鎮守府決斗録   作:石田零

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16 広がるデュエルの輪

『夏島新報 号外  (執筆・編集:青葉)

 

革新的遊戯の全貌! ――その名はデュエルモンスターズ――

 

  皆さんは、先日よりこのトラック泊地を騒がせている噂をご存じだろうか。

  現在、我が鎮守府では一つの噂が広がっている。運動場の一角に突如として金色の龍が現れ、大暴れをして消え去ったという噂である。にわかには信じられない話だが、多くの目撃者の証言によってその真実性が確認されている。かくいう筆者もその一人である。

  数々の目撃情報から、件の龍は、当鎮守府に所属する春瀬少将がデュエルモンスターズというカードゲームで使用する機械の実験をしていた最中に現れたものであることが判明している。しかし、肝心のデュエルモンスターズに関する情報はこれまで一切不明であった。その詳細が今回、筆者の突撃取材により判明した。

  そもそも、デュエルモンスターズとは……』

 

 

 青葉が作った新聞の効果は覿面(てきめん)だった。

 予告通り、二日で新聞を書き上げた青葉は、それを鎮守府の各所に貼り出したうえに号外を配って回り、全員の目に入るようにした。

 紙面では、デュエルモンスターズのルール、青葉のデュエルディスク使用レビュー、そして酒保での販売告知が語られ、詳細を知りたがっていた艦娘たちの要望に応える内容となっている。その一方で、記事を読むうちにデュエルモンスターズに興味を抱くように仕向ける構成にもなっていた。

 この新聞によって疑問が解消されたからだろう、号外が発行されてから、電たちに怒涛の如く寄せられていた質問はピタリと途切れた。また、もう一つの懸案であった春瀬の覗き疑惑も、約束通りに青葉が彼の無実を広く知らせてくれたため、瞬く間に収束した。

 今では、鎮守府のそこかしこでデュエルに興じる艦娘の姿が見られるようになっている。初めの数日こそテーブル上でのデュエルが主体だったが、工廠で増産されたデュエルディスクが酒保で売られるようになると、すぐにデュエルディスクを使ったデュエルへと移行した。

 そうした光景を、春瀬の艦隊の面々は驚きと興奮を交えた目で見つめていた。

 

「鎮守府にこんなにたくさんのデュエリストが生まれるなんて……信じられないのです」

 

 感嘆を込めた口調で電が言う。

 

「本当、夢でも見てるみたいよね。つい先週まで、この鎮守府でデュエルしてるのは私たちだけだったのに」

 

 電の言葉に雷が同意する。床に座る彼女の足元には、彼女専用のデュエルディスクが置かれている。

 

「デュエルディスクだって、何日か前まではたった二台しかなったのよ? それなのに、今じゃ全員が持ってるんだもの。信じられないわ」

 

 春瀬の執務室にいる艦娘は、全員が自分専用のデュエルディスクを保有している。酒保での一般販売前に、明石が先行生産分を融通してくれたものだ。お得意様のよしみで、ディスクには各自の名前が刻まれている。

 

「けど、新しくデュエルを始めた艦娘たちは、まだデュエルに不慣れたなようだね。さっきも暁と酒保に行った帰りに誰かがデュエルしているのを見かけたけど、けっこう戸惑っている様子だった」

 

「そりゃそうよ。私たちだって、最初はカードに書いてあることの意味が全然分からなかったじゃない。私たちは司令官が教えてくれたから早く覚えられたけど、自力で覚えるのはかなり大変よ」

 

「少しだけとはいえ、経験のある電たちが教えてあげないといけないのです」

 

「それなら、暁の出番ね! 一人前のレディーとして、後輩たちをしっかり指導してあげるんだから」

 

「教えるなら暁より響の方がいいんじゃない? 私たちの中で一番ルールに詳しいのは響だし。初めてデュエルをした時に、もうスキルドレインの抜け穴を見つけてたもの」

 

「暁もちゃんとルールの勉強してるんだから! 今は響にだって負けないわ!」

 

「じゃあ、確かめてみましょう。私が問題を出すから、それぞれ紙に答えを書いて……」

 

 ルールブックを開いた雷が問題を考えていると、ドタバタという足音が近づき、執務室の扉が勢いよく開かれた。

 

