鎮守府決斗録   作:石田零

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28 駆逐と重巡、最強の第六決戦!

「お待たせしました、司令官さん。電、お昼の休憩から戻ったのです」

 

 執務室の扉を開けて、電が入室する。窓際に立って外を眺めていた春瀬は、笑顔でそれを出迎えた。

 

「お帰り。それじゃ、午後の秘書艦業務もよろしく頼むぞ」

 

「はい。お任せなのです」

 

 電は頷くと、戸棚から一冊のファイルを取って春瀬に手渡す。

 

「午後一番の仕事は、先月の戦闘詳報の仕上げでしたよね。これが先月分の艦隊日誌なのです」

 

「ありがとう」

 

「このあとは、十五時(ヒトゴーマルマル)から午後の演習が予定されているのです。今日の相手は、当泊地の第六司令室。旗艦の青葉さん以下、重巡四隻の戦隊なのです。こちらの編成はどうしましょうか?」

 

「重巡が四隻となると、純粋な水雷戦隊で挑むのは少しきついか……。なら、こちらも鈴谷を出して火力を増そう。鈴谷に相手の火力を引きつけてもらい、その間に残りのメンバーで近接雷撃戦を敢行し、勝負を決める。突撃部隊は、天龍と第六駆逐隊。以上の編成で演習に出撃だ」

 

「分かりました。旗艦は誰にしますか?」

 

「天龍だ。こういう戦いは、あいつの得意分野だからな」

 

「了解です。みんなにも伝えてくるのです」

 

「うん。頼んだ」

 

 僚艦がいる艦娘寮に向かうため、電は執務室を出ようとする。が、彼女がドアノブに手を掛ける寸前で外から扉が叩かれた。

 

「はい。どちら様ですか?」

 

 絶妙なタイミングで鳴ったノックに少し驚きつつ、電は扉を開く。そこに立つ相手を目にした電は、再び驚きの表情を見せた。

 

「あっ、青葉さん!」

 

「おや、電さん。何やら驚いている様子ですね。私が来たことがそんなに意外でしたか?」

 

「いえ、意外というわけではないのですけど……。ちょうど今、司令官さんと午後の演習のことを話していたので、タイミングが良くてびっくりしたのです」

 

「それは奇遇ですね。実は私も、そのことでお話があるんです。少しお時間もらってもいいですか?」

 

「と、いうことですが……。司令官さん、大丈夫ですか?」

 

 振り向いて尋ねた電に、春瀬は首肯を返す。

 

「大丈夫だ。入ってもらってくれ」

 

「青葉さん、どうぞなのです」

 

「恐縮です。では、お邪魔します」

 

 室内に入った青葉は、春瀬の執務机の前に立ち、話を始める。

 

「お久しぶりです、春瀬少将。さっそく本題に入りますが、今も言ったように、本日の演習のことでお願いがありまして」

 

「お願い?」

 

「はい。実は、演習内容をこちらで指定させてもらいたいのです」

 

「別に構わないが……演習だからといって、いたずらに危険な内容にするのはお断りだぞ」

 

「それなら心配ご無用です。こちらが提案するのは、直撃弾どころか至近弾すら発生しない演習ですから」

 

「つまり、空砲で演習するってことか?」

 

「いいえ。違います」

 

「ということは、艦隊運動訓練か? 実弾も空砲も使わない演習となると、それくらいしかないだろう」

 

「それでもありません」

 

「なら、どんな演習なんだ? 他に考えられるものといえば、艤装操作訓練のような、他部隊と一緒にやる意味の薄いものしかないが……」

 

「それはですね……」

 

 怪訝そうな顔の春瀬に向かって、青葉は答える。

 

「私たちと、デュエルをしてほしいのです」

 

「デュエルだって?」

 

 青葉の答えを聞いた春瀬は、若干驚いた表情を浮かべる。

 

「はい。先週から正式に始動したD計画は、既に鎮守府内で有名になっています。もちろん、春瀬少将の率いるデュエル教導隊のこともです。私たちにも、一つ稽古をつけてもらえませんか?」

 

「それって、青葉さんたちもD艦娘になるってことですか?」

 

「まあ、そういうことですね。今いるD艦娘――対D型艦用の艦娘デュエリストは、駆逐艦の子たちがほとんどですから。私たち巡洋艦ももっと頑張らないと、と思いまして」

 

「『私たち』ってことは、青葉の他にも誰かいるのか」

 

「流石は春瀬少将、話が早いですね。教導希望者は、私の司令室に所属する全員。第六戦隊の全艦です」

 

「六戦隊の全員、ということは四人まとめてか……。これは、教えがいがありそうだな」

 

 口元に笑みを刷いた春瀬は、頷きを一つ返して青葉の頼みを承諾する。

 

「教導の依頼、承知した。ただし、やる以上はしっかり特訓するからな。今日の演習だけ、なんてのは無しだぞ?」

 

