雪不帰から新たな生徒を迎えることを長門が知ってからはや数日が経過した
長門「……っ」
閃光「先生、歩きながら資料を読むのは危ないぞ?」
長門「あっ、すみません」
長い廊下を同行する月光と閃光に挟まれるような位置で長門は資料に目を通していた
だが、「ながら状態」になっていることを閃光に咎められ、反省の意を示していた
月光「そうですよ先生、そんなことして怪我に繋がったら大変ですし」
さらに月光も閃光の言う通りだと長門を注意する
長門「すみません。どうしてもお会いする前に事前情報を頭に入れておきたかったもので」
本日出迎えることになる新しい生徒たちの情報の載った書類を見せながら長門は理由を告げる
月光「張り切る気持ちはわかりますが気をつけてくださいね?先生に何かありましたら元も子もないんですから」
長門「…はい。気をつけます」
自分が何かあっては遅いのだと言う月光に何も言い返せない長門は素直に謝罪をする
長門「それにしても驚きましたよ、まさか今日来る方たちが半蔵学院と蛇女子学園から来るだなんて?」
先ほどまで長門が読んでいた書類には今回からこの忍基地に来る者たちが載っていたが
所属先が飛鳥たちのいる学校と雅緋たちがいる学校から来ると思ってもいなかった長門はそれについてびっくりした様子だった
閃光「既存の人数から追加で呼び込むための試験としてまずはそこから呼び寄せることになったと雪不帰さまが仰っていたんだ」
月光「これからお会いする方たちも見知っている飛鳥さんたちや雅緋さんたちがいれば今後に関してもサポートを得られるでしょうからね」
長門「なるほど…しかしこうなってくるとどんな方達が来るのか少し楽しみではありますね」
閃光「言うな?先生としての自覚が日に日に増していっているようだな」
長門「うっ……そんな、ことは…」
先の発言に閃光が少々悪戯染みた質問を投げかけると
少し気まずそうに頬を赤らめてそれを否定していた
そうして待ち合わせ場所に向けて3人が廊下を歩いていることしばらくしてのことだった
長門「おや…あそこにいるのは?」
閃光「焔と雅緋だな?」
先方の方に2つの人影があり、見るとそこには焔と雅緋がいた
長門「こんにちは焔さん雅緋さん」
焔「うん?…あっ」
雅緋「先生に月光と閃光も一緒か?」
声をかけると2人が自分達に気づいたと言う反応を示した
長門「どうしたんですかこんなところで?何やら困っているような感じでしたが?」
雅緋「…実はな」
焔「こんな手紙がわたし宛に届いたものでな」
何かあったのかと長門が問うと気まずそうな顔を浮かべながらも2人がことの発端とされるとある手紙を差し出してきた
長門「えっと、なになに…『今宵、美しく気高い、高貴なる薔薇の蛇が、野に下りし炎の蛇を討つだろう。本日、忍基地闘技場にて待つ』…ですか、見事なまでの果たし状ですね?」
雅緋「だろう?私も読ませてもらったが、胸打つほど清々しいほどに果し状だった」
焔「感心している場合か!いきなりこんなものを寄越されるこっちの身にもなってみろ!?」
果たし状に対して胸打たれると言った肯定の感情を浮かべる雅緋とは対象的に焔はどこか嫌そうな顔を浮かべていた
長門「この手紙、送り主の名前がありませんね?」
月光「ですが焔さんを名指しと言うことは」
閃光「送り主は焔のことを知っているのだろうな?」
手紙の内容からどこの誰かかはわからないものの、内容としては焔に挑戦状を叩きつけるといった内容であることは間違いなかった
長門「それで、どうするつもりなんですか?闘技場にて待つと書かれてますけど?」
焔「正直気乗りはしないが、これ以上変なことをされても困るからな。行くしかあるまい」
渋々ではあるものの、こうなっては仕方ないと焔も腹を決めたようだった
雅緋「うんうん。よく言ったぞ焔、悪忍たるもの、挑んで来るなら叩き潰す。これに限る」
やる気を見せた焔に雅緋もその意思を肯定した
長門「ほどほどでお願いしますね…ではボクらはそろそろ行きますね、人を待たせてますから」
焔「あぁ、わかった。気をつけてな」
雅緋「ではな」
互いの用事を済ませるべく長門たちと焔たちはここで別れることにした
2人と別れた長門たちは待ち合わせ場所にたどり着いた
…辿り着いたのだが
長門「あの…これはいったいどう言うことですか?」
月光「ど、どうと言われましても…」
閃光「我々もわからないんだ」
長門「いや明らかにおかしいでしょ!どうして待ち合わせ場所に誰もいないんですか!?」
やってきた長門たちが見たのは誰もいない集合場所だった
長門「こんなの聞いてないんですが…雪不帰さんからは何か知らせは来てないんですか?」
閃光「あぁ、特に何も来ていない」
月光「…いったい何がどうなっているんですか、困りましたね」
思いもしなかった事態に長門は困惑を隠せずにいた
???「総司さん、総司さ~ん?…まったくどこに行っちゃったんでしょう」
長・月・閃「「「…っ?」」」
するとその時、近くの方から声が聞こえてきた
声のする方に長門たちが向かうとそこには1人の少女が誰かを探している様子を見せていた
