旧年中は拙作『鎮守府決斗録』をご愛読いただき、ありがとうございました。本年も、どうぞよろしくお願い致します。
……と。お正月なので少し改まった挨拶をしたところで。鎮守府決斗録、二度目の番外編です。
本作は現在休載中ですが、空き時間に少しずつ書き進めて一話完成させることができたので、番外編として投稿します。
元旦投稿ということからも分かるように、今回の番外編は新年記念です。タイトルの如くデュエル中心なので、お正月要素はごく僅かですが……(汗
とまぁ、前置きはさておき。2016年の初デュエル、どうぞご覧ください。
「暁ちゃん……どうして……」
怯えた目で、電は暁を見上げる。
「どうしてなのです? どうして、こんな酷いことを……」
「酷い、ですって?」
にたり、と暁の口角が吊り上がる。口元を三日月型に歪め、彼女は自らの妹に容赦ない言葉を浴びせる。
「おかしなことを言うわね。これは、あなたも望んだことじゃない」
暁の右手には、朱く染まった獲物が握られている。朱い雫を滴らせるそれを、暁は電の鼻先に突きつける。
「そう。これは、あなたが望んだ結末。電、あなたが願ったものよ」
「違うのです。電は、こんなこと……」
「問答無用よ」
後ずさる電の肩を掴んで押し倒し、暁は彼女の動きを封じる。
「ふふっ。これでもう逃げられないわよ」
もがく電を、暁は上から押さえつける。
「怖がる必要ないわ。あなたも、すぐにあの子たちと同じようにしてあげるから」
暁は、獲物の先で後ろを指す。そこには、ぐったりと地に伏す雷と響の姿があった。
「やめ、て……」
必死の懇願も、暁の耳には届かない。
虚しく響く言葉を切り裂くように、暁は朱い獲物を妹の顔に振り下ろした。
◆◇◆◇◆
「うぅ、恥ずかしいよぉ……」
五秒後。電の顔には、大きな朱色の落書きが描かれていた。
「こんなにたくさん書くなんて……。暁ちゃん、酷いのです」
「ごめん、ごめん。電の反応が思った以上に面白かったから、つい……」
苦笑を浮かべ、暁は電の言葉に答える。
彼女の右手には、朱色の墨汁をつけた筆が握られている。電の顔の落書きは、その筆で描かれたものだった。
「それに、羽根突きで負けた方は、勝った方に落書きされるってルールでしょ。最初にそう決めたじゃない」
「だからって、描きすぎなのです。雷ちゃんには丸一つ描いただけなのに、なんで電には三つも描くのですか」
「怯えてる電の顔を見たら、何というか、もっと虐めたくなっちゃって……」
「うう……。暁ちゃんのバカ、なのです」
電は、手鏡で自分の顔を眺めて溜息をつく。
「こんな顔じゃ、今日一日は恥ずかしくて他の人に会えないのです」
「もう、電。そんなんじゃダメよ。今日は元旦なんだから、暗い顔してたら一年の運も悪くなっちゃうわよ」
自らも顔に落書きの跡を残す雷が言う。彼女の場合は、右目を囲むようにして朱色の円が描かれている。これも、暁の筆によって描かれたものだ。
「それに、これは墨汁だから洗えばすぐ落ちる。心配しなくていい」
そう言う響の顔にも、朱色の筆跡が残っている。誰の手によるものかは、もはや説明する必要もないだろう。
「にしても、まさか三人揃って負けちゃうなんてねぇ。暁って、こんなに羽根突き強かったかしら?」
「純粋な強さというよりは、火事場の馬鹿力のような感じだね。どの勝負も、初めは互角かむしろ押されてるくらいなのに、負けそうになると急に強くなった」
「……本人の前でそれ言う?」
暁は二人を軽く睨むが、彼女たちがそれを気にする様子はない。
「けど、年の初めが黒星スタートってのは縁起悪いわね。何か、運気を上げる方法ってないかしら?」
「初夢の内容が良いと、その年の運勢も良くなると聞いたことがあるのです」
雷の言葉に、電が答える。
「初夢かぁ……。でも、今日は元旦よ? 年初めの夢は大晦日から元旦の間に見ることになるんだから、今年の初夢はもう終わっちゃったんじゃない?」
「大丈夫なのです。初夢は、元旦の夜に見る夢でもいいそうなのです。だから、まだチャンスはあるのです」
「なら、やるしかないわね。今夜の初夢で、運勢挽回よ!」
気合いを入れた雷は、ところで、と電に訊く。
「縁起のいい初夢って、何があるの?」
「確か、三つくらいあったのです。富士山と、鷹と、それから……えっと……」
「ナスだよ、電」
苦戦する電に、響が助け船を出す。
「一富士、二鷹、三茄子。この三つの順番で、縁起が良いと言われている。枕の下に宝船の絵を入れて眠ると、縁起の良い夢が見られるそうだよ」
「へぇー。なら、今夜はそのおまじないを採用ね。けど、念のため他にも手は打っておきたいわ。確か、夢には本人の記憶とかが影響するって言われてるわよね。なら、起きてる間に本物を見ておけば、夢にも出てくるんじゃないかしら?」
「ここがどこか忘れたの、雷? 私たちがいるのは赤道近くのトラック泊地。日本じゃないから富士山は当然見えないし、鷹も飛んでないわよ。ナスが育つのかは知らないけど、少なくとも鎮守府の中には生えてないわ」
「う……」
暁の指摘に、雷は言葉を詰まらす。
「そうだ、ソリッドビジョンよ! デュエルディスクで映像を映し出せば、本物そっくりの迫力を味わえるわ。一富士、二鷹、三茄子の初夢三連コンボを決めれば完璧よ!」
「雷……残念だけど、そんなカードは無いよ」
「そうよねー。なんとなく、予想はできてたわ」
雷は溜息をつき、肩を落とす。しかし、そんな彼女へ響が希望の言葉を投げかける。
「……でも。不可能ではないかもしれない」
「えっ?」
「確かに、本物の富士山や鷹を描いたカードは存在しない。だけど、デュエルモンスターズには数え切れないほどの種類のカードがある。縁起の良いものに近い意味を持ったカードを探し出すことができれば、代わりになるかもしれない」
「そんなカード、あるかしら?」
「あるよ」
疑念を呈する暁に、響は首肯を返す。「たとえば」と、彼女は自分のデッキケースから一枚のカードを取り出し、それを暁に見せる。
「私のデッキに入ってる『炎王の孤島』のカード。島だから完全には一致しないけれど、緑に囲まれた火山は、富士山の代わりにすることができる。それに、富士山は『竹取物語』――いわゆる『かぐや姫』の物語で、不老不死の薬が焼かれた山であるとも言われている。その意味でも、不死鳥であるガルドニクスが住まうこの火山は、富士山の代役にぴったりだ」
「そう言われると、そんな気がするような、しないような……」
「まぁ、半分こじつけみたいなものだけれどね。でも、こうやって探していけば、意外と簡単に鷹や茄子の代わりになるカードも見つかると思うよ」
「これなら何とかなりそうね。そうと決まれば、捜索開始よ! みんなで鷹と茄子のカードを――」
「ナスは嫌いなのです」
「え?」
「ナ゛ス゛は゛嫌゛い゛な゛の゛て゛す゛!」
「い、電!?」
突然低い声で叫び始めた電を見て、一同は驚きと戸惑いの表情を浮かべる。しかし、それも束の間、電はすぐにいつもの様子に戻り、きょとんと首を傾げた。
「あれ……? みんな、どうしたのです? 目をおっきくして、とても驚いた顔をしているのです」
「電……あなた、覚えてないの?」
暁の問いに、電は「何をです?」と尋ね返す。
「何を、って……。今、信じられないほど低いダミ声で『ナスは嫌いなのです』って叫んでたじゃない」
それを聞いて、今度は電が目を丸くする。
「えっ!? 私、そんなことしてたのですか?」
電は、響と雷に視線を向ける。二人の顔は、暁の言葉が偽りでないことを物語っていた。
「本当に、覚えてないの?」
「はい……」
電の瞳を覗き込み、暁は真偽を確かめようとする。しかし、弱々しく頷く彼女の双眸からは、嘘の気配は感じ取れなかった。
「一体、どういうことかしら……?」
「分からない……。だけど、これはあまり追及しない方が良さそうだ」
響の意見に暁と雷も同意し、この件はひとまず無かったこととなる。妙な具合になってしまった空気を払うため、雷は改めて音頭を取る。
「えっと、じゃあ気を取り直して縁起物を探すわよ! 富士山はもう見つかってるから、あとは鷹の代わりになるカードね!」
意気揚々と、四人は「鷹」のカード探索に出発する。しかし、そんな彼女たちの前に立ちはだかる者があった。
