鎮守府決斗録   作:石田零

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読者の皆様、お待たせしました。今回は100%デュエル回です。
なお今回より、作中の適用ルールを新マスタールールに変更します。
OCGのルール変更後にいろいろ考えましたが、やはり現行ルールに沿って書きたいということで、このように決定しました。
今後は新マスタールールでのデュエルをお届けしていきますので、どうぞご了承ください。
それでは、本編をお楽しみください。


50 西からの報せ

「改めマシテ、私は金剛型戦艦一番艦の金剛デース! 皆さん、よろしくお願いシマース!」

 

 金剛が皆の前で元気良く挨拶したのは、電たちがトラックに帰還した翌日のことだった。

 聴衆は、春瀬の指揮下に属する艦娘たち。鈴谷、天龍、龍田、そして暁型の四姉妹だ。沈没寸前の状態で帰還した電も、ドックでの集中治療を経て今はすっかり回復している。彼女らは春瀬の執務室に勢揃いし、金剛の自己紹介に耳を傾ける。

 

「横須賀鎮守府からトラック泊地への転属命令を受けて、昨日着任シマシタ。これから皆さんと一緒に、深海棲艦と戦いマース。戦艦の火力、期待しててくだサーイ!」

 

 金剛の横には、二人の艦娘が控えている。一人は金剛と同じ服装の姉妹艦と思われる艦娘。もう一人は、まったく別の制服を着ている。いずれも、トラックでは見たことのない顔だ。

 

「この二人は、私と一緒にトラックへ来た別艦隊の艦娘デース。こっちは私の妹の比叡、そして練習巡洋艦の香取デース」

 

 紹介を受けた二人は、それぞれ短い挨拶をする。

 

「本当はここで他のMembersも紹介したいところですガ、それにはこの部屋はtoo smallデース。なので、それはまた今度にシマース。今は名前だけ紹介しておきますネ」

 

 そう言って、金剛は艦娘の名前が書かれた紙を配る。そこには、次のような文字が並んでいた。

 

 

第一南遣艦隊(旗艦:戦艦「金剛」)

 戦艦「金剛」「榛名」

 正規空母「飛龍」「蒼龍」

 軽空母「瑞鳳」

 重巡洋艦「足柄」「羽黒」

 駆逐艦「嵐」「萩風」「舞風」「野分」

    「秋月」

 

第一西遣艦隊(旗艦:戦艦「比叡」)

 戦艦「比叡」「霧島」

 正規空母「雲龍」「天城」

 軽空母「龍鳳」

 駆逐艦「朝霜」「清霜」「早霜」「秋雲」

    「照月」

 

第一試験艦隊(旗艦:練習巡洋艦「香取」)

 練習巡洋艦「香取」

 駆逐艦「睦月」「如月」「霞」

 

 

「うっわ~、すんごい大所帯じゃん。よくこんなに集めたねえ」

 

 紙面に目を落としたまま、鈴谷が感嘆の声を出す。天龍がその言葉に頷き、同意を示す。

 

「まったくだ。しっかし、こりゃまた大層な艦隊じゃねぇか。戦艦と空母が四隻ずつ、それも金剛型四姉妹が揃い踏みときた。これだけの兵力を集めて、上は一体何をする気だ?」

 

 天龍の問いに、金剛は「それは今から話しマース」と答える。

 

「実は昨日、響にも同じことを聞かれマシタ。普段は内地にいる戦艦や空母が、なぜここにいるのかと」

 

「ま、そうだよねー。戦艦と正規空母は、基本的に内地の鎮守府に所属することになってるのに」

 

「Yes, 鈴谷。通常、戦艦と正規空母は横須賀、呉、佐世保の三カ所にだけ配備されてイマス。これは、いざという時に主力を集中運用できるようにするためデース」

 

「その戦艦が、今回はこのトラックまで出張ってきた。理由は何だ?」

 

「理由は二つありマース。一つは、トラック泊地の兵力増強。具体的には、D型艦への対抗デス。そしてもう一つは、お客様のお出迎えデース」

 

「お客様、だと?」

 

 イエスと頷いた金剛は、天龍に尋ねる。

 

「天龍は、日本以外の国の艦娘事情がどうなっているか、知っていますカ?」

 

「大まかなところはな」

 

 天龍はそう答え、自らの知るところを語る。

 艦娘を保有している国は、全世界で日本だけ。他の国には、一人も艦娘はいない。深海棲艦には従来の兵器は効かないため、日本以外の国は打つ手がなく、その跳梁を座視することしかできない……と、いうのが現在の世界情勢である。

 しかしここ最近、その情勢に変化の兆しが現れている。日本以外で初めて、艦娘の召喚に成功した国が現れたのだ。

 艦娘は、過去の軍艦に宿る魂――艦魂が実体化した存在であり、その実体化には霊的な手段を用いる。日本では、艦の一部やゆかりある人物の所持品など、「縁」のある品を霊媒として艦娘を現世に召喚している。日本国政府は当初からこの方法を広く公開しているが、その非科学的な内容ゆえにどこの国からも黙殺されている。

 しかし最近になり、ある国が日本式手法による艦娘の召喚に試み、これを成功させた。その国家とは……

 

「確か、ドイツとイタリアだったよな。それぞれ、数人ずつ召喚したって聞いてるが」

 

