「司令官さんですか? 今は執務中で……えっ、私ですか!? その、私も秘書艦の仕事が……と、とにかく! 今はごめんなさいなのです!」
バタン、と執務室の扉を閉め、疲れた様子の電が溜息をつく。
「やっと執務室に戻ってこれたのです……」
「お疲れ、電。よく無事に工廠との往復できたわね」
「部屋を出た瞬間から声をかけられて、それから十秒おきに質問攻めで……どっと疲れたのです」
「それは大変だったわね。ほら、私の膝を貸してあげるからこっち来なさい」
雷の手招きに従い、電は雷の膝に頭を乗せる。
「外はすごい状況だったでしょ。鈴谷も昨日外に出た時はビックリしたよ」
午前中の演習の報告書を書いている鈴谷が会話に参加する。
「鈴谷たちが提督とデュエルしたあとから、鎮守府中その話でもちきりだもん。いつの間にか、デュエルしてたのが鈴谷たちだってことも知られてるし。まぁ、あのデュエルはかなり派手だったからねぇ」
「鎮守府庁舎からも見える運動場でやってたし、目立っちゃっうのはしょうがないわ。まさか、ここまで噂になるとは思わなかったけど」
「どーすんのさ、提督? みんな興味津々って感じだったからしばらくは落ち着かないと思うよ? 鈴谷たち、他の艦娘から毎日質問攻めに遭うのはイヤなんだけど」
溜息をついて、鈴谷が言う。
春瀬と天龍・鈴谷の変則タッグデュエルから数日。トラック泊地では、そのデュエルの光景が人々の耳目を驚かせていた。
なにしろ、何もない運動場に突如として剣を構えた戦士や巨大なドラゴンが現れて大暴れし始めたのである。この間のドック裏と異なり、鎮守府庁舎からも目に入る運動場でおこなわれたデュエルは、鎮守府内のいたる場所から目撃され、瞬時に流行の話題となった。
そして、詳細を知ろうとする人々の注目は、必然的にデュエルをしていた春瀬たちへと向かうことになる。
トラック泊地は南洋最大の根拠地だが、多方面の深海棲艦に対応しなければならない海軍の都合上、常に多くの兵力が置かれているわけではない。現に今の泊地は巡洋艦以下の軽快艦艇が戦力の中核であり、航空兵力は軽空母で編成された航空戦隊が一つ存在するのみ。戦艦と正規空母は配備されていない。
そのような状況であるから、デュエルをしていたのが誰であるかは早々に判明し、春瀬たちは十字砲火のような質問攻めを受ける羽目になった。特に、演習や任務で外に出ることの多い艦娘たちは、多くを執務室で過ごす春瀬よりも遥かに質問攻めに遭う機会が多かった。
「おまけに提督の予想通り、明石さんがデュエルモンスターズのカードを仕入れて、デュエルディスクと合わせて売り出す気みたいだし。酒保で発売予告をしてるから、余計に鈴谷たちのデュエルが話題になってるんだよね。さすがに、これ以上この状況が続くのは勘弁……」
「あまり騒ぎが大きくなると、鎮守府の長官さんからも怒られてしまうのです。早くなんとかしないと……」
鈴谷と電の言葉に、春瀬は腕組みをする。と、そこへ執務室の扉を叩く音が聞こえた。
「私が出るのです」
「いいよ、電。鈴谷が出るから」
体を起こそうとした電を制して鈴谷が扉に駆け寄る。彼女が戸を開けると――
「どもー! あお」
「うちはいりません」
相手の顔を見た瞬間、鈴谷が扉を閉める。相手はその寸前で戸の隙間に爪先を入れ、どうにか閉め出されるのを回避した。
「ちょっと待ってください! 新聞の勧誘じゃありません!」
「なに言ってんの。あんたが来たら、新聞の押し売りかハタ迷惑な取材に決まってるでしょ、青葉!」
両手でドアノブを握りながら、鈴谷は相手の名を呼ぶ。セーラー服にハーフパンツという出で立ちの少女――青葉は、「心外です」と開扉を試みつつ反論する。
「私は押し売りも迷惑な取材もしてません。常に清く正しい新聞記者として――」
「反論はいいから。で、勧誘じゃないなら用件はなに?」
「えっとですね、先日の運動場での出来事について取材を」
「ノーコメントで。はい、取材終了」
「痛い痛い痛い! 無理に扉を閉めないでください! ちゃんと取材させてくださいよ」
「青葉が絡むと余計に面倒なことになるでしょうが! これ以上変なことになるのはイヤなんだからね」
「今回は真面目にやるから大丈夫です! それに、鈴谷さんたちにとっても悪い話じゃないと思いますよ?」
「どういうこと?」
