「必要なカードはこれと、それと、あとこのカードも……デッキ作りって、案外難しいわね……。ねえ、電。そっちの調子はどう?」
「ううん、全然……。まだどのカードを中心にするかも決まってないのです」
「えぇ、そこから!? そんなんじゃダメよ! ……もう、しょうがないわね。私が手伝ってあげるわ」
「本当?」
「ええ。このまま放っておいたら、明日になっても完成しそうにないもの。とにかく、まずはデッキの中心にするカードを決めるわよ。電は、この中で気に入ったカードはないの?」
「あるにはあるけど……そのカードは、司令官さんに使っちゃダメだって言われてしまったのです。他に気に入ったカードも見つからなくて、困ってて……。雷ちゃんは、どんな風に選んだの?」
「私? 私は、種族で揃えたわ」
「種族?」
「そうよ。これを見て」
そう言って、雷は1枚のカードを差し出す。
「ほら、このカードの種族。『雷族』って書いてあるのよ!」
「わあっ! 雷ちゃんと同じ名前なのです!」
「そうなの。見つけた瞬間、私にピッタリのカードだって確信したわ。……あっ! そういえば、雷族のカードを探してる最中に、こんなカードを見つけたのを思い出したわ。ねえ、これなんかどう? ほら、私のと同じで、カードの名前に電と同じ字が入ってるのよ」
作成中のデッキの脇に置いてあるカードを、雷が持ってくる。それを見た電は、目を輝かせて頷いた。
「……気に入ったのです! 電は、このカードを使ってデッキを組むのです!」
「これで問題解決ね。それじゃ、私は自分のデッキ作りに戻るわ。ここにいると、電のデッキを盗み見しちゃうし」
「ありがとう、雷ちゃん! 助かったのです」
それから数十分後……
「とどめだ! Sinサイバー・エンド・ドラゴンでダイレクトアタック!」
「ううっ、また負けた……。もう一回よ!」
「……暁。これで三連敗だよ。そろそろ諦めた方がいいんじゃ……」
「まだよ! 次は絶対に勝つんだから。だからもう一勝負――」
「司令官! 私のデッキができたわ!」
「むぎゅっ!」
完成したデッキを持ってきた雷が、暁の上にのしかかってデッキを掲げる。不意に背中に乗られた暁はそれを支えきれず、雷に押しつぶされる。
「お、遂に完成したか。電の方はどうだ?」
「そっちも大丈夫よ。電のデッキも完成したわ」
「そうか。なら、今度は雷と電でデュエルしてもらうとするか」
「分かったわ!」
「ちょっと雷! 早くどいてちょうだい!」
「あ、ごめんごめん」
下敷き状態から解放された暁が脇に移動し、雷と電が対峙する。
「それじゃいくわよ、電」
「なのです!」
「「デュエル!!」」
雷 LP4000
電 LP4000
「先攻と後攻は電が好きな方を選んでいいわよ。どっちがいい?」
「えっと……そうしたら、後攻にするのです」
「なら私が先攻ね。私は手札の『サンダー・シーホース』の効果を発動! このカードを捨てて、デッキから『
《サンダー・シーホース》
効果モンスター
星4/光属性/雷族/攻1600/守1200
自分のメインフェイズ時に、このカードを手札から捨てて発動できる。
デッキから雷族・光属性・レベル4・攻撃力1600以下の同名モンスター2体を手札に加える。
「サンダー・シーホース」の効果は1ターンに1度しか使用できず、この効果を発動するターン自分はモンスターを特殊召喚できない。
《ライオウ》
効果モンスター
星4/光属性/雷族/攻1900/守 800
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、お互いにドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加える事はできない。
また、自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地に送る事で、相手モンスター1体の特殊召喚を無効にし破壊する。
「私のターン。私は、モンスターとカードを1枚ずつ伏せて、ターンエンドなのです」
「思ったより消極的ね。ライオウに勝てるモンスターがいなかったのかしら?」
首を傾げる雷だが、「まあ、いいわ」とすぐに気持ちを切り換える。
「そっちが攻めてこないなら、私からいくわ! 私はさっき手札に加えた『OKaサンダー』を召喚、さらにその効果で手札から『ヴァイロン・プリズム』を召喚!」
《
効果モンスター
星4/光属性/雷族/攻1400/守 700
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。
手札から「OKaサンダー」以外の雷族・光属性・レベル4のモンスター1体を召喚する。
《ヴァイロン・プリズム》
チューナー(効果モンスター)
星4/光属性/雷族/攻1500/守1500
このカードがモンスターカードゾーン上から墓地へ送られた場合、500ライフポイントを払って発動できる。
このカードを装備カード扱いとして自分フィールド上のモンスター1体に装備する。
