タイトルの通り、今年の秋限定ボイスが元となっています。
なお、番外編の時間軸は本編とは異なるため、今回の話は前回・次回とは無関係です。
それでは、トラック泊地の秋祭りをお楽しみください。
「今年も賑わってるわね!」
カタカタと下駄を鳴らしながら、雷はワクワクした様子で左右を見回す。
「流石は南洋最大の鎮守府、トラック泊地の秋祭りってとこかしら。りんご飴に、イカ焼き……あっ、向こうにはお好み焼きもあるわ!」
「お店がいっぱいあって、どれにしようか悩んじゃうのです」
雷の後ろを歩く電が、同じように周りを見ながら言う。しかし、悩ましいという言葉とは反対に、彼女はとても楽しそうな表情を浮かべている。
「あなたたち、はしゃぎすぎよ!」
電のさらに後ろから、暁が二人を注意する。
「いくらお祭りだからって、そんなに浮かれないの。子供じゃないんだから、もっと落ち着いて楽しみなさい」
「分かってないわね、暁。お祭りっていうのは、羽目を外すくらいがちょうどいいのよ。無礼講って言葉があるでしょ? 堅苦しい日常を抜け出して、みんなで盛り上がる。それがお祭りってものよ」
「そういう考えもあるかもしれないけど、でも――」
「それにね、暁」
雷は、足を止めて姉の顔を指さす。
「その格好で何を言っても、まったく説得力ないわよ」
「う……」
言葉を詰まらせた暁の全身を、雷は舐めるように見回す。
青みがかった紫色の浴衣に身を包む暁の頭には、屋台で買ったお面が掛けられている。右手には、別の屋台で買った綿あめ。左手には、水風船がぶら下がっている。頭のてっぺんから足の先まで、完全にお祭り一色である。
「私たちはまだ何も買ってないのに、一人だけ買い込んで……。そんな状態で、よく人に注意できるわね」
「わっ、私は別に、浮かれてるわけじゃないんだから! 妹たちが安心して羽目を外せるように、あえてこういう格好をしてるのよ!」
「はいはい。お気遣いどうも」
「ほ、本当なんだからね!」
「ねえ、電。どこから見て回る? やっぱり、最初は腹ごしらえかしら」
必死に主張する暁を無視して、雷は電に話しかける。
「そうですね。黒潮ちゃんから、内地で評判のたこ焼き屋さんが出店していると聞いてるので、電はそこに行ってみたいのです」
「それは私も気になるわね。じゃあ、まずはそこに行ってみましょ。そのあとは、明石さんが出してる射的の屋台に寄っていい? 噂によると、今年は景品の中にデュエルモンスターズのレアカードもあるらしいのよ」
「もちろんなのです」
「決まりね。まずは、黒潮お勧めのたこ焼きをゲットよ!」
「なのです!」
「あっ、こら、二人とも! 待ちなさーい!」
駆け足になった二人を暁が追いかけ、それを響が苦笑しながらさらに追う。四人はたこ焼きの屋台を経由した後、明石が仕切る射的の屋台へとやって来た。
「明石さん、こんばんはー!」
「あら、六駆のみんな。いらっしゃい。四人とも、浴衣姿よく似合ってるわよ」
声を揃えて挨拶した四人へ、明石は笑顔を向けて応じる。ちなみに、暁以外の三人が着ている浴衣の色は、響が水色、雷が橙色、電が薄い黄色である。
「明石さん。射的一回やらせて!」
「どうぞ。駆逐艦の子たちは、一回300円。弾は五発よ」
「電も、やってみるのです」
料金を渡してコルク銃と弾を受け取り、雷と電は射撃位置に立つ。雷は素早く銃の先端に弾となるコルク栓を詰めると、元気な掛け声とともに引き金を引いた。
「てぇーッ!」
しかし、放たれた弾は明後日の方向へ飛び、景品が並ぶ台の背後にある壁にぶつかる。雷は二発、三発と撃っていくが、弾は標的にかすりもしない。隣で挑戦している電も、彼女と同じく一発の命中弾もない。
「どうして当たらないのかしら? 普段はこれよりずっと大きな砲で上手く射撃できてるのに」
頭を捻りながら雷は銃を構え、四発目を撃つ。これも前の三発と同様に命中せず、彼女の持ち弾は残り一つになる。
「最後の一発……今度こそ!」
真剣な表情を浮かべ、雷は狙いを定める。その背後から、不意に笑い声が聞こえた。
「そがぁな撃ち方じゃ、いつまでたっても当たらんよ」
「えっ?」
振り向いた雷の手元から、コルク銃がひょいと取り上げられる。驚いた雷が視線を上げると、彼女の銃は紺色の浴衣を着た少女の手に収められていた。
「あんたの撃ち方はなっとらん。うちがちゃんとした撃ち方を教えちゃる」
「あなたは、確か神通さんの部隊の……」
「第二司令室の浦風じゃ。よろしくね」
紺色の浴衣の少女――浦風は、にっこりと笑って自己紹介をする。彼女は雷の名前を聞くと、「それじゃあ、雷」とその手を取った。
「うちが射的のコツを教えちゃる。うちの言う通りに撃ってみて」
浦風は雷の手を取りながら銃の構え方を指示し、狙いの付け方を教えていく。
「的を狙う時は、中心じゃのぉて、端を狙うんよ。下から撃つような感じで……そう。今じゃ、撃て!」
浦風の指示と同時に雷が引き金を引く。発射されたコルク弾は、今度は狙い通りの場所――標的の左上――に命中し、的を右回転させながら景品台の下に落とした。
「と、獲れたわ!」
台から落ちた景品を見て、雷は驚きと喜びが混じった声を出す。浦風は電にも同じようにコツを教え、目当ての景品を獲得させた。
「ありがとうなのです。浦風ちゃん」