「待ちな!」
四人の行く手を遮るように、建物の陰から一人の女性が現れる。特徴的な形をした紫の長髪に、呪術師然とした雰囲気を漂わす紅白の服。四人は、その姿に見覚えがあった。
「あなたは!」
真っ先に気づいた響が声を上げる。彼女は続けて、その名を口にする。
「隼鷹さん……!」
「よーっす。みんな、あけおめー」
相手の女性――隼鷹は、片手を挙げて挨拶する。隼鷹は笑顔を浮かべながら四人に歩み寄る。
「いやー、あたしの名前を憶えてくれてるなんて嬉しいねえ。君らは確か、第七司令室の駆逐艦でしょ? あたしとは、あんま面識ないはずなのに」
「それは、まぁ……隼鷹さんは、色々と有名だから」
「そっか、そっかー。まー、あたしも一応、ここの航空戦力の中核を担っちゃいるからねー。有名になるのも無理ないかー」
隼鷹の言葉に、響は愛想笑いで応じる。それを見守る電たちは、響の胸中が手に取るように分かった。
軽空母、隼鷹。飛鷹型航空母艦の二番艦にあたり、このトラック泊地では鎮守府長官の直率部隊に所属している。軽空母でありながら格上の正規空母に迫る航空機運用能力を誇る実力者であり、姉妹艦の飛鷹とともに鎮守府の貴重な航空戦力として日々活躍している艦娘である。
……と。ここまでであれば、鎮守府の空を守る頼れる艦娘ということができる。その実力も、人の噂に上るに充分なものだろう。
だが、彼女が有名なのは、戦闘の実力が理由ではなかった。もっと別の、人によっては不名誉と感じる理由が、彼女の名を鎮守府中に知らしめていた。
それは、酒飲みとしての知名度であった。
隼鷹は、艦娘としてもさることながら、酒飲みとしても非常に強かった。宴会では常に酒を浴びるように飲みまくり、とどまるところを知らない。トラック泊地への配属以前、内地の鎮守府に所属していた時代には、戦艦や正規空母の艦娘と飲み比べて見事勝利したとも言われている。「酒豪 隼鷹」の名は、トラックはおろか、海軍全体に鳴り響いていた。
しかし、ただの酒豪ならばまだ良い。問題は、彼女がただの酒豪ではなかったことである。
隼鷹は、酒に非常に強かった。だが、限度というものを知らなかった。酒を飲む時、彼女は常に際限なく飲み続け、自らの限界すら超える量を飲み干した。結果、宴の後は必ず泥酔状態に陥り、姉妹艦の飛鷹に介抱される羽目になっている。酔っ払って夜中に艦娘寮内で騒ぐことも稀ではなく、電たちもその声に眠りを妨げられた経験がある。
要するに、タチの悪い呑兵衛。それが、隼鷹という艦娘のもう一つの――そして、より有名な顔だった。
「お互い、無事に新年を迎えられて何よりだよー。今年もよろしくねー」
軽い口調で、隼鷹は四人の手を順に握っていく。その吐息から日本酒の匂いがするのは、たぶん気のせいではないだろう。
「えっと……それで、隼鷹さん。私たちに何か用かい?」
話が変な方向に逸れる前にと、響が問いを投げる。隼鷹もそろそろ本題に入ろうと思っていたらしく、すぐにそれに応じた。
「いや、大したことじゃないんだけど。君らの験担ぎに協力してあげようと思ってさ」
「暁たちのっていうと……カード探しに?」
「そうそう」
「でも、隼鷹さんはデュエルモンスターズのこと知ってるの?」
「あたしのことを舐めてもらっちゃあ、困るね。あたしも、ここのD艦娘の一員さ」
「てことは、隼鷹さんもデュエリスト?」
「その通りっ!」
頷いた隼鷹は、「さらに」と話を続ける。
「あたしが使ってるのは、鳥獣族デッキ。名前に『鷹』の字が入ったデュエリストが使う鳥獣族デッキなら、『二鷹』の縁起を担ぐにはぴったりじゃないかい?」
「なるほど。確かに、一理ある」
「これで、『鷹』のカードも発見ですね」
「意外と早く見つかったわね。もう少し時間がかかるかと思ったけど」
思いのほか簡単に目的が達成されたことに、四人はやや拍子抜けした感じさえ覚える。しかし、カードを見つけたからといって、これで終わりにはならないのがデュエリストである。
「なら、せっかくだしデュエルといこう。どうせソリッドビジョンに投影するなら、デュエルを通した方が印象に残るだろうからね」
「おっ、いいねー。意外とあたし、やるからね」
「へぇ。それは楽しみだ」
隼鷹と響は、それぞれデュエルディスクを構えて向かい合う。そこにあるのは、見慣れたデュエルの光景。
「……ていうか。さっきまで羽根突きしてたのに、どうして響はデュエルディスク持ってるのよ」
「それは気にしちゃいけないのです、暁ちゃん」
外野の声は、もう二人の耳には入っていない。彼女たちは互いの闘志を相手に叩きつけるように、開戦の言葉を口にした。
「「デュエル!!」」
響 LP4000
隼鷹 LP4000
「私のターンからだね。いくよ」
デュエルディスクの決定により、先攻プレイヤーは響となる。彼女はまず、手札の魔法カードを場に出す。
「早速、験担ぎを始めるとしようか。私はフィールド魔法『炎王の孤島』を発動するよ」
《炎王の孤島》
フィールド魔法
「炎王の孤島」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):自分メインフェイズにこの効果を発動できる。
自分の手札・フィールドのモンスター1体を選んで破壊し、デッキから「炎王」モンスター1体を手札に加える。
(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合にこの効果を発動できる。
手札の鳥獣族・炎属性モンスター1体を特殊召喚する。
(3):フィールドゾーンの表側表示のこのカードが、墓地へ送られた場合または除外された場合に発動する。
自分フィールドのモンスターを全て破壊する。
カードの発動と同時にフィールドに樹木が生い茂り、瞬く間に密林に覆われた火山島が出現する。不死鳥の住まう、緑に囲まれた火山。初夢の縁起物の筆頭、「一富士」の代役に響が見立てたカードだ。
「続けて魔法カード『おろかな埋葬』を発動。デッキの『炎王神獣 ガルドニクス』を墓地へ送る。さらに、炎王の孤島の効果を発動。自分フィールドにモンスターがいない時、手札の鳥獣族・炎属性モンスターを特殊召喚できる。私は、このモンスターを特殊召喚!」
響のディスクのモンスターゾーンに、一枚のカードが置かれる。それと同時に、島の火山が紅蓮の炎を噴き上げた。
紅い火柱を破って現れるのは、深紅の巨鳥。彼女の二つ名と同じ、不死の身を持つ神獣だ。
「不二の山に住まいし神鳥よ。清らなる明かりにその力宿し、我等に加護をもたらせ! 出でよ、『炎王神獣 ガルドニクス』!」
《おろかな埋葬》
通常魔法
(1):デッキからモンスター1体を墓地へ送る。
《炎王神獣 ガルドニクス》
効果モンスター
星8/炎属性/鳥獣族/攻2700/守1700
このカードがカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、次のスタンバイフェイズ時にこのカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚に成功した時、このカード以外のフィールド上のモンスターを全て破壊する。
また、このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから「炎王神獣 ガルドニクス」以外の「炎王」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。
「ガルドニクスが身にまとう炎には、自身が持つ不死の力が宿されている。だから、その火の粉を浴びた者は、その一年間、無病息災でいられると言われているよ」
粉雪のように舞う火を仰ぎ、響が言う。それを聞いた暁は感心した様子で頷き、
「へぇ、そんなご利益があったのね。知らなかったわ」
「私がたった今考えた迷信だけどね」
「響!」
「ごめん、ごめん。まさか、こんな簡単に引っかかるとは思わなくて」
くくっ、と響は喉を鳴らして笑う。
「……とまぁ、お遊びはさておき。私はカードを一枚伏せて、ターンエンド。あなたのターンだよ、隼鷹さん」
「おうよ! あたしのターン、ドロー!」
