体調を崩してしまった長門から発生したこの奇妙な騒動、その鎮圧に閃光たちが動きを見せていた
雪不帰「なるほど、事情はわかりました。ことは相当にまずいことになっているようですね?」
閃光「はい、今なんとか月光が抑え込んでくれていますがそれもいつまでもつやら?」
あれから閃光は雪不帰の元に到着した
事のあらましを聞いた雪不帰は閃光を引き連れ医務室へと廊下を掛けながら移動していた
閃光「着きました!」
目的地に向かうこと少しして2人は医務室にたどり着く
閃光「…っ!?」
雪不帰「こ、これは…」
だが、そこで2人が見たのは予想外の光景だった
月光「はぁ…はぁ…はぁ…///」
ジュジュ《『ッツツ!?』》
そこに広がっていたのは思いもよらぬ光景
長門の寝ているベットの横に倒れかかっている月光がいた
月光「はぁ…はぁ…はぁ…」
しかもその様子は明らかにおかしく、何やら拘束されている様子だった
一方で残ったジュジュがたった一体と言う状況の中、己の持つ拘束技を駆使して彼女たちから長門を守ろうとしていた
よく見ると他の皆も拘束されていることからこれがジュジュのやったことであることが伺えた
雪不帰「な、何がいったいどうなっているんでしょう?」
閃光「月光!?」
雪不帰「せ、閃光待ちなさい!迂闊に近づいては!?」
倒れている月光の姿を見てしまった閃光に雪不帰の言葉は届かなかった
静止も聞かずに閃光は室内に入っていった
閃光「月光、大丈夫か!?しっかりしろ!?なんでお前までジュジュに拘束されて?」
月光「せ、せん…こう、ダメ…はや、く…にげ」
閃光「逃げる?どう言う意m…っ!?」
そうして月光の元にやってきた閃光が彼女を抱え上げ、声をかけていると突如、閃光のほうにも何やら異変が起こる
雪不帰「(何やら嫌な予感がしますね。それなら!)」
部屋に入った閃光の様子から何かを怪しんだ雪不帰は懐から扇を取り出す
雪不帰「ふっ!!」
ビュオオオオオッ!パキン!
扇を手にした雪不帰は勢いよくそれを振るうと氷の風を発生させ周りのものを凍らせていく
部屋の中が凍りついたことを確認すると雪不帰はようやく室内に入る
雪不帰「閃光、ひとまずここは危険です。先生を連れて場所を変えます。手伝いなさい」
閃光「はっ、はい…わかり、ました」
雪不帰「それとジュジュ、あなたはここに残って月光や凍っている生徒たちの手当てをなさい。いいですね?」
ジュジュ《『ッ!』》ビシッ!
長門を安全な場所に避難させるとともに残された月光たちへのケアも指示する
その命を受けた閃光は少しふらついているものの、ベットから先生を回収し
皆のことを任されたジュジュは去り行く2人に向けて敬礼をするのだった
医務室から避難した雪不帰たちは彼女の部屋に避難していた
回収した長門はソファに寝かしつけていた
雪不帰「閃光、大丈夫ですか?」
閃光「はっ、はい…なん、とか…」
ひとまずの危機を脱した雪不帰は未だ様子のおかしい閃光の安否を気にしていた
閃光「ふ…ふぶき、さま…この状況、いったい…なにがおこって、いるのでしょう?」
こうなった原因がなんなのか閃光は雪不帰に意見を求める
雪不帰「…これはまだ私の憶測でしかありませんが、きっとこれは先生の持つ瞳力によるものでしょう」
閃光「そ、そんなバカ…な!?ありえませんよ、だって…先生は、この通り、ゴーグルをつけて、いるのです…よ?」
長門の持つ瞳術は確かに強力であり、自分たちの置かれている現在の状況はその症状に酷似している
だが、あくまでもそれは長門の眼を対象が目にした時に起こるもの
加えて今長門の眼はゴーグルをしていて直視することを避けているのにこうなるのはおかしいと閃光は意を唱える
雪不帰「これもまだ憶測の範疇でしかありませんが、おそらく今先生は体調を崩してしまったが故に力の制御ができていないのです。それも相まって普段先生が押さえ込んでいる力がくしゃみによってまるでウイルスのように蔓延した。それにより月光も他の皆さんもあんなことになってしまったのだと思われます」
これまでの情報から雪不帰は原因が抑え込めなくなった長門の力の暴走であると考えついた
雪不帰「しかし困りましたね。この状況をどう打開すればいいのでしょう?」
原因がわかったものの、現状では何か対策が打てるわけもない、雪不帰はこれからのことを考えていた
閃光「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……も、もう…げん、かいだ」
雪不帰「閃光?」
閃光「せ、せん…せい///」
何とかここまで理性を保っていた閃光だったがそれもついに壊れてしまい、他の皆同様に長門を求める
雪不帰「まずい!?おやめなさい閃光!」
迫りよる閃光から長門を救おうと雪不帰が急接近する
雪不帰「ふっ!!」ベシッ!
