「というわけで、彼の特殊なメガシンカの研究はリーフに任せることにしたんじゃ」
「はい?」
電話口から聞こえてきたオーキド博士の言葉に、シロナの声が震えた。
「心配せずとも、リーフはポケモン研究の分野に関しては光るものがあるんじゃ。あのメガシンカの研究はしっかりやり遂げてくれると思っとるよ」
「〜っ! そ、そうではなくてですね……!」
シロナはダイゴがハルカにホウエン案内を任せたことを思い出し、あのときと同じように頭を抱えた。
オーキド博士が研究するというからシバリを紹介したというのに、一瞬で担当者がオーキド博士から女の子に変わってしまった。
どうしてまたこうなってしまうのか。シロナからすると、最早わざとやってるんじゃないかと一瞬勘繰ってしまうくらいだった。
「その、シバリくんは私が確認出来るだけでも最低7人*1の女の子に好かれているくらいにはモテるみたいで……」
「……ふむ、リーフもその中の一人になるかもしれんと懸念しておるのかの?」
「た、端的に言えば、そうですね……」
「なるほど……そういうことなら
「へ? それは一体、どういう……?」
やけに自信ありげなオーキド博士の言葉にシロナが聞き返すと、オーキド博士は胸を張って答えた。
「なんせ、小さい頃からあのレッドやグリーンと一緒におったんじゃ。並大抵の異性には揺らがんじゃろう」
「シバリくんが並大抵の男の子だと……?」
「ぬぉぉっ!?」
いきなり圧の上がったシロナに対し、オーキド博士は急いで誤解を解くために口を回し始める。
「べ、別に彼を貶めるような事を言ったつもりはないんじゃ!! なんというか、滅多なことでは起こり得ないというか、そういうニュアンスのことを言いたかっただけなんじゃよ!」
「……失礼しました。つい、取り乱してしまって」
「い、いや、わかってくれれば良いんじゃよ……」
オーキド博士はシロナからの圧が消えたことに安堵しつつも、どこか『シロナちゃんも彼のことを滅茶苦茶気に入っているのでは……?』と感じていた。
「すみません。実はホウエンでも似たようなことがあって、少し過敏になっていたのかもしれません」
「ホウエンでも?」
首を傾げたオーキド博士に、シロナがダイゴにされた仕打ちを伝えると、オーキド博士は溜め息をついて一言発した。
「カスじゃな」
「カスですね」
結果的にはルチア以外の女性は堕としていない*2ものの、それでもダイゴのしたことは擁護できないものだった。
「……しかし、どうしてシロナちゃんは彼を女の子に近づけたくないんじゃ?」
「実はウチのヒカリちゃんが、それはもうシバリくんにお熱で……」
「……なるほど、それは確かに心配になるのう」
「ええ。……でも、それだけではないんです」
「と、言うと?」
「ふふ……聞きたい、ですか?」
「……遠慮しておこう」
この件にこれ以上突っ込むべきではないと、オーキド博士は本能で感じた。
「……なんて、冗談です。これは教えられないことなので、聞きたいと言われても断っていました」
「じゃあ何故聞いたんじゃ!?」
「もちろん、メガシンカ研究を女の子に任せたことへの意趣返しです」
「じゃあ文句は言えんのう……」
そこからは会話もほどほどにして、二人は電話を切り上げた。
その直後、オーキド博士はとある人物へと電話をかけ始める。
「……はい、ダイゴです」
「いきなりすまんの、カスの御曹司君」
「カスの御曹司!?」
「冗談じゃ。さっきシロナちゃんと電話したときに君のことを聞いてのう」
「……ああ、あの件か……」
電話口の向こうで項垂れているのが丸わかりなテンションでの返答に、オーキド博士は少し笑いそうになりながら本題を切り出した。
「実はワシも君と似たようなことをしてしまってのう。ちょっと心配になったから念のため確認しておきたいんじゃが、そっちのときは大丈夫だったんじゃろう?」
「…………」
「……ダイゴ君?」
いきなり黙りこくってしまったダイゴに対し、オーキド博士は電波でも悪くなったかなと携帯をコツコツと軽く叩いてみた。
「もしもーし? ワシの声、届いておらんかのー?」
「と、届いてますよ。ええ、届いてます」
「ふむ、なら良いのじゃが……」
ならどうしてダイゴから質問への回答が無いのか。
オーキド博士が少し不安に思い始めた頃、ダイゴはゴクリと唾を飲み込んで話し始めた。
「……オーキド博士、これからの話はオフレコでお願いします」
「そ、それは構わんが……。……まさかダイゴ君、もしや──」
「…………はい。実のところ、ハルカちゃんは陥落しました」
「何ィーーーーーーーーーーーーー!?!!!?」
オーキド博士も一度ハルカと会ったことはあったが、そのときは恋愛に興味のあるような女の子には見えなかった。
「あ、ありえん! あのハルカちゃんが? あのハルカちゃんがか!?」
「あのハルカちゃんがですよ!!」
「なんじゃとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!!?」
なんだか一気に雲行きが怪しくなってきた。オーキド博士の中では、今にも研究所に戻りたい気持ちで一杯だった。
しかし、この出張をドタキャンする訳にも行かない事情がある。
つまりオーキド博士に出来るのは、さっさと出張を終わらせて研究所に戻ることのみだった。
「……ボクはもう、胃痛薬を手放せなくなってしまいました。どうやらガラルの元チャンピオンも、似たような事情で胃痛薬を手放せないようです」
「なっ、なななななっ、ななななななっ!?」
別にダイゴのようにシロナと約束をしたわけではないが、それでもあのときの圧を思い出すと、もしものことがあれば自分の胃に穴が空く恐れは大いにある。と、オーキド博士は感じていた。
だからこそ、早急に手を打つ必要がある。あるのだが──。
(り、リーフに彼の毒牙にかからないようそれとなく伝えるべきじゃろうか!? し、しかしそれでむしろリーフが意識するようになったら本末転倒で──)
ここにまた、未来の胃痛薬ジャンキーが生まれようとしているのかもしれない。
・オーキド博士
ちょっと雲行きが怪しくなってきて不安。
だ、大丈夫じゃよな……?
・ガラルの元チャンピオン
胃痛薬ジャンキーその1
・DIEゴ
胃痛薬ジャンキーその2
上二人に比べて抱えてる爆弾がデカすぎる
まだ出てない地方で好きなところ(参考にするかも:パート2)
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ジョウト地方
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カロス地方
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アローラ地方
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パルデア地方