~運び屋・スタルカー~
秘密基地に戻った運び屋はスタルカーとAS-4、槌永ヒヨリの二人を個室に縄で縛り上げて正座させて説教していた。
また、それぞれ【私は未成年に酒を飲ませようとしました】、【私は何の躊躇いもなく未成年飲酒をしようとしました】と書かれたボードを首から提げられていた。
「なぁ、ヒヨリ。前にも言ったよな、酒は飲むなって。勧められても断れって」
「zzz…」
「で、でも!貴重なエネルギー源でぇ」
「そんなにひもじい思いはさせてないよな?」
運び屋の言葉にヒヨリは目を逸らす。スタルカーに至っては寝ている始末だった。
「よーし、ヒヨリは一ヵ月掃除の刑だ」
ヒヨリは項垂れながらも、内心ほっとする。
「“ホテル”の、だがな」
それを聞いたヒヨリは血相を変えて拒否する。
「無理無理、無理です!できないです!!」
「決定事項だ、異論はあるか?」
「「「異議なし」」」
「と言うことで、アリウスに戻ったら早速やってもらう」
「お、お願いします!それだけは!と言うか、戦車倒したから大目に見てもらってもいいじゃn」
「ダメだ」
そう言って運び屋とアリウススクアッドの三人は涙目のヒヨリを置いて部屋から出て行く。ヒヨリは四人が出て行った後、泣き叫ぶ。
「アァァァァァァッヤダアァァァァァァァァァァァッ!」
大声で泣き叫ぶも、誰も気に留めなかった。スタルカーは隣で大声で泣かれているにもかかわらず、寝ていた。
後ろからヒヨリの泣き叫ぶ声を聴きながら休憩室に向かう運び屋と寝室に向かうアリウススクアッド(三人)。
「ボス、そういえばヒヨリはどこまで“掃除”するんだ?」
「全部だ」
「
「再三注意したのに酒を飲もうとしたんだ、当然のことだ。ついでに言っとくが、お前らも例外じゃないから気を付けろよ」
「「「Yes,Sir 」」」
運び屋は残りの三人に注意を呼び掛けながら廊下を歩いて三人が答えた直後に寝室に着く。
「それじゃ、お休み」
「……ボス、少しいいか?」
「ん?どうした?」
他二人が寝室に入ろうとする中、AS-2、白洲アズサが運び屋を呼び止める。
「少し話はできないだろうか?」
「それはここにいる四人だけでか?」
「ああ、できればここにいる四人だけで話したい」
「分かった、入ってもいいか?」
そう言って運び屋は寝室を指差すと、アズサはサオリに目配せしてサオリはそれに頷いて答える。寝室に入ると二段ベッドのアズサが使用している一段部のベッドに運び屋は座る。
運び屋の隣にアズサが座り、向かいの二段ベッドの一段部のベッドにサオリとAS-3、戒野ミサキが座る。
「それで話ってのは?」
「私は、トリニティに転校しようと思ってる」
「え?」
「は?」
サオリとミサキは今まで一緒に訓練し、戦ってきた戦友であり、かけがえのない家族であるアズサの突然の転校発言に動揺する。
「理由は?」
「私達、いや、アリウスを迫害したトリニティをもっと知りたいと思って」
「それって、前に訓練教官達が発案した潜入作戦の事?」
「うん。その時にティーパーティー・パテル分派代表の聖園ミカと接触した」
「待て、それはまだ検討中の作戦じゃないのか??」
サオリの言葉にアズサは俯く。運び屋は一度息を吸って吐くと、疑問の答えを話す。
「ここを卒業した訓練教官にアズサが提案して、そのすぐ後に訓練教官が部下三人と潜入を手助けした。俺が知ったのは、訓練所を抜き打ちで見に行った時にちょうどアズサがトリニティから帰還したからだ」
「秘匿していた理由は?」
「皆の中にはクズ女だけじゃなく、トリニティも嫌っている子が少なからずいる。その子達の中からまた裏切り者だの何だの言う子がいてもおかしくない。クソ女から解放されて半年以上経つが、それでもアイツの事を、アイツの教えを忘れられないでいるんだ」
それを聞いたサオリとミサキは口を噤む。二人も未だにマダムの教えを度々思い出すため、強く言えなかった。
「それで、転校はいつするの?」
「今月末に。準備が整ったから、転校する前に話しとこうと思って」
「何で、相談してくれなかったんだ?」
「それは俺が箝口令を敷いたからだ。この件に関しては慎重に事を進める必要があった。分隊のお前達にも黙ってたのは俺のせいだ、……すまない」