「ええ、分かっています」

 

「場所は鎮守府の講堂。既定の時刻に集合だ。いいな?」

 

「はい。それでは、午後の演習もとい教導、よろしくお願いします!」

 

 青葉は春瀬に対して一礼すると、小走りに扉に向かい、部屋を出ていく。その背中を見送った電は、扉が閉まると春瀬に声をかけた。

 

「司令官さん。なんだか、妙な流れになりましたね……」

 

「そうだな。ま、俺たちも陽炎たちに続く教導相手も探さないといけないところだったし、ちょうど良かったかもしれないな」

 

「それもそうですね。今回の教導役は、誰にしますか?」

 

「それは、みんなを集めて決めるとしよう。海戦形式の演習なら相手に応じて俺が編成を指示するところだが、デュエルでは艦種や編成は関係ないからな。ひとまず、艦娘寮へ行って集合をかけてきてくれないか?」

 

「了解なのです」

 

 執務室を出た電は、他の面々を呼び集めて再び部屋へと戻ってくる。春瀬は青葉との会話の内容を皆に伝え、教導役を募った。

 

「私がやるわ!」

 

 真っ先に手を挙げたのは、暁だった。

 

「相手が重巡のお姉さんたちだとしても、デュエリストとしては暁のほうが先輩なんだから。一人前のレディーとして、しっかり教えてあげるわ!」

 

「私も!」

 

 暁に続き、雷も立候補する。

 

「なら、私も参加するよ。二人だけだと、何をしでかすか分からないからね」

 

「なっ、失礼ね!」

 

「そうよ。暁はともかく、私は変なことしないわよ!」

 

「なんですって!? 雷、もう一回言ってみなさい!」

 

 言い合いを始めた二人を見て、響は溜息をつく。

 

「やれやれ……世話のかかる姉妹たちだ」

 

「……いや。今のは響ちゃんが原因だと思うのです」

 

「なん……だと……!?」

 

 電の言葉に、響は驚愕の表情を浮かべる。が、

 

「わざとらしいリアクションはやめるのです」

 

 電はそれをバッサリと切り捨てる。

 

「すまなかった。反省はしている。後悔はしていない」

 

「……響ちゃん。少し、お話ししましょうか……?」

 

「本当にごめんなさい。もうしません」

 

「まったく……ふざけるのはいいですけど、タイミングを選んでほしいのです」

 

 深々と頭を下げる響を見下ろし、電は溜息を漏らす。

 

「ていうか、電。どうせならあなたも参加しなさいよ」

 

「そうね。姉妹勢揃いで教導するのも面白そうだわ」

 

 そこへ、いつの間にか口喧嘩を終えていた二人が声をかける。

 

「でも、そうしたら天龍さんたちが……」

 

 電が窺うように顔を向けると、天龍は「別にいいぜ」と答えた。

 

「相手の第六戦隊は古鷹、青葉型の姉妹艦戦隊だ。こっちも姉妹艦で固めて、同型艦隊同士の対決ってのも悪くねぇんじゃないか?」

 

「天龍ちゃんがいいなら、私もいいわよ~」

 

「鈴谷も異議なーし」

 

 龍田と鈴谷も天龍に同意し、議論は決する。

 

「なら決まりね! 青葉さんたちの相手は、暁たち第六決闘教導隊が担当するわ。午後の演習が始まる十分前には、講堂に集合すること。みんな、気合い入れていくわよ!」

 

「「「おーっ!」」」

 

 暁の言葉に応じて、三人は拳を掲げる。その場で一旦解散した彼女たちは、やがて既定の時間になるとそれぞれ意気揚々と講堂へ向かっていった。

 

◆◇◆◇

 

「おや、皆さんもう着いていましたか。これはお待たせしました」

 

 青葉たちが講堂に姿を現わしたのは、1455(ヒトヨンゴーゴー)――十四時五五分だった。

 

「出船の精神で五分前行動をしてきましたが、どうやら皆さんはその上をいっていたようですね」

 

「当然よ。五分前行動は海軍の基本だけど、一人前のレディーはさらに早い十分前行動が基本なんだから!」

 

 得意げに胸を張り、暁が言う。しかし、かく言う本人が自分の設定した集合時間に遅れかけたことは秘密である。

 

「なるほど。やはり、一人前レディーの言うことは違いますね。それではさっそくデュエル――といきたいところですが、一応、我々の自己紹介をしておきましょうか」

 

 青葉は仲間たちを横一列に並ばせ、暁たちと向かい合う。彼女らから見ると、青葉を左端にして、彼女と同じ制服の少女が一人と、それとは異なる意匠のセーラー服を着た少女が二人並んでいる形だ。

 

「改めまして、青葉型重巡一番艦の青葉です。現在は第六司令室の旗艦も務めています」

 

「青葉型二番艦の衣笠よ。よろしくね!」

 