閃光「がはっ!?……っ」ガタッ
背後を取った雪不帰が素早い手刀を振るい、その一撃を受けた閃光は即座に気絶する
雪不帰「危ないところでした。まさか閃光までもが…こうしてはいられません、ここも安全ではない以上場所を変えなければ」
ここにいてはまずいと判断した雪不帰が長門を連れて場所を変えようと考えた
長門「ふぁ〜!?くしょん!?」
ボン!
雪不帰「しまった!?」
するとその時だった。長門がくしゃみをしてしまい室内に煙が発生する
危険を察知した雪冬帰が急いで裾で鼻と口を覆う
雪不帰「ぐっ!?」
しかしくしゃみによって部屋に充満した煙の影響がその程度で拭えるようなものではなかった
雪不帰「(な、なんなのこれ?先生と初めて対面した際の時とは比べ物にならない!?)」
以前に顔合わせをした際にあえて瞳力を確かめるためにかかってみた時はまだなんとかなるくらいのものだった
だが、今の状況はその時などよりも別格であった
鼻と口を覆ってカバーしているが、頭の中の思考はほぼ完全に長門を求めることしか考えられないと言う感覚になっている
雪不帰「(まさか風邪で力が制御できない上にゴーグルで抑制してこの威力なんて…まさか先生は普段からさらに自身でも抑制をかけていたというの!?)」
明らかにあの時以上の効力に雪不帰は長門が普段からゴーグルに加えて自身も抑制を施した二段階での封をしていたことを察し、驚愕する
雪不帰「(と、とにかくこのままではまずい!?)」
これほど部屋に煙が蔓延していては危険であると雪不帰は判断する
雪不帰「ぬぇえい!」
バキキキキン!
必死の力で部屋に冷気を帯びた風を吹かせ、煙も凍らせることに成功する
雪不帰「先生、行きますよ!」
今のうちにと雪不帰は長門を抱き抱えて部屋を後にする
雪不帰「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
部屋を抜け出した雪不帰は長門を安全な場所に連れて行こうと廊下を行く
雪不帰「ぐっ、うぅっ!?」
しかし先の室内で僅かながら煙を吸ってしまっていた雪不帰の思考がどんどんと侵食され始めていた
長門「うっ…うぅっ…」
雪不帰「せ、先生?」
そんな中、ふと長門のほうを見てみると顔が赤くなっており、汗もかいている
雪不帰「し、しまった!?煙を跳ね除けるために部屋中を凍らせてしまったせいで先生の体が冷えてしまった!?」
明らかに容体が悪化してしまっている様子にそれが自分のやらかしが関係していることに気づくのに時間は掛からなかった
顔色も悪くこのままでは危険な状態であることは誰の目から見ても明らかだった
雪不帰「せ、先生。しっかりしてください、私が絶対にあなたを助け、ぬあっ!?」
容体が悪化する長門を助けるべく急ごうとする雪不帰だったが
自身もふらついている状態であるにも関わらずそうしようとした結果、最大に倒れ込んでしまう
雪不帰「はぁ…はぁ…せ、先生…」
長門「ふぅ…ふぅ…」
倒れた痛みを気にも止めず、雪不帰は自分の隣で苦しそうに息をしている長門に視線を向ける
雪不帰「――っ!?」
だが、その直後に雪不帰は理性のタガが外れそうな衝動に駆られる
隣にいる苦しむ長門を愛して愛してやまなくなる
雪不帰「はぁ…はぁ…せ、せん…せい///」
もう理性を保ち切れなくなりそうなところまで陥ってしまった雪不帰が手を伸ばそうとする
???「やれやれ、まったく見るに耐えないな〜?こんなシチュエーションじゃ楽しめるもんも楽しめやしないじゃないか」
雪不帰「…えっ?」
