「さて、それでは我々も始めましょうか」
先ほどまで響たちがデュエルしていた場所に、電たちは彼女らと入れ替わる形で立つ。
「今回は、私たちが先攻・後攻を決めてもいいでしょうか? 前のデュエルではこちら側が負けてしまったことですし」
「いいわよ」
「電も、異議なしなのです」
「では、私たちは先攻を取らせてもらいます。一人目が私、二人目が衣笠さんです。そちらの順番はどうしますか?」
「青葉さんたちと同じでいくわ。姉の私が最初、その次が電よ」
「分かりました。それでは、改めて――」
「「「「デュエル!!」」」」
青葉 LP4000
衣笠 LP4000
雷 LP4000
電 LP4000
「まずは私のターンからです。私は手札の『シャドウ・リチュア』の効果を発動。このカードを手札から捨てることで、デッキから儀式魔法『リチュアの儀水鏡』を手札に加えます。続いて手札の『ヴィジョン・リチュア』の効果を発動。同じくこのカードを捨てて、今度は儀式モンスターの『イビリチュア・ガストクラーケ』を手札に加えます」
《シャドウ・リチュア》
効果モンスター
星4/水属性/海竜族/攻1200/守1000
水属性の儀式モンスターを特殊召喚する場合、このカード1枚で儀式召喚のためのリリースとして使用できる。
また、手札からこのカードを捨てて発動できる。
デッキから「リチュア」と名のついた儀式魔法カード1枚を手札に加える。
《ヴィジョン・リチュア》
効果モンスター
星2/水属性/海竜族/攻 700/守 500
水属性の儀式モンスターを特殊召喚する場合、このカード1枚で儀式召喚のためのリリースとして使用できる。
また、手札からこのカードを捨てて発動できる。
デッキから「リチュア」と名のついた儀式モンスター1体を手札に加える。
「儀式モンスター……? 前に司令官さんとデュエルしていた時には、見なかったカードなのです」
「確かにそうね。あの時は、特殊召喚を封じるカードが多かったはずだけど」
「お二人とも鋭いですね。たったこれだけのカードから、デッキの変化に気づくとは」
楽しげな笑みを浮かべて、青葉は二人の疑問に答える。
「お察しの通り、私のデッキは春瀬少将に挑んだ時のものではありません。このデッキはまったくの別物です。ついでに言うと、あのデッキはもう崩しました」
「えっ、崩しちゃったの?」
驚く雷に、青葉は「はい」と頷く。
「あれは、春瀬少将に取材を申し込むためだけに作った、急拵えのデッキでしたからね。デッキの構築は雑ですし、使える戦法も特殊召喚封じだけです。春瀬少将のデッキが特殊召喚主体だったからこそ、それなりに戦えていたものの、他のデッキが相手では瞬殺されていたでしょう。そんなデッキを、いつまでも使うわけにはいきません」
「それで、新しいデッキを組んだのですね」
「ええ。今度のデッキは、私の好みに合わせてじっくり時間をかけて作りました。前のデッキとは段違いの完成度ですから、覚悟して下さいね」
「二人とも、気をつけた方がいいわよ。こいつの性格の悪さが滲み出たデッキだから」
「んなっ、失礼ですね衣笠さん! 私ほど自分の欲求に忠実に動く純粋な艦娘は、海軍中を探しても他にいませんよ!」
「あんたの場合は、その欲求が不純でしょうが。ほら、さっさとデュエルを進めなさい。いくら言い訳したところで、その儀式魔法を発動した瞬間に化けの皮は剥がれるわよ」
「まったく、酷い言い草ですね。……いいでしょう。百聞は一見に如かず、実際にこのデッキと戦って雷さんたちに判断を下してもらいます。私は手札から儀式魔法『リチュアの儀水鏡』を発動します!」
「きたっ、儀式魔法……!」
青葉が発動した魔法カードを見て、雷と電は身構える。
「私は手札のレベル6モンスター『聖刻龍-シユウドラゴン』をリリースします。そして、同じくレベル6の儀式モンスター『イビリチュア・ガストクラーケ』を降臨させます!」
《リチュアの儀水鏡》
儀式魔法
「リチュア」と名のついた儀式モンスターの降臨に必要。
自分の手札・フィールド上から、儀式召喚するモンスターと同じレベルになるようにモンスターをリリースしなければならない。
また、自分のメインフェイズ時に墓地のこのカードをデッキに戻す事で、自分の墓地の「リチュア」と名のついた儀式モンスター1体を選択して手札に戻す。
《イビリチュア・ガストクラーケ》
儀式・効果モンスター
星6/水属性/水族/攻2400/守1000
「リチュア」と名のついた儀式魔法カードにより降臨。