「古鷹型重巡の一番艦、古鷹です。どうぞよろしくお願いします」

 

「加古ってんだ、よっろしくぅー!」

 

 口火を切った青葉に続き、隣に立つ少女たちが次々に名乗っていく。それに対し、暁たちも自己紹介をする。

 

「おや、春瀬少将。今日は鈴谷さんたちはいないんですか?」

 

「あいつらはD型艦の迎撃当番で待機中だ。陽炎たちにも手伝ってもらえるようになったが、いかんせんまだ人手が足りないからな」

 

「ならば、我々も早くデュエルの腕を上げて、鈴谷さんたちを楽させてあげないといけませんね」

 

「是非ともそうしてくれ。あいつらも喜ぶだろう」

 

「では自己紹介も済んだことですし、始めましょうか。春瀬少将、対戦カードはもう決まっていますか?」

 

「いいや。その場の希望に添って決めるつもりだ」

 

「それなら、暁に考えがあるわ」

 

「ほう。どんな考えだ?」

 

「タッグデュエルよ!」

 

 春瀬に促された暁は、得意げな顔で答える。

 

「せっかく同型艦の艦隊同士で戦うんですもの。ただデュエルするだけじゃなくて、姉妹の連携の良さでも勝負するのはどう?」

 

「なるほど。それは面白いですね」

 

 最初に賛同の意を表したのは、青葉だった。

 

「私は暁さんの案に賛成します。古鷹さんたちはどうですか?」

 

 青葉の問いに対して、古鷹たちも賛成の答えを返す。雷、電もそれに続く。

 しかし……

 

「……私は少し、遠慮したいかな」

 

 ただ一人、響は消極的な態度を見せる。

 

「どうして?」

 

「私のデッキは、タッグデュエル向きじゃないんだ。だから、できれば一対一のデュエルがいい」

 

「そんなの、やってみなくちゃ分からないじゃない。食わず嫌いは良くないわよ」

 

「それ、いつも食事の時に暁が司令官に言われてることよね」

 

「うるさい! とにかく、戦う前から後ろ向きでいたらダメよ。諦めたらそこでデュエル終了なんだから」

 

「そうは言っても、暁……」

 

「ああ、もうっ、まどろっこしい! いつもの響らしくもないわね。つべこべ言わないで、潔くデュエルする!」

 

 なおも乗り気でない響を無理矢理ねじ伏せ、暁はタッグデュエルを成立させる。

 

「こちらは同型艦がちょうど二人ずつなので、古鷹型ペアと青葉型ペアでいくことにしました。暁さんたちはどうしますか?」

 

「なら私たちも、分かりやすく上から順に一、二番艦ペアと三、四番艦ペアにするわ。みんな、いいわね?」

 

「暁に仕切られるのは癪だけど……電とペアっていうのは問題ないし、まぁいいわ」

 

「電も大丈夫なのです」

 

「決まりね。ほら響、いい加減に観念しなさい」

 

 響を引きずるようにして連れ、暁は春瀬たちから少し距離を置いた場所に立つ。

 

「こちらの先陣は古鷹型ペアです。二人とも、頑張ってくださいね」

 

「ありがとう、青葉」

 

「まっかせろ!」

 

 古鷹型の一、二番艦である二人は、古鷹が暁、加古が響と、それぞれ相手の一番艦、二番艦と向かい合う位置に立つ。

 

「艦としては古鷹さんたちが先輩だけど、デュエルでは暁たちが先輩なんだから。一人前のレディーとして、しっかり指導してあげるわ!」

 

「そいつは頼もしい。なら、思い切り胸を貸してもらうぜ、先輩!」

 

「二人とも、よろしくお願いしますね」

 

 暁の言葉に、加古と古鷹が応じる。響はいまだに気が進まない様子だったが、彼女の意思とは無関係にデュエルの火蓋は切り落とされる。

 

 

「「「デュエル!!」」」

 

古鷹 LP4000

加古 LP4000

 

暁  LP4000

響  LP4000

 

 

「えーっと、最初のターンプレイヤーは……私みたいですね。そこから、暁ちゃん、加古、響ちゃんに続く、と。暁ちゃん、確か一人目のプレイヤーはドローができないんだよね?」

 

「そうよ。ドローができるのは、二人目の私から。攻撃ができるのは四人目の響からよ」

 

「ありがとう。それなら……私は『レスキューラビット』を召喚。その効果でこのカード自身を除外して、デッキから『ゼラの戦士』を二体特殊召喚します。さらに、レベル4のゼラの戦士2体でオーバーレイネットワークを構築、『ラヴァルバル・チェイン』をエクシーズ召喚!」

 

 

《レスキューラビット》

効果モンスター

星4/地属性/獣族/攻 300/守 100

「レスキューラビット」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

このカードはデッキから特殊召喚できない。

(1):フィールドのこのカードを除外して発動できる。

デッキからレベル4以下の同名の通常モンスター2体を特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。

 