「That's right. 深海棲艦が地中海まで侵入してきたことで、手段を気にしていられなくなったようですネ。幸い、対応が早かったので拠点を作られる前に深海棲艦を駆逐することができたそうデース」

 

「ほう。なかなかやるじゃねえか」

 

「その彼女たちを、両国は日本に派遣すると言ってきまシタ。艦娘の運用ノウハウを学ぶため、というのがその理由デス」

 

「いいのかよ、せっかく呼び出した艦娘を手元に置いとかないで。実戦で成果を上げてんだから、わざわざ学びに来る必要もないだろ」

 

「戦果を上げていても、艦娘の扱い方はまだ手探りなのだと思いマース。貴重な戦力を最大限に活かすためにも、まずはノウハウを学ぼうと考えたのでしょう」

 

「なるほど。そいつらがお客様ってワケか」

 

 納得した様子で天龍は頷く。

 

「地中海と日本の間には、西方海域がある。一応、前の攻略作戦で制海権を獲得したことになってるが、その後もずっと睨みをきかせられてるわけじゃねえ。敵が息を吹き返していることも充分あり得る。だからお前らが駆り出されたんだな」

 

「Yes. 私たちの任務は、両国艦娘を日本までEscortすることデース。さらに、実はもう一つ目的がありマース」

 

「何だよ、それは」

 

「西方海域の再攻略デース」

 

「なに?」

 

 金剛の言葉に、天龍は眉を上げる。

 

「その話、本当なのか」

 

「Of course. ね、テートク」

 

 同意する春瀬を見て、天龍は「マジかよ」と呟く。

 

「そんなに気を張らなくて大丈夫デース。攻略作戦の実施は、Escortが終わった後ですカラ、まだ時間はありマース」

 

「そうか。……で、肝心のお出迎え任務はどうなんだ? お前ら全員が出張るんなら、複数艦隊の合同部隊を編成することになるだろ。指揮官は決まってるのか?」

 

「イエス、指揮官はテートクデース!」

 

「提督っつーと、オレたちのか?」

 

「もちろんデース。ちなみに、Youたちも一緒に行くことになってマス。D型艦への対策デスネ」

 

「ほう、そいつは嬉しいな。腕が鳴るぜ」

 

 腕をまくる仕草をする天龍。一方、鈴谷は「でもさ~」と首を傾げる。

 

「鈴谷たちがみんないなくなったら、デュエルの教導が止まっちゃわない? みんな強くなってきたけど、メインで教えてるのはやっぱり鈴谷たちだし。それはちょっとマズいと思うんだよねえ」

 

「No problem. その点は抜かりありまセン。ですよネ、香取」

 

「はい」

 

 金剛に水を向けられた香取が一歩前に出る。

 

「皆さんの留守中は、私が教導任務を代行します。ですので、どうぞご安心ください」

 

「えっ、香取ってデュエルできるの?」

 

 驚いた様子の鈴谷に、香取は頷く。

 

「むしろ、今はそれこそが私の仕事です。私が率いる第一試験艦隊は、内地で新しい兵器や戦術の研究開発を行っています。現在は、立体映像投影装置の戦術的利用価値に関する研究を実施しています」

 

「り、りった……? ごめん、もう一回お願い」

 

「平たく言えば、デュエルモンスターズの研究と指導です」

 

「はぃ!?」

 

 暫し絶句した後、鈴谷は「えっと……」と口を開く。

 

「つまり、その……試験艦隊は、内地でデュエルを教えているってこと?」

 

「はい。あなた方と同じように、他の艦娘に対する教導を行っています」

 

「マジで?」

 

「マジです」

 

 大真面目な顔を向け、香取が答える。鈴谷は春瀬に目を向け、彼が頷くのを見ると、観念した風に息を吐いた。

 

「どうやら本当みたいだね。でもそれなら、なんでそんなややこしい名前にしてるのさ。もっと一目で内容が分かるようにすればいいのに」

 

「分かりにくいから、良いんですよ」

 

「どゆこと?」

 

「考えてもみてください」香取は、問題の解法を教える教師のように鈴谷に語りかける。

 

「世間一般では、デュエルモンスターズはあくまで娯楽の一種として認識されています。世界的な人気を誇り、政界、財界、デュエル界と並び称される存在ではありますが、突き詰めれば単なるカードゲームです。それを、今や国防の要である海軍が大量に買い込んでいると知ったら、人々はどのような印象を持つでしょうか」

 

「……うん、遊んでると思われても仕方ないね」

 

「研究内容をあのようにしているのは、それを避けるためです。実際、その方向での研究も行われていますし。今のソリッドビジョンは、まだ単に映像を投影しただけの存在です。しかし、もし質量を持ったソリッドビジョンを実用化することができれば、囮など戦闘の補助に使うことができます。ソリッドビジョンには、デュエル以外の可能性もたくさん秘められているのです。ちなみに、あなた方の活動も、対外的には私たちと同じように扱われています」

 

「なるほどねー。とりあえず、そこのとこは分かったよ。でも、生徒のこと放っておいちゃっていいの? 内地で教導隊やってるってことは、向こうに教え子もいるでしょ。先生がいなくなったら、授業できないじゃん」

 

「内地には妹の鹿島が残っているので心配いりません。私はここで、皆さんが留守中の教導に専念します」

 

「そいつは頼もしいな」

 

 そう言った天龍は、「けど」と続ける。

 

「あんたの実力が分からないままじゃ、ここを任せきることはできねぇ。悪いが、ちょいと試させてもらうぜ」

 