このカードが儀式召喚に成功した時、相手の手札をランダムに2枚まで確認し、その中から1枚を選んで持ち主のデッキに戻す。
青葉の場に一枚の鏡が出現し、その鏡面から異形の怪物が出現する。人間の上体に、イカかタコのような下半身を加えたその姿を見て、雷と電は思わず眉をひそめる。
「ガストクラーケには、儀式召喚に成功した時に発動する効果があります。さらに、その効果にチェーンして、リリースされたシユウドラゴンの効果も発動します。まずはシユウドラゴンの効果で、デッキから『エレキテルドラゴン』を特殊召喚します。ただし、この効果で特殊召喚したモンスターの攻守はゼロになります」
《聖刻龍-シユウドラゴン》
効果モンスター
星6/光属性/ドラゴン族/攻2200/守1000
このカードは自分フィールド上の「聖刻」と名のついたモンスター1体をリリースして手札から特殊召喚できる。
1ターンに1度、このカード以外の自分の手札・フィールド上の「聖刻」と名のついたモンスター1体をリリースする事で、相手フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。
このカードがリリースされた時、自分の手札・デッキ・墓地からドラゴン族の通常モンスター1体を選び、攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する。
《エレキテルドラゴン》
通常モンスター
星6/光属性/ドラゴン族/攻2500/守1000
常に電気を纏い空中を浮遊するドラゴン。
古代より存在し、その生態には未だ謎が多いものの、古のルールにより捕獲は禁止されている。
「続いて、ガストクラーケの効果を発動。このカードの儀式召喚に成功した時、相手の手札をランダムに2枚まで確認し、その中の1枚をデッキに戻します。私は、雷さんに対してこの効果を使います!」
青葉の宣言を受けて、雷の手札から無作為に選ばれた二枚の画像がフィールドに映し出される。それを確認した青葉は、「危ない、危ない」と安堵の息を吐いた。
「『ライオウ』を手札に持ってましたか……。サーチ効果を多用するこのデッキには、そのカードは天敵です。もう一枚の『
「むう……。分かったわ」
デュエル開始早々に手札破壊をくらった雷は、やや憮然とした様子で指示されたカードをデッキへと戻す。
「いきなり手札破壊とは……やってくれるわね、青葉さん」
次ターンでの反撃を胸に誓いつつ、雷は青葉に話しかける。
「いやあ、それほどでも」
青葉はにこやかに答え、
「ですが」
と言葉を続ける。
「まさか、この程度で終わるとは思っていませんよね?」
「えっ?」
「私のデッキの力は、こんなものではありませんよ。私は、レベル6のガストクラーケとエレキテルドラゴンで、オーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚、『セイクリッド・トレミス
《セイクリッド・トレミス
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/光属性/機械族/攻2700/守2000
レベル6モンスター×2
このカードは「セイクリッド・トレミスM7」以外の自分フィールドの「セイクリッド」Xモンスターの上にこのカードを重ねてX召喚する事もできる。
この方法で特殊召喚した場合、このターンこのカードの効果は発動できない。
(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分または相手の、フィールド・墓地のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを持ち主の手札に戻す。
「トレミスの効果を発動。1ターンに1度、このカードのオーバーレイ・ユニットを一つ使うことで、自分または相手のフィールド・墓地のカード1枚を持ち主の手札に戻します。私が手札に戻すのは、自分の墓地のシユウドラゴンです。さらに墓地のリチュアの儀水鏡の効果を発動し、このカードをデッキに戻すことで、墓地のガストクラーケを手札に戻します。そして、魔法カード『サルベージ』を発動します」
《サルベージ》
通常魔法
自分の墓地の攻撃力1500以下の水属性モンスター2体を選択して手札に加える。
「このカードは、自分の墓地に存在する攻撃力1500以下の水属性モンスター2体を手札に戻すカードです。私は、墓地のシャドウ・リチュアとヴィジョン・リチュアを手札に戻します」