《ゼラの戦士》

通常モンスター

星4/地属性/戦士族/攻1600/守1600

大天使の力を手に入れる事ができるという聖域を探し求める戦士。

邪悪な魔族からの誘惑から逃れるため、孤独な闘いの日々を送る。

 

《ラヴァルバル・チェイン》

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/炎属性/海竜族/攻1800/守1000

レベル4モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●デッキからカード1枚を選んで墓地へ送る。

●デッキからモンスター1体を選んでデッキの一番上に置く。

 

 

「ラヴァルバル・チェインの効果発動。オーバーレイ・ユニットを一つ使って、デッキのモンスターを一体、デッキの一番上に置きます。私は『大天使ゼラート』を選択。カードを一枚伏せて、ターン終了です」

 

「暁、気をつけて。わざわざ効果を使ってデッキの上に置いたということは、きっとあれが古鷹さんのエースモンスターだ。次のターン、彼女は一気に攻めてくる」

 

「そのくらい分かってるわよ! 私のターン!」

 

 暁は右から左へ手札を流し見ると、そこから二枚のカードを場に出す。

 

「私は、『宝玉獣 サファイア・ペガサス』を召喚。サファイア・ペガサスの効果で、デッキから『宝玉獣 ルビー・カーバンクル』を永続魔法として魔法・罠ゾーンに置くわ。さらにカードを一枚伏せて、ターンエンドよ」

 

 

《宝玉獣 サファイア・ペガサス》

効果モンスター

星4/風属性/獣族/攻1800/守1200

このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、自分の手札・デッキ・墓地から「宝玉獣」と名のついたモンスター1体を永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。

このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。

 

 

「あたしのターンだな。ドロー! あたしは『おろかな埋葬』を発動。デッキから『もけもけ』を墓地へ送る。さらにフィールド魔法『天空の聖域』を発動するぜ!」

 

 

《おろかな埋葬》

通常魔法

(1):デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

 

《天空の聖域》

フィールド魔法

このカードがフィールド上に存在する限り、

天使族モンスターの戦闘によって発生する

天使族モンスターのコントローラーへの戦闘ダメージは0になる。

 

 

 地鳴りとともに、白い石造りの神殿が地中から出現する。それと同時にフィールドには雲が立ち込め始め、地面を覆っていく。気づくと四人は、石造の神殿を中心とする小さな都市の中に立っていた。

 

「さしずめ、ここは空中都市といった趣だね。天空の聖域か……なるほど、まさしくその名の通りの場所だ」

 

 地中海の古代遺跡を思わせる街並みを眺め回しながら、響は感想を口にする。

 

「あたしはモンスターとカードを一枚ずつセットして、ターンエンド。響、あたしのフィールド魔法に見惚れるのはいいけど、自分のターンは忘れるなよ?」

 

「おっといけない。次は私の番だったね」

 

 響はデッキからカードをドローする。

 

「正直やりたくないけど……仕方ない、か」

 

 諦念の滲む溜息をついた響は、手札からニ枚のカードを抜き取る。

 

「悪いけど、私のデッキはこれしか手段がないんだ。恨まないでくれ、暁」

 

「なにが?」

 

「……すぐに分かるよ。私はまず、フィールド魔法『炎王の孤島』を発動。続けて通常魔法『炎王の急襲』を発動し、デッキから『炎王神獣 ガルドニクス』を特殊召喚する」

 

 

《炎王の孤島》

フィールド魔法

「炎王の孤島」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):自分メインフェイズにこの効果を発動できる。

自分の手札・フィールドのモンスター1体を選んで破壊し、デッキから「炎王」モンスター1体を手札に加える。

(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合にこの効果を発動できる。

手札の鳥獣族・炎属性モンスター1体を特殊召喚する。

(3):フィールドゾーンの表側表示のこのカードが、墓地へ送られた場合または除外された場合に発動する。

自分フィールドのモンスターを全て破壊する。

 

《炎王の急襲》

通常魔法

相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合に発動できる。

デッキから炎属性の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体を特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズ時に破壊される。

「炎王の急襲」は1ターンに1枚しか発動できない。

 

《炎王神獣 ガルドニクス》

効果モンスター

星8/炎属性/鳥獣族/攻2700/守1700

このカードがカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、次のスタンバイフェイズ時にこのカードを墓地から特殊召喚する。

この効果で特殊召喚に成功した時、このカード以外のフィールド上のモンスターを全て破壊する。

また、このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから「炎王神獣 ガルドニクス」以外の「炎王」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。

 

 

 再び地鳴りが響き、今度は緑豊かな火山島がフィールドを支配する。さらに、その火山の火口から橙色の火柱が噴出し、深紅の翼を持つ聖獣が出現した。

 

「おおっ、かっけえ!」

 

 ガルドニクスの姿を仰いだ加古は、興奮した様子で声を上げる。

 