「本当、助かったわ。この明石さん厳選レアカードパック、どうしても欲しかったの。ありがとう」
「どういたしまして。うちも、二人が喜んでくれてえかったわ」
浦風は「それにしても」と明石に視線を転じる。
「明石さんも屋台を出しとるなんて、意外じゃったわ。てっきり、外の人ばかりじゃゆぅて思うとったんじゃが」
「鎮守府のお祭りは基本的に地域の人たちとの交流を目的としていて、屋台も外部の人の出店がほとんどだから、確かに私がいるのは意外かもしれないわね。けど、お祭りには一般の人たちも来るから、交流のために私も店を出してるのよ」
「そうなんか。うちも一回やってええ?」
「もちろん。でも、全弾命中させても持ち帰るのは一個だけよ?」
「うん。ええよ」
浦風は明石からコルク銃と弾を受け取ると、慣れた手つきで弾を込め、射撃する。彼女が放った弾は次から次へと面白いほどに命中し、景品を台から叩き落としていく。
「凄い! まるで神業ね!」
「へへっ。うち、祭りの射的は得意なんや」
話しながら撃っても、浦風の射撃精度は落ちない。彼女は瞬く間に四発を撃ち終わり、最後の一発となった。
「さあ、仕上げじゃ」
唇を軽く舐め、浦風は最後の獲物に狙いを定める。弾は今度も吸い寄せられるように景品へ飛んでいき、見事にそれを撃ち落とした。
「ほ、本当に全弾命中させちゃった!」
「どがぁなもんじゃい!」
目を丸くする雷たちへ、浦風は得意げな顔を向ける。と、その時、彼女の隣からも同じように歓声が上がった。
「よっしゃあ! 景品ゲットだ!」
「やったね、涼風!」
「んん?」
浦風が隣に視線を向けると、彼女と同じコルク銃を持った少女がガッツポーズを決めているのが目に入った。紺色の髪を肩のあたりで二つ結びにし、自身の髪と似た色の浴衣を身に着けている。恐らく、駆逐艦の艦娘だろう。彼女の傍には、よく似た見た目の少女がもう一人、水色の浴衣を着て立っていた。
「四発外して最後の一発だったけど、当たりは当たりだぜ。これで、レアカードパックをゲットよ!」
銃を台に置きながら、紺色の髪の少女は満面の笑みを浮かべる。しかし、浦風はそれに対して待ったをかける。
「ちぃと待ちの。あんた」
「あん?」
振り向いた少女に、浦風は言う。
「あの景品は、うちのもんよ。たった今、うちが最後の一発で撃ち落としたんじゃけぇ」
「なに言ってんのさ。あの景品は、あたいが撃ち落としたんだ」
「うちは、自分の弾が当たったのをこの目で見たんじゃ。間違いない、あれはうちのもんじゃ」
「いいや! あれは、あたいのだ。こっちだって、自分の弾が命中したのをしっかり見てんだ」
浦風の主張に対して、相手の少女も負けじと反論する。
「ていうか、そっちは同じの四つも景品獲ってるじゃんか! どうせ貰えるのは一つだけなんだから、その中から選べばいいだろ」
「そうはいかんわ。うちは、自分の獲物は人に譲らん主義なんよ。それが、他の人も狙っとるとありゃぁ、なおさらよ」
ずらりと並ぶ景品の中で、倒れているのは両者が取り合っているカードパックだけしかない。となると、二人の弾が同時に当たったか、あるいは一方が嘘をついていることになる。いずれにせよ、争いは避けられない。
「なら、デュエルだ! カードパックばかり撃ち落としてるってことは、あんたもデュエルモンスターズやってるんだろ? あのパックがどっちの物か、デュエルで白黒はっきりさせようじゃねぇか」
「面白い。受けて立っちゃるわ」
「へっ。そうこなくっちゃ! 五月雨、ちょっとあたいの荷物持ってて」
「ちょっ……涼風! こんなところでデュエルしたら迷惑だよ!」
「デュエリストとデュエリストが出会った時、そこは戦いの舞台となる……。そこに、時間と場所は関係ねえ!」
水色の浴衣の少女――五月雨の制止を振り切って、涼風と呼ばれた少女はどこからともなく取り出したデュエルディスクを構える。
「あんた、ええことゆうのぉ。好きやで、そういうの」
答えながら、浦風もデュエルディスクを左腕に装着する。
「うちは第二司令室の浦風じゃ。あんたは?」
「涼風だよ。長官直率の航空戦隊の随伴艦さ」
「あの~、二人とも? こういう時は、もう一回やり直しに――」
「それじゃ、いくよ!」
「おう!」
「「デュエル!!」」
浦風 LP4000
涼風 LP4000
「先攻はうちじゃね。うちは、モンスターをセット。さらにカードを一枚伏せて、ターン終了じゃ」
「いやに大人しいデュエルじゃねぇか。威勢がいいのは、口先だけかい?」
「言ぅとけ。あんたこそ、はよぉモンスターを出したらどうじゃ?」
「言われなくても、そのつもりさ。あたいのターン。あたいは、手札から『
《
効果モンスター
星3/風属性/機械族/攻1200/守 600
「SRベイゴマックス」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。
デッキから「SRベイゴマックス」以外の「スピードロイド」モンスター1体を手札に加える。
「ベイゴマックスは、自分フィールドにモンスターいない時、特殊召喚できる。さらに、ベイゴマックスは特殊召喚された時、デッキからこのカード以外の『スピードロイド』モンスターを手札に加えることができる。あたいは『SR三つ目のダイス』を手札に加え、こいつを召喚!」