「提督さん、提督さん! 助けてほしいっぽい!」

 

 突然の来客に驚いた全員が、部屋の入口に視線を向ける。そこには、首にマフラーを巻いた薄い金髪の少女がデュエルディスクを抱えて立っていた。

 

「夕立! 少し待ちなよ」

 

 金髪の少女のあとからもう一人、黒髪の少女がやってくる。彼女は春瀬の姿を認めると、彼に向かって軽く頭を下げる。

 

「押しかけてしまって悪いね。僕は白露型駆逐艦の時雨。こっちは姉妹艦の夕立だよ」

 

「時雨に夕立……そうか、君たちがあの有名な……。二人の武勇伝はかねがね聞いてるよ」

 

 白露型駆逐艦の二番艦「時雨」と四番艦「夕立」。二人の名は、海軍内部でかなりの知名度を誇っている。彼女たちの「前世」での逸話が理由の一つであるが、「艦娘」としての彼女たちの活躍ぶりも、その名を高める要因となっている。

 時雨と夕立。この二人は駆逐艦とは思えぬ戦闘力を有し、場合によっては格上の巡洋艦や戦艦を上回る戦果を挙げる。それがまぐれではなく実力によるものであるのだから、有名になるのも当然の流れといえる。艦娘たちの間では、重巡クラスの深海棲艦が彼女たちの姿を見ただけで逃げ出した、なんて話がまことしやかに語られているほどである。もっとも、これに関しては本人たちも否定しているので単なる噂にすぎないようだ。

 そんな彼女たちが何の用だろうかと思っていると、夕立が春瀬の執務机の上にデュエルディスクを置いた。

 

「あたしのデュエルディスク、壊れてるっぽい。提督さんに直してほしいの」

 

「直して、と言われてもな……。残念ながら、俺の専門は砲術と航空だから機械は詳しくないんだ。作っているのは明石さんだから、彼女に見てもらったらどうだ?」

 

「明石さんは売れ行き好調すぎて、今は大忙しっぽい。だから、デュエルに詳しい提督さんのところに来たっぽい!」

 

「そうだったか……。なら、話だけでも聞くとしよう。俺が直すことはできないが、明石さんに修理の口利きをしておく」

 

「本当? 夕立、感謝感激っぽい!」

 

「それで、そのディスクはどこが悪いんだ?」

 

「融合召喚ができないっぽい」

 

「融合が?」

 

 春瀬の問いに、夕立は「ぽい」と頷く。

 

「融合を発動しても、融合モンスターが出てこないっぽい。何回試しても全然ダメっぽい!」

 

「ふむ……。やっぱり、俺では何もできないな。とりあえず、ここでもう一度試してくれないか? モンスター一体を召喚するだけなら、この執務室でもギリギリ平気だろう」

 

 頷いた夕立は、執務室の中央でデュエルディスクを起動させる。

 

「魔法カード、融合を発動! 融合召喚!」

 

 夕立が「融合」のカードをディスクに差し込む。しかし、耳障りなエラー音が鳴るだけで現れるはずの融合モンスターは召喚されない。

 

「やっぱり壊れてるっぽい!」

 

「確かにおかしいな。これは修理してもらわないと……」

 

 明石のもとへ持っていくために、春瀬は夕立のデュエルディスクを預かろうとする。だが、それを時雨が止めた。

 

「提督。その必要はないよ」

 

「どうしてだ?」

 

 その問いに答える代わりに、時雨は夕立に声をかける。

 

「夕立。君のデッキを見せてくれないかい?」

 

「いいけど、なんで?」

 

 夕立のデッキを受け取った時雨は、それを春瀬に見せる。

 

「おいおい、これは……」

 

 デッキの中身を見て、春瀬は気の抜けた声を出す。彼の視線の先には、モンスターや魔法の中に紛れ込む紫色のカードがあった。

 

「原因はこれだよ。メインデッキの中に、融合モンスターが入ってる。だから融合ができなかったんだ」

 

 時雨は夕立を振り返り、やや呆れた声で注意する。

 