「けど、あたしのフィールドはただの遺跡みたいになっちまったぜ。せっかくいい感じで決まってたのになぁ」

 

 自分の背後にそびえる神殿を振り返り、加古は残念そうな顔をする。

 かつてのデュエルモンスターズでは、新しいフィールド魔法が発動されると古いフィールドが破壊されていたが、ルール改訂により現在ではフィールド魔法の共存が可能となっている。そのため加古の天空の聖域もフィールドに残っているのだが、ソリッドビジョンは新しく発動されたフィールドを優先して投影しているらしく、神殿の周囲にも島の植物が鬱蒼と茂っている。先ほどまでは荘厳な雰囲気を漂わせていた神殿だったが、今では加古の言う通り、密林に埋もれる遺跡のようになっていた。

 

「悪いね、加古さん。けど、これはこれで風情があって、なかなか魅力的だと思うよ」

 

 今にもツタに覆われそうな神殿を眺めながら、響は応じる。

 

「私は炎王の孤島の効果を発動。手札の炎王神獣ガルドニクスを破壊して、デッキから『炎王獣 バロン』を手札に加える。そして、そのバロンを通常召喚する」

 

 

《炎王獣 バロン》

効果モンスター

星4/炎属性/獣戦士族/攻1800/守 200

自分フィールド上に表側表示で存在する

「炎王」と名のついたモンスターがカードの効果によって破壊された場合、このカードを手札から特殊召喚できる。

また、このカードがカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、次のスタンバイフェイズ時に発動する。

デッキから「炎王獣 バロン」以外の「炎王」と名のついたカード1枚を手札に加える。

 

 

「最初に暁も言っていたけれど、モンスターの攻撃はこのターンから可能だ。バトル。私はガルドニクスで、ラヴァルバル・チェインに攻撃!」

 

 高空に舞い上がったガルドニクスが、炎を纏い急降下攻撃を仕掛ける。古鷹のモンスターも炎属性ではあるが、その炎の強さはガルドニクスと比べれば話にならない。赤子の手を捻るように粉砕され、灰となって消えた。

 

「まだいくよ。バロンで古鷹さんにダイレクトアタック!」

 

「くうっ!」

 

 

古鷹 LP4000→3100→1300

 

 

「古鷹! 大丈夫か!?」

 

「うん、大丈夫。けっこうやられちゃったけど、まだ戦えるよ」

 

 古鷹の身を案じる加古に、彼女は笑顔を返す。

 

「狙い撃ちって、響……。あなた、乗り気じゃなかったくせにやる気満々じゃない」

 

 容赦ない攻撃を仕掛ける響へ、暁が呆れ気味の視線を向ける。

 

「確かにそうだけど、デュエルするからにはやっぱり負けたくないからね。やるなら、全力で勝ちにいく。私はこれでターンエンド。エンドフェイズ時、炎王の急襲で特殊召喚したガルドニクスは破壊される」

 

「私のターンですね。ドロー! 私は――」

 

「ちょっと待って、古鷹さん。このスタンバイフェイズ時に、私は墓地のガルドニクスの効果を発動する」

 

 古鷹の動きを制して、響が言う。

 

「カード効果で破壊されたガルドニクスは、次のスタンバイフェイズに墓地から特殊召喚することができる。そして、この方法で特殊召喚に成功した時、フィール上に存在する他のモンスターをすべて破壊する。私の墓地には、炎王の孤島と炎王の急襲、それぞれの効果で破壊された二体のガルドニクスが存在する。私は、二体の効果をともに発動し、墓地から特殊召喚!」

 

 スタンバイフェイズに発動する誘発効果はチェーンを組まないため、ガルドニクスの効果は一体ずる順に処理される。まずは一体目のガルドニクスがフィールドを焼き尽くし、さらに二体目のガルドニクスが特殊召喚される。二度に渡る灼熱地獄を経て生き残ったものは、二体目のガルドニクスだけだった。

 

「ああっ! 私のサファイア・ペガサスが!?」

 

 焼け野原となったフィールドを見て、暁は叫び声を上げる。

 

「ちょっと響! どうして私のモンスターまで破壊するのよ!?」

 

「どうして、って言われても……。それがガルドニクスの効果なんだから、しょうがないよ」

 

 暁の詰問を受ける響は、困惑した表情で答える。

 

「ガルドニクスが破壊するのは、『このカード以外のフィールド上のモンスター』。敵味方関係なく、すべてのモンスターを破壊する。だから、タッグデュエルで使った場合は当然パートナーのモンスターも巻き込まれる」

 

「あ……」

 

「もしかして暁、気づいてなかったのかい?」

 

「そ、そんなことないわ! 知ってたけど、ほんの一瞬忘れてただけよ!」

 

「それを普通は、気づいてないって言うんだけど」

 

