暁 LP400 手札2枚
<モンスター>
なし
<魔法・罠>
宝玉の樹(ジェムカウンター:2個)
宝玉の集結
アンバー・マンモス、エメラルド・タートル(永続魔法扱い)
夕立 LP4000 手札2枚
<モンスター>
デストーイ・シザー・ウルフ(ATK3500)
機装天使エンジネル(ATK1800)
<魔法・罠>
フュージョン・ウェポン(装備対象:シザー・ウルフ)
「うぅ、よくもやってくれたわね……。もう許さない、許さないんだからっ!」
涙目の暁は、手札のカードをデュエルディスクに挿入する。
「魔法カード『レア・ヴァリュー』を発動。私の魔法・罠ゾーンにある宝玉獣を相手が1枚選んで墓地へ送る代わりに、私はデッキから2枚ドローできる。さあ、選びなさい」
《レア・ヴァリュー》
通常魔法
自分の魔法&罠カードゾーンに「宝玉獣」と名のついたカードが2枚以上存在する場合に発動できる。
自分の魔法&罠カードゾーンの「宝玉獣」と名のついたカード1枚を相手が選んで墓地へ送り、自分のデッキからカードを2枚ドローする。
「選べって言われても……どっちを選んでも、あまり変わらないっぽい? なら、夕立はアンバー・マンモスを選ぶっぽい」
「これで私は2枚ドローよ」
ドローしたカードを見ると、暁は泣きそうだった表情をぱっと晴らした。
「夕立、覚悟しなさい。さっきの分をこれからお返ししてあげるわ!」
「いいカードを引いたっぽい?」
「そうよ!」
頷いた暁は、反撃の一歩を踏み出す。
「私は、宝玉の集結のもう一つの効果を発動! 表側表示のこのカードを墓地へ送ることで、自分の宝玉獣とフィールドのカード1枚を手札に戻す。まずはその怖い……じゃなくて、危ないモンスターからどいてもらうわ。私は永続魔法扱いのエメラルド・タートルとデストーイ・シザー・ウルフを選択!」
「むぅ。せっかく強くしたのに、残念っぽい」
モンスターゾーンからカードを剥がし、夕立がシザー・ウルフを手札に戻す……のを、暁が制止する。
「ちょっと待って! 夕立、なにしてるのよ?」
「えっ? なにって、暁に言われた通りにカードを手札に戻してるっぽい」
きょとんとした顔で答える夕立に、暁は首を横に振る。
「違うわよ。融合モンスターは、エクストラデッキに戻るの。融合、シンクロ、エクシーズモンスターは、手札やデッキに戻る効果を受けても、必ずエクストラデッキに戻るのよ」
「それも知らなかったっぽい……」
「よくそれで融合を使おうとしてたわね……。まあとにかく、そういうことだから早く覚えちゃいなさい」
先輩デュエリストらしいところを見せられた暁は、幾分か調子を取り戻した様子で続ける。
「私は『宝玉獣 サファイア・ペガサス』を召喚。サファイア・ペガサスの効果で、デッキから『宝玉獣 ルビー・カーバンクル』を魔法・罠ゾーンに置くわ。そして、私の魔法・罠ゾーンに宝玉獣が置かれた時、永続魔法 宝玉の樹にジェムカウンターが一つ置かれる」
《宝玉獣 サファイア・ペガサス》
効果モンスター
星4/風属性/獣族/攻1800/守1200
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、自分の手札・デッキ・墓地から「宝玉獣」と名のついたモンスター1体を永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。
このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。
「今のルビー・カーバンクルを入れて、このカードを発動してから魔法・罠ゾーンに宝玉獣が置かれた回数は三回。よって、宝玉の樹には三個のカウンターが乗っているわ。そして私は、宝玉の樹の効果を発動! このカードを墓地へ送ることで、カウンターと同じ数の宝玉獣をデッキから魔法・罠ゾーンに置く。私は『宝玉獣 トパーズ・タイガー』『宝玉獣 アメジスト・キャット』『宝玉獣 アンバー・マンモス』の三体を置くわ」
暁のフィールドに、それぞれ別の色を持った三種類の宝石が現れる。既に存在していた紅の玉と合わせて、その数は合計で四個。魔法・罠ゾーンの大半を埋めている。