ドアノブを引く力を少し弱めて鈴谷が尋ねる。若干涙目の青葉は、鈴谷の様子を窺いながら説得にかかる。
「鈴谷さんもご存知の通り、このトラック泊地は先日の出来事に関する噂でもちきりです。鈴谷さんたちが遊んでいた、あのデュエルモンスターズというカードゲームの話題です」
とりあえず、と青葉は現在の状況を整理する。
「現在、鎮守府の艦娘たちに知られていることは、あれがデュエルモンスターズというカードゲームであること。そして、彼女たちが見た光景は、そのカードゲームで使う装置の実験風景であったこと。さらに、明石さんが酒保でその販売を予定していること。以上の三点です」
「うん」
「これでは、あまりにも情報が少なすぎます。個人的に鈴谷さんたちから詳細を聞き出そうとしている艦娘も多くいますが、彼女たちが集めた情報をまとめても、まだまだ断片的なものでしかありません。なにしろ、我々の間ではデュエルモンスターズの基本ルールすらも明らかではないのですから」
鈴谷が話を聞いていることを確認しながら、青葉は言葉を続ける。
「そのため、現在は噂が噂を呼ぶ状態となっています。衝撃的な光景の記憶だけが独り歩きし、人々の理解が追いついていません。そのせいで、鈴谷さんたちも毎日質問攻めに遭って苦労されてますよね?」
「それはそうだけど……でも、説明したくても、どうやって説明すればいいのか……」
「そこで、私の出番ですよ!」
顔を近づけて青葉が言う。
「私に取材を許可して頂ければ、その内容を特集記事にして鎮守府全体に掲示します。事の詳細を伝えることでみなさんの疑問を解消すれば、騒ぎも鎮静化できるでしょう。それによって、鈴谷さんたちが質問攻めに遭うこともなくなります。どうです、いい提案だとは思いませんか?」
「確かに、魅力的ではあるけど」
「まずは、春瀬少将にお話だけでもさせてください。決して無理強いはしませんから」
懇願するような口調の青葉を前に、鈴谷は少し考え……それから溜息をついて頷いた。
「……しょうがないか。分かったよ、青葉」
「ありがとうございます」
鈴谷の説得に成功した青葉は、春瀬にも同様の話をして取材許可を求めた。
「それに加えて、取材を許可して頂ければ、紙面で春瀬少将の覗き魔疑惑を解消するお手伝いもいたします。デュエルモンスターズの騒ぎで下火になったとはいえ、まだ噂は残っていますからね。春瀬少将もお困りでしょう」
「ここでその話を出すか……」
額に手を当て、春瀬は呻く。が、提督らしく即座に判断を下す。
「そうだな……こちらとしても、その二つをなんとかしたいと思っていたところだ。ここは、青葉に頼むとしよう」
「本当ですか?」
表情を明るくする青葉に、春瀬は首肯する。
「正直、俺たちだけじゃ収束させられそうにないからな。いい加減なんとかしないと、長官にも叱られそうだ」
「では、取材許可ということで……」
「ああ。よろしく頼む」
「ありがとうございます!」
頭を下げた青葉は、「ついでに一つお願いがあるのですが……」と春瀬を見る。
「私とデュエルしてくれませんか?」
「俺とデュエル?」
青葉の申し出を聞いた春瀬は、意外そうな声で尋ねる。
「青葉は、デュエルできるのか?」
「デュエリストのところへ取材に行くのに、デュエルのことを知らなければ話になりませんからね。付け焼刃ながら覚えてきました」
「でも、どうしてデュエルを?」
鈴谷の問いに、青葉は「それはですね」と答える。
「ただデータを並べて説明するだけなく、デュエルの様子が具体的に分かる記事も入れた方が、読者の理解を助けると思うからです。そのためには、私自身がデュエルを体験して、その体験記を書くのが一番です」
「なるほどね。案外ちゃんと考えてるじゃん」
「私はいつでも、世の中を真面目に多角的に捉えるよう努力していますよ。では、春瀬少将。一試合お願いできますか?」
「もちろんだ。体験記ってことは、デュエルディスクも使った方がいいか?」
「はい。ですが、その点はご心配なく。私は自前のデュエルディスクを持ってますから」
「持ってる、って……デュエルディスクは明石さんが工廠で生産してるだけで、市販はしてないんだぞ。どうやって手に入れたんだ?」
「その明石さんからです。デュエルディスクの宣伝記事を書くという条件で、一台融通して頂きました」
「まったく、商売上手な奴だ」