「ベーゴマにサイコロ……。面白いモンスターたちじゃね」
涼風の場に並んだモンスターを見て、浦風が呟く。
「まだまだいくぜ。あたいは、レベル3のベイゴマックスに、同じレベル3の三つ目のダイスをチューニング! シンクロ召喚! 来い、『
《SR三つ目のダイス》
チューナー・効果モンスター
星3/風属性/機械族/攻 300/守1500
(1):相手ターンに墓地のこのカードを除外して発動できる。
このターン、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。
《
シンクロ・効果モンスター
星6/風属性/機械族/攻2200/守1600
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「HSR魔剣ダーマ」の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
(2):自分の墓地の機械族モンスター1体を除外して発動できる。
相手に500ダメージを与える。
(3):このカードが墓地に存在し、自分フィールドにカードが存在しない場合、自分メインフェイズに発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果を発動するターン、自分は通常召喚できない。
「バトルだ! あたいは、魔剣ダーマで裏守備モンスターを攻撃! 魔剣ダーマは貫通効果を持ってるから、守備表示にしててもダメージは受けてもらうぜ」
「そうはいかんよ。うちは、伏せていたカードを発動。永続罠『ゴーストリック・ロールシフト』!」
《ゴーストリック・ロールシフト》
永続罠
1ターンに1度、バトルフェイズ中に以下の効果から1つを選択して発動できる。
●自分フィールド上の「ゴーストリック」と名のついたモンスター1体を選択して裏側守備表示にし、相手フィールド上に裏側守備表示で存在するモンスター1体を選んで表側攻撃表示にする。
●自分フィールド上に裏側守備表示で存在するモンスター1体を選択して表側攻撃表示にし、それが「ゴーストリック」と名のついたモンスターだった場合、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選んで裏側守備表示にする。
「このカードの効果で、うちは裏守備表示にモンスターを攻撃表示にする。うちがセットしていたモンスターは、『ゴーストリック・キョンシー』。表になったのが『ゴーストリック』モンスターだったから、魔剣ダーマは裏守備表示に変更じゃ。さらに、キョンシーがリバースした時の効果で、うちはデッキの『ゴーストリック・ランタン』を手札に加える」
《ゴーストリック・キョンシー》
効果モンスター
星3/闇属性/アンデット族/攻 400/守1800
自分フィールド上に「ゴーストリック」と名のついたモンスターが存在する場合のみ、このカードは表側表示で召喚できる。
このカードは1ターンに1度だけ裏側守備表示にする事ができる。
また、このカードがリバースした時、自分フィールド上の「ゴーストリック」と名のついたモンスターの数以下のレベルを持つ、「ゴーストリック」と名のついたモンスター1体をデッキから手札に加える事ができる。
「ゴーストリック・キョンシー」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。
「少しはやるみたいじゃねえか。あたいはこれでターンエンドだ」
「この程度でそがぁなことゆっとったら、うちに勝つなぁ無理よ。うちのターン。うちは、魔法カード『テラ・フォーミング』を発動。デッキから『ゴーストリック・ハウス』を手札に加える。そして、そのゴーストリック・ハウスを発動じゃ」
《テラ・フォーミング》
通常魔法
(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。
《ゴーストリック・ハウス》
フィールド魔法
このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのフィールド上のモンスターは、裏側守備表示のモンスターに攻撃できず、相手フィールド上のモンスターが裏側守備表示のモンスターのみの場合、相手プレイヤーに直接攻撃できる。
また、このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのプレイヤーが受ける効果ダメージ及び、「ゴーストリック」と名のついたモンスター以外のモンスターがプレイヤーに与える戦闘ダメージは半分になる。
「な、なんだぁ? フィールドが、なんか薄汚い部屋に……」
がらりと変わった風景を前に、涼風は戸惑いをあらわにする。
「ハウス」の名の通り、浦風が発動したフィールド魔法は、戦いの場を西洋屋敷の居間のような空間に変化させた。しかし、その部屋は全体に埃が積もっており、カーテンやテーブルクロスも破れたままになっているなど、生活感がまったく感じられず、不気味な雰囲気を漂わせていた。
「薄気味悪い部屋だな。ここ……」
