「天龍ちゃん、準備はいい?」
「ったく、何でこんなことに……」
鎮守府の屋外で、デュエルディスクを構えた龍田と天龍が向かい合う。前回の反省を踏まえて、今回は運動場の一角をデュエル場としている。ここなら、冤罪の心配はない。
「それじゃあ、いっくよー。デュエル!」
龍田 LP4000
天龍 LP4000
龍田のかけ声とともにデュエルが始まる。デュエルディスクの選択の結果、先攻は龍田が取った。
「私は、モンスターをセット。カードを1枚伏せて、ターンエンドだよ」
「はぁ……やるしかないか。オレのターン!」
静かに過ぎた龍田のターンに対し、天龍は初めから動きを見せた。
「魔法カード『オノマト
《オノマト
通常魔法
手札を1枚墓地へ送って発動できる。
デッキから以下のモンスターの内1体ずつ、合計2体までを手札に加える。
「オノマト連携」は1ターンに1枚しか発動できない。
●「ズババ」と名のついたモンスター
●「ガガガ」と名のついたモンスター
●「ゴゴゴ」と名のついたモンスター
●「ドドド」と名のついたモンスター
《ゴゴゴジャイアント》
効果モンスター
星4/地属性/岩石族/攻2000/守 0
このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の「ゴゴゴ」と名のついたモンスター1体を選択して表側守備表示で特殊召喚できる。
その後、このカードは守備表示になる。
また、このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。
「レベル4のモンスターが2体……天龍ちゃん、さっそく呼ぶ気ね」
「いくぜ! オレは、レベル4のゴゴゴジャイアント2体で、オーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」
上空に現れた光の渦へ、天龍のモンスターが吸い込まれる。ほとばしる光とともに現れたのは、
「現れろ、No.39! 『希望皇ホープ』!」
剣の鞘の部分が左右に開き、翼のように広がる。雄叫びとともに、白と金の鎧をまとった剣士が天龍の場に屹立した。
《No.39 希望皇ホープ》
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/戦士族/攻2500/守2000
レベル4モンスター×2
自分または相手のモンスターの攻撃宣言時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
そのモンスターの攻撃を無効にする。
このカードがエクシーズ素材の無い状態で攻撃対象に選択された時、このカードを破壊する。
「バトルだ。ホープで裏守備モンスターを攻撃、ホープ剣・スラッシュ!」
「戦闘破壊された『UFOタートル』の効果発動。デッキから『ビッグバンガール』を攻撃表示で特殊召喚するよ~」
《UFOタートル》
効果モンスター
星4/炎属性/機械族/攻1400/守1200
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下の炎属性モンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚できる。
「モンスターを残しちまったか。カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」
「天龍ちゃんのターンが終わる前に、トラップ発動。『神の恵み』」
「なにっ、トラップだと!?」
ターン終了間際に発動されたトラップに、天龍は警戒の色をあらわにする。しかし、彼女の懸念とは裏腹に、何事もなくターンは龍田へ移った。
「私のターン、ドロー。私がカードをドローした時、神の恵みの効果でライフを500回復するよ」
「なんだ、ただの回復カードか……。ったく、焦らせやがって」
ほっと息をつく天龍。しかし、龍田の「そして、ビックバンガールの効果発動!」という声に再び表情を固くする。
「私のライフが回復するたびに、相手に500のダメージを与える。天龍ちゃんに500ダメージ!」
「くっ、これが狙いか!」
《神の恵み》
永続罠
自分がカードをドローする度に、自分は500ライフポイント回復する。
《ビッグバンガール》
効果モンスター
星4/炎属性/炎族/攻1300/守1500
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分のライフポイントが回復する度に、相手ライフに500ポイントダメージを与える。
龍田 LP4000→4500
天龍 LP4000→3500
「私は『平和の使者』を発動。カードを1枚伏せて、ビックバンガールを守備表示に。そして『カードカー・D』を召喚。このカードをリリースして2枚ドローするよ~」
《平和の使者》
永続魔法
フィールド上に表側表示で存在する攻撃力1500以上のモンスターは攻撃宣言をする事ができない。
このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に100ライフポイントを払う。
または、100ライフポイント払わずにこのカードを破壊する。
《カードカー・D》
効果モンスター
星2/地属性/機械族/攻 800/守 400
このカードは特殊召喚できない。
このカードが召喚に成功した自分のメインフェイズ1にこのカードをリリースして発動できる。
デッキからカードを2枚ドローし、このターンのエンドフェイズになる。
この効果を発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない
