TS転生憑依闇堕ち(無自覚)精霊姫様は原作を知らない   作:むーちゃん

3 / 11
第3話「ドン引きした」

 俺は悟りを開いた。

 

 解剖されながら顔〇される経験を、三時間に一回くらいの頻度で繰り返していた時、俺は分かったんだ。

 

 この世界は間違ってる。

 

 今ならカネキくんにとても同意できる。こんな世界早く壊れた方がいい。少なくとも目の前のマッドサイエンティスト〜無限〇射編〜は早く去勢されてそのまま死んだ方がいい。これだけは間違いない。

 

『…………(ウンウン)』

 

 ああクロちゃん、君だけが今の俺の救いだよ。見た目グロくてSAN値チェック入りそうだけど。

 

 はーあ、誰か早く助けてくんねーかなあ。

 

 

 

 

『マッド! おいマッド!!』

 

 むむ、この声は! 

 

「おやおや? どうかしましたか闇の大精霊様」

 

 扉をバーンと開いて登場! 

 眼福ナイスバディ精霊ねーちゃん(敵)! 眼福ナイスバディ精霊ねーちゃん(敵)じゃないか! 久しぶりだな! お前このキチガイだけ部屋に置いて俺のこと何日も放って置くとか正気か? なあ。

 

『何を呑気にしている! 早く装備を整えろ!』

「むっ、敵襲ですかな」

『ああ奴だ、『勇者』が来るぞ……クソッ、想定より見つかるのが早かったな……!』

 

 

 

 ゆうしゃ……その言葉を聞いた時、朧気ながら浮かんできたんです。なんか金ピカの後ろ姿が(たぶん姫の記憶)。

 

 ガハハ、勝ったな。風呂入らせてくれ。ガビガビで気持ち悪いんだ。主に顔が。

 

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 

「……姫様を──」

 

 

 ある者は言う。『勇者とは何ぞや』と。

 

 

「──返せ、蛆虫共」

 

 

 そしてある者は応う。『其は人類の希望である』と。

 

 

『……アーサー』

「フォス、力を貸して」

『ええ、貴方は私の(主人)、私は貴方の(奴隷)──』

 

 

 彼の背後から抱きしめるように腕を巻き付ける白髪の美女には目もくれず、彼はただ剣を構える。

 

 女の白磁のような腕が剣を艶やかに撫であげる。すると彼の剣に光が灯り、その輝きを増していく。

 

 闇の精霊たちはその光を見て、相対する者が何者であるかを悟り、一歩二歩と後ずさった。

 

 ただ、遅い。何もかもが。

 

 

『──行きましょう、アーサー』

「【閃光】」

 

 

 闇の精霊の目が捉えたのは、ただ一筋の光のみ。

 

 剣先の軌跡だけを目に焼き付けられた彼らは、次の瞬間バラバラになって消し飛んだ。

 

「さて、一匹たりとも逃がさないように慎重にいこうか、皆」

「おう」「はいです」「え、ええ」

 

 国一番の占星術師──空の精霊の契約者であるメガネ巨乳ボクっ娘──の力を借り、爆速で精霊姫が拘束されている可能性が高いポイントを割り出した勇者一行。

 

 そしてそれっぽい洞窟だったり地下遺跡だったりを潰していく中で、四番目に訪れた樹海の入口でとうとう闇の精霊にエンカウントした。

 

 そして叫び声一つ上げる前にアーサーが切り飛ばした。

 

「……RTAでもしてる?」

 

 横で見ていたカレンはドン引きした。

 

 

「事前の打ち合わせ通りだ。グラッド」

「任せとけ」

 

 アーサーの声に応じて、一人の大柄な男が一歩前に出る。

 

 彼はかの高名な勇者パーティーの一人、『歩く要塞』グラッド。

 

 土の精霊、その成長した姿である鉄壁の精霊を契約精霊とする。

 

 そして、このパーティーでの彼の役割は異名が示す通り。

 

「行くぞォオオ!!」

 

 彼の領域である大地に、鉄で覆った両の拳を叩きつける! 