「う、うるさいわね! そもそも、そんな大事なことをどうして最初に言わないのよ!」

 

「ちゃんと言ったよ。私のデッキはタッグデュエル向きじゃないって。だけど暁がどんどん話を進めるから……私の話をもう少し聞いてくれれば、このことも説明できたのに」

 

「うっ……」

 

 響の指摘に、暁は沈黙する。

 

「けど、今は過ぎたことを言っても仕方ない。目の前のデュエルに集中しよう。ガルドニクスに頼らず戦えればいいんだけど、私のデッキはそれができない。だから悪いけれど、暁は自力で巻き添えを回避してくれ」

 

「ええっ!?」

 

「大丈夫。暁の宝玉獣は破壊されても魔法・罠ゾーンに置かれるから、巻き添えの被害は相対的に少なくなる。……ごめん、古鷹さん。待たせたね。デュエルを再開してくれ」

 

「じゃあいくよ、二人とも! 私は『戦士の生還』を発動、墓地の『ゼラの戦士』を手札に戻します。私は、手札に戻したゼラの戦士を通常召喚。そして、それをリリースしてこのカードを特殊召喚!」

 

 古鷹は、手札の一枚を――このターンにドローしたカードを、デュエルディスクのモンスターゾーンに置く。

 

「これが、私のエースモンスター! 降臨せよ、『大天使ゼラート』!!」

 

 

《戦士の生還》

通常魔法

(1):自分の墓地の戦士族モンスター1体を対象として発動できる。

その戦士族モンスターを手札に加える。

 

《大天使ゼラート》

星8/光属性/天使族/攻2800/守2300

このカードは通常召喚できない。

このカードは「天空の聖域」がフィールド上に存在し、自分フィールド上に表側表示で存在する「ゼラの戦士」1体を生け贄に捧げた場合のみ特殊召喚できる。

光属性のモンスターカード1枚を手札から墓地に捨てる事で、相手フィールド上に存在する全てのモンスターを破壊する。

この効果は自分フィールド上に「天空の聖域」が存在しなければ適用できない。

 

 

 若い戦士の周囲に無数の小さな光の粒が集まり、やがて彼の体を包み込む。光の中で戦士の体は輪郭を変えていき、純白の翼を持つ天使へとその身を昇華させた。

 

「大天使ゼラートは、ゼラの戦士が聖域の力を得て天使になった姿。召喚するためには天空の聖域を発動する必要だけど、今は加古が発動してくれているから助かったわ。ありがと、加古」

 

 加古に礼を言った古鷹は、バトルフェイズへと移行する。

 

「暁ちゃんの場は(から)だから直接攻撃……といきたいところだけど、まずは響ちゃんのモンスターをなんとかしないとね。私は大天使ゼラートで、ガルドニクスに攻撃!」

 

「させないわ。トラップ発動、『宝玉の祈り』!」

 

 古鷹の攻撃宣言に対して、暁が伏せカードを発動する。

 

「このカードは、魔法・罠ゾーンの『宝玉獣』を一枚墓地へ送ることで、相手のカードを一枚破壊することができる。私はサファイア・ペガサスを墓地へ送って、大天使ゼラートを破壊!」

 

「なら私もトラップ発動、『安全地帯』!」

 

 

《宝玉の祈り》

通常罠

自分の魔法&罠カードゾーンの「宝玉獣」と名のついたカード1枚を墓地へ送って発動できる。

相手フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。

 

《安全地帯》

永続罠

フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。

選択したモンスターは相手のカードの効果の対象にならず、戦闘及び相手のカードの効果では破壊されない。

また、そのモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できない。

このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。

そのモンスターがフィールド上から離れた時、このカードを破壊する。

 

 

「このカードの効果で、ゼラートはあらゆる破壊から守られます。ただし、このカードがフィールドから離れたら、守られていたモンスターは破壊されます」

 

 ガルドニクスに剣を振り下ろすゼラートへ向かって暁の場の宝玉から光線が放たれるが、不可視の障壁によって阻まれる。結局、ゼラートの剣を止めることは叶わず、ガルドニクスは一刀のもとに切り伏せられた。

 

 

響 LP4000→3900

 

 

「くっ……。ガルドニクスの効果発動。このカードが戦闘で破壊された時、デッキから同名カード以外の『炎王』モンスターを特殊召喚できる。私は二体目のバロンを守備表示で特殊召喚」

 

「私はバトルフェイズを終了。メインフェイズ2にカードを一枚伏せて、ターン終了です」

 

「私のターン、ドロー!」

 

 カードを引いた暁は、隣の響へと視線を向ける。

 

「ほら、響。ガルドニクスとバロンの効果を使うんでしょ」

 