「なんじゃ、怖がっとるんか?」
「バカ言え。こんなので、あたいが怖がるわけねぇだろ」
「そんならええけど。うちは、『ゴーストリック・マミー』を通常召喚。さらにキョンシーの効果を発動。このカードを裏守備表示にする。そして、すぐに反転召喚。キョンシーの効果で、今度は『ゴーストリックの
「ちょっと待った! 通常召喚は、一ターンに一回しかできないはずだろ」
「ゴーストリック・マミーの効果じゃ。このカードが表側表示でいる限り、うちは通常召喚とは別にもう一回、『ゴーストリック』を召喚できるんじゃ」
《ゴーストリック・マミー》
効果モンスター
星3/闇属性/アンデット族/攻1500/守 0
自分フィールド上に「ゴーストリック」と名のついたモンスターが存在する場合のみ、このカードは表側表示で召喚できる。
このカードは1ターンに1度だけ裏側守備表示にする事ができる。
また、このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分は通常召喚に加えて1度だけ「ゴーストリック」と名のついたモンスター1体を召喚できる。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分は闇属性以外のモンスターを特殊召喚できない。
《ゴーストリックの
効果モンスター
星2/闇属性/魔法使い族/攻 300/守1200
自分フィールド上に「ゴーストリック」と名のついたモンスターが存在する場合のみ、このカードは表側表示で召喚できる。
このカードは1ターンに1度だけ裏側守備表示にする事ができる。
また、このカードがリバースした時に発動する。
そのターンのエンドフェイズ時にフィールド上に表側表示で存在するモンスターは全て裏側守備表示になる。
その後、この効果で裏側守備表示になったモンスターの数以下のレベルを持つ、「ゴーストリック」と名のついたモンスター1体をデッキから裏側守備表示で特殊召喚できる。
「さあ、バトルじゃ。うちは、マミーで涼風にダイレクトアタック!」
「ダイレクトアタック? あたいの場にはモンスターがいるんだから、そんなこと――」
「それが、できるんじゃの。ゴーストリック・ハウスが発動している間、お互いに裏守備モンスターを攻撃することはできず、相手フィールドに裏守備モンスターしかいない場合は、ダイレクトアタックできるようになるんさ」
「なんだって!?」
涼風 LP4000→2500
「くっ……」
「まだまだ! 続けて、キョンシーと人形でも攻撃じゃ!」
涼風 LP2500→2100→1800
「うちはバトルを終了。メインフェイズ2で、マミーとキョンシーをオーバーレイ。『ゴーストリック・アルカード』をエクシーズ召喚じゃ!」
《ゴーストリック・アルカード》
エクシーズ・効果モンスター
ランク3/闇属性/アンデット族/攻1800/守1600
レベル3モンスター×2
相手はこのカード以外の「ゴーストリック」と名のついたモンスター及び裏側守備表示のモンスターを攻撃対象に選択できない。
このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
相手フィールド上にセットされたカード1枚を選択して破壊する。
「ゴーストリック・アルカード」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。
また、このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地からこのカード以外の「ゴーストリック」と名のついたカード1枚を選択して手札に加える事ができる。
「うちは、アルカードの効果を発動。オーバーレイ・ユニットを一つ使って、裏守備表示の魔剣ダーマを破壊する。さらに、ゴーストリックの人形を自身の効果で裏守備表示にして、ターンエンドじゃ」
「やってくれるじゃねえか……。あたいのターン。ドロー! あたいは、『SRダブルヨーヨー』を召喚」
《
効果モンスター
星4/風属性/機械族/攻1400/守1400
(1):このカードが召喚に成功した時、自分の墓地のレベル3以下の「スピードロイド」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
「ダブルヨーヨーの効果発動。自分の墓地から、レベル3以下の『スピードロイド』一体を特殊召喚する。あたいは、ベイゴマックスを特殊召喚。そして、ベイゴマックスの効果でデッキから『SRタケトンボーグ』を手札に加える」
「モンスターが二体……じゃが、チューナーもおらんし、レベルも違う。それじゃ、何もでけんよ」
「確かに。でも、これだけじゃないんだな。あたいが手札に加えたタケトンボーグは、自分フィールドに風属性モンスターがいる時に特殊召喚できる。ダブルヨーヨーとベイゴマックスは両方とも風属性。よって、この場で特殊召喚できる。来い、タケトンボーグ!」
《
効果モンスター
星3/風属性/機械族/攻 600/守1200
自分は「SRタケトンボーグ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):自分フィールドに風属性モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードをリリースして発動できる。
