――PM:演習場(野外)――
ここはシノマス会場の近くにある野外用の演習場である
そんな場所に今、長門はいた
長門「ではこれより野外授業を開始させていただきます。みなさんよろしいですか?」
今日は外で授業を行うことを長門が本日の生徒である忍学生たちに告げる
雲・美「「はーい!」」
春「わかったわ」
四「OKだよ〜ん♪」
紫「…はっ、はい…」
今回ここに集まったのは雲雀、春花、美野里、四季、紫の5人だった
春花「それで、今日はなにをするのかしら先生?」
四季「それそれ、何やるの?教えてよ長門ちん?」
自分たちを集めて今回は何の修行を行うのかと春花と四季が長門に尋ねる
長門「なっ、長門ちん……こほん、え〜っ、そのあだ名については置いとくとして、実はかねてよりひばりさんとみのりさんからレクリエーション的な授業をしてほしいと要望を受けてましで今回はそれでやろうかと思っております」
質問に対して長門は今回の修行の根本は雲雀と美野里の要望からきていることを明かす
美野里「だってみのり、先生ちゃんと一緒に遊んでみたかったんだも〜ん」
雲雀「ひばりもみのりちゃんからそう聞いていいかもって思って2人で思い切って相談してみたんだ」
2人も長門の言うことが真実であることを肯定する
紫「…理由はわかりました、けど…とすれば、今回はどんなことを?」
話しを理解するや紫が自分たちが何をするのかを尋ねる
長門「今回皆さんにやってもらうのは…これです」
質問を投げかけられるや長門がおもむろに懐をがさこそと探り始める
その直後、彼の懐からリンリンと言う音が響く
雲雀「それは…鈴?」
長門「はいそうです。今回皆さんがやってもらうのは[鈴取り合戦]です」
雲・春・美・四・紫「「「「「鈴取り合戦?」」」」」
懐から取り出した鈴を見せながら長門は今回の授業内容が鈴取りであることを告げる
長門「みなさんにはボクからこの鈴を奪ってもらいます。制限時間内に鈴を奪えれば皆さんの勝ち、もし制限時間内にボクから鈴を取れなかった場合はボクの勝ちという訳です」
四季「へーなにそれ面白そうじゃん♪」
美野里「やろうやろう♪」
鈴を長門から取るという内容を聞いて四季と美野里が一番にテンションをあげていた
長門「…よし、では皆さん始めるとしましょうか」
手にしていた鈴を腰につけ、授業の開始を宣言する
四季「よ〜し!先手必勝!」
美野里「鈴を渡してもらうよ!」
開始早々に四季と美野里が鈴を奪おうと突っ込んできた
長門「はっ!」
四季「えっちょ!?痛っ!?」
美野里「痛っ!?」
だか、その直前に長門が回避行動をとったことで四季と美野里は勢いのままに互いの頭をぶつけ合ってしまう
長門「そう簡単に鈴を取られてはボクも立つ顔がありませんからね!」
雲雀「あっ!?」
春花「逃げたわ!?」
紫「…追いかけ、ないと!?」
すかさず森の方に逃げ込んで行った長門を追って5人も森の中に入る
美野里「あれれ〜?先生ちゃんいないよ?」
雲雀「どこ行っちゃったんだろ?」
森の中に入ったものの、早々に長門の行方を見失ってしまった
春花「ここは二手に別れましょう。先生くんを探し出すのよ!」
雲・美・四・紫「「「「おーっ!」」」」
手分けして探そうと言う春花の意見に従い、全員が蜘蛛の子を散らすように別れていった
春花「さ〜て、先生はどこにいるのかしら?」
捜索を始めて少ししてのこと、春花はいまだに見つからない長門の行方を傀儡を使って探していた
ヒュウウッ!プスっ!
傀儡《『――ッツ!?』》ビリリリリ!
春花「な、なにっ、どうしたの!?」
突如として何かを撃ち込まれた傀儡が狂ったような反応を見せ、春花もその様子に慌てていた
長門「探し物はなんですかー?見つけにくいものですかー?」
刹那、後ろから歌声交じりに聞こえてくる声に春花は驚愕の顔を浮かべる
春花「――っ!!」バッ!
咄嗟に春花が振り返りざまに苦無を投げる
長門「ふっ!」カキン!