「確かに宝石はキレイだけど、そんなに並べてなんの役に立つのかしら? だたカードを伏せる場所を潰してるようにしか見えないっぽい」
「これから分かるわ。私はフィールド魔法『虹の古代都市-レインボー・ルイン』を発動!」
《虹の古代都市-レインボー・ルイン》
フィールド魔法
自分の魔法&罠カードゾーンの
「宝玉獣」と名のついたカードの数によって以下の効果を得る。
●1枚以上:このカードはカードの効果では破壊されない。
●2枚以上:1ターンに1度、自分が受ける戦闘ダメージを半分にできる。
●3枚以上:自分のモンスターカードゾーンの「宝玉獣」と名のついたモンスター1体を墓地へ送る事で、魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する。
●4枚以上:1ターンに1度、自分のメインフェイズ時にデッキからカードを1枚ドローできる。
●5枚:1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に魔法&罠カードゾーンの「宝玉獣」と名のついたカード1枚を選択して特殊召喚できる。
フィールド魔法の発動に合わせて周囲の情景が変化し、天空に虹がかかる都市が出現する。都市といってもその外観は遺跡に近く、まさしく古代都市という名がぴったりの場所だ。
「レインボー・ルインは、私の魔法・罠ゾーンの宝玉獣の数によって効果が増えていくカードよ。その効果は、宝玉の数が多いほど強くなる。私はレインボー・ルインの四つ目の効果を発動。魔法・罠ゾーンに宝玉獣が4体以上ある時、デッキから1枚ドローできる。さらに魔法カード『宝玉の契約』を発動。魔法・罠ゾーンからルビー・カーバンクルを守備表示で特殊召喚よ!」
《宝玉の契約》
通常魔法
自分の魔法&罠カードゾーンに存在する「宝玉獣」と名のついたカード1枚を選択して特殊召喚する。
《宝玉獣 ルビー・カーバンクル》
効果モンスター
星3/光属性/天使族/攻 300/守 300
このカードが特殊召喚に成功した時、自分の魔法&罠カードゾーン上から「宝玉獣」と名のついたカードを可能な限り特殊召喚できる。
このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。
「ルビー・カーバンクルが特殊召喚されたことで、その効果が発動! 魔法・罠ゾーンの宝玉獣を可能な限り特殊召喚する」
「暁のフィールドには、三色の宝石……てことは」
「そうよ。私は3体の宝玉獣、トパーズ・タイガー、アメジスト・キャット、アンバー・マンモスを特殊召喚っ!」
《宝玉獣 トパーズ・タイガー》
効果モンスター
星4/地属性/獣族/攻1600/守1000
このカードは相手モンスターに攻撃する場合、ダメージステップの間、攻撃力が400ポイントアップする。
このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。
《宝玉獣 アメジスト・キャット》
効果モンスター
星3/地属性/獣族/攻1200/守 400
このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。
この時、このカードが相手ライフに与える戦闘ダメージは半分になる。
このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。
「フィールドが
暁のフィールドを埋める宝玉獣の雄姿を見て、電が歓声を上げる。
「それだけじゃないわよ。夕立の場にいるエンジネルは攻撃力1800。トパーズ・タイガーは相手モンスターに攻撃する時だけ攻撃力2000になるから、それでエンジネルを倒したあとに残りのモンスターで総攻撃をかければ、一気に夕立のライフをゼロにできるわ」
「そうだね。あのモンスターに何も効果がなければ、だけど……」
電の言葉に、雷と、やや難しい顔をした響が応じる。そんな彼女らの視線の先で、暁が「バトルよ!」と宣言する。