「ええ。望むところです」

 

 天龍の宣戦に香取は即答する。

 

「私も、あなた方に認めて頂かなければ話が始まらないと考えていました。せっかくですから、私たちだけでなく、互いの教え子同士も戦わせるのは如何でしょう? そうすれば、内地教導隊の指導力も実感して頂けると思います」

 

「面白ぇ。その話、乗った」

 

 いいよな、と天龍は春瀬に聞く。口調こそ許可を求めているが、彼女の両眼は既に闘志が漲り、完全に戦闘モードに入っている。

 許可が下りるや否や、天龍は香取を連れて外に出てデュエルディスクを構える。試合を観戦するため、春瀬たちもその後に続く。

 

「一応、本家教導隊のメンツも懸かってるからな。今日はいつも以上に気合い入れていくぜ。準備はいいか」

 

「はい。いつでも」

 

「上等。じゃあ始めようぜ、デュエル!」

 

 

香取 LP4000

天龍 LP4000

 

 

「先行は私がもらいます。『ハーピィ・チャネラー』を召喚して効果を発動。手札の『ハーピィ・ハーピスト』を捨てて、デッキの『ハーピィズペット仔竜(ベビードラゴン)』を特殊召喚します。さらに魔法カード『スワローズ・ネスト』を発動。チャネラーをリリースし、同じレベルの鳥獣族モンスター『ダーク・シムルグ』を特殊召喚します」

 

 

《ハーピィ・チャネラー》

効果モンスター

星4/風属性/鳥獣族/攻1400/守1300

手札から「ハーピィ」と名のついたカード1枚を捨てて発動できる。

デッキから「ハーピィ・チャネラー」以外の「ハーピィ」と名のついたモンスター1体を表側守備表示で特殊召喚する。

「ハーピィ・チャネラー」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。

また、自分フィールド上にドラゴン族モンスターが存在する場合、このカードのレベルは7になる。

このカードのカード名は、フィールド上・墓地に存在する限り「ハーピィ・レディ」として扱う。

 

《ハーピィ・ハーピスト》

効果モンスター

星4/風属性/鳥獣族/攻1700/守 600

「ハーピィ・ハーピスト」の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り「ハーピィ・レディ」として扱う。

(2):このカードが召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールドの鳥獣族モンスター1体と相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを持ち主の手札に戻す。

(3):このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる。

デッキから攻撃力1500以下の鳥獣族・レベル4モンスター1体を手札に加える。

 

《ハーピィズペット仔竜(ベビードラゴン)

効果モンスター

星4/風属性/ドラゴン族/攻1200/守 600

このカードは自分フィールド上に存在する「ハーピィズペット仔竜」を除く「ハーピィ」と名のついたモンスターの数により効果を追加する。

1体:このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手は自分フィールド上に存在する「ハーピィズペット仔竜」を除く「ハーピィ」と名のついたモンスターを攻撃対象に選択できない。

2体:このカードの元々の攻撃力・守備力は倍になる。

3体:1ターンに1度、相手フィールド上のカード1枚を破壊する事ができる。

 

《スワローズ・ネスト》

速攻魔法

(1):自分フィールドの表側表示の鳥獣族モンスター1体をリリースして発動できる。

リリースしたモンスターと同じレベルの鳥獣族モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

 

《ダーク・シムルグ》

効果モンスター

星7/闇属性/鳥獣族/攻2700/守1000

(1):自分の墓地から闇属性モンスター1体と風属性モンスター1体を除外して発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードが墓地に存在する場合、手札から闇属性モンスター1体と風属性モンスター1体を除外して発動できる。

このカードを墓地から特殊召喚する。

(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードの属性は「風」としても扱う。

(4):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手はカードをセットできない。

 

 

「おいおい、ダーク・シムルグはレベル7じゃねぇか。同じレベルのモンスターを呼ぶっつったのに、どうして最上級モンスターが出てきてんだ」

 

「ハーピィ・チャネラーは、自分フィールドにドラゴン族がいるとレベル7になるのです。私はカードを二枚伏せ、ターンを終了します」

 

「ったく、驚かせやがって……そういうことは先に言えっての。オレのターン!」

 

「この瞬間、永続罠『魔封じの芳香』を発動します。このカードがある限り、魔法カードは一度フィールドに伏せないと発動できません」

 

 

《魔封じの芳香》

永続罠

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いに魔法カードはセットしなければ発動できず、セットしたプレイヤーから見て次の自分ターンが来るまで発動できない。

 

 

「ロックカード、てことはお前のデッキはそういうタイプか」

 

「ええ。そしてダーク・シムルグは、相手がカードを伏せるのを禁止します。つまり、あなたはモンスターを攻撃表示で出す以外できなくなったわけです」

 

「なるほど、厄介なコンボだ。けど残念だったな。オレのデッキにはそんなもん関係ねぇぜ。オレは『ガガガマジシャン』を召喚。さらに手札の『カゲトカゲ』を特殊召喚して、この二体でオーバーレイ! 来い、『No.39 希望皇ホープ』!」

 

 

《ガガガマジシャン》

効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1500/守1000

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に1から8までの任意のレベルを宣言して発動できる。

エンドフェイズ時まで、このカードのレベルは宣言したレベルになる。

「ガガガマジシャン」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。

このカードはシンクロ素材にできない。

 

