その誰にも読めない心を覗いてみたい ~超絶可愛い読心少女である私こと、色葉ココネには伝えたい秘密がある~ 作:猫色箱
「あっ、ココネ! どこ行ってたの! ずっと待ってたんだよ!」
保健室のベッドに戻ろうとすると、そこにはカナミさんが腰掛けていました。
私の親友にして、最も読心能力者の可能性が高い人物です。
「お花を摘みに行っていたのです」
「こんなに長い間?」
「沢山のお花があったので、冠まで作っていたのです」
私も隣に腰掛けます。よいしょっと。
どうやら、カナミさんはずっと私を待っていたようです。
クラスメイトの心を覗いてみると――私が授業を抜け出した直後、カナミさんも授業を抜け出していたことが分かりました。
心が視えないカナミさんに、私の読心能力は通用しません。
心を読むことも、操ることも、認識遮断もできない。まさに読心能力の天敵です。
さすが、カナミさん! だからこそ、その心を覗いてみたいのです!
「へぇー、花の冠、私も見てみたかったな」
「残念。置いてきてしまいました。キャッチアンドリリースってやつです」
「自然に優しいんだね。さすが保健室からフラフラ飛び出す遊び人。遊び慣れてるね!」
ニヤニヤと疑う眼差し。私のサボりがバレています。
先ほどは、カナミさんにバレないよう、私たちのクラスには立ち寄っていませんでした。
元々、同じクラスメイトの心は全員確認済みですしね。
なので、カナミさんが教室にいないことに気がつかなかったのですが、これは私のミスです。
カナミさんの心は読めなくとも、周りの人の心を通して動向を探るべきでした。
だって、カナミさんは怪しさでもナンバーワンなのです!
……まぁ、それはそれとして、この時間を楽しむとしましょう。
「やっぱり、サボりがバレていましたか。でも、カナミさんもですよね?」
「私は具合悪いココネのお見舞いに来ただけ。だからセーフってやつだね」
「そうですか。それなら一緒に教室に帰りましょうか」
「え~。どうせ、そろそろ昼休みだし、このままサボろうよ~」
カナミさんは私に寄りかかりながら笑みを向けます。
でも決して重くありません。私のヨワヨワボディーを押し倒さないように、体重を絶妙にコントロールしているのです。なんという制球力。
「そうですね。このままサボってしまいましょう。勉強よりも大切なものが、今ここにあるのです!」
キーンコーンカーンコーン。
ちょうどその宣言と同時にお昼のチャイムが鳴りました。
「……まだ私はサボり宣言してないから、ココネだけがサボりだね?」
「なんと。この私としたことがハメられました。なんて計算高いのでしょう。これは口封じが必要ですね」
「え?」
私はベッドから立ち上がり、隣の机に置いていたスクールバッグを探ってシュークリームを取り出しました。
「これを差し上げます!」
「え、なんでシュークリーム?」
「昨日渡せなかった誕生日プレゼントの代わりです。新しいのを用意するまでの仮プレゼントです」
そう。盗まれてしまった『なんでもお願いを叶える券』は探したのですが、見つかりませんでした。
……あれ? もし誰かの手に渡っていたとしたら、私は何でもされちゃうのでしょうか? ピンチです!
ともかく、誕生日プレゼントを渡すことができなかったので、お詫びのシュークリームを準備しました。
時間がなくて、コンビニで買った袋入りであるのはご愛嬌です。
「別に気にしてないよ! だってココネからは色々と貰ってるもん!」
「もちろん、私の存在そのものが皆さんへの活力プレゼントですが、プレゼントはあればあるほど嬉しいのです!」
「え~、じゃあ貰うね。ありがと! ……ココネの分は?」
「これはカナミさん専用です」
「それじゃあ、半分こだね」
袋を開けたカナミさんはシュークリームを二つに割り、私に差し出してくれました。
「いいのですか? 甘いものはカナミさんの大好物でしょう」
「それはココネもでしょ? 私は沢山食べるより、ココネと一緒に食べたいな」
「ふふふ、わかりました。そのお願い叶えましょう。ただ、このままではベッドを汚してしまいますね」
立ち上がろうとした私の腕を、カナミさんがそっと掴みました。
「私はココネと二人で、ここでじっくり食べたいな」
「……なるほど。では特別サービスです。二人で甘い思い出を作りましょう」
「さすがココネ! 話がわかる!」
そうして、昼休みの放送を聞きながら、ベッドの上で並んでシュークリームを食べたのでした。
ベッドを危うく汚しかけた悪戯っ子である私こと、色葉ココネはカナミさんと小さな秘密を共有するのです。
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