「いつも言ってるじゃないか。融合モンスターはエクストラデッキに入れないと駄目だって。メインデッキの中に入っていたら、いくら融合を発動しても絶対に召喚できないよ」

 

「ええっ!? そんなの聞いてないっぽい!」

 

「毎回ちゃんと教えてるのに、夕立が忘れてるだけだよ」

 

「てことは、あたしのデュエルディスクは壊れてないっぽい?」

 

「その通り。夕立がちゃんとルールを覚えれば、問題なく動くよ」

 

「ただの早とちりだったっぽい……」

 

 赤面した顔をマフラーで隠し、夕立が呻く。

 

「お騒がせしたね。僕たちは自分の司令室に帰るよ」

 

 しおれた夕立を連れて退室しようとする時雨を、春瀬が呼び止める。

 

「ああ、ちょっと待ってくれ。せっかくこの部屋まで来たんだから、良ければ一戦していかないか?」

 

「えっ?」

 

「夕立も、実戦を通してカードの配置を学べば覚えやすいはずだ。それに、さっきからあいつらがうずうずしててな」

 

 春瀬は部屋の脇にいる電たちを指す。彼女たちの瞳には、新しいデュエリストに対する興味が爛々と輝いていた。

 

「どうやら、君たちと一戦交えないと気が済まないらしい。もし時間があれば、付き合ってもらいたいんだが」

 

「いいよ。午後は近海の哨戒任務があるけど、まだ時間はある。付き合うよ」

 

「あたしもオッケーっぽい!」

 

「決まりだな。まずは、融合召喚の習得を兼ねて夕立からだ。対戦相手は……」

 

「私が出るわ!」

 

 真っ先に手を挙げ、暁が名乗りを上げる。

 

「暁は全部の召喚方法をしっかり覚えてるんだから。一人前のレディーな先輩が、デュエルのやり方を教えてあげるわ!」

 

「まあ、ここは暁に譲るとするわ。さっきの話もあるし。勉強の成果、見せてもらうわよ」

 

「ふふん、よく見てなさい!」

 

 電たちの間で話がまとまったのを見て、夕立がデュエルディスクを構える……のを、春瀬が制止する。

 

「待て待て。ここじゃ流石にデュエルするのは厳しい。どこか広い場所を探そう」

 

「ここに来る途中、講堂が空いているのを見たよ。そこはどうかな?」

 

「いいな。そこにしよう」

 

 時雨の提案を受け入れ、一行は鎮守府庁舎に隣接する講堂へ向かう。

 デュエルモンスターズが爆発的な流行を見せてから、鎮守府内では様々が施設がデュエルスペースとして使われている。講堂も、その一つである。

 デュエルスペースとしての施設利用には本来の業務に支障を与えない範囲とする制約が課されているが、講堂が使用されるのは特別な集会の時のみであるため制限が非常に緩い。そのため現在では、講堂は鎮守府有数のデュエルスペースとなっている。

 そんな講堂が、閑古鳥のままであるわけがない。時雨が見た時は無人だったという講堂は、春瀬たちが着いた時には数組の艦娘が陣取るデュエルスペースと化していた。

 

「考えることは皆同じか。スペースには十分余裕があるから、俺たちも始めるとしよう」

 

 適当な場所を見繕い、暁と夕立が向かい合う。

 

「さあ、素敵なデュエルをしましょ!」

 

「ふふん、レディーの戦い方を見せてあげるわ!」

 

 

「「デュエル!!」」

 

暁  LP4000

夕立 LP4000

 

 

「いくわよ。私は『宝玉獣 アンバー・マンモス』を召喚。さらに永続魔法『宝玉の樹』を発動して、カードを1枚セットするわ。ターンエンド」

 

 

《宝玉獣 アンバー・マンモス》

効果モンスター

星4/地属性/獣族/攻1700/守1600

自分フィールド上の「宝玉獣」と名のついたモンスターが攻撃対象に選択された時、このカードに攻撃対象を変更できる。

このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。

 

《宝玉の樹》

永続魔法

「宝玉獣」と名のついたモンスターが魔法&罠カードゾーンに置かれる度に、このカードにジェムカウンターを1つ置く。

このカードを墓地に送る事で、このカードに乗っていたジェムカウンターの数だけデッキから「宝玉獣」と名のついたモンスターを永続魔法カード扱いとして自分の 魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く。