《カゲトカゲ》

効果モンスター

星4/闇属性/爬虫類族/攻1100/守1500

このカードは通常召喚できない。

自分がレベル4モンスターの召喚に成功した時、このカードを手札から特殊召喚できる。

このカードはシンクロ素材にできない。

 

《No.39 希望皇ホープ》

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/戦士族/攻2500/守2000

レベル4モンスター×2

(1):自分または相手のモンスターの攻撃宣言時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

そのモンスターの攻撃を無効にする。

(2):このカードがX素材の無い状態で攻撃対象に選択された場合に発動する。

このカードを破壊する。

 

 

「この間のルール変更で、エクストラデッキのモンスターはエクストラゾーンにしか召喚できなくなった。だから前みたいに連続エクシーズを決めることはできない……が、それもオレには関係ねえ。オレはホープを素材に『CNo.39 希望皇ホープレイ』を召喚、さらにホープレイ一体でオーバーレイ・ネットワークを再構築。シャイニング・エクシーズ・チェンジ! 現れろ『SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング』!」

 

「ホープ・ザ・ライトニング……序盤から強力なモンスターを呼び出しましたね」

 

「その様子だと、こいつの強さは内地でも有名らしいな。なら、ここでもそいつを味わってもらうぜ。ライトニングでダーク・シムルグに攻撃――」

 

「その前に、このカードを発動させてもらいます。罠カード『ブレイクスルー・スキル』。バトルフェイズが始まる前にライトニングの効果を無効にします」

 

 

《CNo.39 希望皇ホープレイ》

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/戦士族/攻2500/守2000

光属性レベル4モンスター×3

このカードは自分フィールドの「No.39 希望皇ホープ」の上に重ねてX召喚する事もできる。

(1):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

ターン終了時までこのカードの攻撃力を500アップし、相手フィールドのモンスター1体を選んでその攻撃力をターン終了時まで1000ダウンする。

この効果は自分のLPが1000以下の場合に発動と処理ができる。

 

《SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング》

エクシーズ・効果モンスター

ランク5/光属性/戦士族/攻2500/守2000

光属性レベル5モンスター×3

このカードは自分フィールドのランク4の「希望皇ホープ」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。

このカードはX召喚の素材にできない。

(1):このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時までカードの効果を発動できない。

(2):このカードが「希望皇ホープ」モンスターをX素材としている場合、このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に、このカードのX素材を2つ取り除いて発動できる。

このカードの攻撃力はそのダメージ計算時のみ5000になる。

 

《ブレイクスルー・スキル》

通常罠

(1):相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。

その相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。

(2):自分ターンに墓地のこのカードを除外し、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。

その相手の効果モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。

この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

 

「チッ。モンスター効果への対策をしてやがったか」

 

「当然です」

 

 舌打ちする天龍に香取が言う。

 

「ダーク・シムルグと魔封じの芳香。このコンボの唯一の弱点は、効果モンスターです。そのことをよく承知している私が、対策をしていないと思いましたか」

 

「それもそうだな。なら、オレは目標をペット仔竜(ベビードラゴン)に変えて攻撃だ。ターンエンド」

 

「私のターン。私は墓地のブレイクスルー・スキルを除外して、再びライトニングの効果を封じます。さらに『ハーピィ・クィーン』を通常召喚します」

 

 

《ハーピィ・クィーン》

効果モンスター

星4/風属性/鳥獣族/攻1900/守1200

このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。

デッキから「ハーピィの狩場」1枚を手札に加える。

また、このカードのカード名は、フィールド上・墓地に存在する限り「ハーピィ・レディ」として扱う。

 

 

「バトルです。ダーク・シムルグでライトニングを攻撃、その後クイーンでプレイヤーにダイレクトアタック」

 

「くっ……」

 

 

天龍 LP4000→3800→1900

 

 

「私はこれで、ターンを終了します」

 

「オレのターン。『ゴブリンドバーグ』を召喚。効果で『ゴゴゴゴーレム』を守備表示で特殊召喚する。オレは、この二体でオーバーレイ・ネットワークを構築。二体目のホープを召喚するぜ」

 

 

《ゴブリンドバーグ》

効果モンスター

星4/地属性/戦士族/攻1400/守 0

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。

手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。

この効果を発動した場合、このカードは守備表示になる。

 

《ゴゴゴゴーレム》

効果モンスター

星4/地属性/岩石族/攻1800/守1500

(1):守備表示のこのカードは、1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。

 

 

「こっちもお返しだ。いけ、ホープ! ハーピィ・クイーンに攻撃!」

 

 

香取 LP4000→3400

 

 

 天龍の反撃により香取のライフが削られる。が、彼女は顔色一つ変えない。コンボの要であるダーク・シムルグは健在であり、戦況は依然彼女にとって有利だからだろう。

 

「私のターンです。私は、ダーク・シムルグでホープを攻撃します」

 

「ホープの効果発動! オーバーレイ・ユニットを一つ使って、その攻撃を無効にする」

 

 攻撃を防がれた香取は、大人しくターンを終了する。天龍としてはここから反撃に移りたいところだが、残念ながら彼女の手に反撃手段はない。

 ホープ・ザ・ライトニングがいれば一瞬で状況を打破できるのだが、肝心のライトニングは既に墓地へ落ちており、エクストラデッキに二枚目は存在しない。こんなことならもう一枚入れておくんだった、と天龍は心の内で嘆く。