「やられたらやり返す。それが一人前のレディーの流儀よ! まずはトパーズ・タイガーでエンジネルに攻撃。この時、トパーズ・タイガーの攻撃力は400アップするわ」
「そう簡単にはやられないっぽい! エンジネルの効果発動。オーバーレイ・ユニットを一つ取り除いてこのカードを守備表示にすることで、このターン戦闘・効果で破壊されなくする!」
「うそ、そんな効果があるの!?」
暁のワンショットキルの作戦は、エンジネルが無抵抗で破壊されることが大前提。その前提が崩れたことで、暁の作戦は早くも霧消してしまった。
「なら、せめて少しでもダメージを与えておくわ。アメジスト・キャットで夕立にダイレクトアタック! ただし、この時に相手が受ける戦闘ダメージは半分になる」
「痛いっぽい!?」
夕立 LP4000→3400
「カードを一枚伏せて、ターンエンド」
「あたしのターン。あたしは、墓地のエッジインプ・シザーの効果をもう一回発動。手札を1枚デッキの上に戻して、墓地からこのカードを特殊召喚する。さらに『ファーニマル・オウル』を召喚、その効果でデッキから融合を手札に加えるっぽい!」
「融合のカードが、また手札に……!」
前のターンのトラウマが甦り、暁は肩を震わせる。そして当然の如くというべきか、彼女が恐れていたことはすぐに現実のものとなる。
「あたしは手札に加えたばかりの融合を発動! あたしのフィールドのエッジインプ・シザーとファーニマル・オウルを融合するっぽい。融合召喚、『デストーイ・シザー・タイガー』!」
《ファーニマル・オウル》
効果モンスター
星2/地属性/天使族/攻1000/守1000
「ファーニマル・オウル」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):このカードが手札からの召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。
デッキから「融合」1枚を手札に加える。
(2):500LPを払って発動できる。
自分の手札・フィールドから「デストーイ」融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
《デストーイ・シザー・タイガー》
融合・効果モンスター
星6/闇属性/悪魔族/攻1900/守1200
「エッジインプ・シザー」+「ファーニマル」モンスター1体以上
(1):「デストーイ・シザー・タイガー」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。
(2):このカードが融合召喚に成功した時、このカードの融合素材としたモンスターの数まで、フィールドのカードを対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの「デストーイ」モンスターの攻撃力は、自分フィールドの「ファーニマル」モンスター及び「デストーイ」モンスターの数×300アップする。
現れたのは、シザー・ウルフと同様、体内から鋏が突き出したぬいぐるみのモンスター。「タイガー」の名の通り、今度は青緑色のトラのぬいぐるみが母体となっている。
「きゃあ!? ま、また怖いモンスターが……」
またしても登場したおどろおどろしいモンスターに、暁は再び悲鳴を上げる。が、姉と先輩デュエリストとしてのプライドでなんとか持ちこたえる。
「シザー・タイガーは融合召喚に使ったモンスターの数までフィールドのカードを破壊できるっぽい。あたしが融合に使ったモンスターは2体だから、破壊できるのは2枚まで。暁のレインボー・ルインと伏せカードを破壊よ!」
「まずい。この状況で暁が頼れるのは、あの伏せカードだけ。あれを失ったら――」
危機感をあらわにした響の言葉が終わるか終わらないかのうちに、暁の声が響く。
「トラップ発動、『レインボー・ライフ』! このターンが終わるまで、私が受けるダメージはすべてライフの回復に変わる!」
《レインボー・ライフ》
通常罠
手札を1枚捨てて発動できる。
