鎮守府決斗録   作:石田零

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5 新しいデッキができたわ。さっそく実戦投入しましょう!

「必要なカードはこれと、それと、あとこのカードも……デッキ作りって、案外難しいわね……。ねえ、電。そっちの調子はどう?」

 

「ううん、全然……。まだどのカードを中心にするかも決まってないのです」

 

「えぇ、そこから!? そんなんじゃダメよ! ……もう、しょうがないわね。私が手伝ってあげるわ」

 

「本当?」

 

「ええ。このまま放っておいたら、明日になっても完成しそうにないもの。とにかく、まずはデッキの中心にするカードを決めるわよ。電は、この中で気に入ったカードはないの?」

 

「あるにはあるけど……そのカードは、司令官さんに使っちゃダメだって言われてしまったのです。他に気に入ったカードも見つからなくて、困ってて……。雷ちゃんは、どんな風に選んだの?」

 

「私? 私は、種族で揃えたわ」

 

「種族?」

 

「そうよ。これを見て」

 

 そう言って、雷は1枚のカードを差し出す。

 

「ほら、このカードの種族。『雷族』って書いてあるのよ!」

 

「わあっ! 雷ちゃんと同じ名前なのです!」

 

「そうなの。見つけた瞬間、私にピッタリのカードだって確信したわ。……あっ! そういえば、雷族のカードを探してる最中に、こんなカードを見つけたのを思い出したわ。ねえ、これなんかどう? ほら、私のと同じで、カードの名前に電と同じ字が入ってるのよ」

 

 作成中のデッキの脇に置いてあるカードを、雷が持ってくる。それを見た電は、目を輝かせて頷いた。

 

「……気に入ったのです! 電は、このカードを使ってデッキを組むのです!」

 

「これで問題解決ね。それじゃ、私は自分のデッキ作りに戻るわ。ここにいると、電のデッキを盗み見しちゃうし」

 

「ありがとう、雷ちゃん! 助かったのです」

 

 

 

 それから数十分後……

 

 

 

「とどめだ! Sinサイバー・エンド・ドラゴンでダイレクトアタック!」

 

「ううっ、また負けた……。もう一回よ!」

 

「……暁。これで三連敗だよ。そろそろ諦めた方がいいんじゃ……」

 

「まだよ! 次は絶対に勝つんだから。だからもう一勝負――」

 

「司令官! 私のデッキができたわ!」

 

「むぎゅっ!」

 

 完成したデッキを持ってきた雷が、暁の上にのしかかってデッキを掲げる。不意に背中に乗られた暁はそれを支えきれず、雷に押しつぶされる。

 

「お、遂に完成したか。電の方はどうだ?」

 

「そっちも大丈夫よ。電のデッキも完成したわ」

 

「そうか。なら、今度は雷と電でデュエルしてもらうとするか」

 

「分かったわ!」

 

「ちょっと雷! 早くどいてちょうだい!」

 

「あ、ごめんごめん」

 

 下敷き状態から解放された暁が脇に移動し、雷と電が対峙する。

 

「それじゃいくわよ、電」

 

「なのです!」

 

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

雷 LP4000

電 LP4000

 

 

「先攻と後攻は電が好きな方を選んでいいわよ。どっちがいい?」

 

「えっと……そうしたら、後攻にするのです」

 

「なら私が先攻ね。私は手札の『サンダー・シーホース』の効果を発動! このカードを捨てて、デッキから『OKa(オカ)サンダー』2体を手札に加えるわ。そして『ライオウ』を召喚! カードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

 

《サンダー・シーホース》

効果モンスター

星4/光属性/雷族/攻1600/守1200

自分のメインフェイズ時に、このカードを手札から捨てて発動できる。

デッキから雷族・光属性・レベル4・攻撃力1600以下の同名モンスター2体を手札に加える。

「サンダー・シーホース」の効果は1ターンに1度しか使用できず、この効果を発動するターン自分はモンスターを特殊召喚できない。

 

《ライオウ》

効果モンスター

星4/光属性/雷族/攻1900/守 800

このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、お互いにドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加える事はできない。

また、自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地に送る事で、相手モンスター1体の特殊召喚を無効にし破壊する。

 

 

「私のターン。私は、モンスターとカードを1枚ずつ伏せて、ターンエンドなのです」

 

「思ったより消極的ね。ライオウに勝てるモンスターがいなかったのかしら?」

 

 首を傾げる雷だが、「まあ、いいわ」とすぐに気持ちを切り換える。

 

「そっちが攻めてこないなら、私からいくわ! 私はさっき手札に加えた『OKaサンダー』を召喚、さらにその効果で手札から『ヴァイロン・プリズム』を召喚!」

 

 

OKa(オカ)サンダー》

効果モンスター

星4/光属性/雷族/攻1400/守 700

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。

手札から「OKaサンダー」以外の雷族・光属性・レベル4のモンスター1体を召喚する。

 