このカードが装備カード扱いとして装備されている場合、装備モンスターが戦闘を行うダメージステップの間、その攻撃力は1000ポイントアップする。
「チューナーモンスター、ということは――」
「その通りよ、電。私は、レベル4のOKaサンダーに、レベル4のヴァイロン・プリズムをチューニング! 星海を切り裂く一筋の閃光よ、魂を震わし世界に轟け! シンクロ召喚、『閃珖竜 スターダスト』!」
《閃珖竜 スターダスト》
シンクロ・効果モンスター
星8/光属性/ドラゴン族/攻2500/守2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して発動できる。
選択したカードは、このターンに1度だけ戦闘及びカードの効果では破壊されない。
この効果は相手ターンでも発動できる。
「そして、墓地に送られたヴァイロン・プリズムの効果を発動するわ。ライフポイントを500払って、このカードをスターダストに装備!」
雷 LP4000→3500
「モンスターを、装備カードに……!?」
「ヴァイロン・プリズムが装備されているモンスターは、戦闘をする時に攻撃力が1000ポイントアップするわ。バトルフェイズ! ライオウで電のモンスターに攻撃!」
「私が伏せていたのは、『電池メン―ボタン型』なのです。このカードのリバース効果で、デッキから『電池メン―単三型』を守備表示で特殊召喚。さらに、戦闘で破壊されたことでデッキからカードを1枚ドローするのです」
《電池メン-ボタン型》
効果モンスター
星1/光属性/雷族/攻 100/守 100
リバース:デッキから「電池メン-ボタン型」以外のレベル4以下の「電池メン」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。
また、リバースしたこのカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキからカードを1枚ドローする。
《電池メン-単三型》
効果モンスター
星3/光属性/雷族/攻 0/守 0
自分フィールド上の「電池メン-単三型」が全て攻撃表示だった場合、「電池メン-単三型」1体につきこのカードの攻撃力は1000ポイントアップする。
自分フィールド上の「電池メン-単三型」が全て守備表示だった場合、「電池メン-単三型」1体につきこのカードの守備力は1000ポイントアップする。
「その程度の壁モンスターは、スターダストの敵じゃないわ! スターダストで攻撃!」
「うぅ。守備力1000では、攻撃力3500には敵わないのです」
「私はこれでターンを終了するわ」
「雷ちゃんのターンが終わる前に、リバースカード発動なのです。トラップカード『携帯型バッテリー』! 墓地からボタン型と単三型を特殊召喚するのです。そして、私のターン!」
《携帯型バッテリー》
永続罠
自分の墓地の「電池メン」と名のついたモンスター2体を選択し、表側攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを全て破壊する。
そのモンスターが全てフィールド上から離れた時、このカードを破壊する。
「私は、手札から『燃料電池メン』を特殊召喚!」
「えっ、手札からいきなり上級モンスターを!?」
「燃料電池メンは、自分のフィールドに『電池メン』と名のついたモンスターが2体以上いると特殊召喚できるのです」
「なるほど。だから破壊された電池メンを復活させたのね。でもその攻撃力じゃ、ライオウはともかく、スターダストには勝てないわよ」
「心配ご無用、なのです。私は、燃料電池メンの効果を発動!」
《燃料電池メン》
効果モンスター
星6/光属性/雷族/攻2100/守 0
自分フィールド上に「電池メン」と名のついたモンスターが2体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
1ターンに1度、このカード以外の自分フィールド上の「電池メン」と名のついたモンスター1体をリリースして発動できる。
相手フィールド上のカード1枚を選択して持ち主の手札に戻す。
「1ターンに1度、このカード以外の電池メンをリリースすることで、相手のカードを1枚手札に戻す。私は、ボタン型をリリースして雷ちゃんのスターダストを手札に戻すのです!」
「スターダストが無効にできるのは破壊だけ……痛いところを突かれたわ」
スターダストをエクストラデッキに戻しながら、雷が苦い顔をする。厄介なモンスターの除去に成功した電は、勇ましく攻撃宣言をする。
「バトル! 燃料電池メンでライオウに攻撃なのです!」
「そんな攻撃当たらないわ! トラップ発動、『
《
通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
相手モンスター1体の攻撃を無効にし、その相手モンスターの攻撃力分だけ、自分フィールド上に表側表示で存在する光属性モンスター1体の攻撃力を、次の自分のエンドフェイズ時までアップする。