 結局、天龍は何もできずにターンエンド。対する香取は、自陣をさらに盤石とすべく動く。

 

「私は永続魔法『黒い旋風』を発動。さらに『BF(ブラックフェザー)-蒼炎のシュラ』を召喚します。この時、旋風の効果でデッキから『BF(ブラックフェザー)-疾風のゲイル』を手札に加えます。シュラが場にいることで、ゲイルは手札から特殊召喚することができます。そして私はゲイルの効果を発動、ホープの攻守を半減させます」

 

 

《黒い旋風》

永続魔法

(1):自分フィールドに「BF」モンスターが召喚された時にこの効果を発動できる。

そのモンスターより低い攻撃力を持つ「BF」モンスター1体をデッキから手札に加える。

 

BF(ブラックフェザー)-蒼炎のシュラ》

効果モンスター

星4/闇属性/鳥獣族/攻1800/守1200

(1):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時に発動できる。

デッキから攻撃力1500以下の「BF」モンスター1体を特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

 

BF(ブラックフェザー)-疾風のゲイル》

チューナー・効果モンスター

星3/闇属性/鳥獣族/攻1300/守 400

(1):自分フィールドに「BF-疾風のゲイル」以外の「BF」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):1ターンに1度、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

その相手モンスターの攻撃力・守備力を半分にする。

 

 

「三体の攻撃が通れば、このデュエルは私の勝利です。覚悟はいいですか? 私は、ゲイルでホープを攻撃!」

 

「ホープの効果発動。ゲイルの攻撃を無効にする」

 

「ですが、これでホープはオーバーレイ・ユニットを使い果たしました。私はダーク・シムルグでホープに攻撃します」

 

「……オーバーレイ・ユニットを持たないホープは、攻撃対象に選択された瞬間、自分の効果で破壊される」

 

「相手モンスターの数が変化したので、戦闘の巻き戻しが発生します。私は攻撃対象を再度選択。天龍さん、あなたにダイレクトアタックです!」

 

 勝負あったか、と外野の顔に緊張が走る。しかし、直後に天龍の声をそれを吹き飛ばす。

 

「こんなところで終われっかよ! 手札の『SR(スピードロイド)メンコート』の効果発動。こいつを特殊召喚し、相手モンスターをすべて守備表示にする!」

 

 天から叩きつけられるようにして現れたモンスターが、風圧で相手モンスターを押し返す。表示形式を変更させられては攻撃のしようがなく、香取はバトルを中止する。

 

「私はメインフェイズ2で、シュラにゲイルをチューニング。『BF(ブラックフェザー) (テイマー)-漆黒のホーク・ジョー』を召喚し、ターンを終了します」

 

 

SR(スピードロイド)メンコート》

効果モンスター

星4/風属性/機械族/攻 100/守2000

(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。

このカードを手札から攻撃表示で特殊召喚し、相手フィールドの表側表示モンスターを全て守備表示にする。

 

BF(ブラックフェザー) (テイマー)-漆黒のホーク・ジョー》

シンクロ・効果モンスター

星7/闇属性/戦士族/攻2600/守2000

「BF」チューナー+チューナー以外の「BF」モンスター1体以上

「BF T-漆黒のホーク・ジョー」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の墓地のレベル5以上の鳥獣族モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

(2):このカードが相手の効果の対象になった時、または相手モンスターの攻撃対象になった時、このカード以外の自分フィールドの「BF」モンスター1体を対象として発動できる。

その対象を正しい対象となるそのモンスターに移し替える。

 

 

「オレのターン!」

 

 ドローカードを確認した天龍は、間に合ったか、と呟く。

 

「随分待たされたが、反撃開始だ。オレは『ゴゴゴジャイアント』を召喚、その効果で墓地の『ゴゴゴゴーレム』を復活させる。そして、レベル4のゴゴゴジャイアントとメンコートでオーバーレイ。来い、三体目のホープ!」

 

「ダーク・シムルグの守備力は1000。守備表示になっている今のうちに、ホープで撃破するつもりですね。ですが、それは無駄です。ホーク・ジョーは鳥獣族の蘇生効果を持っています。ここでダーク・シムルグを倒しても、次のターンには蘇り、ホープを破壊するでしょう」

 

「そいつはどうかな。別に、オレはホープで攻撃するなんて言ってないぜ。狙いがダーク・シムルグなのは当たってるが、攻撃するのはこいつだ! オレは手札の『RUM(ランクアップマジック)-アストラル・フォース』を捨てて、ホープをランクアップ。現れろ、ナンバーズの終焉にして頂点。『No.99 希望皇龍ホープドラグーン』!」

 

 

《ゴゴゴジャイアント》

効果モンスター

星4/地属性/岩石族/攻2000/守 0

このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の「ゴゴゴ」と名のついたモンスター1体を選択して表側守備表示で特殊召喚できる。

その後、このカードは守備表示になる。

また、このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。

 

RUM(ランクアップマジック)-アストラル・フォース》

通常魔法

(1):自分フィールドのランクが一番高いXモンスター1体を対象として発動できる。

その自分のモンスターと同じ種族・属性でランクが2つ高いモンスター1体を、対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

(2):このカードが墓地に存在する場合、自分ドローフェイズのドロー前に発動できる。

墓地のこのカードを手札に加える。

この効果を発動するターン、自分は通常のドローを行えず、自分は「RUM-アストラル・フォース」の効果以外でモンスターを特殊召喚できない。

 