春花「なっ!?」
しかし、その苦無は長門に弾かれてどこへともなく飛んでいってしまった
長門「残念でしたね…――っ!」キュィン!
春花「――っ!?」ドックン
すると間髪入れずに長門が片手で印を結び、術を発動させる
それにより春花は術中に陥ってしまうのだった
雲雀「…先生、どこにいるんだろ?」
時を同じくして、別の場所では雲雀が同じように長門の行方を探していた
カサカサッ!
雲雀「な、なに!?」
捜索を続けていると突如草むらが揺れ、雲雀はそれに驚きつつも視線を向ける
春花「……っ」
雲雀「えっは、春花さん?」
直後、草むらから出てきたのは春花だった
雲雀「春花さん。よかった…ねぇ、先生は見つかった?」
草むらから現れた春花に雲雀が歩み寄り、長門を見つけたかどうかを問う
春花「…けた」
雲雀「えっ?」
春花「やっと見つけたわよ長門先生~っ!!」
雲雀「――っ!?」
するとどうしたことかいきなり春花が雲雀に攻撃をしてきた
雲雀「なっ、なにするの春花さん、て言うか今ひばりのこと先生って!?」
いきなりのことで雲雀も訳がわららない様子だった
春花「うふふふっ、逃げても無駄よ、さぁ観念しなさい先生。今その鈴を取ってあげるから!」
明らかに今の春花は普通ではない、自分を長門と思い込んでいた
雲雀「は、春花さん落ち着いて、正気を取り戻して!?」
春花「問答無用!!」
雲雀「いやー!?」
必死に止めるように呼びかけるもその声が届くことはなく、森に硬いものでガツンと叩く音がした
雲雀「あ…あうぅ」
春花「やった!鈴ゲットよ♪」
音が止むとそこには春花にボコされた雲雀と
鈴を取ったと喜ぶ春花の姿があった
長門「……っ」
その様子を見ていた長門が片手で印を結ぶ
春花「――あれ?私は今まで何を?」
するとそれに好悪するように春花が正気を取り戻す
春花「って、えぇっ!?ひばり、なんで倒れて!?」
我に帰った春花は目の前で倒れる雲雀に驚く、さらに指先に違和感を感じるやそちらに視線を向けてみる
なんと指先にあったのは鈴ではなく、鈴虫が摘まれていた
春花「いやぁあああ!?なんで私、虫なんてぇええ!?」
いつのまにか自分が虫を摘んでいたことに春花はさらなる発狂の声を上げるのだった
美野里「先生ちゃーん!どこー?」
森を元気よく駆け回りながら美野里が長門を探していた
美野里「あれ?」
だが、その最中のこと、美野里の目にあるものがとまる
美野里「わー!すずだ!」
目にしたもの、それは木の下に落ちている鈴だった
美野里「やったー!これでみのりたちの勝ちだ〜♪」
鈴を見つけるや美野里は一目散にそこに向かい、目前まで迫る
ズモッ!ビシッ!シュルルルルルッ!!
