その誰にも読めない心を覗いてみたい ~超絶可愛い読心少女である私こと、色葉ココネには伝えたい秘密がある~   作:猫色箱

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第4話 ベッドを危うく汚しかけた悪戯っ子である私こと、色葉ココネはカナミさんと小さな秘密を共有するのです

「あっ、ココネ! どこ行ってたの! ずっと待ってたんだよ!」

 

 保健室のベッドに戻ろうとすると、そこにはカナミさんが腰掛けていました。

 私の親友にして、最も読心能力者の可能性が高い人物です。

 

「お花を摘みに行っていたのです」

「こんなに長い間?」

「沢山のお花があったので、冠まで作っていたのです」

 

 私も隣に腰掛けます。よいしょっと。

 どうやら、カナミさんはずっと私を待っていたようです。

 

 

 クラスメイトの心を覗いてみると――私が授業を抜け出した直後、カナミさんも授業を抜け出していたことが分かりました。

 心が視えないカナミさんに、私の読心能力は通用しません。

 

 心を読むことも、操ることも、認識遮断もできない。まさに読心能力の天敵です。

 さすが、カナミさん! だからこそ、その心を覗いてみたいのです!

 

 

「へぇー、花の冠、私も見てみたかったな」

「残念。置いてきてしまいました。キャッチアンドリリースってやつです」

「自然に優しいんだね。さすが保健室からフラフラ飛び出す遊び人。遊び慣れてるね!」

 

 ニヤニヤと疑う眼差し。私のサボりがバレています。

 

 先ほどは、カナミさんにバレないよう、私たちのクラスには立ち寄っていませんでした。

 元々、同じクラスメイトの心は全員確認済みですしね。

 

 なので、カナミさんが教室にいないことに気がつかなかったのですが、これは私のミスです。

 

 カナミさんの心は読めなくとも、周りの人の心を通して動向を探るべきでした。

 だって、カナミさんは怪しさでもナンバーワンなのです!

 

 

 

 ……まぁ、それはそれとして、この時間を楽しむとしましょう。

 

「やっぱり、サボりがバレていましたか。でも、カナミさんもですよね?」

「私は具合悪いココネのお見舞いに来ただけ。だからセーフってやつだね」

「そうですか。それなら一緒に教室に帰りましょうか」

「え~。どうせ、そろそろ昼休みだし、このままサボろうよ~」

 

 カナミさんは私に寄りかかりながら笑みを向けます。

 でも決して重くありません。私のヨワヨワボディーを押し倒さないように、体重を絶妙にコントロールしているのです。なんという制球力。

 

「そうですね。このままサボってしまいましょう。勉強よりも大切なものが、今ここにあるのです!」

 

 

 キーンコーンカーンコーン。

 

 

 ちょうどその宣言と同時にお昼のチャイムが鳴りました。

 

「……まだ私はサボり宣言してないから、ココネだけがサボりだね?」

「なんと。この私としたことがハメられました。なんて計算高いのでしょう。これは口封じが必要ですね」

「え?」

 

 私はベッドから立ち上がり、隣の机に置いていたスクールバッグを探ってシュークリームを取り出しました。

 

「これを差し上げます!」

「え、なんでシュークリーム?」

「昨日渡せなかった誕生日プレゼントの代わりです。新しいのを用意するまでの仮プレゼントです」

 

 そう。盗まれてしまった『なんでもお願いを叶える券』は探したのですが、見つかりませんでした。

 

 ……あれ? もし誰かの手に渡っていたとしたら、私は何でもされちゃうのでしょうか? ピンチです!

 

 ともかく、誕生日プレゼントを渡すことができなかったので、お詫びのシュークリームを準備しました。

 時間がなくて、コンビニで買った袋入りであるのはご愛嬌です。

 

「別に気にしてないよ! だってココネからは色々と貰ってるもん!」

「もちろん、私の存在そのものが皆さんへの活力プレゼントですが、プレゼントはあればあるほど嬉しいのです!」

「え~、じゃあ貰うね。ありがと! ……ココネの分は?」

「これはカナミさん専用です」

「それじゃあ、半分こだね」

 

 袋を開けたカナミさんはシュークリームを二つに割り、私に差し出してくれました。

 

「いいのですか? 甘いものはカナミさんの大好物でしょう」

「それはココネもでしょ? 私は沢山食べるより、ココネと一緒に食べたいな」

「ふふふ、わかりました。そのお願い叶えましょう。ただ、このままではベッドを汚してしまいますね」

 

 立ち上がろうとした私の腕を、カナミさんがそっと掴みました。

 

「私はココネと二人で、ここでじっくり食べたいな」

「……なるほど。では特別サービスです。二人で甘い思い出を作りましょう」

「さすがココネ! 話がわかる!」

 

 そうして、昼休みの放送を聞きながら、ベッドの上で並んでシュークリームを食べたのでした。

 

 ベッドを危うく汚しかけた悪戯っ子である私こと、色葉ココネはカナミさんと小さな秘密を共有するのです。




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