デッキから「スピードロイド」チューナー1体を特殊召喚する。
この効果の発動後、ターン終了時まで自分は風属性モンスターしか特殊召喚できない。
「あたいは、タケトンボーグの効果を発動。このカードをリリースして、デッキの『スピードロイド』チューナーを特殊召喚する。あたいは『SR赤目のダイス』を特殊召喚。さらに、赤目のダイスの効果で、ベイゴマックスのレベルを4に変更する」
「これで、涼風のフィールドにはレベル4のモンスターが二体。じゃが、チューナーがいるということは……」
「あたいは、レベル4のベイゴマックスとダブルヨーヨーに、レベル1の赤目のダイスをチューニング! シンクロ召喚! 現れろ、『ミスト・ウォーム』!」
《
チューナー・効果モンスター
星1/風属性/機械族/攻 100/守 100
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、「SR赤目のダイス」以外の自分フィールドの「スピードロイド」モンスター1体を対象とし、1~6までの任意のレベルを宣言して発動できる。
そのモンスターはターン終了時まで宣言したレベルになる。
《ミスト・ウォーム》
シンクロ・効果モンスター
星9/風属性/雷族/攻2500/守1500
チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上
(1):このカードがS召喚に成功した場合、相手フィールドのカードを3枚まで対象として発動する。
その相手のカードを持ち主の手札に戻す。
「ミスト・ウォームの効果発動! このカードのシンクロ召喚に成功した時、相手フィールドのカードを三枚まで持ち主の手札に戻すことができる。あたいは、ゴーストリック・ハウス、ゴーストリック・アルカード、そして裏守備モンスターを選択! 吹っ飛べえっ!」
涼風のモンスターの効果によって、浦風のカードがことごとく除去される。彼女のフィールドに残ったのは、現状では用をなさない永続罠のみ。
「バトル! あたいは、ミスト・ウォームで浦風にダイレクトアタック!」
前のターンのお返しとばかりに、涼風は攻撃を仕掛ける。しかし、浦風は余裕の表情を崩さぬままその攻撃に対処する。
「その攻撃は通らんよ。うちは、手札のゴーストリック・ランタンの効果を発動。相手のダイレクトアタックを無効にして、このカードを裏守備表示で特殊召喚する!」
《ゴーストリック・ランタン》
効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻 800/守 0
自分フィールド上に「ゴーストリック」と名のついたモンスターが存在する場合のみ、このカードは表側表示で召喚できる。
このカードは1ターンに1度だけ裏側守備表示にする事ができる。
また、相手モンスターの直接攻撃宣言時、または自分フィールド上の「ゴーストリック」と名のついたモンスターが攻撃対象に選択された時に発動できる。
その攻撃を無効にし、このカードを手札から裏側守備表示で特殊召喚する。
「これで、ミスト・ウォームの攻撃は無効。バトルフェイズを終わらせたわけじゃないから、他にもモンスターがおりゃ攻撃できるが……今のあんたには無理じゃの」
「……あたいは、バトルフェイズを終了する」
「なら、うちはその前にゴーストリック・ロールシフトの効果を発動。ランタンを攻撃表示にして、ミスト・ウォームを裏守備表示にする」
「カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
「うちのターンじゃな。……さて、そろそろ決めさしてもらうわ」
「何をするつもりだってんだ?」
「見りゃあ分かるよ。まずは、さっき手札に戻されたゴーストリック・ハウスをもう一度発動じゃ」
周囲の景色が、再び古びた洋館の室内へと変わる。浦風は続けて、二枚のカードを場に出した。
「うちは、ゴーストリックの人形を通常召喚。さらに魔法カード『下降潮流』を発動」
《下降潮流》
通常魔法
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、1から3までの任意のレベルを宣言して発動できる。
選択したモンスターのレベルは宣言したレベルとなる。
「このカードは、自分のモンスター1体のレベルを、1から3の好きなレベルに変えることができるカードじゃ。うちが対象にするのは、ゴーストリックの人形。そのレベルを、ゴーストリック・ランタンと同じ1にする」
「これでレベル1のモンスターが2体、ってことは……」
「そうじゃ。うちは、レベル1のランタンと人形でオーバーレイネットワークを構築。『ゴーストリック・デュラハン』をエクシーズ召喚じゃ。さらに、デュラハン1体でオーバーレイネットワークを再構築して、『ゴーストリックの駄天使』を召喚!」
《ゴーストリック・デュラハン》
エクシーズ・効果モンスター
ランク1/闇属性/悪魔族/攻1000/守 0
レベル1モンスター×2
