メイプルが転スラの世界に異世界トリップしてしまった!? 作:蘭生愛
木の温もりがある食堂に入り、テーブルに料理が並ぶ。
焼きたてのパン、香り立つシチュー、肉のグリル…。
思わずサリーのお腹が鳴りそうになる。
「リムルが奢ってくれるんだって!」
メイプルが嬉しそうに言い、サリーも思わず頬を緩めた。
「いや、日本人の後輩(?)に困ってほしくないしな。遠慮するなよ。」
リムルが軽く笑いながら勧めると、3人は一斉に食事に手を伸ばした。
食べながらの話題は自然と日本のことになる。
サリーとメイプルが学校やゲームの話をすれば、リムルも「ああ、わかるわかる」と相槌を打つ。
「えっ、リムルさんってどこに住んでたんですか?」
「オレ?東京だな。……って言っても、今じゃ懐かしい思い出だけどさ。」
「東京!?すごい……。」
サリーの目が輝く。メイプルも「都会だ~!」と楽しそうだ。
やがて話題はこの世界のことへ移った。
リムルはさりげなく街や国の情報を整理して二人に伝えた。
冒険者ギルドの仕組み、周囲の魔物、旅人がよく立ち寄る場所…。
「……まずは拠点を決めるのがいいな。この街ならしばらくは安全だと思う。」
「うん!サリーもいるし、これから一緒にがんばろう!」
メイプルの元気な声に、サリーの胸は温かくなる。
(…メイプルも、リムルさんも。本当に頼もしい人たちだ。)
サリーはそう思いながら、自然と笑顔を浮かべた。
食堂での食事を終えたあと、私は一人で街の通りを歩いていた。
人々の話を聞きながら、少しでもこの世界の情報を集めておきたかったからだ。
「ふぅ…。でも、思ったより知らないことだらけだなぁ。」
そう小さく呟きながら歩いていると――
「おーい!サリーさんっすよね!」
不意に元気すぎる声が背中から飛んできた。
振り返ると、緑の髪をした小柄な青年が全力で手を振っている。
「えっと……ゴブタさん?」
「そうっす!オレっす!覚えててもらえてうれしいな~!」
彼は無邪気に笑いながら駆け寄ってきた。
どうやらリムルさんの仲間らしいけど、噂通りちょっと調子の抜けた雰囲気だ。
「こんなところで何してるんですか?」
「えっとですねぇ~、任務……のついでに食べ歩きっす!」
「ついでに、ですか…?」
あまりに堂々とした言い方に、思わず苦笑してしまった。
「でも街の情報を集めてるって聞いたんで、オレも手伝うっすよ!」
「ほんとですか?助かります!」
「はいっ!任せてください!えーっと……」
ゴブタは胸を張ったかと思うと、近くにいた屋台のおじさんを指さした。
「この辺の焼き串、めっちゃ美味いっすよ!」
「…………。」
「えへへ。情報っす!」
私は額に手を当てて、ため息まじりに笑ってしまった。
(なるほど……ゴブタさんって、こういう人なんだ。)
でも、不思議と憎めない。
その無邪気さに、少し気が緩む自分がいた。
「まぁ……確かに役立つ情報ではありますね。」
「っしょ!?オレだってやる時はやるんすよ!」
ゴブタは胸を叩きながら自慢げに笑った。
私はそんな彼を見て、ほんの少し心が軽くなった気がした。