 

 

 ──ゴ、ゴゴゴ

 

 

「ねえ、ここまでする必要ある?」

「ある。全員殺す」

「そ、そう」

 

 カレンがドン引いている間に地面の揺れは激しくなっていく。

 

 そして樹海を──樹海の中にある地下施設を囲うように、半径100m、高さ50mはあろうかという球状の壁が、一気に大地から突き出してきたのであった。

 

 空が、大地に包まれる。

 

 これが彼の能力。一瞬で巨大な要塞すら造り上げる、戦略兵器級のタンク役である。

 

 何とも馬鹿げた光景だなあ、とカレンは薄暗くなった森を遠い目で眺めた。

 

 

「次、カレンの番ね」

「はいはい、やればいいんでしょ」

 

 

 だが馬鹿げ具合ではカレンも負けてはいない。

 

 生まれてこの方、ゲームの知識を活かして厨ビルドし続けてきたのだから。

 

 全ては勇者の横に立ち続けるため。

 

 有象無象に負けてなどいられないのだ。

 

 

「起きなさい、サラマンダー」

『精霊使いが荒いマスターですぅ〜』

 

 

 中性的な見た目で特徴的な口調の精霊がカレンの肩にふわりと現れる。

 

 コレは生まれた村でとっ捕まえた火の小精霊を魔改造レベリングした相棒である。

 

 爆炎の精霊は火力特化の精霊。

 

 守りは薄いが、他の精霊には真似出来ないような超火力を叩き出す。

 

 

「あそこ、狙い撃つわよ」

『はいはぁ〜い』

 

 

 例えば、こんな感じに。

 

 

『いつでもどぉ〜ぞ』

「【破壊紅線(はかいこうせん)】」

 

 

 ちゅどん。

 

 そんな気の抜けた音がした。

 

 

 そして森は吹き飛び、あらゆる水分は蒸発し、その直線上に在った全てのものはこの世から消え去った。

 

 

「えぇ……」

「……やっぱやべえな。タメに対して威力高すぎだろ」

 

 

 これには勇者一行(勇者除く)もドン引きである。

 

 

 大地で出来たドームはさながら溶鉱炉の如く。地面はガラス状にどろどろと溶けている部分まで。

 

 熱と煙と水蒸気で一気に視界が悪くなる。

 

 

「はい次、プリステラ」

「はいなのです」

 

 

 勇者に最後に呼びかけられたのは、頭一つか二つか九つほど小さい水色の少女。

 

 水の精霊の進化系──霞の精霊との契約者、『蜃気楼』のプリステラである。

 

「ほいです」

 

 小さいながらに勇者パーティーに選ばれるだけはあり、水の操作はお手の物。

 

 焼けるような気温は調節し、肌に張り付くような湿気は取り除き、水蒸気で悪くなった視界もクリアに。

 

「ほいなのです」

 

 あとついでに水蒸気爆発も起こして、樹海とギリギリ生き残ってた闇の精霊を跡形もなく消し飛ばした。

 

 

「ノリが軽い」

「無邪気にやればいいってもんじゃないのよ」

 

 

 これには勇者一行(勇者除く)もドン引きである。

 

 

 そうしてようやく現れたのは──地下施設への入口(全壊)だった。

 

 

「ねえ、入りづらいんだけど」

「切れば入れるよ」

 

 

 ガラガラとドームの大地が崩れ落ちる中、彼らは姫の待つ地下へと足を踏み入れる。

 

 これが今代の勇者パーティー。

 

 闇の精霊たちを窮地に追いやる、王国随一の暴力装置である。

 

 

 

 

 

 そして行く先。

 

 彼らが、彼が出会ったのは。

 

 

「ひめ……さま?」

 

 

 宝石と称された銀髪は邪悪な暗黒に染まり。

 

 見る者全てを魅力した美しい紫瞳はハイライトを失い。

 

 美の化身と言われたその身体は呪いに犯され黒ずんでおり。

 

 一糸まとわぬその肌は傷がない場所が見つからないほど傷付けられており。

 

 しまいに顔面は白濁液まみれ。

 

 以前の輝きは見る影もない、穢され尽くした姫の姿がそこにはあった。

 

 

 

 

「姫様ああああああああ!!?」

 

 

(あ、間に合わなくてよかった。これはもう手遅れね。やっと死んでくれて清々するわ)

 

(なんと惨い……あれだけの責め苦、体験すれば一体どれ程の快楽となろうか……ッ!)

 

(なかなかセンスがいいのです。この仕打ちをした人とは仲良くお酒が飲めそうなのです)

 

 

 そして勇者パーティーとは思えない姿もそこにあった。

 

 

 

 

 コツ、コツ、コツ。

 

 

 

 

「待っておりましたよ、勇者様御一行」

 

 無惨な姿の姫を見て慟哭する勇者、無表情(まだ笑うな……)カレン(ガチクズ)顔を顰めるグラッド(妄想中のドM)辺りを警戒するように見回すプリステラ(仲間を探す鬼畜ドSサイコ酒豪合法ロリ)の前に現れたのは。

 

「ご覧いただけましたかな。私の持てる技術の粋を詰め込んだこの作品は」

 

 白衣に身を包んだ、いかにもといった様相の壮年だった。

 

 

「……貴様が」

「おお、大変失礼いたした。私はマッド、マッド・サイエンと申します。以後お見知り置きを」

 

 ギョロギョロした目つき、人を小馬鹿にしたような口ぶり。

 

