その誰にも読めない心を覗いてみたい ~超絶可愛い読心少女である私こと、色葉ココネには伝えたい秘密がある~   作:猫色箱

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第25話 はじまりの読心少女⑩

 心音の回復力はすごい!

 

 ずっと寝たきりで筋肉さんが落ちているはずなのに、すぐに歩けるようになっていた。これにはお医者さんもビックリ! 火事場の馬鹿力みたいだって。

 

 これには心音もにんまり。「また不可能を可能にしてしまいました」と言っていた。

 心音はすぐに退院して、今は自宅療養中。

 

 なんと明日には学校に復帰できるらしい。嬉しいな!

 でも、喜んでいるだけじゃダメだよね。

 

 

 

 もし、九条さんと心音が出会ったら、九条さんが読心少女だってバレちゃうからね。

 

 心の瞳のおかげで遠くから九条さんの心を感知することはできないはずだ。

 心音と出会った時と同じで、相手が目の前にいて、初めて心の瞳も認識できる。

 

 きっと心の瞳が、垂れ流しの心の情報を抑え込んでいるんだろうね。

 

 私と九条さんの関係も同じ。九条さんの心には秘密のスキマがあるけど、近くにいなければ見つけられない。

 だから、いつもピッタリ張り付いて動くしかない。不便だなぁ。

 

 だけど、同じ理屈で心音も九条さんを遠くからは認識できない。悪いことばかりじゃないね。

 

 それでも、同じ学校に通っている以上、偶然ばったり出会っちゃうこともある。

 つまり、心音が学校に復活した明日から試合開始だ。

 

 

 

 

 

 

「九条さん、準備おっけ~?」

 

 学校の教室では、九条さんが能力の検証を続けていた。

 今日は男の子を使って、初めて心を操る練習を終えたところ。

 

 結果はバッチリ成功。でも速度も精度もまだまだこれからだね。

 

 心を操る練習は、操った人と心音が出会うとすぐにバレちゃうので、むやみに練習しないように心を操っていた。

 

(この力を使えば、何だってできる。だが油断は禁物だ。まずは小さな実験から積み重ねるべき……)

 

 検証を終えた九条さんが教室を出る。私はその後ろにピッタリくっついて歩く。

 足並み揃えて、いっちに、さんし!

 

 さてさて。本当はもっと練習してからがよかったんだけど、時間切れ。これで頑張ろっか!

 

 それでは、え~テステス、ごほん。ごほん。こんな感じで声を変えればバレないかな。

 よ~し、開始の合図をするよ。

 

 

「そういえば知ってる? 色葉さん。ずっと休んでたけど、明日から復帰するんだって」

 

 

 声だけを九条さんに届けた。それと同時に九条さんの心も操る。

 

 これまで、うっかり私と心音に出会わないように、私たちへの意識を抑え込んでいた。その栓を外して元の形に戻す。

 

 それだけじゃない。

 心音への対抗心をプッシュ、プッシュ! うぉ~~、燃え上がれ~~~!

 

(……色葉? そうだ色葉だ! ――能力の試運転を兼ねて、色葉に悪戯を仕掛けてやろう)

 

 おぉ~。燃えてるねぇ~。

 読心能力を使って、心音に悪戯しようと頭を巡らせている。いたずらっ子、可愛いね。

 

 これで明日、心音に対して読心能力を使ってくれるはず。

 よかった。よかった。

 

 じゃあ、私は心音のお家に遊びに行くから、この後は任せたよ~。

 

 

 

 ……あっ! いけない。いけない。大事な念押しを忘れてた!

「心音の前には決して姿を見せないこと」――これを九条さんの無意識に深く刻み込む。ふぃ~、セーフ。

 

 よし、今度こそ後は任せたよ~。じゃあね~。

 

 ……あれ? こんなに人任せでいいんだっけ?

 

 

 

 ■

 

 

 

 次の日。

 心音は無事に復帰! 体力も元通りで、一緒に通学できて楽しい。

 

 九条さんと偶然出会わないかな~ってドキドキの一日だったけど、気がつけばもう放課後。

 

 心音と一緒にいたから九条さんには会えなくて、何をしていたのかわからなかったけど……ちゃんと隠れてくれていたみたい。

 このあと心音と一緒に帰ったら、九条さんに会いに行こうっと。待っててね!

 

 そんなことを考えながら帰り支度をしていると、スクールバッグを持った心音がテクテク近づいてきた。

 どうしたのかな?

 

「カナミさん、誕生日おめでとうございます!」

「あっ! 忘れてた!!!」

 

 そうだ。今日は私の誕生日。

 私が生まれてしまった日だ。覚える必要なんてないね。

 

 ……それでも、私なんかのために準備してくれたのが嬉しいな。

 

 

 

 

 ――――そして、お喋りしながら、心音がバッグをゴソゴソしながら首を傾げたの。

 

 聞けば、誕生日プレゼントがなくなってるらしい。

 心音も忘れちゃったのかな? ……と思っていたら、心音が廊下側を振り返った。

 

 あぁ、なるほど! 九条さんの仕業だね!