威勢の良い声とともに、隼鷹は力強くカードを引く。
「あたしは、『
「ほう……カードの種類に関係なくサーチできるのか。便利なカードだね」
「まあな。あたしは、手札に加えたRR-ネストを発動。このカードは、自分の場にレイド・ラプターズが二体以上いる時、デッキか墓地の『RR』モンスターを手札に加えることができる。あたしは、デッキの『RR-ファジー・レイニアス』を手札に加える。そして、そのファジー・レイニアスを自身の効果で特殊召喚する」
「レベル4のモンスターが三体……。ということは、くるね」
「ああ、行くぜ! あたしは、レベル4のモンスター3体で、オーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!」
隼鷹の場にいる三体のモンスターが紫色の光となり、地面に開いた渦の中に呑み込まれる。三筋の光は渦の中で束ねられ、新たなモンスターへと姿を変える。
「雌伏の隼よ、逆境の中で研ぎ澄まされし爪を挙げ、反逆の翼翻せ! エクシーズ召喚! 現れろ、『RR-ライズ・ファルコン』!」
《
効果モンスター
星4/闇属性/鳥獣族/攻1300/守1600
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンの自分メインフェイズに1度だけ発動できる。
手札からレベル4以下の「RR」モンスター1体を特殊召喚する。
《
効果モンスター
星4/闇属性/鳥獣族/攻1800/守 400
「RR-トリビュート・レイニアス」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンの自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「RR」カード1枚を墓地へ送る。
(2):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊したターンの自分メインフェイズ2に発動できる。
デッキから「RUM」速攻魔法カード1枚を手札に加える。
この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「RR」モンスターしか特殊召喚できない。
《
効果モンスター
星4/闇属性/鳥獣族/攻1100/守1900
「RR-ミミクリー・レイニアス」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンの自分メインフェイズに1度だけ発動できる。
自分フィールドの全ての「RR」モンスターのレベルを1つ上げる。
(2):このカードが墓地へ送られたターンの自分メインフェイズに、墓地のこのカードを除外して発動できる。
デッキから「RR-ミミクリー・レイニアス」以外の「RR」カード1枚を手札に加える。
《
永続魔法
「RR-ネスト」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドに「RR」モンスターが2体以上存在する場合にこの効果を発動できる。
自分のデッキ・墓地の「RR」モンスター1体を選んで手札に加える。
《
効果モンスター
星4/闇属性/鳥獣族/攻 500/守1500
「RR-ファジー・レイニアス」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できず、このカードの効果を発動するターン、自分は「RR」モンスターしか特殊召喚できない。
(1):自分フィールドに「RR-ファジー・レイニアス」以外の「RR」モンスターが存在する場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「RR-ファジー・レイニアス」1体を手札に加える。
《
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/闇属性/鳥獣族/攻 100/守2000
鳥獣族レベル4モンスター×3
(1):このカードは特殊召喚された相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。
(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を対象として発動できる。
このカードの攻撃力は、対象のモンスターの攻撃力分アップする。
甲高い鳴き声を上げて飛翔したのは、暗色に身を包んだ鳥。四翅の羽を持つ隼は、鋭い爪を光らせて深紅の不死鳥と対峙する。
「どうだい響、あたしのモンスターは。格好いいだろ?」
得意げな顔で、隼鷹は響に話しかける。響は滞空するライズ・ファルコンを見上げ、
「……隼鷹さん。一つ、言っていいかな」
「ん、何だい?」
「……あのモンスター。鳥獣族じゃないよね」
ライズ・ファルコンを指さし、響は言う。
「協力してもらってる身で突っ込みを入れるのも気が引けるんだけど……隼鷹さんのモンスターには、さっきから鳥獣らしさがまるで無い。どう考えても、機械族にしか見えないよ」
響の言う通り、一体目のバニシング・レイニアスから今のライズ・ファルコンまで、隼鷹が呼び出したモンスターは、どれも生物としての気配が皆無であった。
外見だけは鳥と言える姿をしているものの、その体は金属のような物質で構成されており、飛行する際も両翼のブースターから青白い炎を噴出させている。これでは響でなくとも、鳥獣族ではなく鳥型の機械族モンスターだと思うだろう。
しかし隼鷹は、その言葉に対して強くかぶりを振る。
「そんなことないって! ほら、これを見てくれよ」
そう言って、隼鷹はライズ・ファルコンのカードをフィールド上に拡大表示させる。そのテキスト領域の中にある種族欄には、確かに「鳥獣族」という文字がはっきりと記されていた。
「本当だ……」
その記述を確認した響は、驚きに眉を上げる。
「ごめん、隼鷹さん。疑ったりして……」
「ああ、別にそんなの気にしなくていって。こんなナリしてたら、間違えられるのも当然っちゃ当然だからね」
響の間違いを明るく笑い飛ばし、隼鷹はデュエルを続ける。
「まぁ、見た目はともあれ、こいつらの切れ味は本物さ。あたしは、ライズ・ファルコンの効果を発動! オーバーレイ・ユニットを一つ使うことで、相手の特殊召喚されたモンスター一体の攻撃力を自らに加える! あたしが選ぶのは、ガルドニクスだ」
「ライズ・ファルコンには、元々100の攻撃力がある……。特殊召喚されたモンスターを相手にする限り、必ず相手より高い攻撃力を得られるということか」
「そういうことさ。そして、オーバーレイ・ユニットから取り除かれて墓地へ送られたファジー・レイニアスの効果を発動。デッキから、二体目のファジー・レイニアスを手札に加える。
さて、ここからが本番だ。バトルフェイズ、あたしはライズ・ファルコンでガルドニクスを攻撃! ブレイブクロー・レボリューション!!」
「速攻魔法発動、『炎王炎環』! フィールドのガルドニクスを破壊して、墓地のガルドニクスを守備表示で特殊召喚する!」
《炎王炎環》
速攻魔法
自分のフィールド上及び自分の墓地の炎属性モンスターを1体ずつ選択して発動できる。
選択した自分フィールド上のモンスターを破壊し、選択した墓地のモンスターを特殊召喚する。
「炎王炎環」は1ターンに1枚しか発動できない。
「ガルドニクスを守備表示に置き換えて、ダメージを回避するって寸法か。けど、どっちにしろ倒されるのは変わりないぜ。攻撃続行だ、ライズ・ファルコン!」
鋼の爪が、不死鳥の体を切り裂く。断末魔の叫びを上げて、深紅の鳥は自らの住処である火山の口へと墜ちていった。
しかし、不死鳥の火は、この程度で絶えはしない。
「ガルドニクスの効果発動。このカードが戦闘で破壊された時、デッキからこのカード以外の『炎王』モンスターを特殊召喚できる。私は、『炎王獣 バロン』を特殊召喚する」
《炎王獣 バロン》
効果モンスター
星4/炎属性/獣戦士族/攻1800/守 200
自分フィールド上に表側表示で存在する