するとその時、前方から聞いた事のない声が聞こえてきた
雪不帰「…あっ、あなたは?」
???「うくくく」
霞む視界に見えたのは謎の存在と思われる影だった
長門「…ううっ、ここは?」
雪不帰「先生、目が覚めましたか…よかった」
長門「えっ?雪不帰さん?」
風邪で意識を失っていた長門が雪不帰のひざ枕で目を覚ます
長門「あっあれ?ボクは今までどうして?」
雪不帰「覚えてませんか?急な熱を発症してから今までずっと意識を失っていたことを?」
長門「…ああ、そうでした。なんとなくではありますが記憶の中にぼんやりとそんなことがあった気がします」
自分が今までどうしていたかについてを雪不帰に問われた長門は朧げながらに思い出していた
長門「でもどうしてでしょう?今はなんだか体が軽い気がします」
話しを聞いている中で長門は自分の体が意識を失う前より好調であることに気づき、疑問を浮かべる
雪不帰「そのことでしたら簡単なことです。先生の病気は完治しましたよ」
長門「完治した?」
雪不帰「はい、そちらにいる方が先生に薬を投与してくれたんです。危ないところだった先生をこの方が助けてくださったのです」
長門「この方?」
容体が完治したのは第三者の手によるものだと語りながら雪不帰が長門に薬を投与した者を指し示し、長門がそちらの方に視線を向ける
長門「――っ!?」
だが、視界を向けた瞬間、長門の顔が驚愕に染まる
???「うくくくっ、やぁ長門くん久しぶりだね?」
そこにいたのは人ではなく人の言葉を喋るクマのぬいぐるみだったのだ
長門「やはり先生のお知り合いでしたか…って先生?」
様子からして2人が知り合いなのだと悟り、会話に混ざろうとした雪不帰だったが、どうにも長門の様子がおかしいことに気づいた
雪不帰「あ、あの…先生?」
どうしたのかと声をかけようとしたその時だった
長門「――っ!!」
突然に長門が素早く後ろに下がるとともに懐から巻物を取り出す
長門「雪不帰さん、伏せてください!」
雪不帰「えっ?」
言っていることの意味が理解できず、困惑する雪不帰を他所に長門が取り出した巻物を開き、中心に描かれた剣の文字に手を当てる
すると巻物から煙が発生し、それが消えるといつの間にか長門の手に大きな手裏剣が握られていた
長門「はっ!」
間髪入れずに長門がその手裏剣をくまに向けて投げつけ、瞬時に印を結んだ
その直後に一つだった手裏剣が複数に分身する
???「えっ、ちょ!?ぐにゃああっー!?」
刹那、飛んでいった手裏剣たちがくまに直撃し、全身に突き刺さった
雪不帰「せっ、先生!?」
思いもよらぬ出来事に雪不帰は動揺を隠せないままに長門を見る
長門「……っ」
???「やれやれ、再会早々に串刺しにしてくるなんて酷いなもう」
雪不帰「っ!?」
だが次の瞬間、背後から聞こえる声を聞き、慌てて雪不帰の元まで長門は後退する
すかさず目を向けるとそこには先ほど手裏剣で串刺しにしたと思っていたくまがピンピンとした様子で立っていた
長門「……変わり身か」
不意に視線を後ろに向けてみるや、いつの間にか串刺しにしたものは偽物にすり替わっていた
???「うくくくっ、相変わらずだね?久しぶりだね。元気にしてたかな長門くん?」
長門「…お前に会うまではね。どうしてお前がこんなところにいるんだ"シノクマ"?」
シノクマ「うくくくくくくっ」
いつもの物腰柔らかい口調ではなく完全に敵意を剥き出しにしている口調で目の前のクマことシノクマにここいる理由を問う
そんな長門の問いにシノクマは不適な笑みをこぼしているのだった