「えっ……ちょっと待って、これってまさか――」
顔を青くする雷を見て、青葉は「気づいたようですね」と口角を上げる。
「私は、手札に戻したシャドウ・リチュアの効果を発動。このカードを捨てて、デッキから『リチュアの儀水鏡』を手札に加えます。そして、リチュアの儀水鏡を発動! 手札のシユウドラゴンをリリースして、再びガストクラーケを儀式召喚します!」
「やっぱり、また儀式召喚! てことは、ガストクラーケの効果も――」
「ええ、もちろん。ガストクラーケだけでなく、シユウドラゴンの効果も発動しますよ。私はシユウドラゴンの効果で、デッキから二枚目のエレキテルドラゴンを特殊召喚。そして、ガストクラーケの効果を発動……狙いは、今度も雷さんです!」
「また私!?」
「はい。さあ、手札を二枚見せてもらいますよ」
「くっ……」
再び、雷の手札の一部がフィールド上に公開される。今度の二枚は、「サンダー・シーホース」と「バッテリーリサイクル」だった。
「サンダー・シーホースはデッキから雷族モンスターをサーチする効果、バッテリーリサイクルは墓地の雷族モンスターを回収する効果……。どちらも強力なカードですが、序盤でどちらに対処すべきかは明白ですね。サンダー・シーホースをデッキに戻してもらいます」
自分のターンが始まっていないにも関わらず、手札が次々に消滅する不幸に見舞われる雷。しかし、彼女の受難はまだ終わらなかった。
「私のフィールドには、再びレベル6のモンスターが2体揃いました。私はこの2体でオーバーレイネットワークを構築。二体目のトレミスをエクシーズ召喚します!」
「あーあ、また青葉のソリティアが始まった……」
姉の姿を横目で捉え、衣笠が溜息をつく。
「青葉さん、一人でやってるのです……」
衣笠の向かいに立つ電も、困惑気味に呟く。
「ほら、青葉。いつまで長引かせるつもりなの? あまり長いと、雷ちゃんたちに『壁とやってろ』って言われるわよ」
「もうちょっと待ってください。あと一回ガストクラーケを召喚すれば終わりますから」
「まだ儀式召喚するの!?」
青葉の言葉を聞いて、雷は悲鳴に近い声を上げる。
「私は二体目のトレミスの効果を発動。オーバーレイ・ユニットを一つ使い、墓地のシャドウ・リチュアを手札に戻します。さらに、儀水鏡をデッキに戻すことで墓地のガストクラーケを手札へ。そしてシャドウ・リチュアを手札から捨てて、デッキからリチュアの儀水鏡を手札に加えます。
……これで準備は整いました。三度目のリチュアの儀水鏡を発動! 私は手札のヴィジョン・リチュアをリリースし、ガストクラーケを儀式召喚します!」
「えっ!? ヴィジョン・リチュアはレベル2だから、儀式召喚のリリースには足りないはずじゃ――」
「ヴィジョン・リチュアとシャドウ・リチュアには、このカード1枚で儀式召喚に必要なリリースを肩代わりできる効果があるんですよ。さぁ雷さん、覚悟はいいですか? 私は雷さんを対象に、三度目となるガストクラーケの効果を発動します!」
「もうっ、なんで私ばかり狙うのよ!」
「すみませんね。ですが、これが私の戦術なので」
雷の抗議に対して、青葉が答える。
「雷さんも知っての通り、デュエルモンスターズには多種多様なカードが存在します。その組み合わせは、星の数より多いと言っても過言ではないでしょう。当然、そこから生まれる戦術のすべてに対抗策を用意することはできません。だから私は、考え方を変えました。すべての対抗策が用意できないのなら、相手の戦術そのものを先に潰してしまえばいい、と」
「それが、手札破壊ってこと?」
「その通りです。どんなに強力な効果を持つカードでも、フィールドに出なければ効果を発揮することはありません。ならば、フィールドに出る前に対処してしまおう。そういう理由で、私は手札破壊を自分の戦術としたのです」
「なら、私ばかり狙うのはどうして?」
「それは、単に順番の問題です。電さんのターンは四番目なので、三番目の衣笠さんに対処を頼むこともできます。ですが、雷さんの前に動けるのは私しかいません。だから私は、まずは雷さんの動きを徹底的に封じることにしました」
「確かに、理には適ってるけど……。やられる側にとっては、とんだ災難だわ」
「私も、雷さんには悪いと思ってます。ですが、これは真剣勝負。少々大人げなくとも、全力で勝利を掴み取ります」
青葉は会話を終え、改めてガストクラーケの効果処理に入る。