「炎王」と名のついたモンスターがカードの効果によって破壊された場合、このカードを手札から特殊召喚できる。
また、このカードがカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、次のスタンバイフェイズ時に発動する。
デッキから「炎王獣 バロン」以外の「炎王」と名のついたカード1枚を手札に加える。
ガルドニクスが火の玉となって落下する途中、飛び散った火の粉の一つが新たな命を得て活動を始める。二刀を持つ獣人が、不死鳥の意志を継いで戦うため響のフィールドに姿を現す。
「火から生まれた神獣は、たとえ自分の命が尽きたとしても、そこから新たな生命を生み出す。不死鳥の名は伊達じゃないよ」
「エースを倒されても、次のターンに繋げるモンスターはしっかり残すか。手堅いね」
感震した様子で隼鷹が言う。しかし、響の狙いはそれだけではない。
炎王獣バロンは、効果で破壊された場合、次のスタンバイフェイズにデッキから「炎王」と名のつくカードをデッキから手札に加えることができる。そして、ガルドニクスはカードの効果で破壊された場合、次のターンのスタンバイフェイズに復活し、自身以外のモンスターをすべて破壊する効果を持っている。
響の墓地に眠るガルドニクスの片方は、炎王炎環の「効果で破壊され」ている。次のターンに復活すると同時に他のモンスターを一掃し、バロンの効果発動の条件も満たすことができる。実際のところ、響にとってはこちらこそが真の狙いであるといえた。
だが、レイド・ラプターズの切れ味は、彼女の想像以上に鋭かった。
「でも、相手が悪かったな。ライズ・ファルコンは、相手の特殊召喚されたモンスターすべてに一回ずつ攻撃できる。今はまだバトルフェイズ中。特殊召喚されたバロンには、続けて攻撃できる!」
「何だって!?」
「やれ、ライズ・ファルコン! ブレイブクロー・レボリューション、第二打ッ!」
「うあっ!」
響 LP4000→3000
力尽きたバロンの体が炎に還る。その際に生じた爆発により、響は後方へ吹き飛ばされる。
「ライズ・ファルコンの効果を知らなかったからとはいえ、攻撃表示で呼び出したのが仇になったな。あたしはカードを二枚伏せて、ターンエンドだ」
「くっ……。私のターン」
響のデッキのエースモンスターは、攻撃力2700のガルドニクス。そのため、それを上回るパワーを持つモンスターを出されると、戦闘で勝つことは難しくなる。攻撃力2800という数値は、彼女にとっては高い壁だ。
だが、なにも馬鹿正直に壁を乗り越えようとする必要はない。押して駄目なら引いてみろ、という諺があるように、一つのやり方を試してみて芳しくないのなら、他の方法を試せばいいだけだ。壁が高いのなら、低くなっている場所を見つけたり、なんなら穴を開けて潜り抜けたりすればいい。
響のデッキには、そうした搦め手の手段が数多く備わっている。そして、その一つは既に準備済みだ。
「スタンバイフェイズに、私は墓地のガルドニクスの効果を発動。このカードが効果で破壊された場合、次のスタンバイフェイズにフィールドに特殊召喚され、他のすべてのモンスターを破壊する。蘇れ、ガルドニクス! そしてその炎ですべてを焼き払え!」
火山が再び噴火し、紅の神獣が降臨する。その羽ばたきは竜巻の如き炎を巻き起こし、ライズ・ファルコンを呑み込む。
「早速、さっきのお返しをさせてもらうよ。バトル、ガルドニクスで隼鷹さんにダイレクトアタック!」
全身に炎をまとったガルドニクスが隼鷹に降下攻撃を仕掛ける。しかしその行手に、破壊されたはずのライズ・ファルコンが立ち塞がった。
「なっ!? どうしてライズ・ファルコンが?」
「ガルドニクスの攻撃宣言時に、あたしはこの伏せカードを発動させていたのさ。速攻魔法『
《
速攻魔法
(1):自分フィールドの「RR」Xモンスターが破壊され墓地へ送られたターン、自分の墓地の「RR」Xモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚し、そのモンスターよりランクが1つ高い「RR」モンスター1体を、対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
「こいつは、自分の墓地の『RR』エクシーズモンスターを特殊召喚して、そのモンスターをランクアップさせるカードだ。あたしが特殊召喚するのは、ライズ・ファルコン。これを素材にして、新たなモンスターを呼び出すぜ!」
「墓地からランクアップだって!?」
エクシーズモンスターを進化させる「
目を丸くする響を面白そうに眺めながら、隼鷹は新たなしもべの名を呼ぶ。
「あたしは、ランク4のライズ・ファルコン1体で、オーバーレイネットワークを再構築。ランクアップ・エクシーズチェンジ! 現れろ、『RR-ブレイズ・ファルコン』!」
《
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/闇属性/鳥獣族/攻1000/守2000
鳥獣族レベル5モンスター×3
(1):X素材を持っているこのカードは直接攻撃できる。
(2):このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊する。
(3):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊し、破壊したモンスターの数×500ダメージを相手に与える。
隼鷹の場に現れたのは、ライズ・ファルコンと同じく鋼の翼を持つ猛禽。「
「だけど、モンスターのステータスはこちらが上。私はガルドニクスの攻撃を続行。ブレイズ・ファルコンを撃破!」
「させると思うか? あたしは二枚目の伏せカードを発動。罠カード『RR-レディネス』! ターン終了時まで、自分のレイド・ラプターズを戦闘破壊から守る。ブレイズ・ファルコンは守備表示だから、戦闘ダメージも受けないぜ」
《
通常罠
(1):このターン、自分フィールドの「RR」モンスターは戦闘では破壊されない。
(2):自分の墓地に「RR」モンスターが存在する場合に墓地のこのカードを除外して発動できる。
このターン、自分が受ける全てのダメージは0になる。
響の攻撃は空振りとなり、相手モンスターを破壊することも、ダメージを与えることもできずに終わる。しかし、だからといってこのまま素直にターンを明け渡すほど、彼女はお人好しではない。
「私はバトルフェイズを終了。メインフェイズ2に移行して、炎王の孤島の効果を発動する。それにより、フィールドのガルドニクスを破壊して、デッキから二枚目のバロンを手札に加える。そして、バロンを通常召喚。これでターンエンドだ」
「せっかく復活したエースモンスターを墓地へ送って、下級モンスターを召喚した? そんなことしても、フィールドに残るモンスターが弱くなるだけ……」
言いかけた隼鷹は、そこでその考えが誤りであることに気がつく。
「いや、これは!」
「気づいたようだね」
表情を険しくする隼鷹を見て、響は微笑を浮かべる。
「カード効果によって破壊されたガルドニクスは、次のターンのスタンバイフェイズに復活する。私のメインフェイズ2から見た『次のスタンバイフェイズ』とは、当然、隼鷹さんのターンのこと。つまり……」
隼鷹がカードをドローした次の瞬間、フィールドに熱風が吹き荒ぶ。目を開けられぬほどの暴風が過ぎ去ったあと、その場には、一羽の不死鳥だけが存在していた。
「ブレイズ・ファルコンも倒されるとはな……。やれやれ、こいつは厄介な相手だぜ」
更地になった自分のフィールドを眺め、隼鷹は息を吐く。しかし、その表情に深刻さはない。響はそのことから相手の反撃を予期し……果たして、それは現実となった。
「なら、こいつならどうだ? あたしは、手札から魔法カード『RUM-ソウル・シェイブ・フォース』を発動!」
「フィールドにエクシーズモンスターもいないのに、RUMを? ということは、そのカードもさっきと同じ……!」
「そうさ。ソウル・シェイブ・フォースは、ライフ半分と引き換えに、墓地のレイド・ラプターズを二つ上のランクにランクアップさせる。あたしは、墓地のライズ・ファルコンを素材として、オーバーレイネットワークを再構築。ダブルランクアップ・エクシーズチェンジ!」