「カードをドロー、ってことは」
「ご名答。神の恵みの効果で私は500回復。反対に、天龍ちゃんには500ダメージを受けてもらいます」
龍田 LP4500→5000
天龍 LP3500→3000
カードカー・Dの効果を使用したことにより、龍田のターンは強制的にエンドフェイズまで移行し、終了する。自分のターンになった天龍は、手札とフィールドのカードを見比べて考えを巡らせる。
「あのデッキ相手に長期戦はまずいな。ここは速攻で決める! オレは『サイクロン』を発動、平和の使者を破壊する!」
《サイクロン》
速攻魔法
(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
暴風が龍田の魔法カードを呑み込み、塵に変える。これにで、攻撃を封じられていた天龍のモンスターは再び攻撃可能となった。
「一気に攻めさせてもらうぜ。オレは手札から、『
「ランクアップマジック?」
「このカードは、自分のエクシーズモンスター1体を選択し、ランクアップさせるカードだ。オレはホープを選択し、1体のモンスターでオーバーレイを再構築! カオエクシーズチェンジ!」
ホープの姿が剣のモニュメントへと戻り、光の渦の中へと還る。混沌の力を得たホープは、赤き鎧をまとう戦士としてその新たな姿を現した。
「来い、CNo.39! 『希望皇ホープレイV』!!」
《
通常魔法
自分フィールド上のエクシーズモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターと同じ種族でランクが1つ高い「CNo.」または「CX」と名のついたモンスター1体を、選択したモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
その後、相手フィールド上にエクシーズ素材が存在する場合、相手フィールド上のエクシーズ素材1つを、この効果で特殊召喚したエクシーズモンスターの下に重ねてエクシーズ素材とする。
《CNo.39 希望皇ホープレイV》
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/光属性/戦士族/攻2600/守2000
レベル5モンスター×3
このカードが相手によって破壊された時、自分の墓地のエクシーズモンスター1体を選択してエクストラデッキに戻す事ができる。
また、このカードが「希望皇ホープ」と名のついたモンスターをエクシーズ素材としている場合、以下の効果を得る。
●1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターを破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
「ホープレイVの効果発動! オーバーレイ・ユニットを一つ取り除くことで、相手モンスター1体を破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを与える! そしてダイレクトアタ――」
「ちょっと待った~。手札の『エフェクト・ヴェーラー』の効果を発動。このカードを捨てて、ターン終了時までホープレイVの効果を無効にするわ」
「なにっ?」
《エフェクト・ヴェーラー》
チューナー・効果モンスター
星1/光属性/魔法使い族/攻 0/守 0
(1):相手メインフェイズにこのカードを手札から墓地へ送り、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。
その相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。
「これで、私のモンスターは破壊されない。残念でした~」
「チッ、それならこうだ! 『ガガガマジシャン』を通常召喚。そして、手札の『カゲトカゲ』の効果を発動。レベル4モンスターを召喚した時、このカードを特殊召喚する。オレは、2体のレベル4モンスターでオーバーレイネットワークを構築!」
「ランク4……今度は何を呼ぶのかしら?」
「エクシーズ召喚! 来い、『鳥銃士カステル』!」
《ガガガマジシャン》
効果モンスター
星4/闇属性/魔法使い族/攻1500/守1000
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に1から8までの任意のレベルを宣言して発動できる。
エンドフェイズ時まで、このカードのレベルは宣言したレベルになる。
「ガガガマジシャン」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。
このカードはシンクロ素材にできない。
《カゲトカゲ》
効果モンスター
星4/闇属性/爬虫類族/攻1100/守1500
このカードは通常召喚できない。
自分がレベル4モンスターの召喚に成功した時、このカードを手札から特殊召喚できる。
このカードはシンクロ素材にできない。
《鳥銃士カステル》
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/風属性/鳥獣族/攻2000/守1500
レベル4モンスター×2
「鳥銃士カステル」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを裏側守備表示にする。
(2):このカードのX素材を2つ取り除き、このカード以外のフィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを持ち主のデッキに戻す。