 ゴミだ。クズだ。世界の害悪だ。

 

 勇者は一目見て確信した。

 

「さて、今回みなさm──」

 

 ので斬った。

 

「──ぁえ?」

「煩いぞ、虫ケラ」

 

 

 ぼとり、男の首が落ちる。

 

 

 神速の踏み込みで科学者の首と命を刈り取った勇者は、そのまま頭蓋骨を踏み潰し、靴と地面を血と脳漿で汚した。

 

 

 カレンはドン引きした。

 

 一般通過男性(姫の中の人)もドン引きした。

 

 

「……プリステラ、姫様の治療を」

「は、はいなのです」

 

「グラッド、姫様を守っていてくれ」

「おう」

 

「カレン、残党狩りにいこう」

「分かったわ……ねえ、アーサー」

 

 

 のこのこ出てきた首謀者(と思われる男)を踏み潰した後、テキパキと怖いくらい冷静に指示をする勇者。

 しかし何かを堪えるような表情をしているのを、幼馴染は見逃さなかった。

 

 彼女は恋敵に死んでもらいたかったのは確かだが、好きな人に辛そうな顔をしてほしい訳じゃないのだ。

 

 

「無理しなくていいのよ、おいで」

「ッ! ……ふ、ぐ、うぅ……」

 

 

 くしゃりと顔を歪めた勇者はただ一人の少年に戻り、幼馴染の広げた腕の中に顔を埋めた。

 

 

「僕が、守るって決めたのに……」

「ええ」

「まもれ……なかった……!」

「ええ(愉悦)」

 

 

 役得である。幼馴染を腕に収め、頭を撫でながらカレンは悦に浸っていた。

 

 姫は再起不能、他のヒロイン候補は既に潰してある。

 

 これは……つまり……! 

 

 我が世の春が……来た……!! 

 

 ざわ……ざわ……! 

 

 

「アーサー、大丈夫よ。プリステラなら……それと王城の癒者たちなら姫様を治せるかもしれない」

 

 無理だけど(原作知識)(大勝利)(コーナーで差をつけろ)。

 

「一度、姫様を連れて帰りましょう」

「ああ……ああ……わかったよ……」

 

 

 

 

『敵地で涙を流すなど、笑止千万』

 

 

 ぐじゅり。

 

 

「なっ……」

「かはっ……」

 

 

 気配などしなかった。

 

 油断していなかったと言えば嘘になるが、警戒は切らしていなかったはずなのに。

 

 

「ッ! プリステラ! 回復しろ!!」

「きららちゃん力を貸すのです! 【元気になーれ(元気にならなきゃ殺すのです)】!!」

 

 

 勇者とその幼馴染は、抱き合ったまま二人仲良く、漆黒の棘に胸を突き刺されていた。

 

 

「おお、痛い痛い。いきなり首を切り飛ばすなんて、これだから野蛮人は」

「き……さま……っ」

 

 

 そしてその背後ではゆらりと、首なしの化け物が声を発していた。

 

 

「この私が、無策で、このような場に来るとでも?」

 

 

 ぐじゅぐじゅぐじゅぐじゅ。

 

 首の切断面の肉が蠢き、口、鼻、目玉、脳みそを形成していく。

 

 

「舐められたものですね、そうでしょう闇の大精霊様」

『ああ、奴らは今、ここで潰す』

 

 

 闇の精霊の契約の対価は生きた血肉。

 

 既にその身の全てを捧げた狂気の科学者は、勇者たちを皆殺しにするべく、授かった力を解放した。

 

 

「さあ、楽しい宴の始まりです」

 

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 

 いやちょ、部屋の中でドンパチしないで!! 

 

 俺動けないから!! 流れ弾で死んじゃうからぁ!! 

 

『…………(フルフル)』

 

 ギャアアアアアアア!!




〇『光の大精霊』フォス
・■■■歳。身長可変。体重可変。
・キラキラ光るデッッッな美女。
・ショタコン。
・オネショタもショタオネもイける。
・住処の泉にやってきたイケメンショタに心を撃ち抜かれ、半ば無理やり契約した。

〇『歩く要塞』グラッド
・27歳。186cm。85kg。
・契約精霊:『鉄壁の精霊』
・バカ強い。
・バカドM。
・プリステラと付き合っている。
・最近勇者たちにプリステラとの関係がバレるのではないかと恐れ、侮蔑の視線を妄想して悶えている。

〇『蜃気楼』プリステラ
・29歳。140cm。37kg。
・契約精霊:『霞の精霊』
・アホ強い。
・アホ鬼畜ドS。
・グラッドを飼っている。
・趣味はデカイ男の頭を水の中に無理やり沈め、苦しそうにしている顔を肴に酒を飲むこと。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。