再び蘇ったライズ・ファルコンが、さらなる進化を遂げて生まれ変わる。火山島の上空に駆け上がった隼は、島の主である不死鳥に対して高らかに革命の刻を告げる。
「誇り高き隼よ。英雄の血潮に染まる翼翻し、革命の道を突き進め! 現れろ、『RR-レヴォリューション・ファルコン』!」
《
通常魔法
(1):LPを半分払い、自分の墓地の「RR」Xモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚し、そのモンスターよりランクが2つ高いXモンスター1体を、対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
《
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/闇属性/鳥獣族/攻2000/守3000
鳥獣族レベル6モンスター×3
(1):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
このターン、このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。
(2):このカードが特殊召喚された表側表示モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に発動する。
そのモンスターの攻撃力・守備力を0にする。
(3):このカードが「RR」XモンスターをX素材としている場合、以下の効果を得る。
●1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊し、その攻撃力の半分のダメージを相手に与える。
隼鷹 LP4000→2000
無傷のライフを一気に半分にまで削って召喚したモンスター。そこにただならぬものを感じ、響は自然と警戒を強める。
「レヴォリューション・ファルコンの効果発動。オーバーレイ・ユニットを一つ使うことで、このターン、相手モンスターすべてに一回ずつ攻撃できる。さらに、あたしは手札の『RR-インペイル・レイニアス』を通常召喚する」
《
効果モンスター
星4/闇属性/鳥獣族/攻1700/守1000
「RR-インペイル・レイニアス」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンの自分メインフェイズに1度だけ、フィールドの表側攻撃表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを表側守備表示にする。
(2):このカードが攻撃したターンの自分メインフェイズ2に、自分の墓地の「RR」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
「いくぜ、バトルだ! あたしはレヴォリューション・ファルコンで、ガルドニクスに攻撃!」
「一体何を? 攻撃力は、ガルドニクスの方が上――」
「そいつはどうかな。レヴォリューション・ファルコンは、特殊召喚されたモンスターと戦闘する時、相手の攻守をゼロにする!」
「なっ……!?」
「くらえ、レヴォリューショナル・エアレイド!」
レヴォリューション・ファルコンの腹部にある爆弾倉が口を開け、そこから大量の爆弾が投下される。雨霰を降り注ぐ爆弾によって響のガルドニクスは爆殺され、彼女自身も苛烈な爆撃に巻き込まれる。
響 LP3000→1000
「……っ。ガルドニクスの、効果発動。デッキから、『炎王獣 ガルドニクス』を守備表示で特殊召喚する」
《炎王獣 ガルドニクス》
効果モンスター
星3/炎属性/鳥獣族/攻 700/守1700
自分フィールド上に表側表示で存在する「炎王」と名のついたモンスターがカードの効果によって破壊された場合、このカードを手札から特殊召喚できる。
また、このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた場合、デッキから「炎王獣」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。
絨毯爆撃を受けて火の海と化した密林の中に、紅の若鳥が生まれる。若鳥は傷ついた響の傍に寄り添い、彼女の盾となる構えを見せる。
「無駄だ! レヴォリューション・ファルコンは、このターン、相手モンスターすべてに一回ずつ攻撃できる。壁モンスターがいなくなるまで、焼き尽くしてやるぜ!」
レヴォリューション・ファルコンが再び爆撃を行い、幼いガルドニクスを粉砕する。しかし、燃え盛る火の中から、再び若鳥が現れる。
「炎王獣ガルドニクスの効果発動……。このカードが相手に破壊された時、デッキから『炎王獣』を特殊召喚できる。私は、二体目の炎王獣ガルドニクスを守備表示で特殊召喚」
この若鳥も、爆弾の嵐に呑まれて消える。その次に姿を現したのは、一本角を持つ獣。
「ガルドニクスの効果で、私はデッキの『炎王獣 キリン』を特殊召喚。……守備表示だ」
《炎王獣 キリン》
効果モンスター
星3/炎属性/獣族/攻1000/守 200
自分フィールド上に表側表示で存在する「炎王」と名のついたモンスターがカードの効果によって破壊された場合、このカードを手札から特殊召喚できる。
また、このカードが破壊され墓地へ送られた場合、デッキから炎属性モンスター1体を墓地へ送る事ができる。
「何度でも同じことさ。レヴォリューション・ファルコンで攻撃!」
「キリンの効果発動。このカードが破壊された時、デッキの炎属性モンスターを一体墓地へ送る。私は、『炎王獣 ヤクシャ』を墓地へ」
響の場から、遂にモンスターの姿が消える。対する隼鷹の場には、まだ攻撃宣言をしていないモンスターが一体。
「勝負ありだな。インペイル・レイニアスで、響にダイレクトアタック!」
「『速攻のかかし』の効果を発動! このカードを手札から捨てることで、攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了させる」
《速攻のかかし》
効果モンスター
星1/地属性/機械族/攻 0/守 0
相手モンスターの直接攻撃宣言時、このカードを手札から捨てて発動できる。
その攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。
「なら、あたしはメインフェイズ2でインペイル・レイニアスの効果を発動。墓地のトリビュート・レイニアスを特殊召喚する。さらにトリビュート・レイニアスの効果を発動して、デッキのミミクリー・レイニアスを墓地へ。そして、墓地のミミクリー・レイニアスを除外して、デッキから二枚目のRR-レディネスを手札に加える」
隼鷹が選んだ罠カードを見て、響は露骨に顔をしかめる。
「RR-レディネス」は、ターン終了時まで「RR」モンスターを戦闘破壊から守る罠カード。基本的な攻撃力が低い「RR」にとっては、相手の反攻を凌ぐ盾となるカードだ。
しかし、このカードが防ぐのはあくまで戦闘破壊のみ。効果による破壊には対応していない。響が使う「炎王」はガルドニクスの効果で相手モンスターを一掃することができるため、それほど嫌な顔をしなくても良いようにも思える。
だが、そのガルドニクスの効果を次のターンに使うことはできない。響のフィールドにいたガルドニクスは、レヴォリューション・ファルコンに戦闘破壊されてしまったからだ。ガルドニクスが復活するのは、効果で破壊された時のみ。ゆえに、響が次のターンに隼鷹のモンスターを倒すには戦闘に頼るしかないのだが、RR-レディネスの出現により、それも不可能になってしまった。
そんな響の胸中をよそに、隼鷹は「これだけじゃないぜ」と続ける。
「自分の場にレイド・ラプターズが二体以上いることで、RR-ネストの効果も発動。墓地のバニシング・レイニアスを手札に加える。さらにあたしは、レベル4のインペイル・レイニアスとトリビュート・レイニアスで、オーバーレイネットワークを構築。『RR-フォース・ストリクス』をエクシーズ召喚!」