閃光「誰だあいつは…?」
月光「見て2人とも、あの人蛇女の制服を着てますよ?」
何者かと首を傾げる閃光だったが、直後に月光が制服のデザインからしても彼女が蛇女の生徒であることが伺えた
閃光「と言うことは彼女が」
長門「はい、おそらくは」
月光「わかりました。ではまずは挨拶でもしないといけませんね」
前方にいる少女が今回からここに来る予定となっている子かもしれないと長門たちは挨拶をしに向かう
長門「もし、そこの方」
???「えっ?」
長門「少しよろしいでしょうか?」
呼ばれたことで少女がその声に反応し、振り返ると共に長門たちを見る
???「えっ?どうしてこんなところに子供がいるんですか?」
長門「はっ?」
???「可愛らしいですね。でも本当にどうして?」
少女は長門を見るなり目線を合わせながら疑問を浮かべていた
長門「失礼ですが貴方はどなたでしょうか?」
芭蕉「あっ、すいません。私は芭蕉と言います。蛇女からこの基地に来るように言われて来ました」
話しが脱線する前に修正を図ろうとした月光により、芭蕉もそちらの方に気が行ったようでなんとか修正ができた
月光「なるほど、お待ちしておりましたよ芭蕉さん。私は月光、こちらが閃光。私たちはこの基地の案内役を務めています」
芭蕉「そうでしたか、よろしくお願いします」
月光「はい…そしてこちらにいらっしゃるのが当基地で指導をしてくださっている教師の長門先生です」
芭蕉「えっ……ええええっ!?」
自分たちが何者なのかを語る月光が長門のことを紹介した途端、芭蕉はこれまで以上の驚愕の顔を見せ、声をあげて驚いていた
芭蕉「こ、ここここ、この方が先生!?」
閃光「あぁ、そうだ」
芭蕉「しししししし、失礼しました!?まさか先生だったなんて!?私ったら飛んだ粗相を!?」
長門「落ち着いてください。気にしてませんから」
子供と思って軽口を叩いていた人物が先生だったと知るや芭蕉は必死に平謝りしていた
長門「それで芭蕉さん。ここにいるのはあなただけなのでしょうか?蛇女からは2名来ると伺っていたのですが?」
挨拶も早々に長門は芭蕉にどうして1人でいるのか、もう1人はどこにいるのかを問うた
芭蕉「えっ、えっと…それがもう1人の子、名前は総司ちゃんって言うんですけどここに来る途中に…」
総司『この基地には私の因縁の相手がいるようだな。奈良ば今日こそ華麗なる決着をつける時だ』
芭蕉「…と言って私を置いて行ってしまいました。おかげであの有り様だったわけです」
その質問に対し芭蕉はとても困った様子で事情を説明した
彼女から話しを聞いた長門たちも総司に振り回されてしまったことを可哀想と思っていた
長門「それではあなた以外にここには誰もいなかったと言うことでしょうか?」
芭蕉「えっ?あっはい。少なくとも私がきた時は誰も」
長門「……っ」
話しを聞いた長門は考え込む
既に芭蕉が来た時には誰もいなかったとなると今回呼ばれているはずの半蔵学院の者の所在がわからないと言うことなる
長門「いったいどこに…」
待ち合わせ場所であるここに来ていないと思われる半蔵学院からの生徒は今どこにいるだろうと長門は頭を抱えていた
月光「先生、ここはひとまず」
長門「あぁ、そうですね。芭蕉さんひとまず案内も兼ねてボクらについてきてくれませんか?もしかしたらお連れの方とあなた達と共にここに来る予定の人も見つけられるかもしれませんし」
芭蕉「はっはい、わかりました」
この場に居合わせない2人を探すため、長門たちは芭蕉を加えた4人で基地内に入って行った
そうして残る2人を求めて基地内を一同が進んでいた時のことだった
閃光「…っ?」
月光「どうしたの閃光?」
閃光「…誰かこっちに向かってきてないか?」
不意に立ち止まる閃光の指さす方に目線を向けてみると確かに誰かがこちらに走ってきているのが見えた
長門「……あれって?」
目を凝らして見てみるとこっちに向かってくる者の姿がはっきりと映った
葛城「ひぃへぇぇ!?」
長門「かっ、葛城さん?」
その正体は葛城だった
葛城「なっ長門!いいところで会ったぜ!頼む助けてくれ!?」
長門「ど、どうしたんですかそんなに血相をかいて?」
何やら酷く慌てている様子で長門たちは訳が分からず困惑してしまっていた
葛城「そ、それがよ」ガタガタ
???「かっつ姉さま〜♪」
閃・月・芭「「「…っ?」」」
葛城「げっ、もう追いついてきたのかよ!?」
理由を説明しようとするも、直後に向こう側からまた別の声が聞こえてくる
声を聞いた長門たちは見知らぬ声にきょとんとし、逆に葛城の方はさらに慌て始める
やがて声の主の姿がはっきりと長門たちの目に映る
???「こんなところにいらっしゃったんですね!」
こちらに向かって駆けて来るのは黒髪の長髪な髪を靡かせ、半蔵学院の制服に身を包んだ少女だった
彼女の姿を目にした途端、葛城は震える子羊のように長門の後ろに隠れる
???「もう逃しませんよ!かつ姉さま〜!」
すると目前まで迫ったところで少女が廊下を蹴ってダイブしてきた
葛城「長門、すまねえ!?」ドン!
