新たに基地に来ることになっていた3人の内、芭蕉、菖蒲とで会うことができた長門たちは
残る最後の1人である総司を探すべく、芭蕉のヒントから闘技場に向かっていた
基地内を駆けることしばらく、長門たちはようやく闘技場にやってきた
長門「――っ!」ガタン
勢いよく長門がドアを開け、闘技場内に入る
長門「…あっ、あれは!?」
程なくして長門たちの視界にあるものが映る
それは自分たちよりも前に闘技場を訪れていた焔と雅緋、そしてそんな2人に向かい合うようにして佇んでいる1人の少女がいた
閃光「先生、もしやあいつは?」
見知らぬ生徒を見た閃光が長門に声をかける
芭蕉「総司さん!?」
長門「…やはりですか」
すると長門が言葉を発するよりも早く芭蕉が驚いたような声をあげ、それにより彼女が探していた総司であることを確信する
月光「しかしどうしてこんなところに?」
果たし状の件といい、誰よりも早く闘技場に来ていたことといい、月光は総司の行動に困惑していた
菖蒲「見てください、何か話しをされているようですよ?」
不意に菖蒲が3人が何やら会話をしていると言ってきたので長門たちはそっと聞き耳を立ててみることに
総司「ふふふふっ、よくぞ来たな焔よ。よもやこんなところで貴様と再会できるとは思いもしなかったぞ。おそらくこれは高価なる私に課せられた試練ということなのだろうな?美しき私に貴様との因縁にケリをつけよという天からの思し召しと言うやつなのだろうな?」
目の前にいる焔に対し、総司は湧き上がる歓喜に満ちた声を発していた
焔「……相変わらずだな総司?」
そんな総司とは真逆に焔の方は対面する彼女を見るや厄介なものを見ているかのようにぐでっとしていた
雅緋「しかしまさかお前がここに来ているとは思わなかったぞ?」
この基地に同校の総司が来ることなど予想していなかった雅緋が驚いていた
総司「ふん、何を当たり前なことを言っているんだ雅緋、私はいずれ蛇女の頂点に君臨する者だぞ?ここで焔を倒し、勝利した暁には次の相手はお前なんだからな」
雅緋「ほう、言ってくれるな?なんなら今ここで白黒つけてもいいんだぞ?」
総司「面白い、これは私にとっても嬉しい誤算だ。確かにそれもいいだろう」
自分が蛇女の筆頭になると豪語し、そのために焔を倒し、次には雅緋を倒すと宣言する
壮大な布告を受けた雅緋も総司に対して目の色を変えて武器を手に構える
焔「おい、さっきから私を差し置いて話しをするとはいい度胸じゃないか。そんな簡単に倒されるような柔な忍ではないぞ私は」
果たし状を受けてきたにも関わらず蚊帳の外に追いやられている焔が物申す
雅緋「そいつはすまなかったな。ならもはや問答は無用だろう!」
総司「確かにそうだな!」
焔「ここまで売られた喧嘩だ。きっちり買ってやるぜ!」
そうしてとうとう雅緋まで巻き込んだ三つ巴の戦いに発展してしまった
長門「あの総司って言う人、すごいですね?……芭蕉さん、彼女はあなたと同学年でしたよね?」
芭蕉「えっ?あっはい、そうですよ?」
長門「一年でしかも選抜メンバーではないにも関わらず焔さんや雅緋さんにも引けを取らないとは…次期筆頭だと豪語するだけはありますね?」
3人の戦いを観戦しながら長門は総司のポテンシャルの高さに関心を示していた
菖蒲「あっ、あの…呑気に観察してていいんですか?そろそろ止めたほうが?」
するとそんな中、郷を煮やした菖蒲が長門たちに戦いを止めなくていいのかと尋ねてきた
長門「おっと、確かに菖蒲さんの言うこともごもっともですね…さて、ではそろそろ行くとしましょうか」
その指摘にハッとなった長門は観察をやめて事態の収集を行うことにした
長門「――っ!!」
月光「先生!?」
閃・芭・菖「「「――っ!?」」」
次の瞬間、長門は地面を蹴って宙へ向かって飛び出していってしまい、それを見ていた月光達は驚いていた
数秒たたずして長門が三つ巴の戦いを繰り広げる3人の頭上まで到達すると降下しつつ瞬時に印を結ぶ
長門「[雷遁・雷雨]!!」
術を発動させると同時に長門が両手を突き出す
刹那、長門の両手から雷が発生し、それらが3人の方に向かって落下していった
焔・雅・総「「「――っ!?」」」
戦闘を繰り広げていた3人が長門の落とした落雷に気づく
危険を感じた3人がそれぞれ咄嗟に地面を蹴って後ろに下がる
標的が射程内から外れたことにより、対象を失った落雷はそのまま地面に落下し、眩しい光を放った
程なくして光が収まり、3人が視線を向け直す
その直後、雷の光が治ったところで長門が地面に降り立ってきた
焔「な、長門!?」
