「おかしい、何か」
自分はいつものようにカードショップで違和感がありつつも遊戯王の店舗大会に出て初めて優勝し帰宅の途中だった。
「何でこんな……」
優勝して、浮かれていたせいで気づくのが遅くなってしまった。
「いやいや、おかしいって……」
みわたす限りあるのも遊戯王の広告だらけ、しかも新商品のポスターなんて生易しいものじゃない。
「もしかして」
これは完全に…。
「遊戯王の世界に来た、のか?」
優勝して浮かれた気分が吹き飛び早足で帰宅する、店舗から自宅までは普通に歩いて10分もかからない、なのでいつの間にか全速力で走りだし、勢いよく玄関の扉を開ける。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
「えぇ?!」
玄関を開けるとドラゴンメイドのまとめ役であるハスキーが深々とお辞儀をしていた。
これがお屋敷、最悪でも一軒家なら違和感が無かっただろう、しかし自分が住んでいる所は社宅で、あの壁が薄いと評判の集合住宅だ、1Kの賃貸で出迎えるには違和感がとても仕事をしていた。
そして横を見ると洗濯機の前でどや顔のラドリーと、調理させる気のない台所で四苦八苦しながら何か料理をしているティルルが見えた。
部屋ではパルラ、ナサリー、チェイム、ラティスの4人が掃除が終わったばかりなのかゆっくりしていた。
「えっと……、どういう状況?」
遊戯王好きならば必ず妄想するであろう、遊戯王の世界に行く事、もちろん自分だってそんな妄想は何度もしたことにあるし、そういった二次創作は何度も見てきた。
それに自分が良く使うデッキはOCGでもMDでもドラゴンメイドだ、それらが実体化したらなぁ、というのも妄想した事がある。
それがいざ現実の物になると言葉を失うんだなっていうのがわかった、わかったが……。
「ご主人様が私達をお使い下さったおかげでこうして顕現する事ができました」
「うん、僕もこうして君たちにこうして会えたのは嬉しく思うよ?」
「はい、私達も嬉しく思います」
「とりあえず上がっていいかな?」
「そうですね、到着までに掃除は全てませてあります」
調理し辛くてイライラし始めたティルルをギリギリで回避しつつ部屋に入る。
自分含めて6人もいるので6畳の部屋ではかなり圧迫感がある。
「こんな狭い部屋で申し訳ないな」
「苦しい思いさせてしまい申し訳ございません、今回は初めてということかもあり、全員実体化しておりますが、今後は必要に応じた分だけ実体化し、対応させて頂きますので……」
「なんと言うか、申し訳ない」
「顔を上げて下さい、ご主人様は私達に多大な愛情を注いで頂いてる事は皆が存じている事、こうしてお世話ができる事だけでも私達は幸せなのです!」
「そ、そうか……」
「はい!」
好きなカードが実体化してここまで好意向けてくれるのだ、今まで意地でもドラゴンメイドを使って来たことが報われた瞬間かもしれない。
でも、せっかく遊戯王の世界に来たのもあるし、これからどうしよ……。
多分続かない