このターンのエンドフェイズ時まで、自分は戦闘及びカードの効果によって
ダメージを受ける代わりに、その数値分だけライフポイントを回復する。
自分の伏せたカードが破壊される直前、暁はそのカードを発動させる。チェーンの逆順処理によってレインボー・ライフの効果が先に処理され、結果的にシザー・タイガーの効果を空振りに終わらせる。
しかし、もう一つの破壊対象に選ばれたレインボー・ルインの運命は異なっていた。レインボー・ルインには魔法・罠ゾーンの宝玉獣が一つ以上の時に破壊を免れる効果が備わっているが、前のターンに宝玉獣を大量展開したため、今の暁の魔法・罠ゾーンに宝玉獣がいない。耐性を持たないレインボー・ルインは破壊され、周囲の景色も元の講堂へと戻る。
「これじゃあ、攻撃表示のモンスターに攻撃してもライフを回復されるだけっぽい……。なら、せめて守備表示のモンスターだけ倒しておくわ。あたしはエンジネルを攻撃表示に変更。そして、シザー・タイガーでルビー・カーバンクルに攻撃よ!」
「ああっ!」
自分のモンスターが切り刻まれる光景を見ていられず、暁は顔を覆う。破壊されたルビー・カーバンクルは、宝玉獣の共通効果によって再び魔法・罠ゾーンに置かれた。
「あたしはこれでターンエンドよ」
夕立のターンが終わり、暁のターンとなる……が、ドローした暁の表情は冴えない。
「……私は、モンスターをセット。他のモンスターも全部守備表示にして、ターンエンド」
「暁ちゃん、防戦一方になっちゃったのです……」
「暁のデッキには、宝玉獣しか入っていないからね。上級モンスターはレインボー・ドラゴンだけ。宝玉獣しか使いたがらないから、エクストラデッキもないし……。今は、守りを固めるしかない」
「でも、手札にいつもモンスターがあるとは限らないし、あったとしても通常召喚できるのは一ターンに一体だけよ。夕立の場には二体のモンスターがいるから、たとえ相手のモンスターが増えなくても、このままだとすぐに暁のモンスターはいなくなっちゃうわ」
雷の指摘はもっともである。そのことはまた、暁の対戦相手である夕立も心得ていた。
「その守りも、いつまで保つかしら? あたしのターン!」
夕立は、新たなモンスターを呼び出すことはせずにバトルフェイズへ移行する。
「ふふ、よりどりみどりっぽい。あたしはシザー・タイガーでアンバー・マンモスを、エンジネルでアメジスト・キャットを攻撃!」
戦闘破壊された二体のモンスターは、ルビー・カーバンクルと同様に暁の魔法・罠ゾーンへと置かれる。
これで、暁のフィールドのモンスターは残り三体。彼女を守る壁は、着実に崩されていた。
「私のターン。私は魔法カード『宝玉の導き』を発動、デッキから『宝玉獣 コバルト・イーグル』を守備表示で特殊召喚するわ。さらにカードを一枚伏せてターンエンド」
《宝玉の導き》
通常魔法
自分の魔法&罠カードゾーンに「宝玉獣」と名のついたカードが2枚以上存在する場合、デッキから「宝玉獣」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。
《宝玉獣 コバルト・イーグル》
効果モンスター
星4/風属性/鳥獣族/攻1400/守 800
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。
自分フィールド上の「宝玉獣」と名のついたカード1枚を選択して持ち主のデッキの一番上に戻す。
このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。
「これで暁ちゃんのモンスターは四体。次のターンに夕立ちゃんが新しいモンスターを召喚しても、一ターンは耐えられるのです」
心配そうに暁のことを見守っていた電は、その表情を少し和らげる。しかし、
「あたしは手札から『
《
通常魔法
自分の墓地に存在する「融合」魔法カード1枚と、融合に使用した融合素材モンスター1体を手札に加える。
「あたしが融合するのは、手札の『エッジインプ・シザー』と『ファーニマル・ラビット』。再び現れ出ちゃえ、『デストーイ・シザー・ウルフ』!」