雅緋「何のつもりだ!?」
戦いの最中に現れた長門に驚きを見せつつも水を刺されたことに対して文句を言ってきた
長門「すみませんねお二人とも、ですが悪いんですけどボクも彼女、総司さんに御用がありますのでね。少々茶々を入れさせていただきました」
不満を口にする焔と雅緋に長門は戦いを止めた理由を説明する
総司「おい貴様」
長門「…っ?」
総司「よくも邪魔をしてくれたな?」
するとその最中、声をかけられた長門が見てみるとそこには焔たち同様に邪魔をされたことにご立腹の様子の総司がいた
総司「…なんだ?我が美しく華々しい戦いを邪魔をするのは誰かと思って見ればこんな小僧だったとはな?随分と太々しいやつだ」
さらにはそれが自分よりも幼く小さい存在だと知るや小馬鹿にしたような態度を見せる
長門「どう言われようと構いませんが、まだ正式な手続きもしていないのに勝手なことをしてもらっては困りますからね。ここらで一度やめていただけませんか?」
しかし長門はあくまでも淡々と戦いを邪魔した理由を語り、これ以上の戦闘継続をやめるようにと進言する
総司「ふん、小僧が一丁前な口を叩くな?だが、そんなことで従う私ではないぞ!私の美しき決闘を邪魔したお前に直々に罰を与えてくれるわ!」
そういうと総司が勢いよく飛びかかってきた
長門「やれやれ…仕方ないですね」
困ったものを見るかのような顔を浮かべながら長門が印を結ぶ
長門「[土遁・泥縛弾]!!」
襲いかかるよりも先に印を結び終えた長門が右手を突き出すとその先から術によって発生した球体状の泥が出現する
次の瞬間、長門がその泥弾を放つと瞬く間に総司の目の前まで到達する
ベシャアアッ!!
総司「なっ!?うわああっ!?」
すると泥弾が直前で弾けるとともに総司を飲み込んでしまった
総司「ぺっぺっ!?いっ、いったい何が……っ!?」
一瞬の出来事で訳も分からず口に入った泥を吐いていると総司はそこで初めて自分の身に起こっていることに気づいた
いつのまにか自身の顔以外の部位は肥大化した泥に飲み込まれており、だるまのような形状にされてしまっていた
総司「なっ、ななな、なんだこれは!?」
泥の玉の中に顔以外がすっぽりと埋まってしまっている自身の姿を目にした総司は驚きのような悲鳴をあげる
総司「おい!?何をしたんだ貴様!?」
長門「これは捕縛術の一つです。抵抗されようとしたのでやむなく使用しました」
総司「なんだと!?」
抵抗されそうになったので防衛のために術を使ったのだと長門は語った
雅緋「…そ、そうじ…?」プルプル
総司「はっ!?」
焔「ぷふっ…ぷくくくっ…」プルプル
困惑していた総司だったが、不意に見られていることに気づき、振り向くとそこには自分の姿を見て必死に笑いを堪えようとしている焔と雅緋の姿があった
総司「お、おまえ…たち?」
焔「ぐぶっ、がばぶぶぶっ」ブルブル
雅緋「お、おい焔、流石に笑ったら」プルプル
込み上げる笑いに我慢の限界を迎えそうな焔を必死に呼び止めようと雅緋が声をかける
焔「す、すまん!もう無理だ!?あーはっはっはっはっはっwww!!」
しかし、とうとう我慢の限界を迎えてしまった焔が盛大に大笑いをしてしまう
雅緋「ぐうっ、い、いかん!私も…もう、ぷふっふふふふふw!?」
その笑いに触発されてか雅緋も笑い出してしまった
さらには他の面々も2人ほどではないが必死に笑いを堪えていた
総司「よ、よくも…よくも私にこんな恥をかかせてくれたな////!?」
盛大な赤っ恥をかいてしまった総司がその元凶たる長門に文句を言う
長門「すみませんね、でもこちらもいろいろ立て込んでいますので文句は後で聞きますねっと!」
総司「うわっ!?」
謝罪の言葉を述べながら長門がだるま状態の総司を持ち上げ、両手で持った
長門「月光さん、閃光さん。芭蕉さんたちを一緒に連れてきてください。このまま執務室に戻って手続きを終わらせますので」
月光「わかりました」
閃光「まかせろ」
そして月光たちに2人を連れて来て欲しいと懇願する
2人もそれを承諾してくれた
長門「さて、焔さんに雅緋さん。申し訳ありませんが総司さんたちを連れて行きますのでお二人はお帰りください。では総司さん。行きますよ」
総司「まっ、待て!?本当にこんな格好で連れて行くのか!?あっおいこら待て!話しを聞け!?くそっ〜!?私を自由にしろー!?」
悲痛な訴えも虚しく、総司を連れて長門たちは執務室に向かって行ってしまった
残された焔と雅緋は流れるように進んでいった出来事に面を食らったかのようにしばらくその場に立ち尽くしてしまうのだった