「流石は暁、よく分かってるね。私は前のターンに二体目のガルドニクスの効果で破壊された一体目のガルドニクスの効果を発動。このカードを特殊召喚して、フィールド上の他のモンスターをすべて破壊する。さらに、前のターンに破壊されたバロンの効果を発動。このカードが効果で破壊された場合、次のスタンバイフェイズ時に同名カード以外の『炎王』カードを手札に加えることができる。私はデッキから、『炎王炎環』を手札に加えるよ」

 

「終わったわね。私はスタンバイフェイズからメインフェイズ1へ。ここで、この二枚のカードを発動するわ」

 

 暁は手札から二枚のカードを選び、高らかにその発動を宣言した。

 

「私は、スケール2の『宝玉の守護者』とスケール5の『宝玉の先導者』で、ペンデュラムスケールをセッティング!」

 

 

《宝玉の守護者》

ペンデュラム・効果モンスター

星4/炎属性/戦士族/攻1500/守1800

【Pスケール:青2/赤2】

(1):このカードがPゾーンに存在する限り、1ターンに1度、自分フィールドの「究極宝玉神」モンスター及び「宝玉獣」カードは効果では破壊されない。

【モンスター効果】

(1):自分の「宝玉獣」モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時、自分の手札・フィールドのこのカードをリリースして発動できる。

その戦闘を行う自分のモンスターは、攻撃力・守備力がダメージ計算時のみ元々の数値の倍になり、ダメージステップ終了時に破壊される。

 

《宝玉の先導者》

ペンデュラム・効果モンスター

星3/闇属性/魔法使い族/攻1300/守1000

【Pスケール:青5/赤5】

(1):このカードがPゾーンに存在する限り、自分フィールドの「究極宝玉神」モンスター及び「宝玉獣」カードは、相手の効果の対象にならない。

【モンスター効果】

(1):このカードをリリースして発動できる。

デッキから、「究極宝玉神」モンスター、「宝玉獣」モンスター、「宝玉」魔法・罠カードの内、いずれか1枚を手札に加える。

 

 

 暁の発動宣言に合わせて、デュエルディスクのプレート部分の左右から新たなカード置き場が飛び出す。暁がそこに一枚ずつカードを置き、元の状態に収納すると、彼女の左右に青い柱のような光が一本ずつ出現した。

 

「ペンデュラムスケール? なんだそりゃ?」

 

 耳慣れない単語を聞いた加古は、頓狂な声で尋ねる。

 

「ペンデュラムスケールは、ペンデュラムモンスターと呼ばれるモンスターだけが持っている特別な数値よ。ペンデュラムモンスターは、モンスターとして召喚するだけじゃなくて、永続魔法としてペンデュラムゾーンに発動することもできる。この時、そのプレイヤーは二枚のペンデュラムスケールの間の数と同じレベルのモンスターを、一ターンに一度、好きなだけ特殊召喚できるのよ!」

 

「なにっ!?」

 

「私が発動した二枚のペンデュラムスケールは、2と5。これで、私はレベル3と4のモンスターが同時に召喚可能となったわ!」

 

 暁の両脇にそびえる光の柱の上部には、仮面をつけた二人の青年が浮遊している。彼らの足元にはそれぞれ「2」と「5」の数字が表示されており、彼女の説明を可視的に表現していた。

 

「いくわよ! 虹の光に導かれ、集まれ宝玉たち! ペンデュラム召喚! 現れなさい『宝玉獣 トパーズ・タイガー』『宝玉獣 アンバー・マンモス』『宝玉獣 アメジスト・キャット』!!」

 

 

《宝玉獣 トパーズ・タイガー》

効果モンスター

星4/地属性/獣族/攻1600/守1000

このカードは相手モンスターに攻撃する場合、ダメージステップの間、攻撃力が400ポイントアップする。

このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。

 

《宝玉獣 アンバー・マンモス》

効果モンスター

星4/地属性/獣族/攻1700/守1600

自分フィールド上の「宝玉獣」と名のついたモンスターが攻撃対象に選択された時、このカードに攻撃対象を変更できる。

このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。

 

《宝玉獣 アメジスト・キャット》

効果モンスター

星3/地属性/獣族/攻1200/守 400

このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。

この時、このカードが相手ライフに与える戦闘ダメージは半分になる。

このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。

 

 

 二本の柱の間に光の円が生まれ、その中から三筋の光芒が暁のフィールドに降り注ぐ。光は一筋が一体のモンスターとなり、一瞬のうちに彼女の場に三体の宝玉獣を出現させた。

 

「これが、ペンデュラム召喚……。私も初めて見た」

 

「当然よ、響。私だって、成功させたのは今日が初めてだもの。そもそも、ペンデュラムカードを手に入れたのが先週酒保でパックを買った時だったし。今だって、このターンのドローで宝玉の守護者を引けてなかったらペンデュラム召喚できてなかったわ」

 

 答えた暁は、「さて」と笑みを浮かべてフィールドを見る。

 

「加古さんには悪いけど、このデュエルの脱落第一号になってもらうわ。バトルフェイズ、三体の宝玉獣で加古さんに総攻撃! まずはアンバー・マンモスからよ!」

 