不気味なオオカミのモンスターが夕立のフィールドに再度姿を現わす。今回は装備魔法による強化はないが、彼女の融合召喚はこれだけでは終わらない。
「ファーニマル・ラビットが融合召喚の素材に使われたことで、その効果が発動! 墓地の『ファーニマル』モンスターを1体手札に戻すことができる。あたしはファーニマル・オウルを手札に戻して、それを召喚するっぽい」
《ファーニマル・ラビット》
効果モンスター
星1/地属性/天使族/攻 300/守1200
「ファーニマル・ラビット」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが融合召喚の素材となって墓地へ送られた場合、自分の墓地の「エッジインプ・シザー」1体または「ファーニマル・ラビット」以外の「ファーニマル」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを手札に加える。
「そのモンスターの効果は、確か……」
「ファーニマル・オウルの効果で、あたしはデッキから三枚目の融合を手札に加える。さらに、手札を1枚デッキの上に戻して墓地のエッジインプ・シザーを特殊召喚。そして、またまた融合を発動よ!」
「連続で融合召喚を!?」
「あたしは、フィールド上のエッジインプ・シザーとファーニマル・オウルを融合! 二体目のシザー・ウルフを融合召喚!」
これで、夕立のフィールドに並ぶモンスターは四体。それぞれが一度ずつ攻撃することで暁のモンスターを全滅させることができるようになった。
しかし実際は、暁にとってより厳しいものだった。
「最初に召喚したから、暁もシザー・ウルフの効果はもう分かってるわね。あたしのシザー・ウルフは、二体とも二回の攻撃が可能……シザー・タイガーとエンジネルの攻撃も合わせれば、暁のモンスターを全部倒してダイレクトアタックを決められるっぽい!」
そして、暁にとって不利なことはそれだけではない。
「さらに、あたしの場にシザー・タイガーがいる限り、あたしの『デストーイ』モンスターの攻撃力は、自分の『デストーイ』か『ファーニマル』モンスターの数×300ポイントアップするっぽい。あたしの場には、デストーイモンスターが3体。よって、シザー・タイガーとウルフの攻撃力は900アップ!」
これにより、シザー・タイガーの攻撃力は2800、シザー・ウルフの攻撃力は2900にまで上昇する。暁のフィールドに、その攻撃に耐えられる力を持つモンスターは存在しなかった。
「バトルフェイズ。まずは二体のシザー・タイガーで暁のモンスターを攻撃よ。やっちゃえ!」
二回攻撃の連撃、合わせて四回の攻撃が暁のフィールドを薙ぎ払う。唯一夕立から見て正体不明だった裏守備モンスターも守備力2000のエメラルド・タートルであり、シザー・ウルフの攻撃を防ぐには至らなかった。
「私はサファイア・ペガサスだけを魔法・罠ゾーンに置いて、戦闘破壊された他のモンスターは墓地へ送るわ」
「今さら宝玉を揃えても、なんの意味もないっぽい。とどめよ、シザー・タイガーで暁にダイレクトアタック!」
僅かに残る暁のライフを刈り尽くすべく、シザー・タイガーが鋭い爪を振り下ろす。その爪が暁の身体に突き立てられる寸前、彼女が動いた。
「こんなところで終わって、たまるもんですか! トラップ発動、『虹の引力』!」
《虹の引力》
通常罠
自分フィールド上及び墓地に「宝玉獣」と名のついたカードが合計7種類存在する場合のみ発動する事ができる。
自分のデッキまたは墓地に存在する「究極宝玉神」と名のついたモンスターカード1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。
「ぽ、ぽいっ!?」
暁の発動したカードから強烈な光が発散され、夕立のモンスターの攻撃を押しとどめる。しかし、このカードの効果は相手の攻撃を止めるものではない。それは、
「このカードは、私のフィールドと墓地に宝玉獣が7種類存在する時に発動できる。その効果により、私は『究極宝玉神 レインボー・ドラゴン』を召喚条件を無視してデッキから特殊召喚するわ!」