「カステルの効果発動! オーバーレイ・ユニットを2つ使い、ビックバンガールをデッキに戻す!」
カステルの周囲を漂う光の玉が彼の小銃に装填される。獲物を鋭く睨んだ鳥人は、的確な狙撃で標的を撃ち抜き、戦場から退場させた。
「これで、オレのモンスターの攻撃を防ぐ壁はなくなった。いけっ、カステルとホープレイVで龍田にダイレクトアタック! 2体の攻撃力は合計4600。この攻撃でオレの勝ちだ!」
カステルが銃を、ホープレイVが剣をそれぞれ構え、龍田に狙いを定める。先陣を切ったホープレイVが龍田に斬撃を見舞おうとした瞬間、彼女はデュエルディスクのスイッチを押した。
「トラップ発動、『光の護封壁』」
龍田の前面に光の壁がそそり立ち、迫りくる白刃から彼女を守る。不意の出来事に驚いた天龍は、目を見開いて突如出現した壁を見る。
「な、なんだこの壁は!?」
「天龍ちゃんには悪いけど、攻撃宣言の時にトラップを発動させてもらったわ。光の護封壁は、ライフを1000の倍数払い、その数値以下の攻撃力を持つモンスターの攻撃を封じるカード。私は4000のライフを払って、ホープレイVの攻撃を封じたのよ」
《光の護封壁》
永続罠
1000の倍数のライフポイントを払って発動する。
このカードがフィールド上に存在する限り、払った数値以下の攻撃力を持つ相手モンスターは攻撃をする事ができない。
龍田 LP5000→1000
「攻撃力4000以下は攻撃不可ってことは、カステルも攻撃できないってことか」
「そういうこと~」
「くっ……。オレはこれでターンエンドだ」
攻撃を封じられた天龍は悔しげにエンド宣言をする。対照的に、龍田は余裕の表情を浮かべてカードをドローする。
「神の恵みの効果で、私はライフを500回復よ」
龍田 LP1000→1500
「払ったライフを早速回復……。まあ、追加でダメージが入らないだけ、さっきよりマシか」
「そうね~。だから私は、2体目のビックバンガールを召喚するわ」
「げっ!」
再び龍田の場に現れたモンスターを見て、天龍は顔をしかめる。そんな天龍を、龍田は面白そうに眺めている。
「私はカードを1枚伏せて、ターンエンドよ」
「オレのターン! オレはホープレイVの――」
「待った~! 私は天龍ちゃんのドローフェイズに、『安全地帯』を発動! これで、ビックバンガールはカード効果の対象にならないわ」
《安全地帯》
永続罠
フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターは相手のカードの効果の対象にならず、戦闘及び相手のカードの効果では破壊されない。
また、そのモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できない。
このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターがフィールド上から離れた時、このカードを破壊する。
「ってことは、ホープレイVの効果も……」
「もちろん、使えません」
「嘘だろ……」
龍田の言葉に、天龍はがっくりと膝をつく。攻撃も封じられているため、天龍にできることは何もない。ただ、ターンを終了するしかなかった。
「私のターン。この瞬間、神の恵みの効果で私はライフを回復。そしてビックバンガールの効果で、天龍ちゃんにはダメージよ」
龍田 LP1500→2000
天龍 LP3000→2500
「そして私は、『ご隠居の猛毒薬』を発動してライフを1200回復するわ。当然、同時にビックバンガールの効果も発動」
《ご隠居の猛毒薬》
速攻魔法
(1):以下の効果から1つを選択して発動できる。
●自分は1200LP回復する。
●相手に800ダメージを与える。
龍田 LP:2000→3200
天龍 LP:2500→2000
龍田と天龍のライフポイントが、遂に逆転する。それを見て、観戦していた電たちの間にどよめきが広がる。
「モンスターを守備表示にして、ターンエンド。天龍ちゃん、早く何とかしないとライフがゼロになっちゃうわよ~」
「くっ……」
苦々しげな表情で、天龍は龍田の場にある二枚のトラップカードを睨む。
光の護封壁によって、天龍の攻撃は実質的に封じられている。仮に何とか4000を超える攻撃力を持つモンスターを呼び出せたとしても、安全地帯で守られたビックバンガールを戦闘で破壊することはできない。罠カードを破壊する手段があればいいのだが、残念ながら今の天龍の手札にそのようなカードはなかった。
このままいたずらに時を過ごせば、じりじりとライフを削られて敗北に追い込まれるのは火を見るより明らかだ。このターンにでも、相手の布陣を崩し逆転しなければならない。
――片方だけじゃ足りない。状況を変えるには、二枚を一気に無力化するカードが必要だ。オレのデッキで、それができるカードは……
天龍はデッキのカードを一枚ずつ思い出す。その中に、彼女の要求に応えられるカードが幾つかあった。
「どれだっていい、とにかく逆転できるカードがくれば! オレのターン!」
願いを込めつつ、天龍はカードをドローする。期待を不安の入り混じった横顔でカードを確認した彼女は、「きたぜ!」と表情を晴らした。
「トラップ発動、『エクシーズ・リボーン』。オレの墓地からホープを特殊召喚する!」
《エクシーズ・リボーン》
通常罠
自分の墓地のエクシーズモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターを特殊召喚し、このカードを下に重ねてエクシーズ素材とする。