「ボス……」
二人に頭を下げる運び屋。サオリとミサキは顔を見合わせて苦笑いしながら答える。
「いいんですよ、ボス。私達はあなたに救われたんです。でも、今度は私達を信じて正直に言ってください。みんなもちゃんと話せば分かってくれますから」
「……ありがとう」
「でも、何で今なの?」
「ヒヨリがいると話が進まなくなると思って」
「「あぁ……」」
アズサの言葉にサオリとミサキは、今の話をして大騒ぎするヒヨリを取り押さえて気絶させる未来が思い浮かんで納得する。
「取り敢えず、ギリギリまでこの事は他の皆には伏せておく。サオリが言ってくれた手前、申し訳ないが」
「分かりました。でも、今度からは相談してください。私達だけでなく、他のみんなにも」
そうして、話し合いが終わると運び屋は休憩室に向かった。
~???~
ヴァルキューレ警察学校の管轄地区で起こった不良生徒による大規模な暴動は公安局長、尾刃カンナの指揮する公安局や警備局所属の生徒達とカンナの個人的な知り合いの助力によって見事に鎮圧していた。
「本日はご協力、ありがとうございました!」
そう言ってカンナは目の前の戦車、
「こちらこそ、助けていくれたお礼ができたからおあいこよ。気にしないで」
カンナに返事を返すと、女性は戦車内の人員にも労いの言葉を掛ける。
「みんなもお疲れ様。初めてにしては良くできてたわよ、特にミユの操縦は一番よかったわ」
「あ、ありがとう、ございます」
「え~、私も頑張ったのに~」
「モエは無駄撃ちし過ぎ。トリガーハッピーなのは分かるけど、ちゃんと当てること。あと、主砲も二発外してるしね」
「くひひ、いや~それほどでもう~」
「いや、褒めてないだろ」
RABBIT 4、霞沢ミユがおどおどしながら返事をする中、RABBIT 3、風倉モエは不満を述べるが女性の指摘を受けたにも関わらず何故か照れる。それをRABBIT 2、空井サキがツッコミを入れる。
「サキも初めてなのに砲弾の装填、早かったわね。ミヤコも良く当てていたわ」
「ま、まぁ、慣れればこれくらいはな。って、頭撫でんな!」
「ありがとうございます。でも、セラさんが分かりやすく教えていただいたからこそ、ここまでやれたんです」
「ありがとう、次はミヤコが車長をやってみる?」
「はい!その際はご指導ご鞭撻、よろしくお願いします!」
セラはサキとRABBIT 1、月雪ミヤコに労いの言葉をかけてミヤコに車長の指導を行うことを約束する。
「ああ、そうだ。シャーレの方は大丈夫だったの?」
「ええ、そちらは外からやってきた“先生”と同じく外からやって来た大人二人の指揮する部隊が対応して無事に奪還したそうです」
「二人の大人?」
「はい。これから局に戻ってシャーレ奪還時の防犯カメラ映像を見ますが、部下からの報告では見たこともない装備で戦っていたらしいです」
カンナの話を聞いてセラは顎に手を当てて少し考え込むと、カンナに答える。
「カンナ、それ私も見ていい?」
「構いませんが、なにか気になることでも?」
「気のせいならそれでいいの。でも、なんて言うか……勘が囁いてるの。見た方がいいって」
「分かりました。なら、こちらのパトカーに乗りますか?」
「あぁー……」
セラはどうしようか迷い、RABBIT小隊の面々に顔を見合わせると、小隊の四人は頷き返す。
「私は問題ありません」
「私もだ」
「私も~」
「だ、大丈夫、です」
四人の返答にセラは笑って返答する。
「ありがとう、みんな。と言うことでこの戦車で行くわ。カンナ、先導をお願いできる?」
「問題ありません。では、私の後ろを付いて来て下さい」
「了解。あと、無線は繋いだままにしてくれる?周波数はさっきのと同じよ」
「分かりました」
カンナがパトカーに戻っていくと、セラは口頭マイクのボタンを押してミユに指示を飛ばす。
「ミユ、エンジン始動」
「エ、エンジン始動!」
セラの指示でミユが始動ボタンを押すと、エンジンが始動して唸り声を上げる。
「ミヤコ、無線と機銃の装弾チェック!サキ、主砲と同軸の装弾チェック!モエ、照準器と旋回装置チェック」
