ロボアニメの最終決戦で特攻決めたら異世界に墜ちたパイロットの話 作:すンごい鉄人
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時は現代2025年よりも遥か先の話。
宇宙進出を経て、人類の開拓の手が月面から火星へと着々と手を伸ばしていたある日、宇宙の彼方から送られてきた謎の宇宙生物――次元獣がその魔の手を伸ばしてきた。
次元獣は波打つ地球防衛軍の攻撃を受けながら、地球へと次々飛来。あらゆる物質を吸収しエネルギーに変える人知を超えた生物の襲来、決戦の毎日に地球の大地は荒れ果て、人類の数は最盛期の十分の一以下となり、生き残った者は地下に逃げ延びるしかない死の星へと化していた。
絶滅まであと一歩と追い詰められた人類は、最後の宇宙母艦『あかつき』に、七機の主力決戦兵器――コード名セブンナイツとなけなしの最後の資材を載せて、敵の巣窟へと飛び立つ作戦――オペレーション:セブンを実現させた。
地球のはるか彼方に有るとされる、奴らの心臓部――コアを撃ち抜くために。そうすれば、次元獣は行き場を無くし、直ぐにでも衰弱死を始めるのだ。
こここそが母なる星地球から数億光年先の彼方、人類が最後の賭けに挑む「次元の渦」の宙域。
そこに広がるのは、もはや恒星もくず星も呑み込む黒い瘴霧。無数の眼と牙を持つ異形の群れ――奴等こそが次元獣。奴等が守るように取り囲む衛星こそ、地球を侵し、幾千の命を呑み尽くした災厄のコアである。
この戦場は最早地獄に近かった。
次元のひずみを埋め尽くすように、数え切れぬ怪物が群れを成す。翼を広げて恒星を覆うもの、無数の触手で艦隊を絡め取るもの、虚空を裂いて異形を吐き出す門のごとき存在。
七機いた決戦兵器は、既に二機しか残っていない。
砲撃が、光槍が、無尽蔵に放たれる。だが焼き払っても次から次へと湧き出してくる。戦況モニターの赤は瞬く間に艦隊を覆い、撃沈の報告が途切れることなく続いた。
「……あとどれほど持たせられるの……!?次元断絶砲は!?」
「次元断絶砲、チャージ完了まで残り三分!」
既にあかつき最後の希望、次元獣のコアを撃ち抜く最終兵器の準備はまだ終わらない……たった3分。その3分で気を抜けばすべてが泡沫に帰す。
コアへと突き進むあかつき……それに群がる次元獣を撃ち払うのは、たった二機の決戦兵器だ。どちらも人型の姿をしている20メートルにもなろうの鋼の巨人。
人類の叡智を結集させ、あかつきを守る為、コアを攻める為に作られたセブンナイツ。その七番目と四番目が、己の役目を果たすため必死の攻防を繰り広げているのだ。
「くそっ……数が多い……!!」
セブンナイツ七番機『エルドレイク』を駆る少年、ユウマは虚空を埋め尽くす黒い瘴霧。その中にうごめく無数の眼、牙、触手、それら全てに狙われる恐怖を身につけながら、ボロボロの機体を駆り足掻く。
雨のように伸びる光線が、エルドレイクの全身を貫いていく……耐えに耐えてきた装甲も剥がれ、下半身が吹っ飛んでいく。だが、この何億光年まで次元獣に襲われながら戦ってきた歴史は伊達ではない、この程度で闘志は削れやしない。
「くそっ……!まだだっ!」
エルドレイクのコクピットで、ユウマは震える手で操縦桿を握りしめた。警告灯が点滅するたびに心臓が跳ね、額を流れる汗は拭う余裕すらない。
撃つ。斬る。押し返す。
だが次元獣は際限なく迫る。
ひとつを倒せば十が湧き、十を倒せば百が牙を剥く。
「クソッ……こうなったら炉心を爆破させて時間を……!!」