《
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/闇属性/鳥獣族/攻 100/守2000
レベル4モンスター×2
(1):このカードの攻撃力・守備力は、このカード以外の自分フィールドの鳥獣族モンスターの数×500アップする。
(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
デッキから鳥獣族・闇属性・レベル4モンスター1体を手札に加える。
「フォース・ストリクスの効果発動。オーバーレイ・ユニットを一つ使うことで、デッキから闇属性でレベル4の鳥獣族モンスターを手札に加える。あたしは、二体目のトリビュート・レイニアスを手札に加える。カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
「私のターン」
爆撃による火災がまだ終息しない中、響にターンが回ってくる。
戦況は最悪。フィールド、手札、ライフポイント、いずれにおいても彼女の劣勢。しかし、その表情に陰りはない。
「てことは、まだ策があるってことか」
「察しがいいね」
スタンバイフェイズ。まずはここで、前のターンにガルドニクスの効果で破壊されたバロンの効果が発動する。
「バロンの効果で、私はデッキから『炎王の急襲』を手札に加える。そして――」
そう言って、響は前のターンから手札にあった一枚を場に出す。
「私は魔法カード『貪欲な壺』を発動。墓地の『炎王獣 ガルドニクス』二枚と、『炎王獣 バロン』、『炎王神獣 ガルドニクス』、『速攻のかかし』の合計五枚をデッキに戻し、カードを二枚ドローする」
「なるほど。レヴォリューション・ファルコンに一掃されるのを分かっていながら壁モンスターを連発したのは、このためだったってわけか」
「そういうことさ。私は、この二枚に逆転の可能性を懸ける」
「いいねぇ、そういうの。嫌いじゃないぜ」
「それはどうも。……ドローっ!」
響は、引いた二枚のカードを横目で確認する。その口元が、小さく綻ぶ。
「うん、これならいける。私は魔法カード『ナイト・ショット』を発動。隼鷹さんの伏せカードを破壊する」
「ここで除去カードを引き当てるとは、やるじゃんか。でも、タダでは破壊されないぜ。チェーン発動、レイド・ラプターズ……」
「無駄だよ。ナイト・ショットの発動に対して、相手は対象となったカードを発動できない」
「何だって!?」
《ナイト・ショット》
通常魔法
(1):相手フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
セットされたそのカードを破壊する。
このカードの発動に対して相手は対象のカードを発動できない。
響の魔法カードから放たれた光線が隼鷹の伏せカードを貫く。破壊されたのは、「RR-レディネス」。
「やっぱり、伏せていたのはそのカードだったね。でも、これで心置きなく攻撃に移ることができる。私は、炎王の急襲を発動。その効果により、デッキから炎属性の獣族、獣戦士族、鳥獣族モンスター一体を特殊召喚する」
「炎属性ってことは、まさか……!」
「ああ、そうさ」
隼鷹の言葉に頷き、響はデッキからそのモンスターを呼び出す。
「聖域の主たる不死鳥よ、我等が土を汚す叛逆者に鉄槌を下せ! 再び舞い上がれ、炎王神獣ガルドニクス!!」
《炎王の急襲》
通常魔法
相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合に発動できる。
デッキから炎属性の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズ時に破壊される。
「炎王の急襲」は1ターンに1枚しか発動できない。
《炎王神獣 ガルドニクス》
効果モンスター
星8/炎属性/鳥獣族/攻2700/守1700
このカードがカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、次のスタンバイフェイズ時にこのカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚に成功した時、このカード以外のフィールド上のモンスターを全て破壊する。
また、このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから「炎王神獣 ガルドニクス」以外の「炎王」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。
森の木々を燃やす炎が一か所に結集していき、一つの形を作り出す。炎は巨大な鳥の姿を形成し、やがてその中から深紅の不死鳥が姿を現した。
「さらに私は、『熱血獣士ウルフバーク』を通常召喚。その効果を使い、墓地のバロンを守備表示で特殊召喚する。そして、レベル4のウルフバークとバロンでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚! 来い、『魁炎星王-ソウコ』!」
《熱血獣士ウルフバーク》
効果モンスター
星4/炎属性/獣戦士族/攻1600/守1200
自分の墓地の獣戦士族・炎属性・レベル4モンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターを表側守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。
「熱血獣士ウルフバーク」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
《魁炎星王-ソウコ》
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/炎属性/獣戦士族/攻2200/守1800
獣戦士族レベル4モンスター×2
このカードをエクシーズ召喚した時、デッキから「炎舞」と名のついた魔法・罠カード1枚をセットできる。
また、1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、獣戦士族以外のフィールド上の全ての効果モンスターの効果を相手ターン終了時まで無効にする。
このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、自分フィールド上の表側表示の「炎舞」と名のついた魔法・罠カード3枚を墓地へ送る事で、同じ攻撃力を持つレベル4以下の獣戦士族モンスター2体をデッキから守備表示で特殊召喚する。
「ソウコのエクシーズ召喚に成功した時、私はデッキの『炎舞』を一枚、魔法・罠ゾーンにセットすることができる。私は永続魔法『炎舞-「
《炎舞-「
永続魔法
「炎舞-「天璣」」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):このカードの発動時の効果処理として、デッキからレベル4以下の獣戦士族モンスター1体を手札に加える事ができる。
(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの獣戦士族モンスターの攻撃力は100アップする。
「天璣の発動時に、私はデッキの獣戦士族モンスターを一体手札に加えることができる。私は、バロンを手札に。さらに、このカードが存在する限り、自分の獣戦士族モンスターは攻撃力が100上がる。ソウコは獣戦士族だから、攻撃力は2200から2300になる」
「攻撃力2700と2300……あたしのモンスターのステータスを上回ってきたか。けど、忘れてないよな? 特殊召喚されたモンスターは、レヴォリューション・ファルコンと戦闘する時に攻守がゼロになる。攻撃してきても、返り討ちだぜ」
「心配ご無用だよ、隼鷹さん」
答えた響は、「ソウコの効果発動」と宣言する。
「このカードは、オーバーレイ・ユニットを一つ取り除くことで、次の相手ターンが終わるまで獣戦士族以外のモンスター効果をすべて無効にする。もっとも、この効果は発動時にフィールドにいたモンスターにしか適用されないけれど……レヴォリューション・ファルコンを倒すには、それでも充分だ」
