超音速   作:ネコガメ

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第17話

「プレイヤー、敵機との距離を6秒間隔でコールしてくれ」

 

「了解、現在敵編隊との距離12nm(マイル)

 

「OK、レーダーPLMモード起動」

 

 PLMとは、パイロットロックオンモード、つまり専任のRIOではなくパイロット自らがレーダー操作を担当するモードで、主に近距離戦....まさに今の様な状況で使われる。

 

「距離11nm....10nm....」

 

 ホーク、プレイヤーの返事を聞くが早いか、ブツブツと早口で呟きながら左手で正面コンソールを弄り始める。

 

 AIM-9は、1950年代から使用されている息の長いミサイル....と一般には言われているが、実際には、彼らの使用するAIM-9Xは実用最初期型のAIM-9Bから数えて8代目、内部構造は全く異なったものとなっていて、もはや外観の類似以外は別のミサイルと言っていい迄に進化している。

 

 AIM-9シリーズは元来熱追尾、つまりエンジンの排気熱を探知して飛んでいくミサイルであり、初期には正確に目標のエンジン排気口(ノズル)を捉えなければならない問題があった。

 これを解消したのが、現行主力タイプであるX型で、排気口が見えていなくとも、敵機がカメラに写ってさえいれば誘導でき、さらに補助機能として、母機のレーダーからの指令電波を利用したセミアクティブレーダーホーミングすらも可能であった。

 

 つまりは、熱源が小さくそれまでの熱誘導近距離ミサイルでは捕捉が困難であった深海棲艦艦載機を、唯一捕捉撃滅し得るのが、このAIM-9Xなのである。

 

「現在9nm」

 

「冷却開始、シーカーオープン」

 

 ホークが右手で正面コンソールのスイッチを入れてミサイル冷却システムを作動させ、左手で操縦桿のキャッスル・スイッチを操作、武装をAIM-9Xに切り替えると、特徴的かつ耳障りな低音がコクピットに流れ始める。

 サイドワインダーのシーカー作動音、通称『Growl sound(グロウル音)』である。

 

「レイマン、2発ともブッ放したら右に旋回、離脱して指示を待て!」

 

『了解!』

 

「Cougar106, FOX-2!」

 

『FOX-2!FOX-2!』

 

 僚機とタイミングを合わせて操縦桿前面のトリガーを引き、機体両舷のパイロンから2条の噴射煙が伸びていくのを確認して、再びキャッスル・スイッチを操作、今度はM61A1バルカン 20mm機関砲を選択する。

 

 ここで前方に4つの小爆発、AIM-9の命中である。

 

「Splash 2!」

 

「敵機との距離4nm......3nm......2nm......」

 

 ここで機体をロールさせて旋回に備える。

 弾を広範囲に拡散させるため、機首を動かして撃とうという魂胆である。

 

「GunsGunsGuns!!!!!!!」

 

 再びトリガーが引かれ、今度は機首左側面の銃口から20mm口径HEIAP(高性能焼夷徹甲弾)弾頭が、機体の緩い旋回に合わせ、薙ぎ払うような軌道を描いて空中を飛翔していく。

 

 そして、爆発。

 ホークの掃射によって残った敵機のうち3機が撃墜、106号機はそのまま緩いシャンデル機動をとりつつ、敵機の後方をそれらの軌道と直角に交わる方向へ、轟音と共に離脱していく。

 その様子が、離脱していたレイマンとフレクスからもよく見える。

 残念ながら、106号機に乗っており、さらに後席にいたプレイヤーは正面コンソールが邪魔をして見損なったが。

 

 残った敵機は、ホークの思惑通り機首の方向を攻撃隊から外し、上昇して離脱しようとする。

 が、ホークはそれを逃すつもりはなかった。

 

「フッ....クㇷッ....」

 

 敵機から十分に離れた所を見計らい再びロールをかけ、フック呼吸で無理矢理肺に酸素を入れつつ、操縦桿を急激に引いてスライス・バックの要領でハイGターンをかけ、再び敵機を正面に捉える。

 

「レイマン、方位140から進入しろ、攻撃のタイミングは任せる」

 

『了解!』

 

「PLM解除....プレイヤー!レーダー返すぞ!」

 

「OK、TWSモード起動、LOCKED!」

 

「FOX-3!」

 

 胴体下面、エンジンポッド間のパイロンから、2発のAIM-120B”AMRAAM”が切り離され、ロケットモーターに点火して加速する。

 

「Break!Break!」

 

 次いで再び機体を急旋回、攻撃位置を107号機....レイマンとフレクスに譲る。

 

『LOCKED!』

 

『Good job, FOX-3!』

 

 107号機も1発のAMRAAMを発射して離脱、次いでホークの2発が着弾、爆発。

 遅れてレイマンの1発が着弾、最後の一機が爆散し、都合7機の深海要撃機が、セクション4によって撃墜された。

 

『Cougar106, Telescope1, SW(南西) group VANISHED』

 

「こちらCougar106, 空域Clear....高度16400まで上昇する。レイマン、右エシュロンにつけ」

 

『了解』

 

 一仕事終え、体勢を立て直して、状況把握のためにいったん上昇をかける。

 眼下には、暗闇の中かすかに、攻撃隊のエンジンから漏れる赤色光が見える。

 

「隊長、上手くやるかなぁ」

 

「やるだろうな。あの人は元空自だ、F-4時代からのプロだ」

 

 プレイヤーに、自信に満ちた声色で返す。

 下らぬ会話を交わしながらも、ホークは目視、プレイヤーはレーダー・スコープを注視するが、何が起こるでもない。

 最初にフェニックスで全滅した編隊が主力だったようで、後続機の姿などは見えない。

 あとは、攻撃隊の脱出を待つほかない時間である....

 


 

『こちらTelescope1, 攻撃隊がウェイポイント3通過!』

 

「来やがった!どうだ!」

 

 オアフ島の方に目をやると、小さく、だがはっきりと、無数の爆炎が目視できる。

 

「ぃやったッ!」

 

『....待て、Cougar106、()()()()より救援要請、旗艦・瑞鶴より通信....”ワレ敵機ト交戦中”』

 

「はァ!?」




こんなとこまで書いた段階でトマホーク使えばいい事に気づくのもはや事故だろ
ぼちぼち15話あたりから書き直します....
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