「1900+2100ということは……攻撃力、4000!?」
強化されたライオウの攻撃力を見て、電は絶句する。
攻撃力4000といえば、暁の切り札であるレインボー・ドラゴンと同じ数値。トラップの補助があるとはいえ、一介の下級モンスターが超重量級モンスターと同じ攻撃力を叩き出したことに、電は驚きの色をあらわにする。
「……私は、単三型を守備表示にして、ターンエンドなのです」
「私のターンね。光子化の効果はこのターンまでしか続かないから、一気に攻めるわよ。私は、もう1体のOKaサンダーを召喚! そして、OKaサンダーの効果で『
雷の言葉を聞いて安堵の色を浮かべる電――と、それを打ち消すように「でも!」と雷が声を張る。
「安心するのはまだ早いわよ! 私はレベル4のOKaサンダーとOToサンダーでオーバーレイネットワークを構築! 気高き騎士よ、光の刃で闇を切り裂け! エクシーズ召喚! 『輝光子パラディオス』!」
《
効果モンスター
星4/光属性/雷族/攻1300/守 600
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。
手札から「OToサンダー」以外の雷族・光属性・レベル4のモンスター1体を召喚する。
《輝光子パラディオス》
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/戦士族/攻2000/守1000
光属性レベル4モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を2つ取り除き、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターの攻撃力を0にし、その効果を無効にする。
また、フィールド上のこのカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、デッキからカードを1枚ドローする。
「パラディオスの効果発動よ! オーバーレイ・ユニットを二つ使うことで、相手モンスター1体の攻撃力をゼロにして、効果を無効にするわ!」
「なっ!?」
「私が対象に選ぶのは……当然、燃料電池メン!」
2100あった燃料電池メンの攻撃力が、一気にゼロにまで落ち込む。これで、電の燃料電池メンは攻撃力ゼロを除く全てのモンスターに戦闘破壊される最弱モンスターになってしまった。
だが、それだけではない。
「このターンが終わるまで、ライオウの攻撃力は4000。ライオウで攻撃力がゼロになった燃料電池メンに攻撃すれば、一発で私の勝ちよ!」
雷の言う通りであった。
攻撃力ゼロのモンスターに攻撃することは、相手プレイヤーに直積攻撃することに等しい。強化されたライオウの一撃が炸裂すれば、一気に電のライフポイントを削り切り、ワンショットキルをすることが可能だった。
「さあバトルよ! ライオウで、燃料電池メンに攻撃!」
これを受ければ敗北する、文字通り一撃必殺の攻撃を雷が繰り出す。その攻撃に対し、電も負けじと応戦する。
「私だって負けないのです! 手札の効果モンスター、『オネスト』の効果を発動なのです!」
《オネスト》
効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻1100/守1900
(1):自分メインフェイズに発動できる。
フィールドの表側表示のこのカードを手札に戻す。
(2):自分の光属性モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時からダメージ計算前までに、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。
そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする。
「オネストは、自分の光属性モンスターが戦闘する時に、戦う相手の攻撃力を加えるカード。私は、燃料電池メンの攻撃力を、ライオウの攻撃力と同じ数値……4000アップさせるのです!」
「攻撃力はお互いに4000。ということは、相討ち……」
雷は一瞬、手札のカードに手をかける。しかし、すぐにその手を引くと、対抗するカードを発動させることなくライオウの戦闘破壊を許した。
「やるわね電。けど、私にはまだモンスターが残ってるわ。パラディオスで単三型に攻撃!」
パラディオスの攻撃により、単三型が破壊される。そして、蘇生対象のモンスターが全てフィールドを離れたことで電のフィールドにある携帯型バッテリーも破壊された。
「うーん。このターンで決着つけようと思ってたけど、かわされちゃったか。まあいいわ。カードを1枚伏せて、ターンエンド」
今のところ、勝負はほぼ互角。フィールドを見ると雷が優勢だが、四枚の手札を持つ電にも挽回のチャンスは十分に残されている。
まだどちらが勝つかは分からない。適度な緊張と興奮が混じる中、電にターンが回った。