長門「えっ?って、うわっ!?」
急に謝罪や言葉を言ってきた葛城に何事かと思ったその直後、長門は背後からドンと押されてしまった
???「えっ!?」
長門「まずっ!?」
長・???「
次の瞬間、ものすごい音と2人の叫び声が廊下にこだまする
月光「せっ、先生大丈夫ですか!?」
閃光「おい葛城、いったい何を…ってあれ?」
葛城「悪い、あと頼む!」
閃光「かっ、葛城!?」
2人がぶつかることになってしまったことに物申そうとするも、既に葛城は一目散に逃げおうせてしまっていたのだった
長門「痛たたた…だ、大丈夫です……かっ///!?」
菖蒲「はっ、はい。菖蒲は大丈夫で…す?」
ぶつかった痛みを感じながら起き上がる2人だったが、自分たちの置かれている状況を前に言葉を失う
いつのまにか押し倒されるように下になっている長門の手が右に少女についている膨らみに、左が少女のプリンとしたお尻を鷲掴みにしていた
菖蒲「きゃっ、きゃあああっ///!?何するんですかぁあ////!?」
長門「ちちちち、違います!?と、とととと、とにかく落ち着いてくださぃいいいい!?」
自分の体を触られたことに錯乱する少女を宥めようとするも、自身もテンパってしまう長門だった
菖蒲「うぅ…ぐすん、かつ姉さまにセクハラされる予定だったのに…」
長門「すみません、本当にすみません」ペコペコ
菖蒲「もういいですよ…わざとじゃないとわかりましたので」
長門「きょ、恐縮です」
あれから紆余曲折を経て、なんとか彼女を宥めることができた
涙を浮かべる少女に長門は何度も何度も謝っていた
芭蕉「あっ、あの…」
閃光「どうした?」
芭蕉「長門先生っていつもあんな感じなのですか?」
2人のやりとりを眺めていた閃光に芭蕉が長門のことを尋ねてきた
閃光「…そうだな、あいつはあぁ見えていろんな女を手籠にしてるからな」
芭蕉「ええっ///!?」
長門「はいそこ、変なことを芭蕉さんに吹き込まないでください!」
自分を陥れるかのような言い回しをする閃光に長門がツッコミを入れていた
長門「やれやれ…それで改めてお伺いしますが、あなたは今日こちらに来る事になっていた半蔵学院の生徒でお間違いありませんか?」
菖蒲「はっ、はいそうです。私は菖蒲って言います。こちらにかつ姉さまがいらっしゃると知り、立候補しました!」
長門「あはは…そ、そうですか」
ここに来た理由に若干不純を感じながらも長門は苦笑いで受け答えしていた
月光「まぁ、何はともあれこれで3人中2人と合流できましたね先生」
長門「はい。残すはあと1人」
芭蕉「総司さんですね」
残すはあと1人となり、芭蕉と一緒に蛇女から来たとされる総司のみとなった
長門「しかしその人はどこにいるのでしょうか?」
総司の行方がわからず皆が考え込んでいた
長門「芭蕉さん、別れる前にその総司さんって方が何をしてたかはわかりますか?」
考えに煮詰まった長門が手がかりを得るために芭蕉に尋ねる
芭蕉「…そういえば、私から離れる前に何やら紙とペンを持っていたような?」
長門「紙とペン?」
芭蕉「はい、それで私がそれどうするんですかって聞いたら『我が好敵手たる奴にこいつを送り届けてやるのさ、この気高く高貴なる私からの差し出しものを受け取れば奴も来ざるおえまい!……って言って走って行ってしまいました』」
長・閃・月「「「……っ」」」
一連の話しを聞いた長門たちは察したように冷ややかな汗を書く
閃光「なぁ、先生…」
月光「聞かなくても分かります。おそらくあれですよね」
長門「やっぱり、そうですよね…」
互いに確認しあいながらそれを確信付けていた
長門「よし、となれは善は急げです。行きましょう!」
月・閃「
そうして急にどこかに向かって走り出し始める
芭蕉「ちょ、いきなりどうしたんですかみなさん!?」
3人のその様子を見た芭蕉と菖蒲が困惑していた
長門「2人とも付いてきてください!」
芭蕉「えっ?あっ、はい!?」
菖蒲「まっ、待ってください!付いてきてって、いったいどこに!?」
長門「決まってます。闘技場です!」
理由もわからぬまま後を追う芭蕉と菖蒲を連れ、長門たちは一路闘技場に向かって行くのだった