「「「はい!」」」
ミユ以外の三人は返事をして自分の持ち場のチェックを行う。
「無線問題なし!感度良好!機銃装弾よし!予備弾薬2!」
「主砲装填弾なし!残弾数は
「照準器問題な~し!視界良好!砲塔駆動装置問題な~し!」
それぞれの確認を終えてセラに報告する。報告が終わる頃にはカンナの乗ったパトカーが戦車の前に止まっていた。
「了解!戦車前進、前へ!」
「ま、前へ!」
セラの指示にミユは復唱して戦車を前進させる。戦車はパトカーの後ろを車間距離を多めに取って付いて行った。
~???~
レッドウィンターの不良生徒による襲撃は事務局所属の池倉マリナと部下の保安員、安守ミノリ率いる工務部が鎮圧に当たった。
マリナと部下の保安員ならも、ミノリ率いる工務部が鎮圧に当たったのは工務部に所属する一人の部員がミノリに直訴して鎮圧に参加していた。
しかし、その工務部所属の生徒によって住宅街は騒然としていた。たった一人の“ヘイローを持たない”生徒によって死屍累々(気絶)の山が築かれていた。
「ちょ、ま、まっグェェッ」
「こ、降伏する!こうふグボォォッ」
戦意喪失した者、降伏した者問わず手にしたスレッジハンマーで殴り飛ばす。軍隊の兵士のような装いをした少女は、まだ気絶していない最後の一人になった不良へ体を向ける。
「な、なんで……なんで、敵意のない奴も殴り飛ばすんだよ!」
「……お前らは、私の恩人達の建てた建物を侮辱した」
一歩前に進む。
「お前らは、私の建てた建物を侮辱した」
もう一歩前に進む。
「お前らは、私の恩人達と私の建てた建物を破壊した!」
さらにもう一歩前にに進み、不良の前に立つ。
「お前を、お前らを殴る理由は、それで十分だ」
少女はスレッジハンマーを大きく振りかぶって、不良に向けて下から掬い上げるように振り抜く。
「グゴバァァァッ」
腹部を殴打されて不良は吐瀉物を撒き散らしながら宙を舞い、地面に叩き落とされて気絶した。それを後ろで
「イ、イノリ、大丈夫か?」
スレッジハンマーを肩に担ぎながら戻ってくるイノリにミノリは問いかける。その問いにイノリはミノリの目の前に来るとスレッジハンマーを地面に置いて答えた。
「疲れちゃったぁ」
そう言ってイノリはミノリに倒れ込む。
「イノリ!」
倒れ込んだイノリをミノリが受け止める。受け止められたイノリはミノリの腕の中ですやすやと眠りについていた。
「疲れて眠ったようだな。しかし……」
ミノリの隣にいたマリナは目の前の惨状を見て眉間に皺を寄せる。この後の片付けもだが、“ヘイローの無い人”が援護があったとは言え、数十人の不良を殲滅したのを聞いたこともない。
「……本当に誘拐した子じゃないんだよな?」
「前にも言っただろ!建材に使う木を切りに行った森林で見つけて助けた子だって!」
マリナの疑いの言葉にミノリは即答する。イノリはミノリに膝枕されてグースカピーと気持ち良さそうに寝ている。
「だが、ヘイローの無い外から来た……はずのこの子が援護があったとはいえ、数十人の不良達を倒すとは。外の世界は一体どうなってるんだ?」
「分からないが、今はそれを論じてる場合じゃない。とにかくイノリを部室に運ぶぞ」
「ん?鎮圧に加わらないのか?」
「イノリが一人で行こうとしたからなんとか説得して、私らが建てた建物を破壊する不良達だけを倒していただけだ。まさか、ここまでやるとは思わなかったけど……。とにかく私らは帰る、後はそっちでなんとかしてくれ」
そう言うと、ミノリはイノリを背負って来た道を引き返す。部員達はイノリの武器等を持って部長の後に続く。
マリナは特に気にもとめず、部下の保安員達と共に不良達の鎮圧に続行した。
別々の世界から来た四人、それぞれの世界で彼ら彼女らはこう呼ばれていた。
この四人がキヴォトスにどのような幸福を、あるいは災いをもたらすか。
神のみぞ知る……
兄弟姉妹の転生先一覧
長男→Fallout:NewVegas
次男→S.T.A.L.K.E.R. Anomaly
長女→RimWorld
次女→7days to Die
さてと、……………………どうすっぺ(最後に仰々しく書いたものの、先の展開を考えていない作者)