その誰にも読めない心を覗いてみたい ~超絶可愛い読心少女である私こと、色葉ココネには伝えたい秘密がある~   作:猫色箱

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第7話 奇跡の象徴である私こと、色葉ココネは切り替えの早い女なのである

「ふっふっふ、完全復活です!」

「ふっふっふ、完全復活させたよ!」

 

 校門の前で立ち止まり、腕を組んで校舎を見上げる。

 昨日までの不調が嘘のように消えていました。

 

 奇跡の象徴である私こと、色葉ココネは切り替えの早い女なのである。

 

 長期コースだと思っていた不調も一晩で解決。

 さすが私です。寝る前に「明日は絶対学校に行く!」と念じていたのが効いたのでしょう。

 

 完全復活した私は、お母さんの心配を押し切り、こうしてカナミさんと一緒に登校したのです。

 

「それでは、カナミさん。行きましょう!」

「そうだね!」

 

 そうして並んで歩き、校舎に入ったところで――くらり。

 

「はぁ……、はぁ……」

 

 胸の痛み。呼吸が浅くなります。その場でしゃがん休憩です。

 ぬぅ……。油断しました。校舎に入った途端にぶり返すとは。気の緩みですかね。

 

「ココネ……、大丈夫?」

「はい、……大丈夫です。ですが……、少しだけ休憩です……」

「そっか。じゃあ、少し休んだら保健室行こっか!」

 

 カナミさんには、もう慣れっこの光景です。

 結局そのまま、いつものように私を背に乗せて保健室まで運んでくれました。

 

 

 

 そして、私が愛用している保健室のベッドに着陸です。

 

「ありがとうございます」

「いいよ。全然これくらい」

「いつも助かりますね。たまには、この可愛い私を背中で感じる特権だけじゃなくて、特別なサービスでお返しする必要がありますね」

「えっ、それには期待したい」

「えぇ、楽しみにしていてください。この私がビッグサプライズを用意しましょう」

 

 そんなに期待の目をされたら、叶えない理由がありません。

 ……ですが困りました。この体調では読心能力者を探すことができません。

 

 

 

 私だけならですが。

 

「カナミさん。私が保健室から動けない代わりに、お願いしたいことがあるのです」

「なに?」

「それは――――」

 

 

 

 ■

 

 

 

「――えぇ、何それ? なんかの儀式でも始めるつもり?」

「まぁ、ある意味では儀式ですね。捜し人が降臨するかもしれません」

「もしかして、私をドッキリに仕掛けようとしてる……?」

「そんなことないのです。この透き通ったピカピカの目を見てください」

 

 まん丸キュートな瞳でカナミさんを見つめます。この想いよ。届け!

 

「……よくわかんないけど、とにかく、その人を見つけたらココネのところに連れてくればいいんだよね?」

「はい、お願いします。理由は後できちんと説明します。頼んでもいいですか?」

「もちろん!」

 

 そう。私には読心能力の天敵――カナミさんがいるのです。

 昨日はお昼寝してしまいましたが、お母さんの記憶を確認したところ、カナミさんはずっと私の家にいてくれていました。そして、その記憶に異常もなし。

 

 昨日に心を操られた人がいるかどうかの答え合わせは、登校が一通り終わるこの後になります。けれど、それでも構いません。私にはカナミさんの助けが必要なのですから。

 

 理由を話していないのに信じて動いてくれる。心は読めないままですが、私はカナミさんを味方だと信じています。

 

 

 

 それに、カナミさんが読心少女なんて答えは面白くないですからね!

 

 

 

 ……けれど、カナミさんが読心少女でなければ、なぜ心が読めないのでしょうか。

 このことを考えると、いつもワクワクが抑えきれません!

 

 

 もしかすると、ただの私の見落としでしょうか。

 カナミさんにもちゃんと心はあって、存在しているのに、あまりにも透明で音が小さいせいで拾えていないだけ。

 

 もしそうなら、私がパワーアップして感覚を研ぎ澄ませば、必ず見つけられるはず。私の成長は止まらないので任せてください!

 

 

 他には、本当に心がないゾンビさん説ですね。

 私から視れば、人の死とは心が薄れて読めなくなってしまったとき――つまり、消えてしまったときです。

 

 ならば、心がないカナミさんは実は死んでいて、心に代わる何かが体を動かしているのでしょうか。

 

 

 あぁ、本当に素敵です。興味深くてたまりません!!!

 さすがはカナミさんです! でも、こんなに簡単に予想できることを超える真実があると期待しているのです。

 

 あぁ、早くその謎を解き明かしたいです。その心を覗いてみたいのです……!

 

 

 

 ■

 

 

 

 キーンコーンカーンコーン。

 

 お昼休みのチャイムが鳴りました。

 保健室の先生が「お母さんに連絡する」と言い出したのを何とか阻止して、私はベッドでおとなしく休み続けることに成功。まさにファインプレーです。

 

 結果、しっかり休んだおかげで体調も回復してきました。

 

 ――そして、ついにカナミさんが動く時がきたのです。

 本当は授業中にお願いしたかったのですが、理由もなく実行してもらうのは難しいと判断。お昼休みに託しました。

 

 

 教室で、カナミさんが席を立ったのが「視えました」。

 そう。カナミさんの心は読めなくても、その姿を追うことができます。

 

 人は心に届いた情報で世界を認識する。

 ならば、その心を覗ける私は、その人のいる世界を共有できて当然。視界も、音も、感覚ごと。

 

 これを"感覚共有"と名付けましょう。

 

 この力を使えば、カナミさんの周囲にいる人たちの視界を通して、その姿を一日中追跡できるのです。

 

 味方だと信じてはいますが、それと確認は別問題。なぜなら、いまだに心が歪んだ人が誰一人見つかっていないから。これでは、カナミさんが完全に白だと証明できません。

 

 とはいえ、まだ会えていない人が何人もいます。そこと並行して確認ですね。

 

 とりあえず、一昨日と今日で重なっている欠席者を洗い出しておきましょう。それと、まだ会えてない関係者もですね。

 スマートフォンを取り出し、撮影しておいた学校関係者一覧を開きます。

 

 

 ――水城アヤカさん、高瀬マコトさん、九条レイさん……。

 

 

 そのとき、不意にスマートフォンが震えました。着信です。

 画面に表示された名前は――お母さん。

 

 ……もしかして、保健室で休んでいることがバレたのでしょうか。

 とりあえず、ピッと通話ボタンを押します。

 

「んん。もしもし、ココネです」

「ココネ、よかった! 電話に出てくれて! 大切な話があるから電話したの」

「はい、どうかしましたか?」

 

 

 

 ――――ここで突然ですが、トラック事件を振り返っておきましょう。

 

 あのように誰かを操って、読心少女である私を襲うのはナンセンスです。

 だって、その人が考えていることは筒抜けですし、操り返すことだってできます。

 

 だからこそ、そんな方法では私は殺せない。

 

 

 では、どうするか。

 一つの解法は――読心能力者自身、つまり私を利用すること。

 

 

 

 

 

「あのね。ココネが生きていると、お母さん死ななきゃいけないの。だからね――ココネ、死んでもらえるかしら?」

 

 ――それは、読心能力の範囲外。死神からのコールでした。




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