 

 

「あたしのターン!」

 

 ドローした夕立は、手札に並んだカードを確認して笑みを浮かべる。

 

「うふふっ。もしかして、これって最初からクライマックスっぽい?」

 

「……なにをする気なの?」

 

 夕立の表情に潜む危険な気配を感じ取り、暁はやや表情を強ばらせる。彼女の問いに対する答えは、言葉ではなく夕立の行動によって示された。

 

「まずは手札から『魔界発現世行きデスガイド』を通常召喚。そして、デスガイドの効果を発動するわ」

 

 

《魔界発現世行きデスガイド》

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守 600

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。

手札・デッキから悪魔族・レベル3モンスター1体を特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターは効果が無効化され、S素材にできない。

 

 

「デスガイドの召喚に成功した時、あたしは手札かデッキからレベル3の悪魔族モンスターを特殊召喚できる。あたしは、デッキから『エッジインプ・シザー』を特殊召喚。さらに、手札から魔法カード『融合』を発動よ!」

 

「融合……!」

 

 夕立が掲げたカードを見て、暁は緊張の度合いを高める。

 執務室でのやり取りから、夕立が融合召喚を用いるデッキを使用しているであろうことは予測がついている。だとすれば、これから強力なモンスターが現れるのはほぼ確実である。

 身構える暁の前で、夕立は自身が呼び出すモンスターを宣言する。

 

「さっき教えてもらったから、今度はちゃんとできるっぽい。あたしが融合するのは、フィールドの『エッジインプ・シザー』と手札の『ファーニマル・ベア』。融合召喚、『デストーイ・シザー・ウルフ』!」

 

 

《融合》

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

 

《エッジインプ・シザー》

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻1200/守 800

「エッジインプ・シザー」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが墓地に存在する場合、手札を1枚デッキの一番上に戻して発動できる。

このカードを墓地から守備表示で特殊召喚する。

 

《ファーニマル・ベア》

効果モンスター

星3/地属性/天使族/攻1200/守 800

「ファーニマル・ベア」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):手札のこのカードを墓地へ送って発動できる。

デッキから「トイポット」1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットする。

(2):このカードをリリースし、自分の墓地の「融合」1枚を対象として発動できる。

そのカードを手札に加える。

 

《デストーイ・シザー・ウルフ》

融合・効果モンスター

星6/闇属性/悪魔族/攻2000/守1500

「エッジインプ・シザー」+「ファーニマル」モンスター1体以上

このカードは上記のカードを融合素材にした融合召喚でのみ特殊召喚できる。

(1):このカードは、このカードの融合素材としたモンスターの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。

 

 

「ひゃあっ!!」

 

 シザー・ウルフの姿を目にした暁が飛び上がり、悲鳴を上げる。

 

「な、なにあのモンスター……こわい……っ」

 

 夕立が召喚したデストーイ・シザー・ウルフの全貌は、ぬいぐるみのオオカミの体内から鋏の刃が何本も突き出ているというもの。いっそのことグロテスク路線に徹すればいいものを、元のぬいぐるみが持っていた可愛さの名残を妙に留めているために、余計に恐怖と狂気を感じさせる風貌となっている。その組み合わせは暁には刺激が強すぎたようで、彼女は早くも両目を潤ませてしまっていた。

 

「まだ終わらないっぽい! あたしは装備魔法『フュージョン・ウェポン』をシザー・ウルフに装備、攻撃力を1500アップ! さらに墓地のエッジインプ・シザーの効果を発動。手札を1枚デッキの一番上に戻して、このカードを守備表示で特殊召喚する。あたしは、レベル3のエッジインプ・シザーとデスガイドでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚、『機装天使エンジネル』!」

 

 

《フュージョン・ウェポン》

装備魔法

レベル6以下の融合モンスターのみ装備可能。

装備モンスターの攻撃力と守備力は1500ポイントアップする。

 

《機装天使エンジネル》

エクシーズ・効果モンスター

ランク3/光属性/天使族/攻1800/守1000

レベル3モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、自分フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。