美野里「えっ?きゃあー!?」
しかし目前まできた瞬間、地面から出てきたロープが美野里の足に巻きつき、そのまま彼女を宙吊り状態にしてしまった
美野里「うわーん!?誰か助けてー!?」
罠にかかった美野里が必死に助けを求める
長門「油断しましたねみのりさん」
美野里「せ、先生ちゃん!?」
困り果てている美野里の前に長門が現れ、彼女が撮り損ねた鈴を回収する
長門「流行る気持ちは分かりますがもっと周りに気を配らないと今みたいに足元を掬われますからね」
美野里「わかった、わかったから助けてよ先生ちやーん!?」
長門「申し訳ないですが、まだ授業中ですからね、そうもいかないです。ではまた!」
美野里「あっ!?もーう、先生ちゃんのケチ〜!?」
助けてもらえず宙吊り状態のまま美野里は去っていった長門に悪態をつくのだった
時刻はそれから数分ほど経った頃のこと
カサカサと草根をかき分ける音がする
紫「……っ?」
草の中から顔を見せたのは紫だった
そうして顔を覗かせた紫がある方向に視線を向ける
彼女の視線の先には自分の位置からして背を向けている長門の後ろ姿があった
紫「(このまま…ゆっくりと近づいて、鈴を奪う…)」
隠密行動からの奇襲で長門から鈴を奪い取ると言う作戦を紫は狙う
長門「ずいぶんと慎重ですね?」
紫「…当然です。あの先生は、見かけによらず、すごい方です…慎重に行かないとすぐに……って、えっ?」
集中している中、声をかけられた紫は最初こそ何気なく会話していたがすぐに違和感に気づく
なぜなら今自分は単独行動をとっているのに会話する相手がいるはずないからだ
紫「――っ!?」
異変に気づいた紫が即座に後ろを振り返る
するとそこにはいつの間にか後ろにいる長門がいたのだ
紫「なっ…なん、で?」
長門「残念ながらあれはボクじゃありません、ボクの作ったダミーです」
紫「えっ!?」
言われて見てみるとそれは長門ではなく、彼そっくりに作り上げられた人形をそこに立たせているだけだった
紫「……っ」汗
真相を知った紫が冷や汗を流しながら振り返る
長門「ふふふっ…」
笑みを浮かべながら長門が手を突き出し、同時に紫の意識もそこで途絶えるのだった
四季「さーて、先生ちんはどこかな〜?絶対に見つけ出して鈴をゲットしてやるんだ〜♪」
ウキウキな気分で四季は鈴を手に入れると言う目標を掲げて森の中を進んでいた
やがて森の中を進んでいた四季がひらけた場所に着く
あたりをきょろきょろしながら長門がいないかと探していた
???「し…しき、さん…」
四季「えっ?」
するとその時、後ろの方から知った声が聞こえてきたので振り返ってみる
四季「えっ…ええっ!?む、紫ちん!?」
そうして振り返った四季が視界にとらえたのは木に縛り付けられた紫だった
四季「ど、どうしたの紫ちん!?なんでそんなところに!?」
状況がまるで飲み込めず、四季は困惑する
紫「…に、にげ…て」
四季「えっ?」
動揺している四季に縛られている紫が意味深な言葉を告げる
言っていることの意味が四季にはわからなかった
ズモッ!ガシッ!
四季「な、なにっ!?」
次の瞬間、地面から飛び出した2本の手が四季の両足を掴む
四季「わぁっ!?」
さらにその手によって間髪入れずに四季は地面に吸い込まれてしまった
数秒間、土煙があたりを包み込んでいたが、やがてそれも腫れていく
四季「……ゲホッゲホッ…なんなのよもう……って、ちょ、なにこれ!?」
土煙が晴れ、視界が回復した四季が目にしたのは地面に顔だけ出ているだけの状態になっている自分の姿だった
長門「――っ!」シュタッ!
四季「な、長門ちん!?」
すると身動きの取れない四季の前に長門が現れる
長門「土遁⁅心中斬首の術⁆です。動けませんでしょ?」
術の解説をすると少し意地悪な質問を投げかける
四季「長門ちん酷いよ!速く出してよ!?」
長門「ダメです。まだ制限時間過ぎてませんから…では♪」ポン!
四季「あー!もう長門ちんめぇ~!?」
助けを求めても拒否され、四季の虚しい叫びが森に響くのだった
その後、彼女たちは残り時間いっぱいいっぱいまで長門に挑んだが、ついに鈴は取れなかった
雲・春・美・四・紫「「「「「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」」」」」
長門「みなさん、お疲れ様でした。鈴は取れませんでしたがいい運動にはなれたと思いますよ」
疲れ切った皆に長門が僅かばかりの褒めの言葉を送った
四季「くっそ~。鈴取れなかった」
雲雀「悔しいよ~」
美野里「うんうん、してやられちゃったよ~」
息を整えると皆口々に悔しがっていた
四季「覚えてなよ長門ちん、今度は絶対に鈴取るからね!」
雲雀「ひばりだって次こそはやってやるんだから!」
美野里「みのりだって本気で行くからね~!」
春花「だから、覚悟しておいてね先生♪」
悔しい気持ちはあれど諦めるようなことはなく再度挑むことを誓う彼女たち
長門「はい♪」
次こそはと意気込んでいる様子を見ていた長門は内心嬉しく思い、微笑ましそうに彼女たちを見ていた
長門「さて、ではそろそろ施設に戻りましょうか」
授業も終わったことで長門が施設に帰ろうと皆に声をかけ、彼女たちもそれに賛同していた
そんな時だった
場所は変わり森の中、そこの一本の木の枝に一本の苦無が絶妙なバランスで乗っていた
なぜこんなところに苦無があるのか、その答えは春花だった
あの時、長門に投げつけ、弾かれた苦無が偶然にも枝に妙な形で落ちていたのだ
ヒュゥゥゥ!!