「いつの間にホープが墓地に……? そっか、ホープレイVの効果を使う時に墓地へ送ってたのね。でも、ホープを復活させても状況は変えられないよ?」
「確かに。だが、ホープは希望を背負った戦士、希望への
そう言って、天龍はドローしたカードを掲げる。
「これが、オレを逆転へと導く希望のカードだ! 『RUN―ヌメロン・フォース』!」
「二枚目のランクアップマジック……またホープレイVを呼ぶつもり?」
龍田の呟きを、天龍は「いいや!」と否定する。
「ホープの進化は一つじゃない。オレは、復活させたホープ1体でオーバーレイネットワークを再構築! カオス・エクシーズ・チェンジ!」
ホープの全身に新たな装甲が追加され、その姿を大きく変えていく。現れたのは、同じナンバーを持ちながらホープレイVとは対照的な、白を基調とした鎧の戦士だった。
「現れろ、CNo.39! 希望に輝く魂よ! 森羅万象を網羅し、未来を導く力となれ! 『希望皇ホープレイ・ヴィクトリー』!」
《RUM-ヌメロン・フォース》
通常魔法
自分フィールド上のエクシーズモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターと同じ種族でランクが1つ高い「CNo.」と名のついたモンスター1体を、選択した自分のモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
その後、この効果で特殊召喚したモンスター以外のフィールド上に表側表示で存在するカードの効果を全て無効にする。
《CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー》
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/光属性/戦士族/攻2800/守2500
レベル5モンスター×3
このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。
また、このカードが「希望皇ホープ」と名のついたモンスターをエクシーズ素材としている場合、以下の効果を得る。
●このカードが相手の表側表示モンスターに攻撃宣言した時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
ターン終了時まで、その相手モンスターの効果は無効化され、このカードの攻撃力はその相手モンスターの攻撃力分アップする。
「へー、そんなモンスターもいるんだぁ。けど、いくらモンスターを増やしても、それだけじゃ私のフィールドは崩せないよ」
「それはどうかな」
「え?」
「ヌメロン・フォースのもう一つの効果! このカードの効果でモンスターを特殊召喚した時、そのモンスター以外のフィールドに表側表示で存在するカードの効果をすべて無効にするっ!」
「うそ、そしたら――」
「そうだ! これでお前のトラップはすべて無効。オレの攻撃を邪魔するものはなくなった。いくぞ、まずはカステルでビックバンガールを攻撃!」
天龍の命令を受けて、有翼の狙撃手が敵を討つ。銃弾は、相手が張った炎の壁をたやすく破り、その胸を貫いた。
「勝負あったな、龍田」
壁モンスターを失った龍田を前に、天龍が勝利宣言する。
「とどめだ! ホープレイVとヴィクトリーでダイレクトアタック! ホープ剣・トリプルVの字斬りィッ!!」
「きゃあっ!!」
龍田 LP3200→0
「よっしゃ!」
「残念、負けちゃった~。天龍ちゃん強いわね~」
「ま、軽く世界水準超えだからな!」
胸を反らし、天龍は誇らしげに言う。その点は姉妹艦の龍田も同じであり、そもそもそれは竣工時の話なのだが、龍田はあえてそこを指摘することはしなかった。
「天龍さん、かっこいいのです!」
「うん。華麗な逆転勝ちだった」
勝利をおさめた天龍に、電たちが駆け寄ってくる。四人にわいわいと囃し立てられている天龍は、まんざらでもない表情だ。
「ここまで全戦全勝、残るは提督だけだ。おい、デュエルしろよ」
「いいだろう」
龍田からデュエルディスクを受け取り、春瀬はそれを左腕に装着する。デュエルの気配を察し、天龍にまとわりついていた電たちもその場を離れる。
「これで提督に勝ちゃ、このオレが鎮守府最強デュエリストってわけだ」
「そう簡単にいくと思うか?」
「もちろん、思っちゃいねぇさ。むしろ、そうでないと張り合いないぜ」
「その威勢がいつまで続くか、見物だな。さあ、かかって来い」
「言われなくても!」
デュエル、と二人が同時に開戦の宣言をする――まさに、その瞬間。
「ちょっと待ったぁ――――っ!!」
大きな叫び声が、開始寸前のデュエルを中断させる。それと同時に、春瀬と天龍の間に一つの影が着地した。
「なっ……お前、どこから!?」
突然の闖入者に、驚きの声を上げる天龍。水色の髪を靡かせて現れた、その人物は――
「最上型重巡三番艦、鈴谷。提督にデュエルを申し込むよ!」
ピンと立てた人差し指を春瀬に向け、鈴谷は勢いよく宣戦布告した。
雷「あれ? 鈴谷さんって、私たちと一緒に来てなかったの?」
響「うん。私たちが外に出る時は、彼女は執務室に残っていたよ」
暁「そんな描写あったかしら……?」
響「いいや。実を言うと、確実な描写はない。だから、今回の投稿に合わせて前話の終わりを修正したそうだよ」
暁「まったく、気をつけてほしいものね」
電「でも、司令官さんとは、天龍さんも戦いたがっているのです。どうするのでしょう?」
響「それは来週のお楽しみさ。あるいは、この題名を見ても分かるかもね。次回、『2on1』。デュエル・スタンバイ」