喉から零れる声は、恐怖と諦めに濡れていた。セブンナイツに搭載された炉心は、次元獣の亡骸から解析したオーバーテクノロジー。炉心ごと機体を爆破させれば、のこり3分は稼げるはずだ。
機体を爆破させての特攻……そうすれば、あかつきは必ず守れる。勝てる。ユウマが覚悟を決めようと息を整えると……エルドレイクの後方から次元獣が文字通り
「っ!?何っ!?」
襲いかかる次元獣……だが、それを上空のセブンナイツの四番機が放った極太のビーム砲が消し去っていく。一瞬で、だ。ユウマのエルドレイクが上を向くと、そこに立つのはセブンナイツの四番機『ゴウガルザー』……すると、エルドレイクに無駄に暑苦しい吠えるような説教が流てくる。
「ユウマァッ!!そいつぁ戦士のセリフじゃねぇな?」
「ッ!?ハジカミさん!!」
ゴウガルザーに搭乗する青年……ハジカミ。彼はエルドレイクへと近づき、怯みもせずに襲いかかってくる次元獣を半壊のエルドレイクを守るように相手取る。
「ッ!!ハジカミさん!僕の事はいいです!早く母艦の守りを!!」
「いや、その必要は無さそうだぜ……!」
ハジカミにそう言われ、ユウマは突き進むあかつきの姿を見る。巨大な戦艦の下半身に船体とほぼ同サイズの巨大な砲がくっついている異形の母艦。
その下半身の砲に、今や今やと光が灯る。それは、人類の勝利を意味する祝の打ち上げ花火。放たれる閃光の軌跡は、虚空に浮かぶ濃煙に突き刺さる。
……数泊遅れて、濃煙が浮き出てコアの表面から沸騰が始まる。膨張し爆煙を巻き上げるコア……その様子を見たハジカミは、勝利を確信していた。
「危なかったな、さっき死んでたらこんな素敵な光景見逃す所だったろ。」
「ははっ……ヤケにはならない物ですね……」
ゴウガルザーは上半身だけとなったエルドレイクの腕を引きながら、反動で壊れかけの下半身の砲身をバージしたあかつきへと飛び寄る、無数の光弾が突き抜けてくる中、開く回収用ハッチ……そこに投げ込まれるように放り投げられる
「ぐぁっ!?……ハジカミさん!荒いよ!」
すると、あかつきからの通信が両機に入ってくる。映るのはあかつきの若き女艦長――エルゼ艦長の姿だった。
『次元断絶砲、撃てたわ!5分後に臨界して半径数億光年が消し飛ぶ!』
「見てたからな、知ってるよ!」
「ワープは!?」
『ちょっとエネルギー無理したから2分かかるけど、2分で高速ワープで離脱ができる!』
ユウマの問にそう答えるエルゼ……ユウマはほっと胸を撫で下ろす。ハジカミが敵影を見ながら呟く。
「2分……持つか……?」
コアがなくなったからか、コアからも無数に湧き出てくる次元獣……彼らも、コアがなくなれば一度刺したミツバチのように死を待つのみの生物だ。
……だが、それを知ってか知らずか、次元獣はあかつきに向けて全勢力を伸ばしてくる。一対億はありそうなほどの大軍団だ……それらすべてが、今にも追いつきそうなスピードであかつきに近づいてくる。
その場にいる誰もがわかってた、2分も待たずして自分達は死ぬ。無数の次元獣に群がられて……だが、もうそれでいいと思えていた。ワープして逃げようなんて建前だ。はうして生きることをあきらめない
……役目は果たした、人類の勝利に代わりはない。ここで自分らが負けようと、次元獣は滅びる定めなのだから…………
だが、それでも尚ここに『個』の勝利を求める者が居た。
「……エルゼ艦長、ハッチ閉めてくれ。」
『えっ……?』
「……ハジカミさん……?」
すると、回収用ハッチの縁にいたゴウガルザーはそっとあかつきから離れ無限に現れる次元獣へと顔を向ける。
「……エルゼ艦長、楽しかったよ。この船旅は。」
『ハジカミ……?貴方何を……』
「ハジカミさん!!」