「恐縮です。それでは、私は自分のディスクを取ってくるので、春瀬少将たちは先に運動場に行っていてください」
「またあそこでやるのか」
「この鎮守府にはまだ他に適当な場所がありませんからね。ああ、営倉の中になら広い場所があるって聞きましたけど」
「……あそこだけは勘弁してくれ。二度と行きたくない」
「では、運動場で決まりですね」
青葉が執務室を出ていったあと、春瀬たちも運動場へ向かう。
そして、目的地に着いた彼らが待つこと数分。運動場に、デュエルディスクを装着した青葉が現れた。
「お待たせしました! さっそく始めましょうか」
「ああ。いくぞ」
「「デュエル!!」」
青葉 LP4000
春瀬 LP4000
「先攻、後攻は通常デュエルディスクが決める……が、今回はお前の好きに選んでいいぞ」
「そうですか? それでは、お言葉に甘えて先攻を頂きましょう」
「ほう……」
青葉の選択を聞いた春瀬は、ほんの少し目を細める。
かつて、先攻プレイヤーも一ターン目のドローを許されていた頃のデュエルモンスターズは、先攻が圧倒的に有利なゲームだった。先攻と後攻の初期手札の枚数が同じなら、相手に妨害される可能性が少ない先攻の方が有利であるのは当然のことだ。
しかし、ルール改訂によって先攻プレイヤーの一ターン目のドローが禁止されてからは、その状況に若干の変化が生じている。先攻の方が動きやすい点は相変わらずだが、手札が少なくなることを嫌って後攻を選ぶ者も現れるようになったのだ。
それを踏まえて青葉の選択を考えると、彼女のデッキは先攻を取った方が有利な構築であると推測することができる。もっとも、ただ妨害の心配なくプレイしたいだけということもあるので、確言はできないが。
「私は、『フォッシル・ダイナ パキケファロ』を召喚。カードを二枚伏せて、ターンエンドです」
《フォッシル・ダイナ パキケファロ》
効果モンスター
星4/地属性/岩石族/攻1200/守1300
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚する事ができない。
このカードがリバースした時、フィールド上に存在する、特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。
「特殊召喚封じのモンスターか……面倒な奴を出してきたな」
フィールドに現れた化石の恐竜を見て、春瀬は眉を寄せる。
フォッシル・ダイナ パキケファロは、表側表示で存在する限り互いの特殊召喚を不可能にするカード。Sinモンスターの特殊召喚を主戦法とする春瀬のデッキにとっては、相性の悪いカードだ。
だが、春瀬のデッキも特殊召喚だけに頼っているわけではない。
「俺のターン。俺は、『神獣王バルバロス』をリリースなしで召喚する。この時、バルバロスの攻撃力は1900となる」
《神獣王バルバロス》
効果モンスター
星8/地属性/獣戦士族/攻3000/守1200
このカードはリリースなしで通常召喚できる。
この方法で通常召喚したこのカードの元々の攻撃力は1900になる。
また、このカードはモンスター3体をリリースして召喚できる。
この方法で召喚に成功した時、相手フィールド上のカードを全て破壊する。
「まずは先制。バルバロスでパキケファロに攻撃だ!」
青葉 LP4000→3300
「特殊召喚せずとも戦えるモンスターが入ってましたか……」
「これで厄介なカードはなくなった。俺はメインフェイズ2に移行。手札からフィールド魔法『Sin World』を発動する。そして――」
「待ってください! フィールド魔法の発動にチェーンして、『
「虚無空間だと!」
《
永続罠
(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない。
(2):デッキまたはフィールドから自分の墓地へカードが送られた場合に発動する。
このカードを破壊する。
「これで、お互いのプレイヤーは再び特殊召喚をおこなうことはできなくなりました。春瀬少将のSinモンスターも、これで召喚できませんよ」
青葉の言葉に、春瀬は目を丸くする。
「なぜ、俺のデッキを知ってる……?」
「もちろん、調べたからですよ」
笑みを浮かべて、青葉が答える。