《No.99 希望皇龍ホープドラグーン》

エクシーズ・効果モンスター

ランク10/光属性/ドラゴン族/攻4000/守2000

レベル10モンスター×3

このカードは手札の「RUM」魔法カード1枚を捨て、自分フィールドの「希望皇ホープ」モンスターの上にこのカードを重ねてX召喚する事もできる。

(1):1ターンに1度、自分の墓地の「No.」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

(2):このカードを対象とするモンスターの効果が発動した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

 

 

「ホープドラグーンの攻撃力は4000。たとえ次のターンに復活したところで、お前のモンスターじゃ手も足も出ないぜ。オレはホープドラグーンでダーク・シムルグを攻撃。目障りなモンスターをぶっ飛ばせ!」

 

 ダーク・シルムグがいなくなったことで、天龍はカードのセットが可能となった。早速、彼女はメインフェイズ2でカードを場に伏せる。

 

「オレはカードを二枚セット。さらにホープドラグーンの効果でホープレイを復活させ、ターンエンドだ」

 

「私のターン。私は、ホーク・ジョーの効果を発動。墓地のダーク・シムルグを特殊召喚します」

 

「今更復活させても、もう遅いぜ。何度蘇らせようと、ホープドラグーンがぶっ倒す。お前のコンボはもう攻略したようなもんだ」

 

「確かに。私のコンボは既に成立していません。あなたの指摘は的を射たものです」

 

 頷いた香取は、しかしと言う。

 

「ここでダーク・シムルグを蘇生したのは、破綻したコンボに縋りつくためではありません。これは、あなたを倒し、勝利を掴むための一手。魔法カード『融合』を発動します」

 

「融合だと!」

 

 天龍は、目を丸くして香取のカードを見る。

 

「相手のエクストラゾーンにはホーク・ジョーがいる。てことは、少なくともそいつは素材になるわけだが……そんなモンスター聞いたことねえぞ」

 

「それはそうでしょう。あなたの言う通り、ホーク・ジョーそのものを素材に指定した融合モンスターは存在しません。ですが、闇属性を素材とするモンスターであれば話は別です。私が融合するのは、ホーク・ジョーとダーク・シムルグ……フィールドにいる、二体の闇属性モンスター。現れなさい、飢えた牙持つ毒竜。『スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』!」

 

 

《融合》

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

 

《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》

融合・効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2000

トークン以外のフィールドの闇属性モンスター×2

(1):このカードが融合召喚に成功した場合に発動できる。

相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を選び、その攻撃力分だけこのカードの攻撃力をターン終了時までアップする。

(2):1ターンに1度、相手フィールドのレベル5以上のモンスター1体を対象として発動できる。

ターン終了時まで、このカードはそのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る。

(3):融合召喚したこのカードが破壊された場合に発動できる。

相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。

 

 

「スターヴ・ヴェノムの効果発動。このターンが終わるまで、ホープドラグーンの攻撃力を自身に上乗せします」

 

「おっと、そうはいかねえぜ。ホープドラグーンは、自分を対象にしたモンスター効果を無効にできる」

 

「いいえ。スターヴ・ヴェノムの効果は対象を『選ぶ』効果です。よって、ホープドラグーンはこの効果を防げません」

 

「チッ……厄介な効果だな」

 

「さて、このデュエルにもそろそろ決着をつけましょう。やりなさい、スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン。ホープドラグーンに攻撃!」

 

 スターヴ・ヴェノムの攻撃力は6800。この一撃を受ければ天龍の敗北が確定する。が、天龍の顔に焦りや諦めの色はない。それに気づいた香取は、この戦いがまだ終わらないことを直感する。

 

「そうだな。お前の提案には賛成するぜ。が、一つだけ訂正だ。デュエルに勝つのは、このオレだ! トラップ発動、『エクシーズ・リボーン』!」

 

 

《エクシーズ・リボーン》

通常罠

自分の墓地のエクシーズモンスター1体を選択して発動する。

選択したモンスターを特殊召喚し、このカードを下に重ねてエクシーズ素材とする。

 

 

「こいつは自分の墓地のエクシーズモンスターを復活させ、さらにこのカードをそのモンスターのオーバーレイ・ユニットにできるカードだ。オレはホープを復活させる」

 

「だとしても、私のやることは変わりません。スターヴ・ヴェノムでホープドラグーンに攻撃!」

 

「オレはホープの効果で、その攻撃を防ぐぜ」

 

「私は、これでターンを終了します」

 

「今度はオレの番だ。宣言通り、このターンで決めてやるぜ。もちろん、オレ様の勝利でな。ドロー!」

 

 天龍は、引いたカードを見るや否や、即座にそれをディスクに置く。

 

「きたぜ、この状況にピッタリのカードが! オレはホープドラグーンをリリースして、『ガガガヘッド』をアドバンス召喚!」

 

「攻撃の要であるホープドラグーンをリリースして、アドバンス召喚? 一体何を考えて……」

 

「見てりゃ分かるさ」

 

 訝しげな香取に答え、天龍は先を続ける。

 

「ガガガヘッドは、召喚時に墓地の『ガガガ』モンスターを特殊召喚できる。オレが選ぶのはガガガマジシャン。さらにガガガマジシャンの効果を使って、このカードをのレベルをヘッドと同じ6にする。そして、この二体でオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! 限界を超え、勝利を掴め、『No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ』!」

 

 