墓地に眠る三つの宝玉から放たれた光が、フィールドの宝玉の光と合わさり、七色の光線を生み出す。そして、その中から一柱の龍が降臨する。
「さあ現れなさい、七色の光を放つ龍! 究極宝玉神 レインボー・ドラゴン!!」
《究極宝玉神 レインボー・ドラゴン》
効果モンスター
星10/光属性/ドラゴン族/攻4000/守 0
このカードは通常召喚できない。
自分のフィールド上・墓地に「宝玉獣」と名のついたカードが合計7種類存在する場合のみ特殊召喚できる。
このカードを特殊召喚したターン、以下の効果を発動できない。
●自分フィールド上の「宝玉獣」と名のついたモンスターを全て墓地へ送る事で、このカードの攻撃力は墓地へ送ったカードの数×1000ポイントアップする。
この効果は相手ターンでも発動する事ができる。
●自分の墓地の「宝玉獣」と名のついたモンスターを全てゲームから除外する事で、フィールド上のカードを全て持ち主のデッキに戻す。
その身に七つの宝玉を宿す龍が暁のフィールドに出現する。暁に攻撃を仕掛けていたシザー・タイガーは、レインボー・ドラゴンの尾の一撃によって吹き飛ばされ、夕立のフィールドへと戻された。
「私のフィールドに新しいモンスターが召喚されたことで、戦闘は巻き戻しになったわ。どうする? レインボー・ドラゴンに攻撃してくるかしら?」
口では尋ねているが、夕立の答えは分かっている。果たして、彼女の返事は暁が予想した通りのものだった。
「攻撃力4000は、流石に倒せないっぽい……。私はバトルを中断してターンエンド」
「私のターン!」
窮地を凌いで切り札を呼び出したことで、暁の表情には若干の余裕が取り戻されている。
そしてその余裕は、ドローしたカードを見た瞬間に勝利の確信へと変わった。
「夕立……。この勝負、もらったわ!」
夕立に向かって人差し指を突き出した暁は、「レインボー・ドラゴンの効果を発動!」と宣言する。
「自分の墓地の宝玉獣をすべて除外することで、フィールド上のすべてのカードを持ち主のデッキに戻す。さあ、やっちゃいなさい!」
暁の声に応じ、レインボー・ドラゴンの胴に埋め込まれた宝玉のうち三つ――暁の墓地に存在するエメラルド、トパーズ、コバルトに対応する色の玉が明るく輝く。三筋の光は互いに絡まり合いながら輝きを増し、ついには視界を奪うまでになる。その光が収束した時、フィールドからは一切のカードの痕跡が消え去っていた。
「あたしのモンスターが、全部にエクストラデッキに……。でも、それは暁も同じっぽい。フィールドが
「それはどうかしら?」
「ぽい?」
「言ったでしょ。この勝負もらった、って。あなたに次のターンはないわ」
「けど、暁のモンスターも全部デッキに戻ってるから、出せるのは手札のモンスターだけ。リリースなしで出せるモンスターで、攻撃力3000以上のモンスターなんていないっぽい」
「そこが間違いよ。私がするのは、通常召喚じゃなくて特殊召喚。私は、手札から魔法カード『オーバー・ザ・レインボー』を発動するわ!」
《オーバー・ザ・レインボー》
速攻魔法
(1):自分フィールドの、元々のカード名が「究極宝玉神 レインボー・ドラゴン」または「究極宝玉神 レインボー・ダーク・ドラゴン」となるモンスターが効果を発動したターンに発動できる。
デッキから「宝玉獣」モンスターを任意の数だけ特殊召喚する(同名カードは1枚まで)。
「これは、レインボー・ドラゴンの効果を使ったターンにだけ発動できる特別なカードよ。このカードの効果で、私はデッキから宝玉獣を好きなだけ特殊召喚できる!」
「う、嘘ぉ!?」
「来なさい! サファイア・ペガサス、アンバー・マンモス、トパーズ・タイガー、コバルト・イーグル、アメジスト・キャット!」
七体の宝玉獣のうち、攻撃力の高い五体が一挙に暁のフィールドに並ぶ。さらにサファイア・ペガサスの効果によってルビー・カーバンクルが魔法・罠ゾーンに加えられ、暁のフィールドの宝玉は六種類となる。
「まぁ、ここまできたら宝玉がいくつ揃っていてもそんなに変わらないけど。……さて、覚悟はできたかしら?」