選択したモンスターを表側守備表示にし、このターンそのモンスターは戦闘及びカードの効果では破壊されない。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

「攻撃力3500……。でも、これなら総攻撃を受けてもライフはまだ400残るわ」

 

「それは違うっぽい」

 

「え……?」

 

「デストーイ・シザー・ウルフは、融合召喚の素材に使ったモンスターの数まで攻撃できるっぽい。あたしが融合に使ったのは2体だから、2回の攻撃ができるっぽい!」

 

「そ、それじゃあ」

 

「このターン、あたしが攻撃できるのは合計三回。これで暁のモンスターを倒してダイレクトアタックすれば、あたしの勝ちっぽい!」

 

 いくわよ、と夕立はモンスターに攻撃を命じる。

 

「シザー・ウルフの一回目の攻撃で、アンバー・マンモスを攻撃!」

 

「ううっ……!」

 

 

暁 LP4000→2200

 

 

「宝玉獣は、破壊された時に墓地へ送る代わりに永続魔法扱いとして魔法・罠ゾーンに置くことができる。さらに、自分の宝玉獣が破壊された時にトラップ発動、『宝玉の集結』! デッキから『宝玉獣 エメラルド・タートル』を守備表示で特殊召喚するわ」

 

 

《宝玉の集結》

永続罠

このカードの(1)(2)の効果は同一チェーン上では発動できない。

(1):1ターンに1度、自分フィールドの表側表示の「宝玉獣」モンスターが戦闘・効果で破壊された場合にこの効果を発動できる。

デッキから「宝玉獣」モンスター1体を特殊召喚する。

(2):魔法&罠ゾーンの表側表示のこのカードを墓地へ送り、自分フィールドの「宝玉獣」カード1枚とフィールドのカード1枚を対象としてこの効果を発動できる。

対象のカードを持ち主の手札に戻す。

 

《宝玉獣 エメラルド・タートル》

効果モンスター

星3/水属性/水族/攻 600/守2000

1ターンに1度、このターン攻撃を行った自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。

選択した自分のモンスターを守備表示にする。

このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。

 

 

「シザー・ウルフの二回目の攻撃でそのモンスターも破壊よ!」

 

「エメラルド・タートルも破壊された時に永続魔法として魔法・罠ゾーンに置くわ」

 

「でも、これでモンスターはいなくなったっぽい。エンジネルでダイレクトアタック!」

 

「きゃああっ!」

 

 

暁 LP2200→400

 

 

 シザー・ウルフの攻撃に続く一撃を受けて、暁が尻餅をつく。砂で服を汚した彼女は、ダメージの衝撃と夕立のモンスターに対する恐怖とで、今にも泣き出しそうになっていた。

 

「新しい壁モンスターを呼んだのは予想外だったっぽい。あたしはこれで、ターン終了っぽい」

 

 首の皮一枚で敗北を免れた暁だが、残りライフは僅か400、フィールドにはモンスターもいない。ここから挽回することはできるのだろうか……姉妹たちが不安の眼差しを向ける中、暁にターンが回った。

 




暁「な、なんなのよ夕立のあのモンスターは!?」

雷「暁、すごく怖がってたわね。まぁ予想通りの反応だったけど」

電「作者さんいわく『暁は、ARC-Vの黒崎vs素良戦の会場にいたら間違いなく観客席で泣いている子供ポジ』とのことなのです。作者さんは、『暁だったらこんな反応するだろうな~』と思いながら書いたそうなのです」

響「作者の楽しげな顔が目に浮かぶね」

暁「レディを怖がらせて喜ぶなんて、最低の作者だわ! もう許さない、許さないんだから!」

電「ちなみに夕立ちゃんにファーニマルを使わせた理由は、改造前後の外見の落差にファーニマルと似たものを感じたからだそうなのです」

響「なるほど。暁を怖がらせるためだけではなかったと」

電「作者さんも、流石にそこまで鬼ではないのです。さて、来週は――」

暁「来週は、一人前のレディーの華麗な逆転劇よ!」

雷「本当に?」

暁「本当よ! 作者も夕立も、ぎゃふんと言わせてあげるんだから! 次回『悪魔の爪と七色の獣』。レディーの本気を見てなさい!」
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