「新聞記者にとって、取材対象の事前調査は必須です。相手のことを知っているのと知らないのでは、聞き出せる内容に雲泥の差が生じますからね。デュエルも同じです。相手の情報を仕入れて、それに適したデッキで挑む。情報戦ですよ」
「しかし、どこからその情報を」
「目撃情報です。先日の出来事の取材をしている最中に、あなた方が使ったカードの名前も幾つか聞くことができました。そこで、春瀬少将が『Sin』と名のつくカードを使用していたという話を聞きました。あとは、デュエルモンスターズのカードを調べて『Sin』の特徴と弱点を研究してきたというわけです」
「たったそれだけの情報から、そこまで……」
「記者という職業には、僅かな情報から大きな事件を探り当てる能力も必要です。この程度は朝飯前ですよ」
そう言いつつも、青葉はどこか誇らしげな表情を見せる。
Sin Worldを発動しても、特殊召喚できなければ意味がない。春瀬はおとなしく青葉にターンを明け渡す。
「ふふふ。どうやら、図に当たったようですね」
春瀬の特殊召喚を阻止した青葉は、満足げな表情を作る。
「通常召喚できる最上級モンスターがいるのは誤算でしたが、まだ誤差の範囲です。バルバロスさえ倒せば、その時こそ、あなたの動きを完全に封じられます」
「……その口振りだと、既に倒す方法は手元にあるみたいだな」
「はい。まずはフィールドに伏せていた『マクロコスモス』を発動します。そして『霊滅術師 カイクウ』を通常召喚し、カイクウを対象に『ヒュグロの魔導書』を発動します!」
《マクロコスモス》
永続罠
このカードの発動時に、手札・デッキから「原始太陽ヘリオス」1体を特殊召喚できる。
また、このカードがフィールド上に存在する限り、墓地へ送られるカードは墓地へは行かずゲームから除外される。
《霊滅術師 カイクウ》
効果モンスター
星4/闇属性/魔法使い族/攻1800/守 700
このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、相手の墓地のモンスターを2体まで選択してゲームから除外できる。
また、このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手はお互いの墓地のカードをゲームから除外できない。
《ヒュグロの魔導書》
通常魔法
自分フィールド上の魔法使い族モンスター1体を選択して発動できる。
このターンのエンドフェイズ時まで、選択したモンスターの攻撃力は1000ポイントアップし、戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、デッキから「魔導書」と名のついた魔法カード1枚を手札に加える事ができる。
「ヒュグロの魔導書」は1ターンに1枚しか発動できない。
「本来ならば、発動後の魔法カードは墓地へ送られ、虚無空間を自壊させてしまいます。ですが……」
「マクロコスモスの効果によってヒュグロの魔導書は除外される、か」
「そういうことです。いきますよ、攻撃力を1000アップさせたカイクウでバルバロスに攻撃です!」
春瀬 LP4000→3100
「強化したモンスターが相手モンスターを破壊したことで、ヒュグロの魔導書のもう一つの効果が発動します。デッキから『グリモの魔導書』を手札に加えます。カードを一枚伏せて、ターンエンドです」
「俺のターン。俺は魔法カード『トレード・イン』を発動し、手札の『
《トレード・イン》
通常魔法
手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動できる。
デッキからカードを2枚ドローする。
《サイクロン》
速攻魔法
(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
カードから放たれた竜巻が青葉の罠カードへと一直線に伸びていく。しかし、
「させませんよ。永続罠『宮廷のしきたり』を発動です!」
《宮廷のしきたり》
永続罠
このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのプレイヤーは「宮廷のしきたり」以外のフィールド上に表側表示で存在する永続罠カードを破壊できない。
「宮廷のしきたり」は自分フィールド上に1枚しか表側表示で存在できない。