このカードの攻撃力は、自分フィールド上の「ゴーストリック」と名のついたカードの数×200ポイントアップする。
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターの攻撃力をエンドフェイズ時まで半分にする。
この効果は相手ターンでも発動できる。
また、このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地からこのカード以外の「ゴーストリック」と名のついたカード1枚を選択して手札に加える事ができる。
《ゴーストリックの駄天使》
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/闇属性/天使族/攻2000/守2500
レベル4モンスター×2
このカードは「ゴーストリックの駄天使」以外の自分フィールドの「ゴーストリック」Xモンスターの上にこのカードを重ねてX召喚する事もできる。
また、このカードが持っているX素材の数が10になった時、自分はデュエルに勝利する。
(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
デッキから「ゴーストリック」魔法・罠カード1枚を手札に加える。
(2):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
手札の「ゴーストリック」カード1枚をこのカードの下に重ねてX素材にする。
「ランク1から、一気にランク4に!? 一体、どうなってんだ?」
「ゴーストリックの駄天使は、『ゴーストリック』エクシーズモンスターを素材にすることでもエクシーズ召喚できるんじゃ。ふふっ、随分と驚いとるのぉ」
「ほじゃけど」と浦風は続ける。
「あんたにゃ、驚いとる暇はないよ。ゴーストリック・ハウスがあることで、今のうちはあんたに直接攻撃できる。攻撃力2000の駄天使で攻撃すれば、うちの勝ちは決定じゃ」
「うっ……」
「これで終わりじゃ! うちは、ゴーストリックの駄天使で涼風にダイレクトアタック!」
浦風のとどめの一撃が、涼風に迫る。涼風はそれを苦い顔で見つめていたが、攻撃が当たる直前、一転して笑顔を作った。
「なーんてな! トラップ発動、『ダイスロール・バトル』!」
《ダイスロール・バトル》
通常罠
(1):相手モンスターの攻撃宣言時に自分の墓地の「スピードロイド」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターと手札の「スピードロイド」チューナー1体を除外し、その2体の元々のレベルの合計と同じレベルを持つSモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。
(2):相手バトルステップに墓地のこのカードを除外し、自分及び相手フィールドの表側攻撃表示のSモンスターを1体ずつ対象として発動できる。
その相手の表側攻撃表示モンスターはその自分のモンスターへ攻撃し、ダメージ計算を行う。
「こいつは、自分の墓地と手札の『スピードロイド』モンスターを使ってシンクロモンスターを呼び出すカード。あたいは、墓地の魔剣ダーマと、手札の赤目のダイスを除外して、二体の元々のレベルの合計……レベル7のシンクロモンスターを、エクストラデッキから特殊召喚する」
涼風は指定した二枚のカードをゲームから取り除くと、エクストラデッキから一枚のカードを抜き出した。
「とくと見な、こいつがあたいの切り札さ! 出でよ、『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』!」
《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》
シンクロ・効果モンスター
星7/風属性/ドラゴン族/攻2500/守2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
(1):1ターンに1度、このカード以外のフィールドのレベル5以上のモンスターの効果が発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
(2):1ターンに1度、フィールドのレベル5以上のモンスター1体のみを対象とするモンスターの効果が発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
(3):このカードの効果でモンスターを破壊した場合、このカードの攻撃力はターン終了時まで、このカードの効果で破壊したモンスターの元々の攻撃力分アップする。
「モンスターの数が増えたことで戦闘が巻き戻され、ゴーストリックの駄天使はもう一度攻撃対象を選ぶことになる。けど、さっきと違って、あたいのフィールドには表側表示のクリアウィングがいるから、ゴーストリック・ハウスの効果でダイレクトアタックすることはできないぜ」
「上手いこと考えたの。うちはバトルを中止してメインフェイズ2へ。駄天使の効果を発動して、デッキから罠カード『ゴーストリック・ブレイク』を手札に加える。カードを一枚伏せて、ターン終了じゃ」