《ガガガヘッド》

効果モンスター

星6/闇属性/魔法使い族/攻2100/守2000

(1):相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このカードはリリースなしでレベル4モンスターとして召喚できる。

(2):このカードが召喚に成功した時、「ガガガヘッド」以外の自分の墓地の「ガガガ」モンスターを2体まで対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

このターン自分は「ガガガ」モンスターのみを素材としたX召喚以外の特殊召喚ができない。

(3):フィールドのこのカードを素材としてX召喚したモンスターは以下の効果を得る。

●このX召喚に成功した場合に発動する。

自分はデッキから1枚ドローする。

 

《No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》

エクシーズ・効果モンスター

ランク6/光属性/戦士族/攻3000/守2500

レベル6モンスター×2

このカードはルール上、「希望皇ホープ」と名のついたカードとしても扱う。

このカードがエクシーズ召喚に成功した時、相手フィールド上の全てのモンスターの攻撃力は0になる。

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。

自分フィールド上のエクシーズモンスター1体を選択して除外し、自分の墓地の「希望皇ホープ」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚する。

その後、自分は1250ライフポイント回復する。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

「ビヨンド・ザ・ホープがエクシーズ召喚された時、相手モンスターの攻撃力はゼロになる。さらに、ガガガヘッドの効果で一枚ドローできる。」

 

 ビヨンド・ザ・ホープ、ホープレイ、そして本来のホープ。三体のホープが天龍のフィールドに立ち並ぶ。これで役者は揃った。後は、派手にフィナーレを飾るだけだ。

 

「オレは、前のターンに伏せていた装備魔法『ホープ剣スラッシュ』を希望皇ホープに装備する。こいつで準備は万端。さあいくぜ! ビヨンド・ザ・ホープでスターヴ・ヴェノムに攻撃、斬り伏せろ!」

 

 攻撃力ゼロとなったスターヴ・ヴェノムをビヨンド・ザ・ホープが一刀両断する。そして、香取にはダイレクトアタックを受けたのと同じダメージが襲いかかる。

 

 

香取LP3400→400

 

 

「……ふふふっ」

 

 しかし、大ダメージを受けたにも関わらず、香取は笑みを浮かべる。それを訝しもうとした天龍は、より重大な事態が目の前で起きていることに気づく。

 

「なんだ、これは!」

 

 いつの間に変化したのか、天龍のフィールドが沼のような液状と化し、ホープたちの足を奪っている。黒みがかった紫色のそれは、一目で危険なものであることが分かる。まるで毒沼のようだと思った天龍は、そこでこれの正体に気づく。

 

「スターヴ・ヴェノムの仕業か」

 

「ご名答。スターヴ・ヴェノムは、自身が破壊された時、特殊召喚されている相手モンスターを全滅させる効果を持っています。あなたのフィールドにいるモンスターは、すべて特殊召喚されたもの。一体残らず消えてもらいます」

 

毒沼が天龍のモンスターを飲み込み、溶かす。最後の反撃を防がれた天龍は、打つ手をなくし敗れる、はずだった。

 

「そんな……!」

 

 天龍のモンスターが消えゆくのを眺めていた香取が、掠れた声を上げて目を見開く。スターヴ・ヴェノムの効果処理が終わった後、何も残っていないはずのフィールドには、しかし、一体のモンスターが存在していた。

 

「なぜ、ホープが無事なのですか」

 

「決まってんだろ。希望は決して潰えない。たかが毒の沼ごときで消し去れると思ったら、大間違いだぜ」

 

「まあ、冗談はさておき」と、天龍は愕然としたままの香取に向かって話を続ける。

 

「ホープが破壊されなかったのは、装備カードのお蔭だ。オレが発動した装備魔法『ホープ剣スラッシュ』は、装備モンスターを効果破壊から守ってくれる。だから、これを装備していたホープはスターヴ・ヴェノムの毒を浴びても平気だったってわけだ」

 

 

《ホープ剣スラッシュ》

装備魔法

「希望皇ホープ」モンスターにのみ装備可能。

(1):装備モンスターは効果では破壊されない。

(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、モンスターの攻撃が無効になる度に、

このカードにホープ剣カウンターを1つ置く。

装備モンスターの攻撃力は、このカードのホープ剣カウンターの数×500アップする。

(3):自分フィールドの装備モンスターがX素材を取り除いて効果を発動する場合、このカードは取り除くX素材の1つとして扱う事ができる。

 

 

「さあ、これで仕舞いだ。希望皇ホープで、相手プレイヤーにダイレクトアタック! ホープ剣スラッシュ!」

 

「くうぅっ!」

 

 

香取LP400→0

 

 

「はぁ、負けてしまいましたか。これでも、自信はあったのですけれど。流石は本家教導隊、ですね」

 

「当然だろ……と言いたいとこだが、それはできそうにねえな。正直、途中まではヤバいと思ってた。ホープドラグーンを呼べずにいたら、ジリ貧になって押し切られてたかもしれない」

 

 そう言った天龍は、膝をついていた香取に手を差し伸べる。

 

「あんたの実力、疑って悪かった。その腕なら、ここでも充分通用するぜ」

 

「いいえ。私などまだまだです。今のデュエルで、それを痛感しました」

 

 天龍の手を取り、香取は立ち上がる。

 

「皆様のお役に立てるよう微力を尽くして参りますが、至らぬ点は、どうかご指導のほどよろしくお願いいたします」

 

