TS転生憑依闇堕ち(無自覚)精霊姫様は原作を知らない   作:むーちゃん

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架空原作モノを書きたくなってしまったので投稿。途中若干グロ注意。


第一章
第1話「まだあわあわあわ慌てる時間じゃない」


 地球とは異なる、とある世界。

 

 そこでは『人間』と『精霊』と呼ばれる二つの存在が手を取りあって生きていました。

 

 人間と精霊は契りを交わします。

 

 人間はその身から溢れる魔力を、精霊はその身に宿す不思議な力を、それぞれに分け与えるという契約です。

 

 

 火の精霊は燃え盛る炎を。

 

 水の精霊は清く澄んだ水を。

 

 風の精霊は吹きすさぶ風を。

 

 土の精霊は豊かな大地を。

 

 そして人間の魔力を得て成長した精霊は、それぞれの特別な力を。

 

 

 こうしてお互いに助け合い、分かち合うことで世界は美しく調和を保っていたのです。

 

 

 そしてある日、とある王国の王城の一室で。

 

 

 精霊に愛される美しい姫が生まれたのです! 

 

 

 彼女はあらゆる精霊に好かれる魔力を持っていました。

 

 彼女が歩けば足元に花が咲き。

 

 彼女が歌えば精霊が踊り。

 

 彼女が望めば、全てが叶う。

 

 

 まさしく天の才。

 

 人は彼女を精霊に愛されし姫──『精霊姫』と呼びました。

 

 彼女の下で、その王国と世界はますます豊かになっていきました。

 

 

 

 しかし、光が輝くほど陰も濃くなるのが世界の常。

 

『精霊姫』が生まれた日、時を同じくして、世界の片隅でとある封印が解かれてしまっていたのです。

 

 それは遠い昔に精霊達が施した封印。

 

 世界を暗く染め上げてしまう『闇の精霊』を封じるものだったのです! 

 

 封印から解放された闇の精霊たちは、再び世界を自分たちのものにせんと動き出しました。

 

 

 こうして人間と精霊vs闇の精霊の世界すべてを巻き込んだ戦いの幕が切って落とされたのです──! 

 

 

 

 

 

 

 しかし、人間と精霊は何百年、何千年もの間共に暮らし、共に成長してきました。

 

 遠い昔に世界を恐怖のどん底に陥れた闇の精霊たちと言えど、やはりそれは過去の話。

 

 あらゆる精霊の力を借りる『精霊姫』と、光の大精霊と契約した『勇者』を筆頭とした人間と精霊の合同軍の活躍により、徐々に闇の精霊たちは倒れていきました。

 

 

 今日この日も、闇の精霊の幹部の一人『大精霊クーダ』を勇者一行が討伐したのです。

 

 王城では宴が開かれました。

 

 勇者とその仲間たちは今日の勝利を喜び、国王や精霊姫は民の暮らしが守られたことに安堵していました。

 

 

 もはや勝利も目前。

 

 明日も、そのまた明日も、この平和は守られることを全員が信じていました。

 

 

 ────精霊姫が何者かに攫われ、忽然と姿を消してしまうその日までは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 精霊姫を攫ったのは人間でした。

 

 宴にこっそりと忍び込んだ彼は、皆が酒に酔った頃に行動し、誰にも気付かれないまま姫を攫ってしまったのです。

 

 

「ふむふむ、『精霊姫』と言えども構造は普通の人間と変わらないのか。ただやはり魔力の量と質が桁違いだな。精霊共が吸い寄せられるのも頷ける」

「……ッ、〜〜~ッッ!!」

 

 

 闇の精霊だけを警戒していた城の者たちは、人間が人間を陥れるとは思いもしませんでした。

 

 精霊姫も同様で、油断していた彼女は不幸にも攫われてしまったのです。

 

 そして何よりも不幸だったのは、彼女を攫った人物が狂気の科学者であり、かつ闇の精霊と協力していたことでした。

 

 

『どうだ、マッドよ』

「おお、これは闇の大精霊様。コレは素晴らしい素材ですよ。これまで数え切れないほど人間を解剖してきましたが、ここまで強く、美しく、無垢なものは見たことがありません。今からコレを弄ることができるなんて……なんて言うかその、下品なんですが、ふふ、興奮してきましたね」

『ふん、何せコレは精霊姫らしいからな……。我らが同胞を殺してきた分、きっちりと我らの役に立ってもらわねばな』

 