「何を伏せたかは知らねえが、一気に攻めるぜ。あたいのターン! あたいは、裏守備表示になっているミスト・ウォームを反転召喚。さらに、『エクスプレスロイド』を召喚だ」
《エクスプレスロイド》
効果モンスター
星4/地属性/機械族/攻 400/守1600
このカードの召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、自分の墓地に存在する「エクスプレスロイド」以外の「ロイド」と名のついたモンスター2体を手札に加える事ができる。
「エクスプレスロイドは、召喚した時に墓地の『ロイド』二体を手札に戻すことができる。あたいは、タケトンボーグとダブルヨーヨーを手札に戻す。そして、タケトンボーグを特殊召喚!」
「クリアウィングもミスト・ウォームも風属性じゃけぇ、特殊召喚の条件は満たしとるってことか」
「そういうことさ。あたいはさらに、タケトンボーグの効果を発動。このカードをリリースして、デッキから三枚目の赤目のダイスを特殊召喚する」
「チューナーを呼びよったか……。ということは、シンクロ召喚をするつもりじゃね」
「その通り。あたいは、レベル4のエクスプレスロイドに、レベル1の赤目のダイスをチューニング! シンクロ召喚、『HSRチャンバライダー』!」
《
シンクロ・効果モンスター
星5/風属性/機械族/攻2000/守1000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
自分は「HSRチャンバライダー」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。
(2):このカードが戦闘を行うダメージステップ開始時に発動する。
このカードの攻撃力は200アップする。
(3):このカードが墓地へ送られた場合、除外されている自分の「スピードロイド」カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
「バトルだ! あたいは、クリアウィング・シンクロ・ドラゴンでゴーストリックの駄天使を攻撃!」
「くうっ……。ほじゃけど、ゴーストリック・ハウスの効果で、『ゴーストリック』モンスター以外の攻撃による戦闘ダメージは半分になるよ」
浦風 LP4000→3750
「そして、うちは駄天使が破壊された時に罠カード『ゴーストリック・ブレイク』を発動! さらに、墓地のゴーストリック・デュラハンの効果も発動じゃ」
《ゴーストリック・ブレイク》
通常罠
(1):自分フィールドの「ゴーストリック」モンスター1体が戦闘または相手の効果で破壊され墓地へ送られた時、破壊されたそのモンスターとカード名が異なる、自分の墓地の「ゴーストリック」モンスター2体を対象として発動できる。
そのモンスターを裏側守備表示で特殊召喚する。
「まずはデュラハンの効果から。このカードが墓地に送られた場合、墓地の『ゴーストリック』カードを手札に加えることができる。うちはゴーストリック・ランタンを手札に。続いて、ゴーストリック・ブレイクの効果で、墓地のゴーストリック・キョンシーとゴーストリックの人形を裏守備表示で特殊召喚じゃ」
「壁モンスターを復活させたか……。だが、ゴーストリック・ハウスの効果はあたいにも有効。おめぇのフィールドに裏守備モンスターしかいない場合、あたいはダイレクトアタックできる。チャンバライダーで攻撃!」
「あんたは、うちのモンスターの効果を忘れとるようじゃね。うちは、ゴーストリック・ランタンの効果を発動! 相手モンスターの直接攻撃を無効にして、このカードを裏守備表示で特殊召喚する。これで攻撃できるあんたのモンスターはミスト・ウォームだけじゃが、ゴーストリック・ロールシフトの効果を使えば、その攻撃もかわすことができる。これ以上、あんたはうちにダメージを与えるこたぁでけん」
「そいつはどうかな?」
「なんじゃて?」
「相手のカードの効果を知らないのは、おめぇも一緒さ。チャンバライダーは一度のバトルフェイズ中に二回攻撃することができる。あたいは、チャンバライダーで二度目の直接攻撃を仕掛けるぜ! そしてこの時、チャンバライダーの攻撃力は200ポイントアップする!」
浦風 LP3750→2650
「いたた……。こりゃぁ、ちぃと予想外じゃったわ」
「まだ続くぜ。ミスト・ウォームでダイレクトアタック!」
「それは流石に通さんよ。うちは、ゴーストリック・ロールシフトの効果を発動。自分の裏守備モンスターを攻撃表示にして、それが『ゴーストリック』モンスターだったら相手のモンスター一体を裏守備表示にする。うちが表にしたのは、ゴーストリックの人形。じゃけぇ、ミスト・ウォームは裏守備表示に変更じゃ」
「あたいはこれで、ターンエンド」
「そしたら、エンドフェイズにゴーストリックの人形の効果を発動さしてもらうよ。このカードがリバース場合、そのターンのエンドフェイズに、フィールド上の表側表示モンスターをすべて裏守備表示にする。そして、裏守備表示にした枚数と同じ数以下のレベルを持つ『ゴーストリック』モンスターをデッキから裏守備表示で特殊召喚する。裏守備表示になるのは、うちの人形と、あんたのクリアウィングとチャンバライダーの合計3体。うちは、レベル3の『ゴーストリック・ワーウルフ』を特殊召喚」