 

 次の瞬間、廊下からドタドタと足音。

 大きな体の男子が一人、教室に入ってきたよ。

 

 九条さんは、こんな形でちょっかいをかけることにしたんだね。

 

 あちゃ~。そういうことじゃないんだけどな~。心音の心を読んで欲しいの! あとで九条さんと反省会だ!

 とりあえず心音を守らなきゃ――そう思ったけど、結局は心音の読心能力に守られちゃった。無力だね。

 

 それにしても、心音の力はやっぱりすごい。

 心音が読心能力で誰かの心を変えるところを視たのは二度目だ。

 

 瞳の手が一瞬で男子の心に触れて、元通りの形に戻したのだ。

 

 やっぱり、私と出来が違うね。

 私も反省しなきゃ。九条さんと一緒に反省会だ。

 

 

 ……それにしても、心音を守るなんて、どの口が言っているんだろうね。

 全部ぜ~んぶ悪いのは私なのにね!

 

 

 

 ■

 

 

 

「九条さん。反省会だよ! 反省会!」

 

 心音と一緒に帰った後、九条さんのお部屋に遊びに来た。

 

 この前、コッソリと合鍵を借りたから、いつでもお邪魔できるようになったんだ。

 それに九条さんも同じ中学なだけあって、ご近所さんだから通いやすくて助かるよ。

 

 う~ん。どんどん泥棒っぽさが板についてきたね。

 

 

 

 それよりも、反省だよ。反省!

 

「心音にアタックするのはいい感じだけど、あれは好きになれないよ!」

 

 私は制服のままベッドでうつ伏せになる九条さんをポンポンと叩く。

 ……って聞こえているわけないよね!

 

 九条さんの心を覗いて記憶を確認すれば、何があったかは丸っとお見通しだ。

 

 心音が読心能力だってわかったみたいだけど、どこか心音を恐れているみたい。

 心の瞳がおぞましい?

 

 う~んと、そうかなぁ? たしかにパワフルだと思ってたけど……。

 それよりも私を嫌うみんなの心の方が怖かったから何も思わなかったよ! むしろ、優しいって感じ!

 

 でも、そっか。怖いんだね。

 おっけ~。そこは後で調整するね。

 

 それにしても九条さんの視点って勉強になるな~。

 心音が読心少女だってわかった時点で、過去に操られていた可能性に気づくなんて、さっすが~!

 

 不思議なのは、心音の心の瞳は視えるのに、私のは視えないってこと。たしか、心音も私のは視えないって言ったよね。

 ただ、私の心が視えないからって心音の操り人形扱いはどうかな? でもあってるのかも? 私は空っぽの人形なのかもね!

 

 ……よし! 振り返りも終わり。

 最後に心の調整して終わろっか!

 

 九条さんが心音を怖がってアタックしなくなっちゃったら困るかね。

 恐怖心を取り除いてあげよう。

 

 

 

 ……コネコネ。

 

 こういうのバランスが大事だからね。

 恐怖心を取り除くために、もっと心音の対抗心を煽っておこう。

 

 あっ、でもでも男の子に襲わせるのは禁止だよ!

 

 

 

 ……コネコネ。

 

 えーと、もっと細かく心音の心を覗けって指示した方がいいのかな?

 

 でも、九条さんからあふれた気持ちで頑張ってほしいからね。

 これだけ対抗心を煽れば、きっと心音に読心能力を使いたくなるよね。

 

 

 

 

 

 ……コネコネ。

 

 んっと、こんな感じかな!

 あとは私なんかより頭のいい九条さんにお任せするよ! 

 

 じゃあね~~~!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……おっと、大切なことを忘れていたよ! 一番大切なこと! 本当に忘れっぽいな。

 

 えっと、どこかな~。

 

 あった!

 九条さんのバッグ。開けるよ~。

 

 そこには、ラッピング袋。

 中を覗くと、一枚のカードが出てきた。

 

 ピンク色の厚紙に、心音の丸い字で大きく書かれている。

 

『なんでもお願いを叶える券』

 

 心音が用意してくれた、私へのプレゼントだ。

 

『お買い物に行って準備する時間がなかったので、今年は大奮発して何でも叶える券です! 1度だけの非売品ですよ~』

 

 右下には、にっこり笑った心音の手描きイラストとコメント。

 

「……ふふっ」

 

 カードを見ているだけで元気が湧いてくる。

 もったいなくて使えないな~。

 

 ……この券を使ったら心音の心を見せてくれるかな?

 な~んて、私が読心少女だってバレちゃうから言えないよね。

 

「心音、ありがと! とっても大切にするね!」

 

 ――――私なんかにもったいない、本当に本当に大切な宝物だ。




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