「それでは、ランダムに選んだ二枚の手札を確認させてもらいます」
「……この二枚は『オネスト』と『バッテリーリサイクル』よ」
「おおっと。まさか、オネストまであるとは……。雷さんの引きの強さは、相当なもののようですね。ですが、それも事前に対処してしまえば恐るるに足りません。オネストをデッキに戻してもらいましょう」
とうとう、雷の手札枚数は初期段階の半分を割る二枚にまで落ち込む。青葉は最後にカードを一枚伏せてターンを終了し、ようやく雷の番となる。
「やっと私のターンになったわね。ドロー!」
ドローしたカードを見た雷は、小さく頷いて手札のモンスターを場に出す。
「私は『
「させません。トラップ発動、『水霊術-「葵」』!」
しかし、雷が動くより先に、青葉がリバースカードを発動する。
《
効果モンスター
星4/光属性/雷族/攻1400/守 700
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。
手札から「OKaサンダー」以外の雷族・光属性・レベル4のモンスター1体を召喚する。
《水霊術-「葵」》
通常罠
自分フィールド上の水属性モンスター1体をリリースして発動できる。
相手の手札を確認し、カードを1枚選んで墓地へ送る。
「水霊術-『葵』は、自分の水属性モンスターをリリースすることで、相手の手札を確認してその中の1枚を墓地へ送るカードです。私はガストクラーケをリリースしてこのカードを発動。雷さんの手札を確認させてもらいます」
「……私の手札は、『バッテリーリサイクル』と『ヴァイロン・プリズム』よ」
「では、ヴァイロン・プリズムを墓地へ送ってください」
青葉の指示に従い、雷はデュエルディスクの墓地ゾーンにカードを入れる。
「やはり、レベル4モンスターを持っていましたか。シンクロやエクシーズをされていたら、危ないところでした」
「どうして、私の考えが分かったの?」
「初歩的な推理ですよ」
驚いた様子で尋ねる雷に、青葉は答える。
「前のターンで、雷さんの手札が『OKaサンダー』と『バッテリーリサイクル』であることは分かっています。OKaサンダーは手札からモンスターを召喚する効果を持っていますが、バッテリーリサイクルは魔法カードなのでその効果は使えません。もし、ドローしたカードも魔法か罠であれば、OKaサンダーを攻撃表示では召喚しないでしょう。それをしたということは、残りの一枚がモンスターカードであることは確実。だから、場に出される前に墓地へ送らせてもらいました」
「よく見てるのね……。私はカードを一枚伏せて、ターンエンドよ」
「いいんですか? バッテリーリサイクルは通常魔法。伏せていても相手ターンには発動できません。正体がバレているので、ブラフにもなりませんよ」
「いいわ。このままだと、また手札破壊されそうで怖いもの」
「なるほど、賢い判断です。では、次は衣笠さんのターンですね」
「ようやくね。青葉が自分のターンを長引かせるから、待ちくたびれちゃったわ」
肩を竦めてぼやきつつ、衣笠はドローする。
「私は『ローンファイア・ブロッサム』を召喚して、効果を発動。このカードをリリースして、デッキから『ギガプラント』を特殊召喚するわ。さらに、装備魔法『スーペルヴィス』をギガプラントに装備させるわ」
《ローンファイア・ブロッサム》
効果モンスター
星3/炎属性/植物族/攻 500/守1400
1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在する植物族モンスター1体をリリースして発動できる。
デッキから植物族モンスター1体を特殊召喚する。
《ギガプラント》
デュアルモンスター
星6/地属性/植物族/攻2400/守1200
このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、通常モンスターとして扱う。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。
自分の手札・墓地から昆虫族または植物族モンスター1体を選んで特殊召喚する。
《スーペルヴィス》
装備魔法
デュアルモンスターにのみ装備可能。
装備モンスターは再度召喚した状態になる。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードが墓地へ送られた時、自分の墓地に存在する通常モンスター1体を選択して特殊召喚する。