「待った! トラップ発動、『リビングデッドの呼び声』。その効果により、あたしはガルドニクスの効果で破壊されたセットモンスター、『シャインエンジェル』を攻撃表示で特殊召喚する!」

 

 

《リビングデッドの呼び声》

永続罠

(1):自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。

そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。

このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。

そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

 

《シャインエンジェル》

効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻1400/守 800

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下の光属性モンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚できる。

 

 

「けど、攻撃力ではアンバー・マンモスの方が上。それに攻撃表示なら戦闘ダメージも与えられるわ。私は攻撃を続行。いきなさい、アンバー・マンモス!」

 

 アンバー・マンモスの突進を受けて、天使の姿をしたモンスターが粉砕される。しかし、戦闘の結果を確認した暁は、その顔に驚きの表情を浮かべた。

 

「えっ? どうして加古さんはダメージを受けてないの!?」

 

 驚愕の色を宿した彼女の瞳は、加古の横に表示されているライフポイントの数値に向けられている。

 デュエルディスクを使ったデュエルでは、対戦者の便を図るため、カードだけでなく各プレイヤーの残りライフポイントもソリッドビジョンで表示される。本来ならば加古のライフは現在の戦闘によって僅かながら削られているはずだったが、どういうわけか、彼女のライフは初期数値と変わらぬ4000のままだった。

 

「天空の聖域の効果さ」

 

 加古の得意げな声が暁の疑問に答える。

 

「このカードが発動している限り、お互いのプレイヤーは自分の天使族モンスターの戦闘で発生したダメージを受けない。シャインエンジェルは天使族だから、あたしも今の戦闘ダメージを受けずに済んだってわけさ」

 

「このフィールドに、そんな効果があったなんて……」

 

「さらにあたしはシャインエンジェルの効果を発動。このカードが戦闘で破壊された時、デッキから攻撃力1500以下の光属性モンスターを攻撃表示で特殊召喚できる。あたしは二体目のシャインエンジェルを特殊召喚。どうする、攻撃するかい?」

 

 挑発的な口振りで加古が言う。それに対して、暁は力強く頷く。

 

「もちろん、攻撃するわ!」

 

「なっ!? おい暁、聞いてたか? 天空の聖域の効果は――」

 

「ただし!」と暁は加古の言葉を遮る。

 

「私が攻撃するのは、モンスターじゃないわ。加古さん本人よ!」

 

「おいおい、あたしのフィールドにはモンスターがいるんだぜ? それを無視してダイレクトアタックなんて、できるわけないだろ」

 

「それができるのよね。アメジスト・キャットの効果発動! このカードは与えるダメージを半分にする代わりに、相手プレイヤーに直接攻撃できる。やりなさい、アメジスト・キャット!」

 

 

加古 LP4000→3400

 

 

「いってて……。直接攻撃できるモンスターを持ってたのか」

 

「ふふん。相手モンスターを倒すだけがデュエルじゃないのよ。一人前のレディーなら、このくらいできないと」

 

 直接攻撃を成功させた暁は、得意顔で加古に講義する。

 

「一撃でライフをゼロにできなかったのは残念だけど、しょうがないわね。私はこれでターンエンドよ」

 

「まったく……ワンショットキル未遂とは、面白いことしてくれるじゃねえか」

 

 そう言って、加古は闘志に満ちた双眸を暁と響に向ける。

 

「なら、今度はこっちの番だ。いくぜ、あたしのターン!」

 

 デッキトップに手をかけた加古は、勢いよくカードをドローした。

 




暁「ふっふーん! この作品初のペンデュラム召喚、華麗に決めたわ!」

雷「これで、この作品もだいたいの召喚方法は使われたことになるわね。まだ登場してないのは、儀式召喚くらいかしら」

響「くっ。儀式次元は、ここでも冷遇されているというのか……!」

暁「儀式次元? なにそれ?」

電「響ちゃんの言うことは気にしてはいけないのです」

響「……電、最近私に冷たくないかい? お姉ちゃん悲しいよ」

電「そう思うのなら、しっかり予告をしてほしいのです」

響「分かった……。次回は、私たちのタッグデュエルが決着するよ」

雷「古鷹さんたちの連携が上手くいってるのに比べて、響たちはデッキの相性が良くないみたいだけど……大丈夫なの?」

響「知らん。そんなことは私の管轄外だ」

電「姉妹のことを考えないお姉ちゃんは嫌いなのです」

響「ごめん電。今のは冗談、冗談だよ。だから、そんなに冷たい目で見ないでくれ!」

暁「……なにこの寸劇」

雷「やれやれ、付き合ってられないわね。早いとこ予告を済ませて、終わらせちゃいましょ」

暁「ええ、賛成だわ。次回『怒れる天使』。デュエル・スタンバイ!」
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