ボルト Chain2:避雷針】)
・チェーン順序の表記については、基本的にチェーンが3つ以上積まれた時におこないます。ただし、チェーンが2つしか積まれてなくても、作者が分かりにくいと判断した時は順序の表記をおこないます。

《舞台設定》
・鎮守府
 ご存じ、艦娘を部下に持つ提督たちの司令部が集まる施設です。各司令室が集合住宅のように集まる庁舎と共用施設の工廠、ドックなどで構成されています。
 艦これでは横須賀、呉、佐世保、舞鶴の四サーバーのみこの名を冠していますが、本作ではその他の基地も通称として「鎮守府」と呼びます。
・トラック泊地
 本作の舞台です。場所は現実のトラック諸島と同じ(ミクロネシア連邦・チューク諸島)です。本作では、その他の基地(サーバー)も史実と同じ場所にある設定です。
 ただし、各基地には工廠やドックが存在するので史実の同名基地よりも機能は格段に強化されています。
・提督の階級
 作中の階級制度は、史実の日本海軍を参考にしています。階級の呼称や階級章は日本海軍と同様です。また、階級によって、指揮できる艦隊の規模も変化します。
 実際の海軍では大佐でも四十代、中将や大将ともなると五十代のオジサンになってますが、作中の世界では若くても普通に将官クラスになれます。二十代の少将や中将がゴロゴロいる設定です。
 本作の春瀬も、そうした若い提督の一人です。
 なお、階級によって指揮できる艦隊の基準は以下のような感じです。
  中佐以下:駆逐艦一隻のみ
  大佐:駆逐隊(駆逐艦四隻を上限とした部隊)
  少将:戦隊(同種艦を集めた戦隊・航空戦隊、軽巡・駆逐艦の水雷戦隊など)
  中将以上:少将に同じ。ただし、中将以上は少将以下の提督の部隊を指揮下に入れた「艦隊」を編成可能。また、鎮守府長官などの役職に就くこともある
  元帥:大将の中から選ばれた者のみに与えられる称号。階級上は大将と同列
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。