「ギガプラントは効果モンスターだけど、フィールドに出しただけじゃ効果が使えない特殊なカード。通常召喚扱いでもう一度召喚することで効果が使えるようになるけれど、スーペルヴィスはその手順を省略して効果を使用可能にできるわ。私はギガプラントの効果を発動。墓地のローンファイア・ブロッサムを特殊召喚するわ」
「ローンファイア・ブロッサム……。また植物族モンスターを特殊召喚するつもりね」
「その通りよ。私はローンファイア・ブロッサムの効果を発動。出てきなさい、『
《
効果モンスター
星8/風属性/植物族/攻2800/守2600
自分フィールド上に表側表示で存在する植物族モンスター1体をリリースして発動できる。
フィールド上のカードを対象にする魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する。
「私はカードを二枚セット。これでターンエンドよ」
「私のターンなのです。ドロー!」
電は手札をざっと眺めると、雷に向かって声をかける。
「雷ちゃん。雷ちゃんのモンスターを使わせてもらってもいいですか?」
「もちろん! 電の好きに使いなさい」
「ありがとうなのです」
雷の快諾を得て、電は手札から二枚のカードを抜き出す。
「このタッグデュエルでは、お互いにパートナーのフィールドと墓地のカードを、自分のカードとして各種のリリース・コスト・効果対象とすることができるのです。私は雷ちゃんのOKaサンダーをリリースして、『充電池メン』を召喚します。そして充電池メンの効果で、デッキから『電池メン-単三型』を攻撃表示で特殊召喚するのです」
「単三型を攻撃表示……! てことは電、手札にあのカードを持ってるわね」
雷の言葉に応えるように、電はもう一枚のカードを発動する。
「単三型の特殊召喚に成功した時に、速攻魔法発動! 『地獄の暴走召喚』! このカードの効果で、手札・デッキ・墓地から単三型を可能な限り特殊召喚するのです!」
《充電池メン》
効果モンスター
星5/光属性/雷族/攻1800/守1200
このカードの召喚に成功した時、手札・デッキから「充電池メン」以外の「電池メン」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。
このカードの攻撃力・守備力は、自分フィールド上の雷族モンスターの数×300ポイントアップする。
《電池メン-単三型》
効果モンスター
星3/光属性/雷族/攻 0/守 0
自分フィールド上の「電池メン-単三型」が全て攻撃表示だった場合、「電池メン-単三型」1体につきこのカードの攻撃力は1000ポイントアップする。
自分フィールド上の「電池メン-単三型」が全て守備表示だった場合、「電池メン-単三型」1体につきこのカードの守備力は1000ポイントアップする。
《地獄の暴走召喚》
速攻魔法
相手フィールド上に表側表示でモンスターが存在し、自分フィールド上に攻撃力1500以下のモンスター1体が特殊召喚に成功した時に発動する事ができる。
その特殊召喚したモンスターと同名モンスターを自分の手札・デッキ・墓地から全て攻撃表示で特殊召喚する。
相手は相手自身のフィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、そのモンスターと同名モンスターを相手自身の手札・デッキ・墓地から全て特殊召喚する。
「やっぱりきたわね、電の必殺カード! これで単三型を三体並べれば……」
電池メンの攻撃で相手モンスターを一掃する光景を想像し、雷は表情を明るくする。しかし、
「そうはいかないわ。カウンター罠発動、『ポリノシス』!」
《ポリノシス》
カウンター罠
自分フィールド上の植物族モンスター1体をリリースして発動できる。
魔法・罠カードの発動、モンスターの召喚・特殊召喚のどれか1つを無効にし破壊する。
「このカードは、植物族モンスターのリリースと引き換えに、魔法・罠の発動とモンスターの召喚・特殊召喚を無効にし破壊するカード。私はギガプラントをリリースして、地獄の暴走召喚を無効にする!」
「そんなっ!」
「二人のデッキの特徴は、青葉から聞いてるわ。電のデッキは爆発的な火力に注意。特に、その起爆剤になる暴走召喚は絶対に止めろ、ってね。悪いけど、そのカードの発動を許すことはできないわ」
「……流石は青葉さん。司令官さんの時と同じように、私たちのデッキのこともよく調べているのです」