《ヴァイロン・プリズム》

チューナー(効果モンスター)

星4/光属性/雷族/攻1500/守1500

このカードがモンスターカードゾーン上から墓地へ送られた場合、500ライフポイントを払って発動できる。

このカードを装備カード扱いとして自分フィールド上のモンスター1体に装備する。

このカードが装備カード扱いとして装備されている場合、装備モンスターが戦闘を行うダメージステップの間、その攻撃力は1000ポイントアップする。

 

 

「チューナーモンスター、ということは――」

 

「その通りよ、電。私は、レベル4のOKaサンダーに、レベル4のヴァイロン・プリズムをチューニング! 星海を切り裂く一筋の閃光よ、魂を震わし世界に轟け! シンクロ召喚、『閃珖竜 スターダスト』!」

 

 

《閃珖竜 スターダスト》

シンクロ・効果モンスター

星8/光属性/ドラゴン族/攻2500/守2000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して発動できる。

選択したカードは、このターンに1度だけ戦闘及びカードの効果では破壊されない。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

「そして、墓地に送られたヴァイロン・プリズムの効果を発動するわ。ライフポイントを500払って、このカードをスターダストに装備!」

 

 

雷 LP4000→3500

 

 

「モンスターを、装備カードに……!?」

 

「ヴァイロン・プリズムが装備されているモンスターは、戦闘をする時に攻撃力が1000ポイントアップするわ。バトルフェイズ! ライオウで電のモンスターに攻撃!」

 

「私が伏せていたのは、『電池メン―ボタン型』なのです。このカードのリバース効果で、デッキから『電池メン―単三型』を守備表示で特殊召喚。さらに、戦闘で破壊されたことでデッキからカードを1枚ドローするのです」

 

 

《電池メン-ボタン型》

効果モンスター

星1/光属性/雷族/攻 100/守 100

リバース:デッキから「電池メン-ボタン型」以外のレベル4以下の「電池メン」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。

また、リバースしたこのカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキからカードを1枚ドローする。

 

《電池メン-単三型》

効果モンスター

星3/光属性/雷族/攻 0/守 0

自分フィールド上の「電池メン-単三型」が全て攻撃表示だった場合、「電池メン-単三型」1体につきこのカードの攻撃力は1000ポイントアップする。

自分フィールド上の「電池メン-単三型」が全て守備表示だった場合、「電池メン-単三型」1体につきこのカードの守備力は1000ポイントアップする。

 

 

「その程度の壁モンスターは、スターダストの敵じゃないわ! スターダストで攻撃!」

 

「うぅ。守備力1000では、攻撃力3500には敵わないのです」

 

「私はこれでターンを終了するわ」

 

「雷ちゃんのターンが終わる前に、リバースカード発動なのです。トラップカード『携帯型バッテリー』! 墓地からボタン型と単三型を特殊召喚するのです。そして、私のターン!」

 

 

《携帯型バッテリー》

永続罠

自分の墓地の「電池メン」と名のついたモンスター2体を選択し、表側攻撃表示で特殊召喚する。

このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを全て破壊する。

そのモンスターが全てフィールド上から離れた時、このカードを破壊する。

 

 

「私は、手札から『燃料電池メン』を特殊召喚!」

 

「えっ、手札からいきなり上級モンスターを!?」

 

「燃料電池メンは、自分のフィールドに『電池メン』と名のついたモンスターが2体以上いると特殊召喚できるのです」

 

「なるほど。だから破壊された電池メンを復活させたのね。でもその攻撃力じゃ、ライオウはともかく、スターダストには勝てないわよ」

 

「心配ご無用、なのです。私は、燃料電池メンの効果を発動!」

 

 

《燃料電池メン》

効果モンスター

星6/光属性/雷族/攻2100/守 0

自分フィールド上に「電池メン」と名のついたモンスターが2体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

1ターンに1度、このカード以外の自分フィールド上の「電池メン」と名のついたモンスター1体をリリースして発動できる。

相手フィールド上のカード1枚を選択して持ち主の手札に戻す。

 

 

「1ターンに1度、このカード以外の電池メンをリリースすることで、相手のカードを1枚手札に戻す。私は、ボタン型をリリースして雷ちゃんのスターダストを手札に戻すのです!」

 

「スターダストが無効にできるのは破壊だけ……痛いところを突かれたわ」

 

 スターダストをエクストラデッキに戻しながら、雷が苦い顔をする。厄介なモンスターの除去に成功した電は、勇ましく攻撃宣言をする。

 

「バトル! 燃料電池メンでライオウに攻撃なのです!」

 

「そんな攻撃当たらないわ! トラップ発動、『光子化(フォトナイズ)』! 相手の攻撃を無効にして、その分だけライオウの攻撃力をアップさせるわ!」

 