これで、反撃の準備は完了した。響は満を持して攻撃命令を下す。
「バトルだ。私は、ガルドニクスでレヴォリューション・ファルコンに攻撃! 続けてソウコでフォース・ストリクスに攻撃!」
「くっ……」
響の攻撃によって二体のレイド・ラプターズが立て続けに破壊され、さらに戦闘ダメージが隼鷹に降りかかる。たった700ポイントのダメージではあるが、ソウル・シェイブ・フォースの発動コストとして文字通り
隼鷹 LP2000→1300
「けど、まだライフが尽きたわけじゃない。次のターンでまた逆転して――」
「残念だけど、それはないよ」
隼鷹の言葉を、響が遮る。
「このターンで、デュエルは終わりだ。私は速攻魔法『炎王炎環』を発動!」
「炎王炎環だと!? そんなカードまで引き当ててたってのか!」
「初めに一度使ったから、改めて効果を説明する必要はないよね。私はフィールドのガルドニクスを破壊して、墓地に眠るもう一体のガルドニクスを特殊召喚する! さらに、自分フィールドの『炎王』モンスターが破壊されたことにより、手札のバロンを特殊召喚!」
バトルフェイズ中に新たにフィールドに現れたモンスターは、攻撃宣言を行うことができる。従って、バロンとガルドニクスは壁モンスターを失った隼鷹にダイレクトアタックが可能だ。
「二体の攻撃力の合計は4600。隼鷹さんの残りライフは1300。これで決着だ!」
二体の炎獣から放たれた猛火が隼鷹に襲いかかる。炎は大波のように高く聳えて押し寄せ――隼鷹を呑み込む前に、不意に吹いた突風によってかき消された。
「んなっ!?」
何が起きたのか分からず、響は目を見開く。そこへ、隼鷹の声が響く。
「悪いなぁ、響」
不敵な笑みを浮かべる隼鷹。そのフィールドには、いつの間に現れたのか、一枚の罠カードがある。それは、響にも見覚えのあるカードだった。
「攻撃宣言時に、墓地のRR-レディネスの効果を発動させてもらったぜ。このカードは、墓地から除外することで、ターン終了時まですべてのダメージをゼロにすることができる効果を持ってるのさ」
「墓地からトラップだって!?」
隼鷹の言葉に、響は驚愕を深める。
初めてデッキを組んでからこの方、響は決して少なくないデュエル経験を積んできていた。しかし、墓地から発動する罠カードなど、見たことも聞いたこともなかった。
「……メインフェイズ2。私は、炎王の孤島の効果を発動し、ガルドニクスを破壊してデッキから炎王獣ガルドニクスを手札に加える。これでターンエンドだ」
勝利を確信した一撃をかわされた響は、歯噛みしてターンを明け渡す。
今の一撃は、いわば乾坤一擲の攻撃。このターンで決着をつけることを前提に、残るすべての力を注ぎ込んだものだ。それを凌がれた今、戦況はいよいよ響にとって不利となっていった。
「あたしのターンだ。ドロー!」
「このスタンバイフェイズ時、墓地のガルドニクスが復活する。そして、その効果により他のモンスターをすべて破壊する」
前のターンで、響は「炎王炎環」と「炎王の孤島」、二枚のカード効果により二体のガルドニクスを破壊している。ガルドニクスの自己蘇生効果は同時に発動する扱いではないため、二体が順番に復活して他のモンスターを破壊し、最終的に一体だけがフィールドに残る。
これで、隼鷹が新たにモンスターを展開しても、次のターンにはガルドニクスの効果で再び一掃することができる。しかし問題は、このターンを乗り切ることができるかどうかだった。
隼鷹の手札は先ほどドローした分を含めて五枚。彼女が従えるレイド・ラプターズの展開力は、ここまでで既に嫌というほど体感している。五枚もの手札があれば、ここで勝負を決めることも難しくはないだろう。
不安を抱える響の前で、それは現実のものとなる。
「さて……と。そろそろ、この勝負も潮時だな」
終幕を宣言するかのような物言いをした隼鷹は、楽しげな笑みを浮かべて言葉を続ける。
「新年早々、楽しいデュエルができたからな。お礼に、あたしのデッキの切り札を見せてやるよ」
「あれだけ強力なモンスターを出しておきながら、まだ切り札が……!?」
「そうさ。とっておきだぜ」
そう言って、隼鷹は行動を開始する。
「まずは下準備からだ。あたしは、バニシング・レイニアスを通常召喚。その効果で、手札のトリビュート・レイニアスを特殊召喚する」
「トリビュート・レイニアスは、デッキから『RR』カードを一枚墓地へ送ることができる……。またミミクリー・レイニアスを墓地へ送って、別のカードをサーチするつもりだね」
「響もあたしのデッキのことが分かってきたみたいだな。その通り、あたしはトリビュート・レイニアスの効果で三枚目のミミクリー・レイニアスを墓地へ送る。さらに墓地のミミクリー・レイニアスを除外して、デッキから通常魔法『RR-コール』を手札に加える。そして、そのRR-コールを発動!」
《
通常魔法
「RR-コール」は1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分は「RR」モンスターしか特殊召喚できない。
(1):自分フィールドの「RR」モンスター1体を対象として発動できる。
その同名モンスター1体を手札・デッキから守備表示で特殊召喚する。
「このカードは、自分の場のレイド・ラプターズと同じ名前のモンスター一体をデッキまたは手札から特殊召喚する。あたしは、デッキから二枚目のバニシング・レイニアスを特殊召喚。これで場のレイド・ラプターズが三体。RR-ネストの効果の発動条件を満たしたぜ。あたしはデッキから『RR-ネクロ・ヴァルチャー』を手札に加えて、バニシング・レイニアスの効果で特殊召喚する。さらに、手札のファジー・レイニアスを自身の効果で特殊召喚だ」
隼鷹のフィールドが、レイド・ラプターズによって埋め尽くされる。これから始まるであろう猛攻を予想して、響は冷や汗を浮かべる。
「あたしは、バニシング・レイニアスとファジー・レイニアスでオーバーレイネットワークを構築。二体目のフォース・ストリクスをエクシーズ召喚する。さらに、あたしはネクロ・ヴァルチャーの効果を発動。このカードをリリースして墓地の『RUM』を手札に戻す。あたしが選ぶのは、ソウル・シェイブ・フォース。こいつで墓地のレヴォリューション・ファルコンをランクアップさせるぜ!」
革命の道をゆく翼は、新たな力を得てさらなる高みへと飛翔する。その先にあるのは、空をも超えた、
「あたしは、ランク6のレヴォリューション・ファルコン一体で、オーバーレイネットワークを再構築。勇猛果敢なる隼よ、怒りの炎を巻き上げ、大地をも焼き尽くす閃光となれ! ダブルランクアップ・エクシーズチェンジ! 飛翔しろ、『RR-サテライト・キャノン・ファルコン』!」
《
効果モンスター
星4/闇属性/鳥獣族/攻1000/守1600
(1):1ターンに1度、自分フィールドの「RR」モンスター1体をリリースし、自分の墓地の「RUM」魔法カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「RUM」魔法カードの効果でしかモンスターをX召喚できない。
《
エクシーズ・効果モンスター
ランク8/闇属性/鳥獣族/攻3000/守2000
鳥獣族レベル8モンスター×2
(1):このカードが「RR」モンスターを素材としてX召喚に成功した場合に発動できる。
相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。
この効果の発動に対して相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。
(2):このカードのX素材を1つ取り除き、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力は自分の墓地の「RR」モンスターの数×800ダウンする。
この効果は相手ターンでも発動できる。
LP 1300→650
「どうだ! こいつがあたしの切り札さ!」