「さらに私は、スーペルヴィスの効果を発動。表側のこのカードが墓地へ送られた時、墓地の通常モンスター1体を特殊召喚するわ。私はギガプラントを特殊召喚!」
「くっ……。なら私は、手札の『燃料電池メン』を特殊召喚するのです」
《燃料電池メン》
効果モンスター
星6/光属性/雷族/攻2100/守 0
自分フィールド上に「電池メン」と名のついたモンスターが2体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
1ターンに1度、このカード以外の自分フィールド上の「電池メン」と名のついたモンスター1体をリリースして発動できる。
相手フィールド上のカード1枚を選択して持ち主の手札に戻す。
「自分フィールドの雷族モンスターが3体になったことで、充電池メンの攻撃力は2700に上がります。バトル! 充電池メンで、青葉さんのトレミスに攻撃なのです!」
トレミスの攻撃力は、現在の充電池メンと同じ2700。二体のモンスターは互いに正面からぶつかり合い、ともに爆散する。
「メインフェイズ2に、私は燃料電池メンの効果を発動します。単三型をリリースして、もう一体のトレミスを手札に戻すのです」
「ふむ……。トレミスの効果の再使用を防ぐことに加えて、雷さんへのダイレクトアタックのリスクを軽減する。いい作戦ですね、電さん」
ですが、と青葉は言葉を続ける。
「その策は、成功しません」
青葉の言葉に合わせ、衣笠が「ティタニアルの効果発動!」と叫ぶ。
「フィールドのカードを対象にする効果が発動した時、植物族モンスターをリリースすることで、その効果を無効にして破壊できる。私はギガプラントをリリースして、燃料電池メンの効果を無効にし破壊!」
ティタニアルの伸ばした枝が燃料電池メンを捕え、動きを封じたうえで破壊する。これにより、電のフィールドも雷と同様にガラ空きとなってしまった。
「ティタニアルがそんな効果を持っていたなんて……。私は『
《
通常魔法
500ライフポイントを払う。
自分の墓地から「電池メン」という名のついたモンスター1体を特殊召喚する。
電 LP4000→3500
「ごめんなさい、雷ちゃん。せっかくモンスターを使わせてもらったのに、何もできなかったのです」
「電は悪くないわ。私だって、衣笠さんが連続でカウンターを打ってくるとは思わなかったもの。それよりも……」
雷は、互いのフィールドに視線を走らせる。
「今は、どうやって次の自分のターンまで生き残るかよ」
相手の場には、三体の上級モンスター。しかも、そのうちの一体には、相手ターンでも発動できる効果が備わっている。対する彼女たちの場には、モンスターが一体のみ。雷に至っては正体の割れている伏せカード一枚と、丸裸に等しい状態だ。
「今の私には、身を守る手段は何もない。こんなこと考えたくはないけど、次のターンで青葉さんが攻撃力1300以上のモンスターを召喚したら私は負けるわ」
「雷ちゃん、弱気になったらダメなのです!」
「そうは言っても……。私だって、これが自分のターンだったら少しは前向きになれるわよ。何かできることがあるかもしれない、って。でも、相手のターンじゃ私は何もできない。どうしようもないわ」
「大丈夫なのです。絶対、絶対、大丈夫なのです!」
電は懸命に雷を励ますが、彼女の表情は変わらない。そんな二人の前で、雷の運命を決める青葉のターンが始まった。
暁「青葉さんのデッキ、えげつないわね……。先攻一ターン目で手札破壊なんてされたら、対処のしようがないじゃない」
響「あれが、一時期その名を轟かせた【聖刻リチュア】さ。手札破壊によって相手の動きを完膚なきまでに封じる、変則的なワンキルデッキだよ」
雷「作中でも、衣笠さんが青葉さんの『性格の悪さが滲み出たデッキ』って言ってたわね」
電「念のため補足しておきますが、作者さんは別に聖刻リチュアに恨みがあるわけではないのです。衣笠さんの台詞にもこのデッキを批判する意図はないので、聖刻やリチュア使いの人は、気を悪くしないでほしいのです」
暁「けど、電たちはここからどうやって勝つつもりなの? 衣笠さんの防御も固いし、この状況を引っくり返せるのかしら」
雷「それは……」
電「大丈夫なのです。青葉さんたちは手強いですけど、電たちも負けてはいないのです。電は、自分のデッキと、雷ちゃんを信頼しているのです」
雷「電……。そうね! 私たち姉妹のタッグですもの。負けるはずがないわ!」
電「その通りなのです。次回『姉妹の絆』。デュエル・スタンバイなのです!」