「宮廷のしきたりがある限り、このカード以外の永続罠カードを破壊することはできません。残念でした」
「くっ……。モンスターをセット、カードを一枚伏せる。ターンエンドだ」
「私のターン。カイクウで裏守備モンスターに攻撃です」
セットされていたモンスターはゾンビキャリア。マクロコスモスが発動中のため、戦闘破壊されたゾンビキャリアは除外ゾーンへと直行する。
「私はこれでターンを終了します。春瀬少将、あなたのデッキに通常召喚可能なモンスターは多くないはず。いつまで私の攻撃を防げますかね?」
青葉の言う通り、春瀬のデッキは一般のデッキに比べて通常召喚可能なモンスターが少ない。
そうしたカードが皆無ではないが、単体で戦闘可能なモンスターといえばバルバロスくらいであるのが実情だ。そのバルバロスは複数枚を投入しているため、待っていればいずれ二枚目を引き当てることができる。しかし、そんな悠長なことを言ってられるはずはなかった。
「俺のターン」
ドローしたカードを確認した春瀬は、青葉を見て口を開いた。
「青葉……今、いつまでお前の攻撃を防げるかと言ったな。どうやらそれは、前のターンまでだったようだ」
「ということは、手札に通常召喚できるモンスターがいなくなったんですか?」
「そうだな。通常召喚が可能なモンスターは、いない」
「そうですか……ふふふ、ではこの勝負は私が貰ったも同然ですね」
「いいや」
「えっ、どうしてです?」
即座に否定した春瀬に、青葉は問いを発する。
「次のターン、お前の攻撃を防がないのは守る手がないからじゃない。このターンで勝負を終わらせるからだ」
「そんなバカな」と、青葉は春瀬のフィールド見る。
「あなたの場には、一体のモンスターもいなんですよ? 特殊召喚ができず、通常召喚可能なモンスターもいない状況で、ここからどうやって勝つっていうんですか」
「決まってるさ。いつも通り、最上級モンスターを特殊召喚しての力押しだ」
「だから、あなたの特殊召喚は……」
「封じられている、か。しかし、それはどうかな。俺はセットしていたカードを発動、通常罠『トラプ・スタン』!」
《トラップ・スタン》
通常罠
このターン、このカード以外のフィールド上の罠カードの効果を無効にする。
「このカードは、1ターン限定でフィールド上のすべての罠カードを無効化する。これで、お前の三枚の永続罠はすべて無効だ」
「しまった! 破壊じゃないから、これは宮廷のしきたりでも防げない」
「その通り。俺は手札を1枚捨てて『|D・D・R《ディファレント・ディメンション・リバイバル》』を発動。除外されている青眼の白龍を特殊召喚し、このカードを装備する。さらにエクストラデッキの『スターダスト・ドラゴン』を除外して、手札から『Sin スターダスト・ドラゴン」を特殊召喚。そして、2体のレベル8モンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! 『No.107
《|D・D・R《ディファレント・ディメンション・リバイバル》》
装備魔法
手札を1枚捨て、ゲームから除外されている自分のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターを表側攻撃表示で特殊召喚し、このカードを装備する。
このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
《
通常モンスター
星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
高い攻撃力を誇る伝説のドラゴン。
どんな相手でも粉砕する、その破壊力は計り知れない。
《Sin スターダスト・ドラゴン》
効果モンスター
星8/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000
このカードは通常召喚できない。
自分のエクストラデッキから「スターダスト・ドラゴン」1体をゲームから除外した場合のみ特殊召喚できる。
「Sin」と名のついたモンスターはフィールド上に1体しか表側表示で存在できない。
このカードが表側表示で存在する限り、自分の他のモンスターは攻撃宣言できない。