「おう。ま、その必要は無いと思うけどな」

 

 さて、と天龍の関心は早くも次の戦いへと移りゆく。

 

「今度は、あんたの教え子の力を見せてもらうぜ。あんたが教えたんなら、期待できそうだ」

 

「はい。手前味噌ではありますが、自慢の生徒たちです」

 

 笑顔で頷く香取の表情からは、教え子たちに対する自信が見て取れる。彼女は春瀬に教え子の召集を頼み、彼はそれを電たちに任せる。春瀬はさらに、対戦相手となるトラック側のデュエリストを見繕ってくるようにも言いつける。

 

「この紙の通りだと、内地組は睦月、如月、霞だねー。はてさて、こっちの面子はどうなるのかなあ」

 

 楽しげに呟く鈴谷と同様、他の者たちも期待を顔に滲ませながら対戦者の登場を待つのだった。

 




電「前書きにもありましたが、この作品では今回のデュエルから、新マスタールールを適用することにするのです。これからは、現行のルールに則ってデュエルを進めていきます」
暁「新マスタールールねえ……。正直、暁のデッキにはあまり嬉しくない変更だわ」
雷「ペンデュラムゾーンが魔法・罠ゾーンと一緒になっちゃったものね。私のデッキも、エクストラゾーンのせいで展開しにくくなるわ」
響「いやあ、二人とも大変そうだね」
暁「うう、自分は影響ないからって高みの見物して……」
雷「それにしても、今回で一気に登場人物が増えたわね。いっぺんに来すぎて、誰がいるのか混乱しちゃうわ」
響「確かに。けど、そんなこともあろうかと、現在のトラック泊地の所在兵力をまとめておいたよ」


・泊地長官直率部隊(旗艦「飛鷹」)
 軽空母「飛鷹(改)」「隼鷹(改)」 駆逐艦「五月雨(改)」「涼風(改)」

・第一司令室(旗艦「鳥海」)
 重巡「鳥海(改)」「摩耶(改)」

・第二司令室(旗艦「神通」)
 軽巡「神通(改二)」 駆逐艦「浜風(改)」「浦風(改)」「磯風(改)」「谷風(改)」

・第三司令室(旗艦「川内」)
 軽巡「川内(改二)」 駆逐艦「夕立(改二)」「時雨(改二)」「白露(改)」

・第四司令室(旗艦「陽炎」)
 駆逐艦「陽炎(改)」「不知火(改)」「黒潮(改)」「霞(改二)」
 (※「霞」はトラック到着と同時に第一試験艦隊より編入)

・第五司令室(旗艦「弥生」)
 駆逐艦「弥生(改)」「望月(改)」「睦月(改二)」「如月(改二)」
 (※「睦月」「如月」はトラック到着と同時に第一試験艦隊より編入)

・第六司令室(旗艦「青葉」)
 重巡「青葉(改)」「衣笠(改)」「古鷹(改)」「加古(改)」

・第七司令室(旗艦「鈴谷」)
 重巡「鈴谷」 軽巡「天龍(改)」「龍田(改)」 
 駆逐艦「暁(改)」「響(改)」「雷(改)」「電(改)」
 (※鈴谷は「改」相当のレベルだが無改造)

・第一南遣艦隊(旗艦「金剛」、第七司令室附属)
 戦艦「金剛(改二)」「榛名(改二)」 空母「飛龍(改二)」「蒼龍(改二)」 軽空母「瑞鳳(改)」
 重巡「足柄(改二)」「羽黒(改二)」
 駆逐艦「嵐(改)」「萩風(改)」「舞風(改)」「野分(改)」「秋月(改)」

・第一西遣艦隊(旗艦「比叡」、第七司令室附属)
 戦艦「比叡(改二)」「霧島(改二)」 空母「雲龍(改)」「天城(改)」 軽空母「龍鳳(改)」
 駆逐艦「秋雲(改)」「清霜(改)」「早霜(改)」「朝霜(改)」「照月(改)」

・第一試験艦隊(旗艦「香取」、長官直率部隊附属)
 練習巡洋艦「香取(改)」

・他鎮守府所属艦(旗艦「潮」、長官直率部隊附属)
 駆逐艦「潮(改二)」「曙(改)」


雷「改めて見ても凄い数ね……。今回の増援で、一気に倍くらいに増えたんじゃないかしら」
響「ああ。しかも、増援の中には、これまでトラックにいなかった戦艦や正規空母が含まれている。戦力の質では、倍以上の強化だよ」
暁「この『附属』っていうのは、どういう意味?」
電「正式に所属しているわけではないですが、そこの指揮下にあるという意味なのです。増援部隊をどうやって泊地の編成に組み込むかはまだ決まっていないので、とりあえず仮の配属をしているのです」
暁「てことは、香取さん以外はみんな暁たちのとこに来るの? こんな人数、司令官一人じゃ指揮しきれないわ」
電「大丈夫ですよ。あくまで今回の配属は仮ですから。すぐに、ちょうどいい人数になるように再編成されるはずです」
雷「次回以降は、内地から来た子たちとのデュエルね。トラックからは、誰が出るのかしら」
暁「暁の出番ね! ……と言いたいところだけど。教え子対決だから教導隊以外の艦娘よね」
響「うん。さて、誰が相手をするのやら……電、予告をお願い」
電「はい。次回『面倒くさがり屋の勝ち方』。デュエル・スタンバイなのです」
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