「ん──ッ! ッ、ンーッ!」

 

 

 闇の大精霊が一人、『大精霊ミーヤ』は人間たちの油断を嗅ぎとり、見事にそこを突いて要人である精霊姫を捕らえたのです。

 

 精霊が一人たりともいない暗い部屋の中。精霊姫と言えどもただの人間。精霊がいなければ年相応の少女でしかありません。

 

 彼女はただ、これから自分の身に降り掛かる悲劇に震えることしかできませんでした────

 

 

 

 

 

 

 そして彼女の地獄が始まりました。

 

 まず腹を切り刻まれました。

 

 内臓がどうなっているのか知りたかったみたいです。

 

 次に魔力を生成する臓器をズタズタにされました。

 

 どうして他の人と魔力が違うのか知りたかったみたいです。

 

 次に股ぐらに何かを突っ込まれました。

 

 生殖機能を確認したかったみたいです。

 

 次に左腕を千切られました。

 

 闇の精霊は肉を代価に契約するみたいです。

 

 次に両足を千切られました。

 

 闇の精霊と契約させたいみたいです。

 

 次に喉を刻まれました。

 

 闇の精霊と契約したみたいです。

 

 次に目を潰されました。

 

 闇の精霊と契約したみたいです。

 

 次に頭を開かれました。

 

 闇の精霊と契約したみたいです。

 

 次に────

 

 

 

 

 

 そうして『精霊姫』の魂はすり潰されました。

 

 そこにあるのは、呪いと契約に穢された空っぽの器。

 

 闇の精霊たちの親玉、『闇の精霊王』をこの世に呼び戻すための玉座。

 

 

 ──あとなんか知らない世界から迷い込んだ、たまたまそこにあった空っぽの身体に入り込んだ一つの魂。

 

 

 

 

 

 で、俺が生まれたってわけ。

 

 すいません、ここから入れる保険はありますか? 

 

 ここになければないですね。

 

 うーん(昇天)。

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 さて、状況を整理しよう。

 

 俺は日本生まれの日本育ち、高校中退して働いてた19歳。仕事終わって爆睡して普通に起きたらこの状況。

 なんか知らんけど女の子の身体になっててわろた。そしてすごく断片的にだけどこの子の記憶が流れ込んでくる。えーっとなになに……? 

 

 

 ①ここは人間と精霊vs闇の精霊でドンパチやってる世界。

 

 ②この身体は人間側の超重要人物。

 

 ③闇の精霊とマッドなサイエンティストにとっ捕まって人体実験されまくり。

 

 ④辛すぎて意識消失。今に至る。

 

 

 ……詰みでは? 

 いや待ておおおおおお落ち着けって。まだあわあわあわ慌てる時間じゃない。

 

『…………(ウンウン)』

 

 今絶賛マッドなサイエンティストな人が姫の(というか俺の)身体をハアハア言いながら弄り回してるとこだけど落ち着こう。いや落ち着けるわけねえだろバカが。

 

 たぶん奴は俺が中に入ったことに気付いてない。だって全くこっちのこと見ないもの。内臓しか目に入ってないもの。

 痛覚機能死んでて助かったー! 内臓弄られてたら絶対痛くて反応しちゃうからね! 助かってねえよなんだこれ。

 

 とりあえず何か反応したらたぶんまずい。気付かれたら軽く死ねる。ここ最近姫も限界で何されても無反応貫いてたみたいだからそれに倣っとこう。

 

 

 さて、ここで俺が出来ることは何があるかな。

 何もありません。大人しく助けを待ちましょう。

 はい。

 

 いや無理だよ。ただの一般19歳にガチモンの化け物とガチモンのキチガイ相手に何かしろって無茶だよ。

 

 それにきっと誰か助けに来るはず。だって王女だし、超重要人物らしいし。あのーあれ、なんか強い人居たみたいだからあの人が来てくれるはず。名前思い出せてないけど。既に手遅れ感すごいけど。

 

『…………(ウンウン)』

 

 ほら、さっきから視界の隅にいるよく分からない赤黒い化け物も頷いてくれてるし、これで大丈夫なはず。

 

 ……うん? 赤黒い化け物? 

 

『…………(フリフリ)』

 

 あ、手振ってくれてる。かわいー。

 

 

 

 

 

 ギャアアアアアアアアア!!!!!




ということで架空原作へのTS転生(憑依?)モノです。
行ける所まで不定期更新でやります。
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