フィールド魔法カードが表側表示で存在しない場合このカードを破壊する。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、表側表示で存在するフィールド魔法カードは効果では破壊されない。
《No.107
エクシーズ・効果モンスター
ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
レベル8モンスター×2
自分のバトルフェイズ開始時に1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
このカード以外のフィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの効果は無効化され、その攻撃力・守備力は元々の数値になる。
この効果を適用したターンのバトルフェイズ中に相手のカードの効果が発動する度に、このカードの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで1000ポイントアップし、このターン、このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。
まだだ、と春瀬はさらに続ける。
「俺は、ランク8のタキオン・ドラゴン1体で、オーバーレイネットワークを再構築。アーマーエクシーズ・チェンジ! 『ギャラクシーアイズ
《ギャラクシーアイズ
エクシーズ・効果モンスター
ランク8/光属性/ドラゴン族/攻4000/守3500
レベル8モンスター×3
このカードは「ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン」以外の自分フィールドの「ギャラクシーアイズ」Xモンスターの上にこのカードを重ねてX召喚する事ができる。
(1):1ターンに1度、このカードの装備カードを2枚まで対象として発動できる。
そのカードをこのカードの下に重ねてX素材とする。
(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、相手フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
「FA・フォトン・ドラゴンの効果発動! オーバーレイ・ユニットを一つ使って、青葉のカイクウを破壊する!」
「あっ!」
カイクウが破壊されたことで、青葉を守るモンスターはいなくなる。三枚の罠カードも、効果を封じられた今は木偶に等しい。
「バトルだ。FA・フォトン・ドラゴンでダイレクトアタック! 壊滅のフォトン・ストリーム!」
「あああっ!」
青葉 LP3300→0
「うーん、負けてしまいましたか……。格好よく自分の勝利で体験記を飾りたかったのですが、現実はそううまくいきませんね。まあ、それはさておき。春瀬少将、お手合わせありがとうございました」
「どういたしまして。記事の件、よろしくな」
「お任せください。気合い入れて作りますから、期待して待っていてください。三日以内に、春瀬少将たちを質問と誤解の渦から救ってさしあげます」
「そいつは頼もしい」
「では、今日はこれで。あ、さっき執務室にいた時に私が普段書いている新聞も置いてきたので、よければ読んでみてください」
そう言って、青葉は鎮守府庁舎へと戻る。彼女の後ろ姿を横目に見ながら、春瀬たちは質問攻めを避けるため回り道をして執務室に帰っていった。
雷「やっぱりというべきか、先週の予告で話してた『誰か』は青葉さんだったわね」
暁「取材といったら、あの人以外は考えられないものね」
電「でも、デッキの中身は少し以外だったのです。カメラ型のモンスターとか、もう少し青葉さんらしいカードを使うかと思ったのです」
響「作者も最初はそのつもりだったそうだよ。だけど、肝心のカメラ型モンスターが残念な性能だったから断念したらしい」
雷「まあ、あのカードはね……。決して弱いわけじゃなんだけど」
暁「ていうか、私たちがそんなこと話しちゃっていいの?」
響「あとがきだからね。さて、今回は手早く予告を済ませて終わらせようか」
雷「私がやるわ。来週はまた新しい艦娘の登場よ。次回『広がるデュエルの輪』。デュエル・スタンバイ!」