「ユウマァ。ちと、忘れモンがあった。取りに戻ってくる……地球の事、任せたぞ。」
ユウマの絶叫。
「ハジカミさん!?ハジカミさん!!卑怯だ!僕に勝手に生きろって言っておいて!卑怯だ!汚いよ!嘘つき!」
『ハジカミ!?ハジカミさん!待って!お願い!兄さ―――』
ハジカミは、通信を一方的に切り、次元獣の群れへと向かう……ゴウガルザーの拳が虚空を裂いていく。
殴り飛ばすたび、次元獣の巨体が爆散し、瘴霧が弾け飛ぶ。
薙ぎ払うたびに、次元獣は巻き込まれバラバラになっていく。
撃ち放つたびに、次元獣の身体が焼き焦げていく。
だが数は減らない。無限の黒い波がなお押し寄せてくる。
「へへっ……見苦しいんだよ次元獣共!!」
咆哮とともに右腕を振るった瞬間、次元獣の巨大な牙が肩を噛み砕いた。爆音とともに装甲が裂け、ゴウガルザーの右腕が千切れ、虚空の彼方に飛び去っていく。
「腕一本位くれてやる!!!」
残った左拳で、獣を粉砕。血のような黒煙が散る。
――次の瞬間の背後。
母艦のあかつきが眩い光を放ち、高速ワープの光跡を描く。
艦首が虚空の裂け目に吸い込まれていくのを、ハジカミは確かに見届けた。
「へへっ……行ったかよ。俺も逝くか……!!」
通信もない虚空で叫び、残る次元獣の群れへと突撃する。
噛み千切られても、止まらない。
殴られても、止まらない。
ビームを受けても、止まらない。
もはや、何人たりとも彼らを止められやしない。
装甲が多数剥がれ、内部機構が内臓のように露出し、オイルが血のように流れ、片腕を失ってなお、巨人は吠え続けた。
「勝ったぞォォォォォォォ!!!!」
次の瞬間――
宇宙を呑み込むほどの爆発が走った……コアの崩壊だ。数億の次元獣が光に焼かれ、灼熱の奔流が虚空を浄化する。
……光の奔流の中で、ハジカミは不思議と静かに笑っていた。
「…………やべ……帰ったら、キャンプの予定入れてたの……忘れてたな……」
そして光に呑まれ――
残されたのは、爆炎と閃光と、そしてワープの裂け目に似た、一瞬だけ現れる銀河と銀河をつなぐほどの巨大な裂け目……それだけだった。
――空は青かった。
雲ひとつない澄み渡る青空に、陽光がまぶしく降り注ぐ。
戦火も、瘴霧も、爆炎も存在しない、穏やかな昼下がり。
ここは、辺境の農村『ヒルジス』。
畑では農夫たちが鍬を振るい、子供たちは丘の上を駆け回っていた。遠くからは、牛の様な鳴き声と、風に揺れる麦の音しか聞こえない。
「なぁ、あれ……雲に……裂け目が」
畑仕事をしていた男が、額の汗をぬぐいながら空を仰ぐ。
次の瞬間、青空にありえぬ亀裂が一瞬走った。
光と影が入り混じるように空が割れ、その隙間から“何か”が降ってくる。
「お、おい……鉄の……人形……?」
村人たちは目を疑った。炎に包まれ、煙を噴きながら墜ちてくる巨大な影。
20メートルもの鋼鉄の巨人――。
轟音が大地を揺らす。
巨人は森をなぎ倒し、村の外れの丘を削りながら墜落する……森の中に人型を作って倒れ、空気が焦げ、衝撃波で麦が抜け落ちる。
「な、なんだ……あれ……?」
背中の装甲は剥がれ、右腕は失われている。胸も大きく削られ内臓機構がむき出し、右足はほぼフレームだけの状態だ。
だが、黄金の双眸だけがなおも淡く光り、静かに虚空を睨んでいた……やがて、静かに目を閉じるようにその光を消すのだ。
「……本物だ……!!
誰かが呟いたその言葉は、やがて村中を駆け抜け、伝説のように広がっていった。
――ここは異世界《リージー》
そこに、最後の大立ち回りを終えたひとりの戦士と、その巨人が降り立つのだ。
既視感?ははは、何のことやら!!