「うっ……」
五体の宝玉獣の圧力を受けて、夕立が一歩後ずさる。
「バトルよ。宝玉獣たちで夕立に総攻撃! いっけぇ!」
「ぽいいぃっ!?」
夕立 LP3400→0
「暁ちゃんの勝ちなのです!」
勝利をおさめた暁へ、彼女の姉妹たちが駆け寄る。
「最初のピンチからの大逆転で驚いたのです。すごいのです!」
「確かに。あの状況からよく逆転したね」
「ええ。見直したわ」
「そ、そう? まぁ、私がお姉さんなんだし、どう考えても暁が一番ってことよね!」
自慢げな、しかし少し照れくさそうな表情で、暁は胸を張る。
一方、惜しくも敗北した夕立のもとへは時雨が慰めに行っていた。
「あと一歩まで追い詰めたのに負けるなんて……悔しいっぽい」
「そう落ち込まないで。夕立の分も、僕が勝ってくるから」
「うん……。あたしの敵討ちは任せたっぽい!」
「了解。それじゃあ、行ってくるね」
デュエルディスクにデッキをセットした時雨は、前に進み出て暁たちに問いかける。
「僕の相手をしてくれるのは誰だい?」
「電なのです!」
時雨の問いに答え、電が一歩前に出る。
「暁ちゃんのように、電も頑張るのです!」
「僕も、夕立に敵討ちを頼まれたからね。負けないよ」
デュエル――と、二人が言おうとしたその時、講堂の入口から怒鳴り声が聞こえた。
「こらあっ! 時雨、夕立、なにしてるの!」
突然の聞こえた大声に、時雨たちはもちろん他にデュエルをしていた艦娘たちも、驚いて肩を震わせる。名前を呼ばれた二人は声のした方を向き、そこにいた相手の名を叫んだ。
「川内!?」
「川内さん!?」
「二人とも、もう哨戒の時間だよ。息抜きもいいけど、任務のことは忘れない!」
「「す、すみません!」」
講堂入口に立つ艦娘――川内は、どうやら時雨と夕立の上司にあたる立場にいるらしい。二人は仙台に向かって頭を下げると、急いで帰り支度を始めた。
「ごめん、電。続きはまた今度にしてもらっていいかな?」
「構わないのです。二人とも、任務頑張ってくださいね」
「ありがとう。行くよ、夕立」
「ぽい!」
足音を鳴らしながら時雨と夕立は講堂をあとにする。二人を見送った春瀬たちは、しばらく講堂でデュエルをしたあと、執務室へと引き上げていった。
暁「ふふん。どう、言った通りだったでしょ?」
雷「この子、本当に逆転しちゃった……」
暁「まあ、夕立も頑張ってたのは認めるけど、最後はレディーとしての格の差が勝敗を分けたわね!」
響「それはデュエルとは関係ないと思うけど……。それにレディーという意味では暁も――むぐっ!?」
電「今は水を差しちゃいけないのです!」
暁「これからも、一人前のレディーとして他の艦娘たちにどんどんデュエルを教えてあげるわ!」
響「それなんだけど、どうやらさっそく問題が発生するらしい」
暁「えっ!?」
電「鎮守府にデュエルが広まるのを、快く思わない人もいるようなのです」
雷「まぁ確かに、考えてみたら、新しいものに対して一切反発がないのも不自然よね」
響「そうだね。それからもう一つ、悪い知らせがある」
暁「今度はなによ?」
響「毎週日曜に更新しているこの作品だけど、次回から、隔週更新にペースを落とすらしい」
雷「あー……もしかして、作者のストックがなくなった?」
響「ご名答。作者によると、完全に枯渇してはいないけれど、このまま毎週更新を続けていくと近いうちに更新停止に陥りかねないそうだよ」
暁「なるほど、だから更新速度を落とすってわけね。ストックの量が回復したら、また毎週更新にするのかしら?」
響「うん。作者の筆は早い方ではないから、可能かどうかは微妙なところだけれど……。ただ、作者からは『蒸発だけは絶対にしない』という言質を取ってきているから、安心してほしい」
電「毎週読んでくださっている読者のみなさんには申し訳ありませんが、今度ともお付き合いしていただけると嬉しいのです」
響「それじゃあ、報告も済んだし、予告をして終わろう」
雷「次は再来週……ってことは、3月15日の更新ね。次回『夜戦とデュエル、どっちが大事なの!?』。デュエル・スタンバイ!」