やがて今まで耐えていたアンバランスだった苦無がグラグラと揺れ、刃先のほうから地面に向かって落ちていく
勢いよく落下する苦無、するとその落ちた先には長門が仕掛けて使用することなく終わった罠の一つの作動用のロープがあった
直後、落ちた苦無がロープを切断し、それにより罠が起動する
まるでピタゴラ〇イッチのように仕掛けが作動していき、最後の仕掛けが起動する
ポシュンという音を立てながら投石機のような仕掛けが何かを撃ちだす
射線上には長門たちがいた
雲雀「うん?何の音?」
長・春・美・四・紫「「「「「…っ?」」」」」
音にいち早く気づいた雲雀が反応し、皆が視線を向けようとした
その時だった
ヒュゥウウウ!ベチャァッ!!
雲・春・美・四・紫「「「「「きゃぁあああああ!?」」」」」
長門「うわっ!?」
次の瞬間、飛んできたものが雲雀たちを勢いよく押し込み、彼女たちの前に立つ長門を巻き込む形で打ち倒した
春花「痛たたっ、い、いったいなにが?」
四季「ちょ、なにこれ!?」
紫「うぅ…べ、べとべとです」
突然のことで理解が追い付かない一同は身体についたべとべとするものに困惑している
美野里「あー!ねぇねぇ見てみてみんな、鈴だよ!鈴GETしたよ!」
四季「おー、でかしたみのりちん!」
紫「じゅ、授業が、終わった後にとっても…意味、ないかと」
倒れた衝撃で鈴を手にした美野里に四季がサムズアップをし、紫が冷静なツッコミを入れる
長門「痛たた…みなさん大丈夫です…ぅん///!?」
痛みで我を忘れていた長門だったが、5人の女性に押し倒され、彼女たちの豊満なそれが自分の体に触れていることに気づき、顔を赤らめ、目を逸らそうとする
雲雀「先生、大丈夫?」
春花「頭を強く打ったみたいだけど」
長門「いえ、ボクは大丈…ぶ?」
心配する彼女たちに答えようとして長門は自分たちの体についているベタベタするものを見ていち早く事態に気づき青ざめる
長門「み、みなさん!急いでここから離れて!?出ないと大変なことに!?」
雲・春・美・四・紫「「「「「えっ?」」」」」
突然そう言われて困惑する彼女たちだったが、長門の言ったことがすぐに現実となる
最初こそドロドロだった液体が秒を追うごとに硬化し、硬くなっていった
雲雀「えっ?なにこれ!?」
春花「う、動けない!?」
長門「あぁ…まずい!?」
とうとう液体は完全に固まり、皆身動きが取れなくなった
春花「せっ先生、なんなのこれ!?」
長門「授業のために罠としてセットしていた接着性のある液体です」
困惑しながら質問する春花の問いに長門はこれがどういうものかを答える
紫「えっと、つまりそれって…っ?」
長門「はい。完全に固まってしまった以上……助けが来ないとどうしようもありません」
雲・春・美・四・紫「「「「「えぇー!?」」」」」
液体の正体を知って皆が慌てふためく
雲雀「ど、どどどどうしよう!?」
春花「何とかして抜け出すのよ!?」
このままでは行けないと皆が何とかするべくもがきだす
しかし固まってしまった液体は硬く、とても抜け出れなかった
四季「痛っ、いたたた!?ちょ、ちょっと動かないでよ!?」
美野里「うえ~ん!?痛いよ~!?」
皆がもがく度に他の面々が痛みを訴える
長門「もご、もごご///っ!?」
だが、この中で一番大変なのはもがく度に豊満なそれに顔を押しつぶされる長門であるのだった
※ちなみにこの後、長門たちは帰りが遅いことを心配した皆によって無事助けられたのだった