そして、ターンは浦風に移る。
「うちのターン。今度こそ、決着つけちゃる。うちは、ゴーストリック・ワーウルフを反転召喚。このカードがリバースした時、フィールドにセットされたカードの枚数×100ポイントのダメージを相手に与える。今、フィールドにセットされているカードは全部で7枚。涼風に700ポイントのダメージじゃ!」
《ゴーストリック・ワーウルフ》
効果モンスター
星3/闇属性/アンデット族/攻1400/守1500
自分フィールド上に「ゴーストリック」と名のついたモンスターが存在する場合のみ、このカードは表側表示で召喚できる。
このカードは1ターンに1度だけ裏側守備表示にする事ができる。
また、このカードがリバースした時、フィールド上にセットされたカードの数×100ポイントダメージを相手ライフに与える。
「ゴーストリック・ワーウルフ」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。
涼風 LP1800→1100
「ちぃっ……。ちまちま攻めやがって、もっと正面から挑んでこいってんだ!」
「なら、お望み通り。うちは、ランタン、人形、キョンシーを順番に反転召喚。そして、キョンシーがリバースした時、フィールドの『ゴーストリック』モンスターの数以下のレベルを持つ『ゴーストリック』モンスターをデッキから手札に加える。うちは二枚目のゴーストリック・マミーを手札に加えて、それを通常召喚じゃ」
浦風のモンスターゾーンが、ゴーストリックで埋め尽くされる。彼女のフィールド魔法ゾーンには、ゴーストリック・ハウスのカード。対する涼風のフィールドには、裏守備表示のモンスターが三体のみ。つまり……
「うちは、これからこの五体のモンスターで、あんたに総攻撃ができる。さあ、覚悟しぃ! 五体のゴーストリックで涼風にダイレクトアタックじゃ!」
「あたいは、墓地の三つ目のダイスの効果を発動! このカードを除外して、相手モンスターの攻撃と一度だけ無効にする。一番攻撃力の高い、ゴーストリック・マミーの攻撃を防ぐ!」
「そがぁなもん、焼け石に水じゃ! 残りの四体で攻撃続行! 攻撃力の合計は2900、終わりじゃあ!」
「うわああっ!」
涼風 LP1100→0
「ちっくしょうー! 負けたー!」
両の拳を突き上げ、涼風は悔しさを叫ぶ。
「ま、こがぁなもんよ。約束通り、あの景品はうちが貰うよ」
「仕方ねぇ……持ってけドロボー」
「誰が泥棒じゃ。こりゃぁ、正統な戦利品っちゃつよ」
浦風はデュエルディスクを収めながら射的台へ行き、明石に声をかける。
「明石さん。さっきのレアカードパック、うちに……って、ありゃ?」
言葉の途中で、浦風は妙な声を出して首を傾げる。
「のぅ、うちが最後に落としたカードパックはどこじゃ?」
「あー、それは……」
明石は、やや気まずそうに浦風から視線を逸らす。
「あなたたちがデュエルしてる間に、他の子が持って行っちゃった」
「なんじゃと!? どうして止めなかったんじゃ!」
「同じ景品に何人かの弾が同時に当たった時は、それを無効にしてもう一度やり直すルールにしてるから……。だから、二人が最後に撃った弾は、両方とも無効だったのよ。それで、景品を棚に戻した後、別の子が撃ち落としていったってわけ」
「そがぁなこと聞いとらんよ!」
「私だって言おうとしたわよ。だけど、二人が話を聞かずにデュエルを始めちゃうから……」
詰め寄る浦風に、明石も自分の立場を主張する。浦風はそれを聞いて状況を理解したらしく矛を収め、それからゆっくりと明石に尋ねた。
「っちゅうこたぁ、うちらのデュエルは……」
「無駄な争いだった……、ってことね」
「そんなぁーっ!」
賑やかな祭りの会場に、浦風の悲痛な叫びが響き渡った。
暁「『秋祭り』ってタイトルつけておきながら、結局デュエルがほとんどだったわね」
雷「秋ボイスが実装された艦娘も、浦風以外は登場してないし」
響「仕方ないさ。ここの艦娘は、司令官のせいでみんなデュエル脳になってるからね」
電「浦風ちゃん以外の秋ボイス艦が出なかったのは、そもそも作者さんが浦風ちゃんに射的させるためだけにこの番外編を書いたのが理由なのです。本当は浜風ちゃんも登場させたかったらしいのですが、登場させても台詞を一つ二つ作るのが精一杯だったので、思い切って浦風ちゃんだけにしたそうなのです」
暁「それなら、浦風の対戦相手に秋ボイスのある子を持ってくれば良かったじゃない」
電「浦風ちゃんの相手は、あの広島弁に真っ向から対峙できる勢いのある子にしたかったそうなのです。その結果、江戸っ子の涼風ちゃんに白羽の矢が立ったのです。あとは、涼風ちゃんのデッキ案が既にできていたのも理由なのです」
響「ちなみに、作者は広島弁の知識はゼロだから、浦風の台詞作りには『ソーシャル達川君』というものを利用させてもらったよ。ネットは便利だね」
雷「なるほどね。それじゃ、この辺で後書きは終わりにしましょ。予告は先週してるから、特にすることもないし」
響「そうだね。次回の投稿は次の日曜日。内容は、前回予告した通りだよ」
電「次回もお楽しみに、なのです」