隼鷹が誇らしげに披露したのは、白い体を陽光に光らせる鳥。暗色を基調とした他のレイド・ラプターズと異なる体色は、「
「サテライト・キャノン・ファルコンは、召喚時に相手の魔法・罠カードをすべて破壊することができる。あたしはこの効果を発動して、炎王の孤島を破壊するぜ!」
予想通りビーム砲であった兵装から光線が発射され、火山島を火の海に変える。その火災は島の主であるガルドニクスをも巻き込んで、道連れにしていく。
「ありゃ? どうしてガルドニクスも破壊されてるんだ?」
「炎王の孤島はフィールドから離れた時、自分のモンスターを全滅させる効果を持っているんだ。……それにしも、一応『一富士』の代役だったカードを躊躇わずに破壊するとは。容赦ないね」
「まー、それはお互い様だろ? 響だって、『二鷹』の代役やってるあたしのモンスターを片っ端から墓地へ叩き込んでるし」
「確かに、それもそうだね。あたしは手札の炎王獣ガルドニクスの効果を発動。『炎王』が効果で破壊された時、このカードを手札から特殊召喚できる。私は守備表示で特殊召喚する」
「そっちのガルドニクスは、破壊されたらデッキから新しい『炎王』モンスターを呼び出すんだよな。面倒な壁モンスターだぜ」
けど、と隼鷹は続ける。
「その程度じゃ、あたしの攻撃は止められないぜ。あたしはフォース・ストリクスの効果を使い、デッキから三枚目のトリビュート・レイニアスを手札に加える。さらに、この効果発動のために墓地へ送られたファジー・レイニアスの効果で、デッキから同じく三枚目のファジー・レイニアスを手札に加える。そして、魔法カード『RUM-レイド・フォース』を発動! フォース・ストリクスをランクアップさせ、二体目のブレイズ・ファルコンをエクシーズ召喚する!」
《
通常魔法
(1):自分フィールドのXモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターよりランクが1つ高い「RR」モンスター1体を、対象の自分のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
(2):墓地のこのカードと手札の「RR」カード1枚を除外し、「RUM-レイド・フォース」以外の自分の墓地の「RUM」魔法カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
「あたしは、墓地のレイド・フォースの効果を発動。このカードと手札のファジー・レイニアスを除外して、墓地の『RUM』魔法カード一枚を手札に戻す。あたしが戻すのは、ソウル・シェイブ・フォースだ!」
「まさか、また!?」
「当然よ! あたしは、RUM-ソウル・シェイブ・フォースを発動。今度素材にするのは、墓地のRR-ライズ・ファルコン……と、くれば、何を呼び出すかはもう分かるよな?」
隼鷹の問いに、響は無言を貫くことで肯定の意を示す。それは、今この場で最も相手にしたくないモンスターだった。
「あたしは、ランク4のライズ・ファルコン一体でオーバーレイネットワークを再構築。ダブルランクアップ・エクシーズチェンジ! 来い、RR-レヴォリューション・ファルコン!」
サテライト・キャノン・ファルコン、レヴォリューション・ファルコン、ブレイズ・ファルコン……先ほどの下級モンスターたちに代わり、今度はレイド・ラプターズのエクシーズモンスターが隼鷹の場で翼を並べる。この猛禽たちの爪から逃れる術は、もうない。
「あたしは、レヴォリューション・ファルコンの効果を発動。オーバレイ・ユニットを一つ使うことで、相手モンスターすべてに一回ずつ攻撃できる。バトル! あたしはレヴォリューション・ファルコンでガルドニクスを攻撃!」
爆弾の雨に呑まれ、幼いガルドニクスは再び粉砕される。しかし、今度はそのあとを継ぐモンスターはいない。
「ガルドニクスの効果は使わなくていいのか?」
「うん。後続のモンスターを召喚しても、レヴォリューション・ファルコンに全部倒されるだけだからね。さっきのように目的があるならまだしも、意味もなくモンスターを墓地に送りたくはない」
「そっか。なら、その姿勢に敬意を表して、最大の火力で決めてやるぜ。あたしは、サテライト・キャノン・ファルコンで響にダイレクトアタック!」
天高く飛翔したサテライト・キャノン・ファルコンは、その名の通り人工衛星と同じ高度まで上がり、地球を見下ろす。そして、そこから地上の一点に向かって全砲門を指向した。
この星そのものを見渡す位置からの攻撃を、避けることは不可能。響は目を閉じて、静かにその時を待つ。
「これで決着だ。くらえ、エターナル・アベンジ!」
遥か衛星軌道上から放たれた光線が、響に降り注ぐ。この一撃が、両者の戦いに終止符を打った。
響 LP1000→0
「いやー、楽しいデュエルだったよ。ありがとさん、響!」
「こちらこそ、付き合ってくれてありがとう。負けたのは悔しいけど、私も楽しかったよ」
「リベンジなら、いつでも受けて立つぜ。いつもだいたい長官公室にいるから、暇な時は遊びに来てくれよ」
「長官公室って……。そこは、気軽に遊びに行けるような場所じゃないと思うんだけれど」
「へーき、へーき! 長官はそういうのあまり気にしない性格だからさ」
「そんじゃな!」と手を振り、隼鷹はその場を去る。恐らくは、自室に戻って年明けと初デュエルの勝利を祝した杯を挙げるつもりなのだろう。
「勝敗はともかく、これで験担ぎは完璧ね。今夜は縁起のいい夢間違いなしだわ!」
「そう? なんか、富士山とか鷹じゃなくて、普通にデュエルの印象しか残ってないんだけど……」
「平気よ。それぞれのカードが縁起物の代役だってことは、頭で理解してるんだもの。夢で見る時は、しっかり置き換えてくれるに決まってるわ。だから、むしろそのくらい記憶に残ってる方がいいわよ」
「そんなものかしら……?」
「それより。早く顔を洗いに行きましょ。私たち三人は落書きされたままの顔なんだから。誰かに見られる前に落としとかないと」
釈然としない様子の暁を置いて、雷は水道場へと向かう。響と電もそれに続き、暁は慌てて後を追う。
……その日の夜。
結局、四人が見た夢は、暁が懸念した通り、様々なモンスターが入り乱れるデュエルの夢だった。
暁「響が負けたようね」
雷「くくく。奴は暁型四姉妹の中でも最弱……」
電「第六駆逐隊の面汚しなのです」
響「あのー、みんな……?」
暁「何の用かしら、面汚し?」
電「酔っ払いに負けたくせに、どのツラ下げて帰ってきてるのですか?」
響「ちょっと!? いくらなんでも、元旦から酷過ぎないかい!?」
暁「ごめん、ごめん。冗談よ」
雷「そうよ。私たちが本気でこんなこと言うわけないでしょ」
電「なのです」
響「まあ、そうだろうとは思ったけど……。でも、今のはけっこう傷ついたよ? 私だって、全力で戦ったのに……」
暁「うっ。そう切々と訴えられると、後ろめたくなってくるわ……」
雷「悪かったわ、響」
電「ごめんなさいなのです」
響「別にいいよ。私も、冗談だとは分かってたから」
雷「で、今回は一話かぎりの番外編投稿って形だったけど、次はどうなるのかしら?」
響「分からない。作者のストックは相変わらず溜まってなくて、連載再開の見込みは立っていないからね。次回が連載再開の一話目になるか、今回みたいな番外編になるかは不明だよ」
電「読者の皆さんには、またしばらく待ってもらうことになってしまうのです。すみません、なのです」
響「執筆の状況は活動報告で知らせているから、詳しくはそちらで。……とまぁ、今はこんな感じかな。それじゃ暁、締めは頼んだよ」
暁「えっ!? 締め、って次回予告もできないのにどうすればいいのよ?」
響「それを考えるのが君の役目じゃないか。一人前のレディーなら、これくらい難なくできると思うけど?」
暁「と、当然よっ! え、えっと……あっと……」
響「はい、時間切れ。電?」
電「読者の皆さん、今年も『鎮守府決斗録』をどうぞよろしくお願いします」
響「うん、完璧。できる妹に恵まれて嬉しいよ」
暁「何よその言い方! 暁だって立派な――」
響「それじゃあ、また次回。До Свидания」
暁「ちょっとー!」