 

光子化(フォトナイズ)

通常罠

相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。

相手モンスター1体の攻撃を無効にし、その相手モンスターの攻撃力分だけ、自分フィールド上に表側表示で存在する光属性モンスター1体の攻撃力を、次の自分のエンドフェイズ時までアップする。

 

 

「1900+2100ということは……攻撃力、4000!?」

 

 強化されたライオウの攻撃力を見て、電は絶句する。

 攻撃力4000といえば、暁の切り札であるレインボー・ドラゴンと同じ数値。トラップの補助があるとはいえ、一介の下級モンスターが超重量級モンスターと同じ攻撃力を叩き出したことに、電は驚きの色をあらわにする。

 

「……私は、単三型を守備表示にして、ターンエンドなのです」

 

「私のターンね。光子化の効果はこのターンまでしか続かないから、一気に攻めるわよ。私は、もう1体のOKaサンダーを召喚! そして、OKaサンダーの効果で『OTo(オト)サンダー』を召喚! さらにOToサンダーの効果で……と言いたいところだけど、手札にこれ以上出せるモンスターはいないから、OToサンダーの効果は発動させないわ」

 

 雷の言葉を聞いて安堵の色を浮かべる電――と、それを打ち消すように「でも!」と雷が声を張る。

 

「安心するのはまだ早いわよ! 私はレベル4のOKaサンダーとOToサンダーでオーバーレイネットワークを構築! 気高き騎士よ、光の刃で闇を切り裂け! エクシーズ召喚! 『輝光子パラディオス』!」

 

 

OTo(オト)サンダー》

効果モンスター

星4/光属性/雷族/攻1300/守 600

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。

手札から「OToサンダー」以外の雷族・光属性・レベル4のモンスター1体を召喚する。

 

《輝光子パラディオス》

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/戦士族/攻2000/守1000

光属性レベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を2つ取り除き、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。

選択したモンスターの攻撃力を0にし、その効果を無効にする。

また、フィールド上のこのカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、デッキからカードを1枚ドローする。

 

 

「パラディオスの効果発動よ! オーバーレイ・ユニットを二つ使うことで、相手モンスター1体の攻撃力をゼロにして、効果を無効にするわ!」

 

「なっ!?」

 

「私が対象に選ぶのは……当然、燃料電池メン!」

 

 2100あった燃料電池メンの攻撃力が、一気にゼロにまで落ち込む。これで、電の燃料電池メンは攻撃力ゼロを除く全てのモンスターに戦闘破壊される最弱モンスターになってしまった。

 だが、それだけではない。

 

「このターンが終わるまで、ライオウの攻撃力は4000。ライオウで攻撃力がゼロになった燃料電池メンに攻撃すれば、一発で私の勝ちよ!」

 

 雷の言う通りであった。

 攻撃力ゼロのモンスターに攻撃することは、相手プレイヤーに直積攻撃することに等しい。強化されたライオウの一撃が炸裂すれば、一気に電のライフポイントを削り切り、ワンショットキルをすることが可能だった。

 

「さあバトルよ! ライオウで、燃料電池メンに攻撃!」

 

 これを受ければ敗北する、文字通り一撃必殺の攻撃を雷が繰り出す。その攻撃に対し、電も負けじと応戦する。

 

「私だって負けないのです! 手札の効果モンスター、『オネスト』の効果を発動なのです!」

 

 

《オネスト》

効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻1100/守1900

(1):自分メインフェイズに発動できる。

フィールドの表側表示のこのカードを手札に戻す。

(2):自分の光属性モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時からダメージ計算前までに、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。

そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする。

 

 

「オネストは、自分の光属性モンスターが戦闘する時に、戦う相手の攻撃力を加えるカード。私は、燃料電池メンの攻撃力を、ライオウの攻撃力と同じ数値……4000アップさせるのです!」

 

「攻撃力はお互いに4000。ということは、相討ち……」

 

 雷は一瞬、手札のカードに手をかける。しかし、すぐにその手を引くと、対抗するカードを発動させることなくライオウの戦闘破壊を許した。

 

「やるわね電。けど、私にはまだモンスターが残ってるわ。パラディオスで単三型に攻撃!」

 

 パラディオスの攻撃により、単三型が破壊される。そして、蘇生対象のモンスターが全てフィールドを離れたことで電のフィールドにある携帯型バッテリーも破壊された。

 

「うーん。このターンで決着つけようと思ってたけど、かわされちゃったか。まあいいわ。カードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

 今のところ、勝負はほぼ互角。フィールドを見ると雷が優勢だが、四枚の手札を持つ電にも挽回のチャンスは十分に残されている。

 まだどちらが勝つかは分からない。適度な緊張と興奮が混じる中、電にターンが回った。

 

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